通販は積み上げ!「二足のわらじ」からネットショップを成長させた運営戦略
記事の概要

楽天市場・Amazonなどネットショップ運営代行をはじめ、モール通販を中心にECサポート・ECコンサルティングを行っているサヴァリ株式会社が運営するYouTubeチャンネル『ECの未来』では、ECに関わるさまざまな方をお呼びして、その方たちの得意ジャンルのお話をMCである株式会社柳田織物の柳田敏正さんと対談形式でお届けしています。

今回は、合同会社あめおと商店の代表社員である木村寛一さんに、ネットショップを軌道に乗せるまでについてお話しいただいた回をご紹介します。

【ゲストスピーカー】
 木村 寛一さん
合同会社あめおと商店 代表社員
美しくなる事を楽しむ「JOUIR(ジュイール)

【チャンネルMC】
柳田 敏正さん
株式会社柳田織物 代表取締役
ワイシャツ専門店「ozie(オジエ)

「二足のわらじ」を続けた3年間。2,000アイテムを目指した初期戦略

柳田さん:奥様とお二人で、さまざまな商材を取り扱うネットショップを運営されているとのことですが、少人数で楽天市場に出店するのは非常に大変な印象があります。始めた当初は会社員との「二足のわらじ」だったそうですが、なぜ会社員として働きながらネットショップを始めようと思ったのか、お聞かせいただけますか。

木村さん:長年、通販会社で働いてきましたが、うつ病が悪化し、寝て、起きて、食べるだけという生活がしばらく続いた時期がありました。

そんな中、幼少期からの夢であった「社長になる」ということだけは、最後にチャレンジしてみようと思ったのです。必要な書類などをすべて自分で作って提出し、何度も修正を求められながら手続きを進めているうちに、自然と元気になっていきました。

そこから体調が良くなり、会社で働きながらネットショップを始めます。長年、通販会社で働いてきたため、オリジナル商品が爆発的に売れれば波に乗れるという思いもありました。一方で、通販は積み重ねが大切だと考えていたので、何年か頑張れば必ず結果が出ると信じていました。

まず取り組んだのは、とにかく商品数を増やすことです。2,000アイテムを目標に、ひたすら商品を登録していきました。

柳田さん:「ネットショップは儲かるのだろう」というイメージから始める方も多くいらっしゃいます。一方、木村さんは成果が出るまでに時間がかかるとわかったうえで、コツコツと継続することを前提にネットショップを始めたのですね。

木村さん:卸売会社の方から、新規登録した事業者の3分の2は、半年後にはいなくなると聞いていました。私は、通販は積み重ねていけば売上も伸びていくものだとわかっていたので、会社員を続けながらネットショップを運営していました。

柳田さん:会社員との「二足のわらじ」で運営されていた期間は、どのくらいですか。

木村さん:3年くらいです。

柳田さん:3年後に会社を辞めて独立しようと思ったのは、事業がうまくいく見通しが立ったからでしょうか。

木村さん:売上がある程度立つようになり、ネットショップの収入で生活できるめどが立ったのが3年目でした。

柳田さん:ネットショップを始める方は、大きく二つのタイプに分かれると思っています。会社を辞め、退路を断って取り組む人と、勤め先で働きながら、並行してネットショップを始める人です。私は後者をおすすめしています。

会社で働く時間がある分、事業の成長速度が落ちてしまうことは欠点です。ただ、木村さんのように、時間がかかることを前提に取り組むのであれば、より確実性の高い方法ですね。

木村さん:ネットショップに専念するまでの3年間にも、複数の業種の通販会社で働きました。例えば、タイヤのように、それまで扱ってきた商材とはまったく異なるジャンルの通販会社にも入社し、さまざまな経験を積ませていただきました。

仕入れのために構えた「実店舗」が、お客様のリアルな声を聞く場に

柳田さん:始めた当初は、どのような商品を取り扱っていたのでしょうか。

木村さん:2016年ごろに、美容商材や健康食品の取り扱いから始めました。

柳田さん:現在、美容商材や健康食品は、メーカーによる販売条件の締め付けが厳しくなっていますよね。

木村さん:販売価格を下げるとすぐに連絡が来ることもあります。最も残念に感じるのは、商品が売れるようになった後にメーカーから仕入れられなくなり、リピーターだけをメーカーに取り込まれてしまうケースが多いことです。

最初は販路を広げるためにさまざまな会社へ商品を卸し、商品が売れた後は、リピーターをメーカーが直接取り込むという手法なのだと思います。当社にリピーターがついても、商品を卸してもらえなければ、販売する商品がないという状況に陥ってしまいます。

