越境EC事業者と支援企業のミスマッチを防ぐには?自社に合ったパートナーを選ぶポイントを公開!
この記事の執筆者

徳田 祐希
世界へボカン株式会社
代表取締役社長

「日本の魅力を世界へ届ける」というミッションのもと日本企業の海外進出を18年に渡って支援を行う。年商34億円の越境ECサイトを1,000億円に伸ばすなど、数多くの越境EC・海外Webマーケティングプロジェクトで成果を残す。JETRO講師、中小機構アドバイザー。

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タケさん
内需の減少に伴い、海外販路開拓のニーズがとても高まっていますが、支援事業者やノウハウが不足している昨今、良い支援事業者と巡り合うことが成功の鍵と言っても過言ではありません。

そこで今回は越境EC・海外Webマーケティング歴18年の徳田さんに越境EC事業者が支援企業とミスマッチを防ぐコツを聞いてみたいと思います。徳田さんよろしくお願いいたします。
徳田
タケさん!お声がけいただきありがとうございます。越境EC支援界隈には魑魅魍魎が跋扈していますので、支援事業者を選ぶときの注意点について話したいと思っていました。この企画をお声がけいただいてホント嬉しいです。

ただそもそも支援事業者いらずで自立している会社さまもあったり、フェーズによって取り組み方はまちまちなので、まずはそもそも越境ECに取り組む際の体制がどんなものがあるのかを解説していきますね。

越境ECに取り組む際の体制

徳田
そもそも越境ECに取り組む際の体制は以下の3つに分類されます。

⑴ 内製完結型

越境ECに取り組む企業が理想とする形の一つが内製完結型です。外部の事業者に依頼せず自社のアルバイトや社員で完結するパターンです。この場合、自社内でオペレーションが完結するためにSNS運用やコンテンツの執筆、サイト改善などのPDCAを回すスピードは速くなります。

逆にインハウスの担当者さまが何らかの理由で退職されたときに代替が利かなくなってしまったり、その人の専門性の上限が越境ECサイトの成長の上限となってしまうデメリットもあります。

⑵ 内製+外注共存型

自社で行う業務と外部に依頼する業務を分けて進めるプロジェクトが内製+外注共存型です。弊社ではこの形で支援させていただくクライアントが多く、クライアント側にその商材について詳しい外国人メンバーがおり、SNSやインフルエンサーとの企画などはその方が行います。

私たちはPMの方とコミュニケーションさせていただきながら、彼らが不足している広告運用や分析、コンテンツ制作やイベントの企画、Shopify 運用の部分でサポートいたします。

内製+外注共存型の場合、内製完結型にあった担当者退職によるオペレーションが回らなくなってしまうリスクを下げることができます。ただ、内製で全て完結する場合と比べ、スピード感が遅くなったり、内製よりもコストがかかります。

⑶ PM統括型

クライアント側には日本人のPM担当者さまがおり、その方が全体の数値を見ており、弊社からは広告チーム、SEO・コンテンツチームメンバーなどがプロジェクトに横断的にアサインされます。PM担当者さまが安定して組織にいる限り、比較的プロジェクトは順調に進みます。

長年、越境ECに取り組んでいる企業は⑶に帰結します。何故なら、人の流動性が高いからです。特に外国人スタッフが家庭の事情や天職といった理由で突然いなくなってしまうことを経験してきた企業は⑴でやり切ることを諦める傾向にあります。良い支援事業者さまに出会うことができれば⑶が良いでしょう。

タケさん
なるほど。人材の流動性が高いのと、採用難易度を考えると⑵や⑶が現実的かもしれませんね。

越境EC事業者と支援企業のミスマッチが発生するパターン

タケさん
どんな体制で取り組むのかはわかったのですが、本題のミスマッチが生じるポイントはどんなところがあるんでしょう?
徳田
ポイントは大きく分けて以下の3つです。
1、成功の要素が何がわかっていない問題
2、支援事業者の絶対数、ノウハウが少ない問題
3、発注の判断基準がない問題
タケさん
なるほど。闇が深そうな問題が多いですね。
徳田
そうなんですよ。闇を暴いていきますね。

1.成功の要素が何がわかっていない問題

そもそもどういった要素を網羅することで越境ECプロジェクトが成功するのかが担当者さまや経営者さまが理解できている必要があります。担当者さまでいうと、越境EC専任ということはほとんどなく、国内ECと兼任であることが多いことから、とりあえずECを回す状態になってしまっています。

ECサイトでいうと、

①アクセス×②成約率×③客単価=売上

の方程式があるのですが、②成約率が越境ECだと圧倒的に低いことが多いです。

そのため、サイト上のどこでユーザーが離脱しており、どういった施策が数値を改善するために必要なのかや自社でそれを実行できない場合は、どういった事業者がその支援が可能なのかを把握する必要があります。

成約率を改善すると共に、①アクセスの質を高める施策を投下していく必要があります。

2.支援事業者の絶対数、ノウハウが少ない問題

2つ目が深刻な問題なのですが、越境ECに取り組む支援事業者の絶対数が少ないことですね。厳密にいうと越境EC支援サービスを提供している企業は増えているのですが、実績がないため、事業会社は彼らの実験台になっている状態ですね。

タケさん
なるほど。実験台というのは言い得て妙ですね…。支援事業者は自社の事業に近いフェーズ、業種や課題解決の実績の有無を確認する必要がありますね。
徳田
そうなんですよ。業種の実績というより、フェーズ、課題解決の実績のほうが重要だと思います。また越境EC・海外Webマーケティングを専門とする企業は少ないため、国内のEC支援事業者がノウハウがないものの「できる」状態で支援していることが多いですね。

あと制作実績が豊富=マーケティングができるではなかったり、マーケティング実績が豊富=越境ECサイト制作ができるではないので、一括りにしないというのも注意が必要です。。

3.発注の判断基準がない問題

徳田
ミスマッチの最も大きな要因が、発注スキルの問題です。要は、何を基準に支援事業者を選べば良いかわからないということです。わからないとついつい価格や会社としての実績をベースに判断してしまいがちです。

価格購買決定要因問題

タケさん
価格や会社としての実績を判断基準にしちゃだめなんですか?
徳田
ここが難しいところで、価格については補助金の罠と最低価格の罠があるわけなんですよ。

補助金を使って作れますというポイントだけで支援事業者を選んでしまうと、補助金では費用は賄えるものの、越境ECの完成度としては良いとは言い難いサイトが構築されてしまうことがあります。

安かろう悪かろうという言葉があるように、適正価格以下で提案してくるところは注意が必要です。そもそも越境ECに必要な要素がわかっておらず、Shopify で越境ECらしきサイトを構築しているところは多々あります。

会社としての実績問題

徳田
続いて会社としての実績問題というのもよく聞くのですが、会社として多数の実績があったとしたときに、自分たちのプロジェクトにそのAチームが担当してくるのか、経験が少ないCチームで担当するかでは出来は大きく変わってきます。同じ会社でも誰が担当するかという視点は本当に大事です。

越境ECを続けるには3年続ける覚悟が必要

徳田
越境ECで成功するためには最低でも3年続ける覚悟が必要です。施策を投下しても売上がすぐに上がるとは限りません。ただ施策を投下して売上以外のKPIが良い方向に向かっているのかどうかを見て、判断していく必要があります。本記事を参考に発注スキルを高めて、越境ECプロジェクトを成功に導いていただければと思います。

何から進めればよいか分からない、打ち手が分からないという方は、越境ECの打ち手大全を見て取り組んでみてください!
タケさん
あれ・・・最後に宣伝www

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