【ECの未来】ECの売上を伸ばすには?メルマガ・チャットが購入を後押しする理由
記事の概要

楽天市場・Amazonなどネットショップ運営代行をはじめ、モール通販を中心にECサポート・ECコンサルティングを行っているサヴァリ株式会社が運営するYouTubeチャンネル『ECの未来』では、ECに関わるさまざまな方をお呼びして、その方たちの得意ジャンルのお話をMCである株式会社柳田織物の柳田敏正さんと対談形式でお届けしています。

今回は、株式会社アルビオン 国内推販グループ グループ長 榊原 隆之さんに「メルマガ・チャット」をテーマにお話いただく回をご紹介いたします。

【ゲストスピーカー】
榊原 隆之さん
株式会社アルビオン 国内推販グループ グループ長
ANNA SUI」「PAUL & JOE」など、複数の化粧品ブランドを展開

【チャンネルMC】
柳田 敏正さん
株式会社柳田織物 代表取締役
ワイシャツ専門店「ozie(オジエ)

0.1秒のSNSより、じっくり読むメールで「お手紙」を

柳田さん:社内でさまざまな取り組みを重ねる中で方向性が変わり、現在はメールマガジンに力を入れているとのことですが、アルビオン社としてなぜ今、メールマガジンに注力することになったのでしょうか。

榊原さん:オンラインビジネスを始める際に、LINEと連携しようという話は出ていました。ただ、その段階で、すでにLINEは縮小していこうと考えていたのです。個人的な感覚ではありますが、LINEは数あるSNSの中でも、特にプライベートな場面で使われているツールだと思います。

家族や親しい友人とのやり取りの中に広告や売り込みの情報が入ってくることに、違和感がありました。私自身、競合ブランドのアカウントなど、さまざまなLINEアカウントをフォローしていますが、実際には0.1秒ほどしか見ていません。これでお客様にきちんと伝わるのだろうかと疑問を感じました。

一方、オンラインで買い物をする際には、メールアドレスを登録し、そこに注文完了メールや発送完了メールが届きます。つまり、メールは必ず使う手段です。LINEはいつか他のものに取って代わられる可能性もあると考えていたため、メールマガジンに注力することにしました。

柳田さん:ブランドのメールマガジンは、どのように登録者を集めたのですか。

榊原さん:オンラインビジネスを始める前から、ブランドのメールマガジン自体はありました。ホームページの下部に「情報がほしい方は、よろしければご登録ください」という導線を設置していたのですが、実は登録していただいていたにもかかわらず、情報発信はしていなかったのです。

柳田さん:パーミッションを取っているのに発信しないというのは、メールマガジンではよくある話ですね。

榊原さん:さらに、オンラインビジネスを始めたときにお世話になった方々から、「メールマガジンは良いですよ」と教えていただきました。その話を聞くまで、心の中では「メールマガジンなんて、もう終わっているよね」と思っていたのです。

ところが、実際にやってみると、本当に多くの方に反応いただき、なんと半分以上の方が開封してくれました。そこからお買い物も多く発生している様子を見ていると、「メールマガジンを見てくださっているのだな」と実感しました。見てくださっているのであれば、もっと送ろうと考えるようになったのです。

当初は、新商品や限定品の情報など、売り込みのメールマガジンしか送っていませんでしたが、次第に違う内容も送りたいと思うようになりました。手紙が好きな私は、自分の言葉でお客様に想いを届けたいと考えたのです。スタッフの中には「そんなメールが来ても読みませんよ」という人もいれば、「すごく読みます」という人もいました。

私たちのお客様は数ある販路の中で、公式サイトで購入してくださるお客様です。そんなお客様なら公式からのお手紙を、きっと喜んでくださるのではないかと思い、スタッフにお手紙を書いてもらうようにしました。やってみると本当に多くの方が読んでくださるので、書き手にとっても励みになっています。

柳田さん:反応があるとうれしいですよね。

榊原さん:ただ、お手紙は売り込みのメールマガジンではないため、その反応を「メールマガジンからの売上」として見てしまうと、また違う話になってしまいます。メールマガジンを送るとき、私たちは開封率を見ているのです。次回の開封率が下がっていなければ、前回のメールマガジンは悪くなかったと捉えています。

担当者がしっかりと販売につながるメールマガジンを作る一方で、メッセージを伝えるメールマガジンも作成する。ツール自体は変わるかもしれませんが、テキストで想いを伝えるということは、これからも続いていくだろうと思うので、しっかり取り組んでいきたいです。