柳田さん:販売する商品を探すのも大変ですよね。最初の商品は、どのように見つけたのでしょうか。

木村さん:最初は、インターネットでも見つけられるような一般的な卸売会社から仕入れていました。その後、取引先から「実店舗がなければ卸せません」と言われることが増えたため、店舗を構えます。

柳田さん:店舗にはスタッフの方が常駐しているのでしょうか。

木村さん:当初は一人で運営していたので、私が店舗に立っていました。現在はスタッフに任せています。

来店されるお客様がそれほど多いわけではないため、店舗は予約制に。店舗での接客がない時間には、近くにある倉庫で出荷などの業務も担当してもらっています。

柳田さん:実店舗を運営していて良かったと感じることはありますか。

木村さん:通販だけでは、お客様の生の声を聞くことや、実際に商品を手に取っていただく様子を見ることがなかなかできません。実店舗を持つことで、その部分を補えたのは良かったと感じています。

柳田さん:メールで「このような商品があったらうれしい」と要望を寄せてくださる方もまれにいらっしゃいますが、お客様がわざわざメールを送るのは、なかなかハードルが高いと思います。対面での会話であれば、お客様も要望を伝えやすくなる点は、リアルな接点ならではの良さですね。

冒頭で、木村さんの運営方法はとても大変そうだとお話ししました。しかし、実店舗を運営してお客様の声を取り入れ、商品やサービスをブラッシュアップしているからこそ、事業を伸ばせているのだと感じました。

「美容」から「ペット」へ。顧客層の共通点から生まれた意外な相乗効果

柳田さん:ここ3〜4年で売上を伸ばせた最大の理由を一つ挙げるとしたら、何でしょうか。

木村さん:ドッグフードを発掘できたことですね。そのドッグフードも、実店舗がなければ卸してもらえない商品でした。そのため、取り扱うことができたのは、売上を伸ばすうえで大きな要因になりました。

柳田さん:もともとの主力商材は、美容関連の商品でしたよね。

木村さん:そうですね。独立した後に犬を飼い始めたのですが、その犬がアレルギーを発症してしまったのです。

それをきっかけにドッグフードについて調べるようになり、ペット用品を扱う通販会社でも働きました。そこでさまざまな商材を見ていく中で、自分のネットショップでも取り扱いたいと思い、販売を始めます。

柳田さん:独立した後に、別の通販会社でも働かれたのですか。

木村さん:はい、そうなんです。ドッグフードを購入した方がシャンプーも買ってくださるなど、商品同士の相性が良かったため、ペット用品の登録を進めていきました。その結果、現在では取扱商品の8〜9割がペット関連の商品になっています。

柳田さん:取扱商材は店舗の方向性を左右する重要な要素なので、なかなか変えにくいように感じます。さまざまなジャンルの商品が並んでいると、利用者が「何のお店なのだろう」と戸惑ってしまうこともありますよね。そのような時期もあったのでしょうか。

木村さん:ありました。美容商材とペット用品は一見するとかけ離れたジャンルですが、どちらも女性のお客様が多いため、顧客層という点では相性が良いのです。ジャンルが異なっていても、顧客層に共通点があれば融合できるのではないかと考えています。

柳田さん:薬機法による規制や仕入れの難しさを考えると、ある意味、取扱商材を大きく変えたことが良かったのかもしれません。

出店当初から有名な化粧品を仕入れられるケースは、それほど多くないでしょう。知名度の低い商品を自分たちでページに掲載して育てていくには手間がかかりますし、せっかく売れるようになっても卸してもらえなくなれば、売上を伸ばし続けるのは難しいですよね。

木村さん:仕入れに悩んだ時期もありました。ただ、商品を卸してもらえないことが当たり前になってくると、こちらも仕入れ先を選ぶようになります。

一度は強気な条件を提示してきたメーカーの商品が売れなくなり、再び当社に取引の話が戻ってくることもありますね。

おわりに:通販歴が長いからこそ実現できた「積み上げ型」戦略

さまざまな通販企業で働きながら、着実に商品数と経験を積み重ねてきた木村さん。通販事業は成果が出るまでに時間がかかるものだと腹をくくり、継続してきたからこそ実現できた戦略だと感じます。

仕入れのために実店舗を構えたり、自身の経験をきっかけに取扱商品のジャンルを広げたりと、一般的なノウハウだけにとらわれず、自らの足で得た「一次情報」を事業に活かしてきました。その姿勢は、多くのEC事業者にとって、次の一歩を考えるうえでのヒントになるのではないでしょうか。

EC市場の真の発展に貢献をという想いで、「ECの未来」を運営しているサヴァリ株式会社は楽天市場・Amazonなどネットショップ運営代行をはじめ、モール通販を中心にECサポート・ECコンサルティングを行っています。EC運営に不安を抱えている事業者様は問い合わせてみてはいかがでしょうか。

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