Z世代の本音を掴め!小売・EC業界が採用で勝つための秘訣

こんにちは、価値観を軸に企業と学生をつなぐキャリア支援プラットフォーム「BaseMe」を運営する株式会社アレスグッドの半井です。

現在、新卒採用市場は大きな変革期を迎えています。私たちのもとには日々、企業の人事担当者の方から「新卒の応募が集まらない」「良い新卒人材が採れない」「せっかく採用しても長続きしない」といった切実な声が寄せられています。特にZ世代(新卒就活生)は価値観や就活行動の変化により、従来の採用手法では通用しなくなってきているのです。

また、小売・EC業界においては、長時間労働のイメージや実店舗の減少、激化するデジタル人材の獲得競争など、業界特有の採用課題に直面されている企業様も多いのではないでしょうか。

そこで今回は、Z世代(新卒就活生)300名を対象に実施した調査結果をもとに、彼ら彼女らの本音を踏まえた小売・EC業界の採用戦略を具体的にご紹介します。

この記事の執筆者

半井 翔汰
株式会社アレスグッド
事業統括

新卒で株式会社リクルートに入社し、中小零細〜上場大手企業まで多岐にわたって採用コンサルタントを務めた後、事業戦略企画室に異動し、indeed plusなど主力商品の戦略設計・推進業務に従事。その後、2号社員としてアレスグッドに参画し、次世代型キャリア支援プラットフォーム「BaseMe」の立ち上げを牽引。学生含む求職者対応、採用企業双方の課題解決に奔走し、最新のキャリア・採用トレンドに精通。
好きなAIはCursorとGensparkです。

サービスURL:https://lp.baseme.app/company

Z世代に響く!小売・EC企業が取り入れるべき3つの採用戦略

新卒採用市場の競争が激化する中、小売・EC企業がZ世代に選ばれるために必要な採用戦略とは何でしょうか。ここでは、Z世代の価値観に響く具体的な3つの戦略をご紹介します。

1. テクノロジーと人間らしさの両立

AIを活用した効率的な一次スクリーニングと、人による丁寧な最終判断を組み合わせましょう。例えば、エントリーシートの一次チェックにAIを活用しつつも、「最終判断は必ず人が行います」と明示することで、効率性と人間らしさの両立を図れます。

Z世代は「AIにジャッジされるのは嫌だ」という声が最も多く、AIによる判断に不信感を抱いています。彼らはテクノロジーを活用しながらも、重要な局面では「人」による理解と共感を求めています。AI時代だからこそ、どこに"人の目"と"共感"を残すかが差別化のポイントとなるのです。

2. 実践的なインターンシップの設計

形式的なプログラムではなく、実際の業務に近い体験ができる内容にしましょう。小売・EC業界ならではの魅力(顧客との直接的な関わり、トレンドの最前線で働く醍醐味など)を体感できるプログラムを設計することで、業界の魅力を直接伝えることができます。

具体的な取組事例をご紹介します。BaseMeを利用する小売業界大手M社では、同社初となる長期インターンシップを実施しました。サステナビリティ推進室、広報室、実店舗など、実際の仕事現場に学生が3か月以上にわたって就業。これは単なる職場体験ではなく、実践的な業務経験を通じて「企業側が学生を、学生側が企業を」見極める、双方のマッチングを重視した取り組みでした。低学年時から自社の理念や文化にマッチする人材と深い接点を持つことで、知名度に頼らずとも「本当に自社にフィットする人材」の採用を実現した成功事例です。

3. 採用プロセスの透明性確保

採用基準を明確に示し、選考過程で何を評価しているのかを応募者に伝えましょう。選考結果の通知を迅速に行い、可能な範囲でフィードバックを提供することも重要です。

Z世代が企業に対して最も嫌悪感を抱く要因は「高圧的・否定的など、コミュニケーションの姿勢」と「採用基準が不明確・選考結果が遅いなど選考プロセスの不透明さ」です。選考フローの情報をオープンにし、企業と学生の間にある「情報の非対称性」を解消することで、Z世代が安心して自分らしくチャレンジできる環境を整えられます。この透明性が、企業への信頼に繋がります。

AI時代の採用活動において、本当に重視すべきは「双方の見極め」と「価値観のマッチング」です。実際に当社のプラットフォーム上では、全く志望していなかった業界の企業からスカウトを受けた学生が、納得感を持って入社を決めるといった事例も多々起こっています。お互いの価値観を見極められたことで起こったマッチングです。

価値観のマッチングを軸に採用活動を行うことは、企業の知名度や、就活人気ランキングに左右されない採用力を企業にもたらす可能性があります。

Z世代は「自分らしさ」や「価値観の共感」を大切にする傾向が強いからこそ、他社には負けない「自社ならではの価値観」を明確に打ち出すことで、競合他社との差別化に成功できるのです。

なぜこの戦略が必要なのか?Z世代の本音から学ぶ

Z世代の300名を対象に実施した調査では、約6割がAIを活用(ES作成・自己分析)している一方、「AIにジャッジされるのは嫌だ」「人に理解してほしい」といった声も多くありました。効率化を受け入れつつも、最終的な評価には「人」の理解や共感を求める傾向が強いのです。

