ECの立て直しにおける3つのフェーズとは? 基本的な考えを身につけ、自社特有のものに応用しよう

他社の真似ではなく、自社特有なものに応用することが重要

ECの立て直しについて、私のこれまでのかなり(?)長いEC事業責任者としてと、立上げや立て直しが多いコンサルタントとしての経験から説明していきます。( 私のこれまでの経歴 から大規模向けの話と勘違いされやすいのですが、この内容は規模関係なく役に立つはずです)

1回目は、イントロダクションとして「立て直しとは」や、どういう流れで立て直しを行うか記載していきます。皆さんは、ある程度細かい項目やチェックリストに従って進めていけば、立て直しができると期待しているかもしれませんが、「EC」をビジネスと考えると、「ECサイト」の改善のような汎用のチェックリストは作れませんし、あってもあまり役に立たないでしょう。

このコラムでは、大きな流れと、それぞれのところでの考え方、おそらく実際に役に立つ基本的な考え方を書いていきます。

他のビジネスに比べるとEC自体歴史が短く、また、人材の流動化が進んでいないせいもあり、ビジネスの考え方、業務の標準化が進んでいません。EC担当者に会うと、よその会社ではどうやっているのか知りたいと言われますし、私の経験からどうしたらいいのかという解答を求められることが頻繁にあります。次回以降で詳細に書きますが、基本的な考えを身につけ、自社特有のものに応用していくことが重要です。単に他社の真似をしても、同じようなことをしているなという安心感以外、何も解決しません。

立て直しについてですが、第1回目には、ふさわしくない、ふわっとしていているのに、重い、よくあるお話から始めます。

自社のECサイトのコンセプトは何ですか?

自社のECサイトのコンセプトは何ですか?

実はご存知のように、EC自体を単に立ち上げるのはそれほど難しくはありません。しかし、うまくいっていると思えるレベルでできている会社は思いのほか少ないようです。さて、ECビジネスのどういう状態を立て直さなくてはならないかですが、まずは、

  • 始めたけれどうまくいかない
  • だんだんうまくいかなくなってきた

などかと思います。しかし、

  • まだ、立ち上がってすらいない

といえるようなECをお持ちの企業も少なくありません。

まずは、ECを何となくとか、流行りに(世間や競合がやっているから)流されて始めてしまったということが起因の場合が多いようです。

私は、長くECに関わっていたため、小売やアパレルなどのオーナーや社長さんなどに呼ばれ、「うちのECサイトをどう思いますか? どう改善すればよいですか?」という話をされます。その方々は、せっかく始めたECなのに、世の中では伸びているといわれているから始めたECなのに、思ったほど伸びていない、という思いがあるようです。そして、社内のメンバーが言っていることに確信がもてず、私に声をかけたということになるわけです。

EC「サイト」と言われているので、筆者は、今のEC「サイト」は私がかかわり始めたころと違って機能も十分ついているし、制作で普通にきれいに作られていますので、「突っ込め」と言われればいろいろ突っ込めますが、「普通にキレイで機能も十分ついていますよ」と答えます。そして、怪訝そうな顔をした経営者の方に「ところで、このEC「サイト」のコンセプトは何ですか?」と質問をします。

本当によくある回答は私にとって、とてもトンチンカンなものです。例えば実店舗をお持ちの会社だとすると、「早くうちのどこどこにある店舗と競争できるようにしたい」「うちは関東では知名度があり店舗もあるので、ECで関西の売上を上げたい」などといったコンセプトどうのの前にコンセプトでもないことをお話されます。この段階で、うまくいかない状況と原因の根本はわかるのですが、あえて「では、御社のどこどこ店のコンセプトは何ですか?」と質問すると、大概の場合、とてもよいお考えをお聞きできます。

そこで、「実店舗に関してはそれほどちゃんと考えられているのに、EC「サイト」のコンセプトがそのレベルでうまくいくと思っているのですか。本気だったらそんなコンセプトのはずないですよね。本気でないのならうまくいくわけがないので、ECは止めたほうがいいですよ。」とコメントしてしまいます。

