
自社ECサイトを運営している事業者様は、顧客情報や注文情報、アクセスデータなどの様々なデータを保持しています。このようなビッグデータを有効活用することで、施策の成功確度を上げることができます。今回は株式会社イングリウッド(以下、イングリウッド)データテクノロジー事業本部で執行役員を務める梅原龍二さんに、自社ECサイトを成長させるための分析から課題抽出、施策を行う上でのPDCAに至る一連の流れについて、ご自身の経験に基づいてお話しいただきました。
この記事の目次
自社ECサイトが伸び悩んだとき、まずは何から手を付ける?
――自社ECサイトを運営する上で、売上を伸ばすことに行き詰まったとき、まず何から手を付けるのが良いでしょうか?
梅原さん:まずは業界内において競合を含めた自社の立ち位置を明確にすることが大切です。このとき市場・競合・自社の視点から3C分析を行います。3C分析の粒度は施策につながるレベルまで細かくすることがポイントです。
例えば、オンラインで新規顧客向けの施策を検討するのであれば、広告運用やSEO、SNSなど、それぞれの販売チャンネル別に3C分析を行い、ポテンシャルを明確にしていきます。利益率の観点から、検索順位を高めて自然流入を増やすSEO対策を行いたいというお声をよく聞きますが、事前に上記分析を行うことで成功確度を判断し、確度の高さ次第ではSEO対策を実施しない意思決定をしたほうがよい場合もあります。
また、既存顧客向けの施策に関しても同様に3C分析を行います。顧客の求めているニーズは何かを明らかにした上で、アップセルやクロスセル、LTVを伸ばすための施策など検討していきます。
分析結果から確かな施策を選定
――細かい粒度で分析を行うことで、各施策軸での自社の立ち位置が明確になり、施策の優先順位をつけやすくなると思います。イングリウッドとして梅原さんが事業者様を支援する場合も同様の流れになりますか?
梅原さん:はい。同様の流れになります。ウェブ上の多くのデータを取得することで、顧客がどんな商品を、どの流入経路から購入しているのか確認できるようになります。そのデータを活用し、適切な施策を検討していきます。
その際に弊社では事前に分析を行うことにより100以上選択肢のある施策から成果に繋がりやすい施策を2~3個に厳選し、成功確度を如何に上げるかを意識しております。PDCAを繰り返しながら成功確度が高そうな施策を実践し続けると、理論上は売上を伸ばせます。
また、イングリウッドとして独自に開発しているツールを活用したマーケティングを行っています。それにより、施策の検証が行いやすくなり、PDCAをより高速で回すことが可能になるのです。

効果的だった施策事例
――3C分析を踏まえて、データを活かした定量情報で施策を選定する流れは支援を受ける事業者様としては納得感を持って依頼できそうですね。100以上ある施策から厳選しているとのことですが、直近事業者様を支援する中で実践した施策をいくつか教えていただくことはできますか?
事例:1to1のコミュニケーションを活かした施策
梅原さん:定期通販モデルで化粧品を販売している事業者様をご支援したときの話です。前提として、こういった販売方法の場合はLTV(顧客一人当たりの総利用額)を伸ばすために、1to1のコミュニケーション(顧客一人一人にあわせた最適なコミュニケーション)が重要です。
ログインするとポイントが付与される仕組みにより、マイページに月間10万人近くの顧客が訪問されておりました。そこで、MAツールを活用して、過去の購入実績などから顧客属性ごとに切り分けられた条件で、バナーや訴求方法の出し分けをABテストした結果、順調に売上を伸ばすことができました。
また、このABテストにより有効な結果を同梱物に活用する取り組みもしています。同梱物は既存の顧客に対してインプレッションを100%獲得できる施策といっても過言ではありません。しかし、チラシなどの販促物をテストとして複数パターン作成すると、印刷、ピッキングなど物理的なコストが発生するため、ウェブで結果が出たパターンを応用して作成することが効率的です。
事例:分析からコンテンツの拡充へ
梅原さん:総合通販サイトでは、分析の結果、商品ページ内の口コミ(レビュー)数とGoogleなどの検索順位に相関関係がある仮説が立てられました。しかし、サイト内にある機能に口コミをすぐに集めることは難しいため、別の方法で顧客の体験談を収集しました。それを30商品分ほどページ内にコンテンツとして掲載し、していないページと比較したところ、検索順位及び流入数に大きな違いが出たのです。その後、他のページにも展開していき、サイト全体のアクセスが伸び、売上に大きく貢献できました。
様々な切り口から支援が可能なイングリウッド
――定期通販や総合通販など、販売方法やジャンルに関わらず広範囲に対応できるのですね。幅広い層の事業者様から相談を受けているかと思いますが、お受けできないケースはあるのでしょうか。
梅原さん:最初にご相談いただいた段階で、市場ポテンシャルからどのような切り口で施策を実践していくか検討しています。その際、市場環境や競合商品と比較し、コンサルティングの切り口でご支援することが難しいケースも存在します。しかし、当社では物販における川上から川下まで、事業者としての販売実績を持っているため、他の切り口でご提案を差し上げることが可能です。門戸は広く開いているので、まずはお気軽にご相談ください。
単純に自社ECサイトの成長をご支援するだけでなく、商品のポテンシャルを伸ばすための商品開発や、コスト改善のための物流体制の最適化など、攻めだけでなく守りを含めて対応できる強みを持っています。これはイングリウッドがエンドユーザー向けの販売とクライアント販売支援どちらの軸でもソリューション提供しているからこそ、適切なノウハウ提供ができると考えております。事業者としての視点から情報収集や施策を実践し、そこでの成功事例をご支援という形で展開できるため、鮮度の高い施策をご提供できています。

「売れる情報」を追求して価値提供を
――緻密な分析から始まり、統計と確率を用いた施策選定。自社で実践したノウハウが活かされることもあり鮮度の高い状態で事業者様を支援できることがわかりました。最後に、今後の展開の展望についてお聞かせいただけますか?
梅原さん:イングリウッドのミッションにある「商品を売る最強の集団であり続けること」を突き詰めていきます。確かな価値を持っていながらも、日の目を見られていない商品をイングリウッドとして世の中に提供していきたいです。また、今提供しているコンサルティングの枠を広げて、実践的なノウハウを仕組みとしてご提供できる形でツール化できればと思っています。
物販をする上で流通チャネル・仕組み・商品の3つの軸を突き詰めていけば、小売に関わる人たちが欲しい「売れる情報」にたどり着くことができるでしょう。イングリウッドとして保有する物販のデータを活用し、これらの軸を突き詰めていくことで「売れる情報」の提供が実現できる世界観を作っていきます。
インタビューを通して:流入元が多岐に渡るECが故に細かい切り口で3C分析を
ECにおける顧客の流入経路は多岐に渡っています。SNSであればプラットフォームごとに、検索流入であればキーワードごとに競合が存在し、それぞれの対策を行う上で自社がどういった立ち位置にいるのか明確にすることで、正しい方向に歩みを進めることができるでしょう。
3C分析を行った上で、社内のアイディアを集結させて施策を実行し、PDCAを回していくことで徐々に売上が伸ばせることと思います。そのとき、売上を伸ばすためにスピード感を持って最短経路で突き進みたい事業者様は、イングリウッドの相談してみてはいかがでしょうか。
株式会社イングリウッドへの相談はこちら
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