柳田さん:売りのメールと、想いを伝えるメールをミックスしているのがいいですね。熱い想いばかり書かれても、読み手は疲れてしまいます。レビューや感想を送ってくださる方が多いブランドですから、メールマガジンに想いを綴って反応が悪いはずがありませんよね。嫌であれば、解約することもできますから。

榊原さん:もちろん、解約されることもあります。メールの配信数を大きくしようとすると、キャンペーンなどを行うことになりますが、メールマガジンは本当に好きな方だけに登録していただくものだと考えています。

SNSなど、いろいろな場所を巡ってたどり着いてくださった熱量の高い方に登録していただく、という立ち位置です。

柳田さん:だからこそ、客層が濃くなるのですね。配信した内容に対してアクションがあるという点では、メールマガジンは非常に良い手段のように思います。

榊原さん:実は、厳しく指導されたことがあるのです。「いたずらに集めないで」と。以前は、LINEで「スタンプをあげるから登録してね」と促すのと同じように、メール登録してくれたらクーポンを差し上げます、という施策も行っていました。

柳田さん:今でも自社サイトでは、会員登録をするとクーポンがもらえるという施策をよく見かけますよね。ブランドを好きな方が登録するのであればよいですが、クーポンが目当ての方が増えてしまうと、客層が薄くなってしまいます。

榊原さん:私は友人のECサイトで購入するときにも、クーポン登録はしないようにしています。私たちはものづくりのメーカーで、自分たちの商品を使って喜んでほしいという想いがベースにあります。なので、価格的な訴求で使っていただくのではなく、少し遠回りになったとしても、商品の価値や背景、ブランドの魅力をお伝えし、好きになって使っていただきたいです。

柳田さん:一般的な考え方として、卸売をしているメーカーが、自社サイトで安く売りすぎるのは望ましくありませんよね。

榊原さん:そうなんです。私たちは「売る」というスタンスではいますが、その定価には意味があると思っています。だからこそ、さまざまな付加価値をつけることを目指しています。

メーカーの立場で大幅な値下げをしてしまうと、市場を壊してしまいますし、ブランドのお客様に対する裏切りのようにもなってしまいます。適正な価格の商品をきちんと愛していただくためにも、コミュニケーションを取り続けることが必要だと考えています。

柳田さん:価格ではなく、継続してコミュニケーションを取り、お客様とつながり続けることを第一に取り組んでいけば、順調に伸びていくのではないでしょうか。

店舗の「実感体験」をオンラインで。背中を押し、不安を解消するチャットの力

榊原さん:私たちは「実感体験」といって、店舗では口頭でご説明するだけではなく実際にお顔で試していただく活動にこだわっています。これと同じことをオンラインでもできないかと考えました。実感体験の代わりに、コミュニケーションを取るということです。担当者には「歯を食いしばってでも、コミュニケーションを取りなさい」と伝えています。

今はチャットを非常に活用していますが、導入しようとしたときはスタッフに大反対されました。

柳田さん:チャットの導入は、当社でも反対されました。「仕事を増やす気ですか」と言われましたね。

榊原さん:それでも、チャットはやってよかったですね。プラスの声しか来ません。

柳田さん:私の実感としては、「最後にこれがわかったら買いたい」というときに、ECサイトでありながらすぐ答えられるのがいいですね。コンテンツに関する質問をしてくる方はほとんどいなくて、「在庫は何個ありますか」「欠品しているけれど、いつ入りますか」といった質問が多いです。

榊原さん:私たちも化粧品の使い心地について説明していますが、お客様が本当に求めているのはそこだけではありません。「私が使ってもいいのか」というところで、背中を押してほしいのです。

例えば、あるお客様がチークを買いたいとします。「私、このチークを使えるかしら」とおっしゃるのですが、こちらは実際にお顔を見ているわけではないので、正確にはわかりません。それでも、何とかテキストでやり取りをして、最後には「自信を持って使っていただけます」とお伝えし、ご購入いただくことができます。

柳田さん:コスメやファッションでは、そうしたニーズは必ずありますよね。こういったやり取りは、長くかかっても10分ほどで終わります。実店舗で接客しているのと変わらない感覚です。

当社でチャットを導入しようとしたとき、スタッフからは「メールでいいじゃないですか」と言われました。そこで「1か月は私がやってみるよ」と伝え、チャットに張り付いて実績を出しました。コロナ禍の5月頃だったので、そもそもYシャツを着る必要がない時期ではありましたが、結果が出たことで、その後はスタッフも対応するようになりました。副次的な効果として、電話やメールが減ったのもよかったですね。