ここまでいうと、大概の場合は、実店舗などで成功している経営者の方なので、なぜうまくいかないのかわかってくれることが多く、「コンセプトワークからやりましょう」ということになります。

実は、このプロセスは、下記の立て直しの流れの前の最も重要なことの一つです。私は、新規事業や新規案件の経験が多いのですが、そのためにいつも言っている重要な要素は、「トップ、もしくは、その案件に対して権限を持っている人の本気」です。本気でないのに、これまでにないようなことを、それも小売にとって大きなインパクトのあるようなビジネスがうまくいくわけがありません。

こういうところから、立て直し(≒本当の立上げ)の話が始まります。どのような流れか、項目かというと、別にECに限ったことでも、EC全体のこと以外でも同じですが、まずは、大きく3つのフェーズがあります。

【フェーズ1】
「やろうとしていること」自体が正しいか(またはちゃんと考えられているか)。

【フェーズ2】
「やろうとしていること」と、そのための「手法、やっていること」が合っているかどうか

【フェーズ3】
上記2つをベースに、自律的に動くメンバーや仕組み、運用を作っていく。

この3つのフェーズについて詳しくお話します。

ECの立て直しにおける3つのフェーズとは?

ECの立て直しにおける3つのフェーズとは?

フェーズ1については、内部の方しか本来はわからないことですので、外部の人間としては、内部のメンバーから考えを引き出し、モデレーションをして、「本来こういうことがやりたいのですね」ということを引き出してあげることになります。これはコンセプト作りが基礎になります。

フェーズ2に関しては、ECの知識、経験などに基づいて、実現を支援することになります。しいて、もう一段階入れるとすると「やろうとしていることと、やろうとしていることのために作った体制が合っているか」ということになります。

立て直しということなので、これらの考え方は、既にあるものを検証しながら行うことになるのですが、私は、元々、新規ビジネスや新規部署、その他の新規案件の立ち上げを得意としているので、その流れを応用していくわけです。

やり方としては、ハンズオンの事業責任者としてやってきたことを外から手伝うような形です。トップやECの責任者が本気で立て直す(やろう)と思っていなければ、無理な話です。トップや責任者を本気にさせてくださいという依頼も多く、ECを取り巻く環境はいかに混沌としているかを感じています。

テクニカルな方法論で改善できるのは、フェーズ2の「手法、やっていること」を改善するところだけで、ここだけに手を入れても、実は大きな業績の向上にはなりません。立て直しには程遠いこととなります。全ての要となるのは、フェーズ1になります。

フェーズ1では、ECに限らず、自社の本質、価値は何かということから始めます。そして、本当は誰に(ターゲット)その価値を伝えたいのか、価値をターゲットである顧客に伝えるためにはどうするか、を考えてもらうのです。極論、ECを使わなくてもいいくらいの前提で話をしてもらい、コンセプトをまとめていきます。

フェーズ2は、そのコンセプトを実現させるためにどうしたらいいのかということです。

そのために、大体の場合、

A.実現させるための体制、組織、人材、(制度)を決めて、作っていきます。

並行して、

B.ECサイトを含む顧客に提供すべき具体的なものを構築していきます。これには、ECサイト、システム等のインフラ、そして商品、サービス、運用プロセスなどが入ります。

フェーズ3として、最終的に、できているはずのAとBの両方を使って、運用を行うわけです。これには、Aの組織はそうそういじれませんが、教育、育成は日常レベルで行っていけます。Bは大きなシステム改修は、ある程度の期間をかけて行うことでしょうが、企画、制作、商品、マーケティング、オペレーションなどは、日々改良、改善できる店作りです。これをどのように考え、どこに注目しながら、改善していくかです。これも共通の回答はありません。目指すもの、リソースが違いますので、大きな考え方、一部に応用できる手法などを使い取り入れていきながら、自律的に動くメンバーや仕組み、運用を作っていくということになります。

次回は、フェーズ1のコンセプトワークから解説していきます。ECを多面的に理解し、自社にあったECの考え方を決めていくプロセスといえます。

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