化粧品ビジネスを始めたい!OEMの流れとは?

これから化粧品ビジネスを始めたい、製造機能がないためOEM会社に依頼したい、そう思われている企業様は多いのではないでしょうか。

一方で、商品製造の流れがわからず、事業計画(スケジュール)が精緻に組めないというお悩みもあるかと思います。本記事では、そうしたお悩みを解決できるよう、具体的なプロセスをご紹介します。

この記事の執筆者

松崎 淳
Double Clutch 代表

2014年に医薬部外品、化粧品OEMを展開する株式会社天真堂にジョイン。スタートアップや異業種から参入する企業に対し、商品企画、事業立ち上げを包括的にサポート。2019年10月に代表取締役社長に就任した。その後、化粧品D2Cメーカーの取締役を歴任し、現在は事業戦略、商品企画を支援するコンサルタントとして活動している。

Facebook
https://www.facebook.com/jun.matsuzaki.9

化粧品OEMの具体的なプロセス

1.OEM会社を選定する

所有している設備や開発方針に応じて、OEM会社にも得意、不得意の領域が存在します。

■ロット数
大きい製造窯があると、大ロットにも対応でき、スケールメリットが出しやすい(数量を増やすと価格が下がりやすい)。小さい製造窯があると、小ロットに対応できるが、スケールメリットが出しづらい(数量を増やしても価格が下がりづらい)。大小両方の製造設備があると、製造ロット数に応じてフレキシブルに対応が可能などさまざまです。

■対応可能品目
スキンケアが得意、ヘアケアが得意など、対応可能品目が異なります。また、メイク品やフェイスマスクなど、そもそも専用の設備がないと製造できない品目なども存在します。

■各社の強みを把握
自社で原料開発をしており、他にはない特徴的なものを入れることができる。防腐剤フリーを実現できる。二層式など、見た目から特徴的なものを開発できるなど、処方開発における強みはさまざまです。

このように、各社特徴が異なります。理想とする製品を実現するためにも、まずは「どんな依頼をしたいのか」という点を具体的にしておくことで、問い合わせた際の選定が容易となります(ロット数で例えるならば、サロン内で販売するので小ロットで良い、販売当初は在庫を抑えるため小ロットで対応してほしいが、事業計画上、拡大フェーズでは大ロット、かつ安価で製造したい、など)。

2.スケジュールを把握する(開発フェーズ)

試作品は、およそ3週間の期間を要します(難易度や繁忙期には、プラス1週間程度見ていただけると安心です)。1度でOKが出せるケースは稀なため、少なくとも3~4回分の期間を見ておきましょう。

3.ベンチマーク品を用意する

化粧品は、「しっとり」「伸びが良い」「浸透感がある」など、開発依頼時に使用される言葉が抽象的です。つまり、同じ言葉でも、捉え方は人それぞれになるため、出来上がったサンプルがイメージと異なるケースが散見されます。

そうした時間のロスを防ぐためにも、ベンチマーク品を用意しましょう。準備する際は、「保湿感」「伸び」「浸透感」「香り(強弱も伝えると良い)」など、各項目において参考になるものをご準備いただくことをおすすめします。

4.資材の選定

容器はどのようなものにするか、箱は必要か、封印はシュリンクかヴァージンシールかなど、包材についても細かな指定が必要です。後回しにすると納期に影響しますので、できるだけ早期にイメージを伝え、サンプル品を手配してもらいましょう。

容器や箱(紙)の種類はもちろん、加飾、色数などによっても価格は大きく変動します。また、バルク(中身)によって相性があり、使用できないものも存在します。これらは専門性が高いため、繰り返しとなりますが早めにOEMメーカーへ相談しておくと安心です。

※OEM各社は、さまざまな資材メーカーと取引があり、製造時にも納期コントロールなど一手に引き受けてくれます。社内にナレッジがない場合は、全て依頼するのが安心です。

5.容器試験、安定性試験

バルク(中身)が決まったら、選定した容器との相性を確認する試験が行われます。その際、バルクが経時や環境(温度や湿度)で変質しないかといった試験も並行して実施されます。これらはOEM会社で行いますが、不具合があると処方開発から見直しになることもあることを認識しておきましょう。

6.デザイン制作

容器や化粧箱の印刷範囲に応じて、ブランドの顔となるデザインを制作します。なお、薬機法に則り、必須の記載事項が存在します。これらについては、OEM会社から提供を受け、指示通りにデザインに反映しましょう。

7.製造~納品

1~6が終了すると、いよいよ製造に入ります。容器の製造リードタイム+1か月ほどで納品されます。容器次第ですが、トータルで約3~5か月ほどになります。OEM会社に依頼してから納品されるまで、短くて半年、平均で8か月、長いと1年ほどを要するとお考えください。

さいごに

いかがだったでしょうか。すでに開発済みの処方を採用する場合を除き、オリジナル開発にはそれなりの期間が必要となります。特に、新規事業の場合、この間は売上が立ちませんので、自社の状況を踏まえて検討していただくことが重要となります。今後事業を検討するにあたり、少しでも参考になれば幸いです。

あわせて読みたい

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