商品数を増やすと売上が伸びる古着のEC販売、古着専門店「RUSHOUT」に学ぶ運営の仕組み化とは
インタビューの概要

古着屋RUSHOUT(以下、ラッシュアウト)はアメリカ古着の専門店として、低価格かつ高品質なアメリカ直輸入の商品を3万点以上取り揃えています。自社ECサイトやECモール、実店舗など複数の販売チャネルを持つ中で、それぞれの役割が確立することで着実に規模を大きくしています。

20年以上アメリカ古着に携わっている運営元のSSY株式会社代表取締役である笹谷忠史さんに、どのように商品を仕入れているのか、また、販売にあたってのささげ業務、売り場に応じた集客方法や販促施策など幅広くお伺いしました。

コロナ禍に変わった仕入れの仕組み

――全品アメリカ輸入の古着専門店ということで、古着を販売する上での工程を川上から川下までお伺いしていきたいと思います。まず、どのように商品を仕入れているのか教えていただけますか?

笹谷さん:当社の商品はすべてアメリカから輸入した古着を販売しています。2000年に大学を卒業してから「古着を販売したい!」という想いで、アメリカに留学をしました。そのとき、自ら足を使って出会った仕入先とは20年以上の付き合いになります。今回の新型コロナウイルスの影響で渡米できなくなった際に、アメリカから直送できるように去年から調整を始めて、今年から直送できるようになりました。

元々は3ヶ月に1回アメリカに滞在して、2週間ほどかけて1点1点購入する商品を確認していました。仕入れる量が徐々に増えていたので、2週間でチェックするのは大変だと思っていた矢先に、新型コロナウイルスが流行し、アメリカに行けなくなってしまったのです。これをきっかけに、商品の選定を仕入先に任せて送ってもらうようにしています。

アメリカに行かなくなったことで、渡航費や滞在費など経費の削減に繋がりました。仕入先と長年の付き合いがあったからこそ、商品の系統や品質など重要な点を任せても問題なく運営ができていると思っています。今の仕入れの運用で上手く回っていることもあり、今後はアメリカに行く機会を減らして1年に1度仕入先と会う形を取る予定です。

中間業者を介さない直輸入が高品質かつ低価格で販売できる秘訣

一点物のささげ業務を外部委託するコツとは?

――新型コロナウイルスの影響で仕入れの体制が大きく変わったことで、従来の体制よりもより効率的に運用ができるようになったのですね。アメリカから商品が届いた後、古着の場合はどういった形でささげ(撮影・採寸・原稿)業務を行うのでしょうか?

笹谷さん:古着の場合、撮影や採寸以外にも商品の状態を確認する必要があります。また、当社では良い商品を安く提供することを心掛けていることから、ささげ業務を外部へ委託するとコスト面で合わなくなってしまうのです。しかし、仕組み化できる社内の業務を外部へ委託することを意識しているため、試行錯誤しながら実現に向けて動いています。

現在の運用フローとしては、業務委託として内職の方々に採寸をしていただき、社員が商品の撮影を行っています。また、全部の工程を委託できるように、専門でない方であっても取り組みやすい、有名ブランドのような商品から委託を始めています。最初から社員が行うレベルのクオリティで仕上げるのは難しいですが、話し合いを重ねて徐々にクオリティが上がっています。

今まで社内でやっていたことを外部に委託すると、ノウハウを伝えるために体系化が必要になります。長年やっていたことになると一般的とはいえない運用の形が出る場所もあるため、委託先と対話を重ねることで誰にでもできるように業務を標準化しました。

パレットの上に商品が置かれている荷解き前の状態

古着ならではの特徴と売り場に応じた違い

――難易度が高い業務であっても委託先の倉庫とコミュニケーションを重ねることで品質が向上したのは、他の事業者様にとっても参考になる点かと思います。ささげ業務を終えまして、いよいよ販売に関するお話を伺わせていただきます。ネット通販で古着を販売するにあたって、古着ならではの特徴はありますか?

笹谷さん:古着は全て一点物ということもあり、商品数が多ければ多いほど売上が伸びていく傾向にあります。当社では今でだいたい3万点ほど商品在庫を持っています。商品在庫を増やすにあたって、倉庫の保管料など増えてくるコストはありますが、それ以上に売上が伸びるためコスト面の不安はありません。

また、古着ということで商品の状態や洋服のサイズ感など、お客様が購入するにあたって多少なりとも不安を感じる要素があります。そのため、購入から7日後までは全品返品を承っています。返品対応を承ってはいますが、返品になることは少ないのが現状です。

ECモールにおける特徴は?

――商品点数を増やせば増やすだけ売上が伸びるのはまさに古着ならではのように感じます。次に売り場に応じたお話を伺えればと思います。まず、ECモールでの販売はどのように運用しているのでしょうか?

笹谷さん:一点物なので、ECモールの検索対策はなかなか難しいです。商品が売れると、その商品ページは売り切れになってしまうため、商品レビューではなくショップレビューを増やしてお店としての信頼を増やす方向で進めています。

商品ページ内に閲覧している商品に関連するおすすめの商品が表示されますが、古着好きのお客様に合った内容の表示がされていません。例えば、リーバイス501が好きなお客様は同じ品番や見た目の似たような商品を好んで買っていただくことが多いです。そのため、当社では古着好きのお客様に合うおすすめ商品を表示できるシステムを作りました。仮に売り切れの商品にアクセスされた場合であっても、そのシステムによって回遊しやすい仕組みづくりができています。

独自の商品レコメンド:左の商品ページでは右の商品がレコメンドされる

自社ECサイトにおける特徴は?

