選ばれるD2Cブランド作りの6つのポイント

はじめに

今の生活者は、つくり手の想いやストーリー、世界観も含めてモノやサービスを購入しています。ECなど購買行動が変化する中で選んでもらうために試行錯誤しているつくり手の皆様も数多くいらっしゃるのではないでしょうか。

今回のコラムでは、オーガニック離乳食などオーガニックを中心としたブランドを立ち上げ、現在もユーグレナグループやWIRED CAFE、寺田倉庫の日本マルシェなど、複数社で商品開発プロジェクトに携わる私自身の経験も元に、「選ばれるD2Cブランド作りに必要なポイント」についてお話ししていきます。

D2Cブランド作りにおいて重要な3つのポイント

① 本当に自分が欲しいものを作る

ブランド作りにおいて、まず何よりも大切なのは「自分ごととなる想い」から生まれているかどうかです。私はよく「お金のための事業ですか?愛のための事業ですか?」という言葉を使います。

例えば、「SDGsが流行っているから、地球に優しい商品を作ろう」という順番には違和感があります。もちろん、世の中でそうした商品やサービスが選ばれ始めているのは事実であり、消費者にとっても地球のことを考えるきっかけとしては良いかもしれません。しかし、それはあなたが心から作りたい商品でしょうか。

 

0からブランドを作るときには壁がいくつも現れます。コストや技術、制度など、様々な試練が現れたとき、「絶対に乗り越えてこの商品を世に出したい」と強く思える源泉は、やはりお金ではなく「自分が心から解決したい課題」なのです。

私の場合は、結婚して子どもが生まれたことがブランド作りのきっかけとなりました。前職で食品業界に携わり、生産過程を深く理解していた私にとって、自分の子どもに安心して食べさせることができる離乳食がなかったことが非常に重要な問題でした。そこで「ないのであれば、つくればいい」と思い立ち、独立してオーガニックベビーフードを開発したのです。

開発したオーガニックベビーフード『Baby Orgente』

自分の子供や孫が、地球の自然と戯れながら、多様性の中で気持ちよく生きられる環境を作りたい。それが私の思いの源泉になっていて、ベビーフードや大好きな大豆など、様々な商品づくりに活きています。

自分と同じような想いや価値観を持つ人が、これを買うだけで課題解決に繋がるという「答え」を商品の形にして用意することが私の商品開発者としての仕事です。「社会性」というものは、あくまでその結果として商品にもたらされるというだけなのだと考えています。

② 開発する人の「本当の想い」を引き出し、まだ世にないものを作る

外部から商品開発に関わる人間として最も大切にしていることは、まさにこの「自分ごととなる想い」です。

社長や事業オーナーの想いを知るために、私は「雑談」を非常に大切にしています。売上や名声、社員にいい思いをさせてあげたいなど、事業を続ける中でどうしても気になる、気にしたいことは増えていきます。そんなトップと日々のなんでもないことや趣味のこと、ふと気になったことなどを話していくと、ビジネスや周りのしがらみを忘れて、熱く語ってくれるテーマや事業を始めた原体験などを知ることができます。

トップの「それが本当にやりたかった」という言葉を引き出せたら、私はそれを商品という「答え」に落とし込むためのディスカッションに移っても良いタイミングだと判断しています。

開発した無添加子供用スナック『Orgente RICE PUFF』

③ プロダクトアウトにならないようにする

そうしてトップや責任者の「本当にやりたかったこと」が見つかったら、どんな製品にするかを考えます。このとき、「あったらいいな」「作りたい」で開発するのではなく、世の中に自分と同じような悩みを抱えている人が「あれば助かる」ものを作ることが重要です。不安、不満、不便、不利など「不」がつくものを解決しよう、と私はよくクライアントに伝えています。「不」を自分ごととしている当事者と雑談して、リアルな悩みを掘り下げていくことで、本当に必要とされる商品やブランドが生まれることに繋がります。

商品開発によくある「落とし穴」を避けるための3つのポイント

①「マーケティング」から「自分ごと」へ

D2Cブランドを作るのなら、「マーケティング」や「ペルソナ」というお金のための事業に使われる分析手法はあまり意味がなく、「本当にやりたいこと」は漠然としたイメージで存在するというのが私の持論です。

これらは例えるなら雲を観測するようなもので、引いた立場では形を掴めても、近付いていくとどんな形だったかわからなくなっていきます。「ペルソナ」のコアの部分がわからないまま、自分が欲しいと思わないものを作ろうとしても、強く訴えて共感してもらえるようなものは作れません。