榊原さん:私も「1か月やる」と言いましたが、1週間ほどで、私が楽しそうに対応しているのを見て、スタッフが「やります」と言ってくれました。チャットを始めたことで、LINEの本当の使い方もわかったように思います。

LINEは、友だちの数に応じてメッセージを配信すれば成果が出るツールでもありますが、チャットの代替としても有効です。画面遷移などでチャットのやり取りが消えてしまうのではないかと思うお客様もいらっしゃるので、「LINEでもやり取りできますよ」とお伝えすると、登録して質問してくださるケースが多いです。

LINEはチャットと同じように使えるため、それを促しているうちに、LINEの友だちの数も自然に増えていきます。相談はプライベートな内容になることもありますから、相談してくださるというのは、熱量が高い証拠だと考えています。

柳田さん:SNSやチャット、メールマガジンなど、さまざまな形でコミュニケーションは取れますが、大切なのは使うツール以上にお客様とどんなやり取りしていくかという考え方ですよね。ただ、メールマガジンについては、活用を勧められても、なかなか前向きになれない事業者さんは多いようです。

ツールは変われど「伝え続けること」が力に

榊原さん:メールマガジンに消極的な方に、「そのプロダクトの良さをどうやって語るのですか」と問いかけると、言葉に詰まる方も多いですね。

柳田さん:メールマガジンのバックナンバーを見る方はほとんどいませんが、それでもSNSよりはストックに近い印象があります。

榊原さん:これだけツールが増えているので、ある程度、段階を決めてもよいのではないでしょうか。多くの方にはこのツール、熱量の高い方にはこのツール、と決めてもよいですし、どこに注力するのかも、そのグループ単位で決めればよいと思います。ただ、時代によって何に注力するのかは変えていかなければなりません。

柳田さん:近々(2024年2月収録時点)、Gmailに大幅な仕様変更がありますから、きちんと対応していなければ、メールマガジンも届きにくくなってしまいます。一方で、パーミッションを取っている以上、メールマガジンを出さないことが失礼になるという面もあります。

榊原さん:メールマガジンの前には、ハガキや封筒などのダイレクトメールを送っていました。送料がかかるので、少しずつリストを絞って送るのですが、送っていない方から「最近、ハガキが来ないよ」とご連絡をいただくこともありました。そういった意味では、メールマガジンは全員に送ってよいのだと思っています。

柳田さん:不要であれば、配信停止をしてもらえばよいですからね。ECサイトに来たからといって、すぐに買うとは限りません。「そのうち買おうかな」と思っているときにメールを取っておき、そこからECサイトにアクセスする方もいらっしゃいます。

レガシーなツールではありますが、接触頻度を設定できるツールであり、Webページを見ていなくても、メールが残っていることで思い出してもらえるという点では、ストックコンテンツとして価値があるように感じます。

これだけやればよいというツールはありませんが、レガシーなツールは一定数、消えずに残ります。そこにリソースを割くことはお客様のためにもなりますし、自分たちの情報発信にもつながるのではないかと考えています。

榊原さん:どのツールを使うにせよ、画像とテキストで商品の魅力やブランドの想いを伝えることは変わりません。だからこそ、どう伝えるのか、お客様からの反応やご意見をどう受け取るのかをつかんでいれば、どのツールを運用してもきっと大丈夫だと考えています。

柳田さん:手段が変わっても、「伝える」ということに対してブレずに、継続的に取り組み続けることが重要ですね。メーカーの立場でそれを継続されているアルビオンさんは、本当にすごいなと思います。

榊原さん:会社とブランドが大好きなメンバーが取り組んでいるからこそ、できているのだと感じています。

おわりに:デジタルの先にいる「人」と向き合い、ファンを育てる

榊原さんのお話から、アルビオンではオンラインビジネスの拡大を機に、「お客様と深く、温かくつながる」ためのコミュニケーション強化を続けていることがわかります。

流行りのツールを追いかけたり、クーポンやキャンペーンによっていたずらにリスト拡大を目指したりするのではなく、テキストと画像を使って真摯に伝え続ける。その姿勢は、情報発信のあり方に悩むEC事業者にとって、大いに参考になるのではないでしょうか。

EC市場の真の発展に貢献をという想いで、「ECの未来」を運営しているサヴァリ株式会社は楽天市場・Amazonなどネットショップ運営代行をはじめ、モール通販を中心にECサポート・ECコンサルティングを行っています。EC運営に不安を抱えている事業者様は問い合わせてみてはいかがでしょうか。

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