北欧におけるeコマースの現状を販路・商品カテゴリー・決済・配送の視点から解説

EUの中でも成熟したデジタル経済圏を持つ北欧諸国

デンマーク・フィンランド・ノルウェー・スウェーデンの北欧諸国は、かなり早くからインターネットを導入しているため、デジタルインフラが高度に発達しています。

例えば、フィンランドは欧州委員会のEU加盟国におけるデジタル進捗度合いを評価した「デジタル経済・社会指数(DESI)」で、2021年に1位になりました。これは、フィンランドがEUの中で最もデジタル経済が成熟していることを意味します。また、他の北欧諸国も上位にランクインしています。

実際に、オンラインで買い物をする人口の割合は、北欧のすべての国で90%を超えているのです。そんな北欧のeコマース事情について、見ていきましょう。

北欧におけるeコマースの現状

宅配会社のPostNord社とDirect Link社は、「E-commerce in Europe 2021」というレポートの中で、eコマースを利用する消費者の行動や嗜好について、北欧諸国間で多くの類似点があることを発表しました。北欧4カ国は、本レポートで調査した12の市場(国)と比較して、海外から買い物をする消費者の割合が最も高くなっています。また、購入するマーケットプレイスとして、ドイツのファッション系EC事業者であるZalando(ザランド)を1位に挙げている点も共通しています。

北欧諸国には名だたる国内ブランドが多かったこともあり、大規模なマーケットプレイスの確立は他のヨーロッパ諸国に比べて遅かったといわれています。マーケットプレイスで買い物をする消費者の数は増加していますが、イタリア・イギリス・スペイン・ドイツなどと比べるとまだかなり少ないのが現状です。長年にわたってヨーロッパで地位を確立してきたAmazonも、北欧では今のところスウェーデンのみとなっています。

EU各国のマーケットプレイス利用率の昨年対比:左からWish・Zalando・Amazon

オンラインでよく購入される商品カテゴリー

北欧の消費者は、どの国も似たような商品カテゴリーをオンラインで購入する傾向があります。デンマークでは、「衣料品・履物」「家電製品」「化粧品・スキンケア」の3つが上位を占め、フィンランドも同様です。ノルウェーでは、「衣料品・履物」「化粧品・スキンケア」「薬局の商品」が上位3位を占めています。

eコマースの支払い方法

北欧の消費者がオンラインで購入する際の支払い方法は、各国よって若干の違いがあります。デンマーク・ノルウェー・フィンランドでは、デビットカードやクレジットカードが最も好まれる支払方法となっています。スウェーデンでは、請求書が依然として人気のある支払い方法です。北欧では、デジタル決済はまだ他のヨーロッパ諸国ほど普及していません。一方、モバイル・アプリケーション(ローカル・バンキングとの提携が多い)の人気が急速に高まっています。

モバイル経由におけるeコマースでの購入

モバイルからオンラインショッピングを行うことは、ここ数年で主流になりつつあります。本レポートで調査したヨーロッパ諸国間のモバイル利用の差は平準化され、すべての市場で70%以上の回答者がオンラインショッピングにモバイルを利用していることが報告されています。北欧ではスウェーデンがトップで、79%の消費者がモバイルからオンラインショッピングを行っています。

配送方法

北欧諸国の消費者は、オンラインで購入した商品の希望する配送方法が他の国と異なっています。本レポートで調査した市場の大半で、消費者はオンラインで購入した商品を自宅へ配送することを希望しています。しかし、スウェーデンとノルウェーでは、消費者の第一の選択肢は、可能であれば郵便受けへの配達と、サービスポイント(配送キャリアなどが用意する受け取り拠点)での商品の受け取りとなっているのです。

フィンランドでは、消費者は注文した商品を宅配便ロッカーで受け取ることが最も好まれています。そして、北欧諸国では、この配送オプションへの関心が着実に高まっているようです。

北欧で宅配便ロッカーを増設するPostNord

フィンランドで宅配便ロッカーでの受け取りが最も選ばれているという結果は、北欧内のオンラインショップにとって興味深いものとして、関心を集めています。PostNord社自身もこの結果を活かして、近い将来、北欧地域で大量の宅配便ロッカーを展開する計画を持っているのです。

2022年末までにスウェーデン国内に4,500台を設置する計画で、大きな町だけでなく地方もカバーする予定のようです。デンマークでは約3,000台のロッカーを設置し、ノルウェーでは2022年末までに国内全域に1,500台のロッカーを設置することを目標としています。フィンランドでは、現在PostNord社はネットワーク共有のロッカーに配達していますが、2022年の間に600の自社ロッカーを設置する計画をしています。

まとめ:北欧の事例から越境ECを行う上で必要な視点とは

人口の90%以上がオンラインで買い物を行った経験がある北欧諸国の現状について、本記事では解説させていただきました。デジタルの普及率が高く、自国発のメーカー企業が多いことでAmazonのようなマーケットプレイスが存在感を示せていないという点は、意外だったかと思います。

地続きで隣接する国であっても、似ている点もあれば異なる点も多くあります。購入されやすい商品カテゴリーが類似している一方で、決済方法や配送方法が異なる事例が本記事から明らかになっています。この北欧4国の例から、国をまたぐことで各国に合わせたEC販売を行わなければならないことがわかりました。日本から海外に向けて商品を販売する場合、同様の視点を持って、販売戦略を立てる必要があるでしょう。

また、販売先のマーケットプレイスや支払い方法について記載させていただきましたが、他にも集客に関する点として現地のSNSや広告の利用状況について調べる必要があるでしょう。日本で売上を伸ばせたノウハウが、海外では通用しなくなる可能性もあるので、ECにおける各項目を細分化し、販売予定の国にどのような形で対応するのか具体的なアクションプランを立ててみてはいかがでしょうか。

※この記事は「Ecommerce News」に掲載されているニュースをもとに翻訳しています。日本のEC事業者の方の参考になればとのことで、Ecommerce News社にご協力いただいております。

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