その結果、マーケティング分析した結果が「調査や分析では売れるはずなんですが…」という言い訳に使われてしまうのです。せめて自分が心から解決したい問題に繋げて考えたり、そういう想いを持った人と話したり、心から共感して作らなければ誰にも刺さらなくなってしまいます。もっと自分らしくテンションの上がることをしましょう!それがわからなければ、私(長谷川)とお茶でもしながら、「雑談」しましょう(笑)

② 売上や社員の幸せではなく「自分が本当にやりたいこと」から考える

たとえ会社が「売れる商品を」と始めたプロジェクトであっても、改めて社長や事業部長の想いをヒアリングすることが重要です。売上や社員への還元などまで含めて、様々なしがらみを取り除いていくと「本当にやりたかったこと」が見えてきます。それこそが、本気で開発でき、求めている人に買ってもらうための1番の近道です。担当者が本気でやりたいことを見つけて、モチベートしてあげることも商品開発プロジェクトの重要なポイントの1つです。

③「自分は柔軟である」という思い込みをやめる

また、全て自前でやろうとすることも失敗の原因になることがあります。組織の中ではどうしても部下の意見は聞きづらくなってしまうため、上司の発想の枠内に収まりやすくなってしまいます。技術的なノウハウも発想も、外部の意見を上手く取り入れることでイノベーションにつながります。

その際に重要なのは、「自分は絶対に固定概念を持っている」と思っておくことです。人は誰にでも自分の価値観や背景があるため、必ず見えていないことや、受け入れがたいことがあるものです。自分は柔軟だと思う人ほど、逆に要注意。時には自社に足りない知見を外部から取り入れることで、思いもよらない発想に辿り着いたり、ブランド作りの中で経験する高い壁の数々をもっと簡単に乗り越えたりすることができるようになります。

企画から販売まで商品を全面プロデュースした
『ELLE cafe KOMBCHA』

商品開発の成功事例

①「上司はターゲットではない」と割り切って想いを貫いた大ヒット商品

これらの失敗要因を避けて成功した事例はいくつもあります。有名なのが、日本人なら誰でも知っている、置いていないコンビニはないような大手食品メーカーが開発したチョコレート。パッケージデザインに対して年配の男性上司が「これは売れない」とフィードバックしたのに対して、担当者の女性が「あなたに買ってもらおうとは思っていないので」と説得し、上司もそれを受け入れ、役員まで通した結果、大ヒット商品となったというエピソードです。大手企業であっても、「自分が買いたい」という自分ごとの想いを持って開発できるという素晴らしい事例だったと思います。

② 外部のプロ人材を活用して「雑談」から新商品を開発

また、私自身は外部のプロ人材として企業の商品開発プロジェクトに関わることが多いのですが、その際も「雑談」から社長の想いを引き出すように毎回努めています。

社長や役員以外、30名近くが全員プロ人材で構成されているという外部人材活用に優れたD2Cベンチャー、MEJ社の事例を少しご紹介します。プロ人材の知見を企業の経営課題解決に活用する「プロシェアリング」を提供するサーキュレーションを通して出会ったのですが、そこでも代表との雑談の中で「金か、愛か」といった話や、ヴィーガンの話、オーガニックフードの話、家族の話などをしていくことで、新商品のアイデアを探っていきました。

会議室で真面目に議論しているだけだと、人間を形作る深い愛や強い原体験、価値観というものはなかなか見えてきません。「本当にやりたいこと」は、雑談など言葉の端々から滲み出る人柄のようなものです。外部の人間だからこそ、社内の人には話せないような話もあるでしょう。そうした想いを引き出し、共感した先に、私もクライアントもワクワクするような、誰かの「不」を解決するための商品が発想される、というのが私が貫いている商品開発のスタイルです。

おわりに

ブランドや商品を作るにあたって、売れるものを作るために様々な市場分析や情報収集を行うことは確かに重要です。しかし、0からブランドを作ったり、数ある商品の中で消費者に選ばれる、心から求められるものを生み出したりするためには、自分に愛がないものを作っても上手くいきません。

開発する側が心の底から困っていたり、求めていたり、愛することができるものから発想し、それを外部の知見も柔軟に取り入れながら商品という形にしていくこと。それこそが、社会性を持ち、人々を惹きつけるブランド作りの要になるのではないでしょうか。

長谷川の考えの本質が見えない!話してみたい!という方は、いつでも私と「雑談」しにきてください。笑顔が広がる事業をしましょう!そして、あなた自身が本当にやりたいものを作る、楽しい人生にしちゃいましょう!


編集協力:株式会社サーキュレーション
本コラムの筆者である長谷川さんを始め17,000名のプロ人材の経験・知見を複数の企業でシェアし、経営課題を解決するプロシェアリング事業を運営。活用方法を相談したい方はこちら

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