また、「インターン」や「自己分析」には意味を見出す一方、「自己PR作成」「面接準備」は負担に感じていることも明らかになりました。就活の悩み相談では「親・友人」が中心で、AIやSNSは少数派。リアルなつながりを重視する姿勢が特徴です。調査の詳細に関しては下記にまとめました。

Z世代とAIの意外な関係性

私たちの調査では、約6割の就活生が就活プロセスでAIを活用していることがわかりました。「効率的で助かる」(128人)、「新しい視点が得られて面白い」(83人)という評価が多く、Z世代がAIを有益なツールとして捉えていることがうかがえます。

具体的な活用シーンとしては、「エントリーシートの作成・添削」(86人)と「自己分析」(85人)が上位を占めています。一方で、118人(3分の1以上)の就活生が「AIは活用していない」と回答しており、Z世代内でもAI活用には差があることがわかります。

しかし興味深いのは、AIに対する信頼度です。「AIにジャッジされるのは嫌だ」(88人)、「AIに判定されても納得がない」(86人)という意見が最も多く、「AIよりも人に自分を理解してもらいたい」(77人)という声も目立ちました。

このデータから見えてくるのは、Z世代の「使い分け」の巧みさです。彼らはAIを効率化のためのツールとして活用する一方で、自分の価値を評価されるような重要な局面では、AIではなく「人」による理解と共感を求めているのです。

採用を成功させるためには、ここに大きなヒントがあります。AIを活用した効率的な採用プロセスは歓迎されますが、最終的な評価や判断は「人」が行うべきだということです。

Z世代が就活プロセスに求めるもの

次に、Z世代が就活プロセスのどの部分に意味を見出し、どの部分に負担を感じているのかを見ていきましょう。

調査では、「すべての就活プロセスに意味がある」と答えた学生が110人と最多でした。特に「意味がある」と感じるプロセスとして、「インターンシップ」(147人)、「自己分析」(115人)、「企業説明会」(115人)が挙げられています。

一方で、「自己分析・自己PRの作成」(111人)は負担に感じる要素としても最上位に挙がっています。つまり、「意味はあるけれど負担」という微妙な位置づけなのです。「面接の準備・練習」(99人)、「エントリーシートの作成・提出」(96人)も負担として上位に挙がっています。

この結果から、Z世代は就活の各プロセスの意義は理解しつつも、特に「自分自身と向き合う」作業に大きな負担を感じていることがわかります。小売・EC業界の皆さん、彼らが自己分析や自己PRに悩んでいるという事実は、採用活動の中で支援できる大きなポイントになります。

Z世代が企業に求める「人間らしい関わり」

Z世代が企業に対して最も強く求めているのは、「人間らしい関わり」です。調査では、就活生が最も嫌だと感じる企業の対応として「高圧的・否定的など、コミュニケーションの姿勢」(92人)が圧倒的多数を占めました。

また、「学歴や外見でレッテルを貼られるなど、個人評価が不公平」(55人)や「採用基準が不明確・選考結果が遅いなど選考プロセスの不透明さ」(54人)も嫌悪感を抱く要因として挙げられています。

これらの結果から、Z世代が企業に対して求めているのは「一人の人間として尊重される関係性」であることがわかります。彼らは形式的な関わりではなく、真摯に向き合い、共感してくれる企業を求めているのです。

Z世代の相談相手から見える「リアルな関係性」の重要性

デジタルネイティブと呼ばれるZ世代ですが、就活の悩みや不安の相談相手として選ぶのは、意外にも従来型の「リアルな人間関係」が中心です。

調査では、相談相手として「親・家族」(147人)、「友人と大学の友人」(140人)が圧倒的多数を占め、「AI(ChatGPTなど)」(18人)や「SNSやオンラインコミュニティ」(10人)は少数派でした。

注目すべきは、「誰にも相談しない」(45人)という回答が3番目に多いという点です。一定数の学生が悩みを抱え込んでいる実態が浮かび上がっています。

この結果から見えてくるのは、Z世代が重要な局面では信頼できる「リアル」な人間関係を頼りにしているという事実です。彼らはデジタルツールを使いこなす一方で、人生の重要な決断においては、対面での信頼関係を重視しているのです。

まとめ:Z世代の本音を活かした小売・EC業界の採用戦略

Z世代の就活生調査から見えてきたのは、テクノロジーと人間性の融合という、一見相反するようで実は補完し合う関係性の重要性です。彼ら彼女らはAIなどのテクノロジーを活用しながらも、「人間らしい関わり」「一人の人間として尊重される関係性」「リアルなつながり」を強く求めています。

採用難と言われる時代だからこそ、このZ世代の本音を理解し、活かすことが重要です。テクノロジーを効率化のために活用しながらも、人間らしい関わりを大切にする姿勢が、彼らの心を掴むカギとなります。

小売・EC業界には、「お客様と直接関わる喜び」「トレンドの最前線で働く醍醐味」「社会のインフラを支える誇り」など、他業界にはない独自の魅力があります。これらの魅力を、Z世代に響く形で伝えていくことで、「採用難」を「採用チャンス」に変えることができるのです。

変化の激しい時代だからこそ、人と人との本質的なつながりが重要になります。テクノロジーを味方につけながら、「人」を大切にする採用活動を実践していきましょう。皆さんの採用活動が実を結び、素晴らしい人材との出会いがありますように願っています。

サービスURL:https://lp.baseme.app/company

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