ID決済とは? 代表的なサービス、導入するメリット・注意点を解説

ID決済とは?

ID決済とは、外部のIDと連携することでネットショップの決済手続きを簡略化できる決済手段のことです。外部IDとは、Amazonや楽天、PayPay、LINEなどの他のサービスで使用している会員情報(個人情報)を指し、これを活用することで住所やメールアドレス、クレジットカード番号の入力を省略することができます。面倒な入力手続きがなくなるため、カゴ落ち・カート離脱の防止に効果が期待できます。

ID決済を使った購入の流れ

ユーザーがID決済を使用して、商品を購入するのはとても簡単です。まずネットショップで商品を選びかごに入れます。次にID決済サービスの認証画面でログインします。最後に支払いを完了します。支払いにあたってはID決済サービスに登録された情報が利用されます。

スマホ決済との違い

ID決済は、ユーザーがすでに登録、使用している決済サービスとID連携し、そこで登録されている情報を用いて決済を行う決済手法です。

これに対しスマホ決済は、スマートフォン上にインストールしたアプリを利用して決済を行うものです。QRコードや非接触ICを利用した決済や、契約している携帯会社の通信料とまとめて払うキャリア決済などがあります。

代表的なID決済

ここからは代表的なID決済サービスをご紹介します。

Amazon Pay

Amazon Pay

Amazon PayはAmazon.co.jpアカウントに登録された住所情報とお支払い情報を使って決済を行えるサービスです。Amazonは日常的に利用するユーザーが多いため、それに伴ってAmazon.co.jpアカウントを持つユーザーは非常に多いと推測されます。普段から使用しているサービスの決済手段となれば抵抗感も少なく利用できます。またAmazon Payでの支払いにAmazonギフト券を利用することも可能です。

  • 会員数:非公表
  • 月額費用:無料
  • 決済手数料:デジタルコンテンツ以外 3.9%・デジタルコンテンツ 4.5%

楽天ペイ

楽天ペイ

楽天ペイは楽天会員が楽天以外のネットショップで決済を行う際に、楽天IDとパスワードで決済ができるサービスです。楽天会員ID数は9,870万(2021年9月時点)と非常に多く、ユーザーが利用しやすいID決済サービスといえます。また決済時には楽天ポイントを獲得、使用できます。

  • 会員数:1億2,500万(2021年9月時点の楽天会員ID数)
  • 月額費用:無料
  • 決済手数料:デジタルコンテンツ以外 4.0%・デジタルコンテンツ 8.0%~(商材による)

PayPay

PayPay

PayPayは現金以外のキャッシュレスな支払い方法としての認知が高く、4,400万(2021年12月時点)の登録ユーザー数を誇る決済サービスです。頻繁にPayPay残高のプレゼントやキャッシュバック還元率を高める購入者向けのキャンペーンなどを実施しており、導入するだけで販促効果が見込めます。

なお、決済手数料は月額1,980円のPayPayマイストア ライトプランに加入した場合は、1.60%。加入しない場合には1.98%となります。

  • 会員数:4,400万(2021年12月時点)
  • 月額費用:1,980円(PayPayマイストア ライトプラン)/ 無料
  • 決済手数料:1.60%/1.98%

LINE Pay

LINE Pay

LINE Payは、LINEユーザーであれば誰でも登録できる決済サービスで、グローバルで5,670 万人以上(2020 年12月時点)が登録しています。銀行口座から入金でき、友だちへの送金などもできるため、クレジットカードを持たない若年層も利用しやすいのが特徴です。

また、ユーザーがLINE Payで決済を行った際に、ショップのLINEアカウントの友だち追加を促すことができます。1度目の購入の後、プッシュ型のアプローチが可能となり、集客面でも重宝することでしょう。なお、LINE PayはPayPayの加盟店でも利用できます。

  • 会員数:5,670 万人以上(2020 年12月時点)
  • 月額費用:無料
  • 決済手数料:3.45%

メルペイ

メルペイ

メルペイはメルカリの利用者向けの決済サービスで、ユーザーはメルカリの売上金や銀行口座から入金した残高から支払いができます。メルカリ上での売上金は、年間約5,000億円にのぼり、これを利用したいユーザーをネットショップに呼び込むことができるのはメリットといえるでしょう。

また、2020年9月よりd払いと共通QRコードでの利用を行っており、メルペイユーザーだけでなくd払いユーザーの獲得も期待できます。

  • 会員数:1,000万以上(2021年4月時点)
  • 月額費用:無料
  • 決済手数料:2.6%

d払い

d払い

d払いはドコモが提供する決済サービスで、dポイントクラブの会員数は7,815万(2020年9月時点)にのぼります。ユーザーは、銀行口座やATMからのチャージに加え、「電話料金合算払い」を選択できるのが特徴です。決済時にdポイントがたまる、使えるので特にドコモユーザーにとってメリットが大きい決済サービスといえます。なお、先述の通り、メルペイと提携しているため、メルペイユーザーの取り込みも期待できます。

