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ヨーロッパにおけるライブコマース
ヨーロッパでも、ライブコマースが当たり前なものになってきています。もともとライブコマースは、中国をはじめ東南アジアで火が付きました。
特に中国ではライブコマースが盛んで、毎日平均5万回のライブストリームが行われており、視聴者は約2億6,000万人もいます。Coresight Research社によると、ライブコマースは今年だけで2,500億ユーロ(約32兆5,000億円)以上の売上を生み出しており、その売上は毎年上がっているそうです。
今ではヨーロッパでもライブコマースをきっかけに、服やファッションアイテムを買う人が増えています。
テレビショッピング2.0
QVC、TJC、Tel Sell、Tvinsなどの(EU諸国で有名な)テレビで放送されるショッピングチャンネルと比べたらわかると思いますが、ライブコマースは従来のテレビショッピングと何ら変わりはありません。ただし、ライブコマースは媒体が異なることに加えて、お客様がチャットやその他の画面上の機能を使ってブランドとコミュニケーションをとることができます。そのため、従来のテレビショッピングよりブランドと深く関わることができるのです。
ライブコマースを探しているヨーロッパの人々
Arvato Supply Chain Solutions社によると、ヨーロッパではますます多くの人がライブコマースに参加しようと思っています。ライブコマースに興味があるかという質問に、ヨーロッパの人の70%が「はい」と答えています。興味深いデータとしては、東南アジアではライブコマースの視聴者のほとんどが若いミレニアル世代であるのに対し、ヨーロッパでは32歳から43歳の人が中心となっているのです。
3社に1社のファッション・コスメブランドがライブコマースを実施
2020年の夏以降、5社に1社の割合で、ブランドがライブコマースを販売チャネルとして利用し始めたという調査結果があります。今では、ファッションやコスメブランドの3社に1社が、ライブコマースを実施したことがあるといいます。コスメブランドが定期的にライブコマースを配信しているのに対し、ファッションブランドは不定期に配信しています。どちらのブランドも、ライブコマースを自社のECサイトに組み込む傾向がありますが、ライブコマースのイベントの告知自体はSNSで行っているとArvato Supply Chain Solutions社はいいます。
ほとんどのライブコマースは、自社のWebサイトで行われている
昨年、ショッピングアプリの利用数は約50%増加しました。ブランドやオンラインショップは、ショッピングアプリからライブコマースを実施することで、顧客と直接つながることができます。SNSを活用してライブコマースを実施することも可能です。しかし、例えばFacebook Liveは、Arvato Supply Chain Solutions社が調査したブランドではまだ利用されていません。現在、ライブコマースの約70%は、ブランドや小売事業者の自社サイトで実施されているのです。
編集後記:EUの動向から見る日本の動きについて
EUにおいては既に70%以上が興味を持っているライブコマースですが、日本ではまだその限りではありません。しかし、大手百貨店やファッションブランド、セレクトショップなどが自社のECサイト内にTAGsAPIを活用し、ライブコマースを導入している事例があげられます。ECモールでは、auPayマーケットが吉本興業の芸人を起用したライブTVの配信をしたり、ショップチャンネルとC Channelが共同でショッピングライブを配信したりと、2021年に入ってから企業による動きが活発に行われています。
また、SNSによる動きも活発になっています。InstagramやTikTokなど、プラットフォーム上で直接決済はできないものの、商品やコーディネートについて紹介をし、ECサイトへ送客させる動きも、コロナ禍における外出自粛の流れから拡大していったのではないでしょうか。
まだまだ、拡大の余剰が大きい日本のライブコマース市場が今後どのように動いていくのか目が離せません。
※この記事は「Ecommerce News」に掲載されているニュースをもとに翻訳しています。日本のEC事業者の方の参考になればとのことで、Ecommerce News社にご協力いただいております。
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