――自社のお客様に合ったレコメンド機能を作ってしまうとは驚きです。売り切れの商品を含めて15万点以上が検索結果に表示されることを考えると、ラッシュアウトのお客様に合ったレコメンド機能は非常に効果がありそうです。次に、自社ECサイトについてはどのような取り組みを行っていますか?

笹谷さん;まず集客ですが、一番はオーガニック(検索)経由の流入が大きいです。季節のトレンドや着こなしなど内部コンテンツを充実させることでSEO対策が上手く行っています。お客様にとって有益な情報を発信することが検索流入を増やすことにもつながるため、読み応えのある内容になっているかと思います。

内部コンテンツでは着こなしや関連商品を紹介している

笹谷さん:検索以外はInstagramからの集客も徐々に増えています。元々実店舗を紹介する目的のアカウントでしたが、自社サイトとInstagramのショッピング機能を連携させてからは流入が増えています。また店舗のアカウントとは別に古着コーデを掲載する古着情報メディア用のアカウントを運用しています。こちらのアカウントはお客様にテーマに沿ったコーディネートを投稿してもらっています。その投稿をアカウント内で紹介しながらお客様とどんどんつながりを持つことができています。それぞれのアカウントで異なる使い方をしながら、順調に集客数を増やせています。

笹谷さん:集客以外には、自社サイトならではのディスカウントプログラムやブランディングとしてのテレビ番組への衣装提供、レビュー投稿によるポイント還元や平日12時までの注文を当日出荷するなど、サービス面の強化は随時行っています。

実店舗における特徴は?

――継続的にコンテンツを作成し、数を増やすことで着実に集客数を増やしているんですね。ECモールと自社ECサイトについて教えていただきましたが、実店舗についてはどのような立ち位置になっているのでしょうか?

笹谷さん:実店舗は現在岡山県内に2店舗あります。同業他社の話を聞いていると、地元での知名度を向上させることなど実店舗の重要性を感じたため立ち上げた背景があります。

ECで取り扱っている商品は実店舗では置いておらず、完全に分けています。理由としては想定しているお客様の層が異なることや一点物である古着を実店舗とECで一緒に販売してしまうと販売機会の損失につながることが挙げられます。

実店舗では10~20代の若年層とファミリーがターゲットになるように、ラインナップとしてはラルフローレンのような認知度が高いブランドや90年代系の古着を、価格帯はECよりも低めの商品を厚めに置いています。一方で、ヴィンテージ系の価格が高めの商品は年齢層が高めのお客様に好まれるため、ECを中心に販売しているのです。

RUSHOUT本店の店内

笹谷さん:接客面ではカリスマ店員のような際立ったことは行わず、社内の誰が店頭に立っても同じ品質で回せるように仕組み作りをしています。できるだけ社員に待遇面で還元できるように、少人数で効率的な運営を心掛けているため当社では幅広い業務スキルが求められています。そのため、際立った接客スキルによって店頭で売上を伸ばすことより、接客以外にもバランス良く複数の業務に向き合ってもらい、全体的な売上を底上げする動きが大切になります。

ラッシュアウトの描く今後の展望

――ECと実店舗を完全に切り分けている一方で、社員の方々がお客様と対面で接客する機会を持っているのは、ECの運営においても活きてきそうな気がします。最後にラッシュアウトとして、今後どのような展望を描いているのでしょうか?

笹谷さん:まず、ベンチマークしている競合店に追いつくため、今ある3万点の商品在庫を6万点まで増やしていきたいです。その上で、実店舗とECを連携させるために、スマートフォンアプリを導入しようかと思っています。現状、相互送客はできているものの、お客様の情報をデータ上で管理しきれていないこともあり、アプリを通して有意義な情報の発信や快適にお買い物できるような仕組みを整えていきたいです。

集客面ではSNSの強化を進めていこうと思っています。YouTubeやTikTok、Instagramへの動画アップやライブコマースなど、新しい取り組みとして動画コンテンツを増やしていくつもりです。

最後に、C2C系のフリマアプリに法人参加の流れが来ているのでしっかりと乗っていこうと思っています。2020年11月始まったラクマ公式ショップ、2021年10月にメルカリShopsが正式に始まりました。転売ヤーのような個人の方が法人の参加によって少なくなってくるでしょう。当社としても出店して、実店舗に来ていただくお客様のような若い方を集客していきたいです。

インタビューを通して:時代の変化を敏感に捉えながら変化を続ける

コロナ禍に渡米できなくなってから仕入れ体制をすぐに整えたこと、自社ECサイト内のコンテンツを拡充し検索経由で集客をしていること、SNSをコンスタントに更新しながら店舗の認知を拡大していることなど、どれも継続的に取り組んでいたことが実を結んで、今の結果に至っていると思います。

今後、展望についてもそうですが、笹谷さんは時代の流れを掴みながら「どうすればできるのか?」を考え、前向きに新しいことに取り組んでいるように感じました。

ラッシュアウトはEC・実店舗ともに豊富で品質の良い商品を低価格で提供しています。まずは、ECサイトから是非ご覧になってください。

■古着屋RUSHOUT公式店
https://www.rushout.jp/

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