  • 会員数:7,815万(2020年9月時点)
  • 月額費用:無料
  • 決済手数料:2.6%

Google Pay

Google Pay

Google PayはGoogleアカウントに登録したクレジットカード情報を使用して支払いができる決済サービスです。Android端末で使用できます。世界中に多数の利用者を持つGoogleアカウントに紐づく決済であり、幅広いユーザーからの利用が期待できます。また、dポイント、Tポイントなどのポイントサービスも使用可能です。

  • 会員数:非公表
  • 月額費用:無料
  • 決済手数料:無料

Apple Pay

Apple Pay

Apple PayはアプリやSafariのウェブサイト上で決済を行うことができます。支払いはApple Payに登録されているクレジットカードで行われ、iPhoneやiPadの場合にはTouch IDやFace IDを使って認証するため、手軽に決済が完了します。

  • 会員数:非公表
  • 月額表:無料
  • 決済手数料:無料

Shop Pay

Shop Pay


Shop PayはShopifyストアでの決済に利用できる決済サービスです。海外のネットショップでも導入されており、海外ユーザーも多いため、外国人ユーザー向けの商品を販売するネットショップでは重宝することでしょう。なお、決済手数料はShopifyの契約プランによって異なります。

  • 会員数:4,000万人以上
  • 月額表:無料
  • 決済手数料:Shopifyの契約プランによる

Pay ID

Pay ID

Pay IDはBASEで作られたショップ上で決済を行うためのアカウントのことです。BASEにショップを立ち上げることでPay IDを導入できます。ユーザーは、一度クレジットカード情報と住所を登録すれば、その後BASEで作られたどのショップからでも簡単に決済ができます。

会員数:750万人(2021年12月時点)
月額費用:無料
決済手数料:3.6%+40円

ID決済を導入するメリット

カゴ落ちを防止できる

ネットショップで商品を選び、いざ支払いをという場面で、クレジットカードが手元になかったり、配送先情報の入力を煩わしく感じてしまったりして、離脱してしまうユーザーは少なくありません。ID決済サービスは、外部ID決済サービスにすでに登録済みの情報を活用するため、カゴ落ちを防止し、購入率を高めることができます。

新規顧客を獲得しやすくなる

ユーザーによっては初めて利用するネットショップで、個人情報の入力を躊躇する場合もあります。ID決済であれば登録済みの情報が活用できるため抵抗感が少なくなり、新規顧客の獲得が期待できます。

各サービスの経済圏にいるユーザーを獲得できる

ID決済サービスの中にはポイント戦略を中心としたエコシステムを構築しているサービスがあります。ID決済サービスによっては、ユーザーがID決済を利用する度にポイントの利用・獲得ができる場合があります。そのようなID決済サービスの利用ユーザーは、ID決済を利用できるネットショップを好んで使用すると想定できます。ID決済サービスを導入することで、ID決済を頻繁に利用するユーザーの獲得が期待できます。

ID決済を導入するにあたっての注意点

導入コスト、工数を掛けすぎない

ID決済サービスを提供企業ごとに契約、導入手続きを行うと、導入コストや工数がかかりすぎてしまいます。導入するID決済サービスを絞ったり、決済代行会社を活用したりして導入にかかるコストや工数を抑えられるよう工夫が必要になります。カートシステムの中には、各ID決済サービスと連係しているところもありますので、確認するとよいでしょう。

入金サイクルを確認する

多くのネットショップにとって、資金繰りは重要な課題になります。ID決済を利用した売上はいつ入金されるのか、導入前に確認しておくと安心です。また、複数のID決済サービスを利用する場合や、ID決済の他にクレジットカード決済なども導入する場合には、入金日が複数日になることによって、管理が煩雑にならないよう確認しておくと良いでしょう。

問い合わせ対応の仕組みを作る

ID決済サービスを利用したユーザーから、ID決済サービス主体で行っているキャンペーンやID決済の仕様について問い合わせが入る可能性があります。どのようなキャンペーンが行われているのか、ID決済サービスでエラーが出た場合にどういったフローで解決するのかなど、事前に調べて仕組みを整えてみてはいかがでしょうか。

まとめ

ID決済はネットショップのカゴ落ちを防止するために有効な施策の一つです。10種類のID決済サービスを紹介しましたが、やみくもに導入すると、導入工数や管理コストが過剰にかかってしまうことになりかねません。ネットショップのターゲットユーザー層に合ったID決済サービスを選んで導入すると良いでしょう。

合わせて読みたい

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