
2022年、アンファーのロングセラー商品「スカルプD薬用スカルプシャンプー」が14回目のリニューアルを行いました。前回の記事では、リニューアルの大きなポイントである、「詰め替え」ではなく「付け替え」が実現していく過程を紹介しました。最終回となる今回は、リニューアル完成後、それをどのように市場に浸透させ、どんな反応があったのか、そして今後のスカルプDの目指す方向についてお伝えします。
この記事の目次
従来の方法だけでは不十分?「付け替え」の新しさをどう伝えるかが課題
リニューアルしたスカルプDを発売するにあたって、「詰め替え」ではなく「付け替え」ということを効果的に伝えるにはどうしたら良いかが課題となりました。
商品リニューアルでは、通常、商品LPを制作して訴求しています。今回のリニューアルで大きく変化した「付け替え」を十分に表現するには、静止画だけではお客様に伝えきれないと考えました。そこで、付け替えの良さを最大限伝えるために、より立体的に動きがある状態で商品を見せることのできる動画を制作することにしたのです。
動画制作と合わせて、さまざまな媒体に出稿して、商品の新パッケージがなるべく多くの人の目に触れる状態を作りました。また、化粧品やヘアケアに強いインフルエンサーさんにも発信してもらいました。その際、単なる商品の機能紹介ではなく、付け替えに変わったことで感じる良さにフォーカスした発信をしてもらえるよう、依頼しています。
付け替えによりゴミを削減できるという面もあるので、SDGsやそういったライフスタイルに取り組んでいるインフルエンサーさんにもご協力いただき、宣伝をしていきました。商品の機能や効果だけでなく、環境や社会への配慮も想起するよう意識した点は、これまでと違うところです。
また、Webだけでなく店頭でも、「詰め替え」ではなく「付け替え」という新しさが伝わるように工夫しています。ポップや什器にこだわり、サイネージを設置できる店舗では動画を流しました。
これまでのリニューアルでは、商品の機能面を訴求することがほとんどで、今回のように商品パッケージを最優先に訴求するのははじめてのことです。他社製品でも、ここまで商品パッケージを訴求することはなかなかないのではないでしょうか。
これまで通りのやり方ではリニューアルの良さが伝わらないだろうと考えていたので、とにかく新しさを感じとってもらえるように注力しています。
期待とは違ったが、スカルプDというブランドと商品の強さを再確認できる結果に
スカルプDは、髪や頭皮の悩みがある人が使うものというイメージが強いブランドです。当初は、そのイメージが、新パッケージを訴求することで変わるかもしれないと考えていました。特に、スカルプDを使ったことがない一般のお客様に、「使っても恥ずかしくない」「使うのが嫌じゃない」というイメージの変化があれば良いなという期待があったのです。
しかし、結果として、そこまで大きなブランドイメージの変化は見られませんでした。
スカルプDを買ってくださる方は、ヘアケア商品を選ぶ優先順位として、まず「自分の悩みを解決できるか?」があります。次に「続けやすいか」、そして最後にパッケージの選択になります。つまり、パッケージのデザインは、スカルプDの顧客にとっては優先度が低い要素となっています。
そういう方々にはやはり、まずは機能性を伝えた上で、付け替えが出たことにより、これまで不便だった点も解消できるという順番でお伝えしたほうが効果的なようです。どのような形であってもスカルプDはスカルプDであり、髪や頭皮の悩みを解決してくれるものという強いブランドイメージや商品力があることを確認できたのは、良かった点です。

リニューアル後の感想として「ボトルを捨てなくてすむのは良い」「詰め替えをしなくて良いので楽」といった声が多く、ユーザビリティの部分で期待していた反応を得ることができました。定性的に良い反応を多く頂いていることから、現状まだ観測しきれていない定量的な成果が伸びてくることを期待しています。
恐れずにチャレンジを続け、髪や頭皮のケアの選択肢を広げていきたい
スカルプDの強みは、髪や頭皮に悩んだときに選んでいただける商品であり続けることです。それは今回のリニューアルでも変わらず、今後も一貫していきます。そして、お客様のお悩みを少しでも解決できるよう、商品やサポートを提供し続けることが使命だと考えています。
新しいものは、ときに市場のニーズより先に行き過ぎることもあると思っています。ただ、それくらいのことをやっていかないと、イノベーションは生まれないかもしれません。バランスが難しいですが、恐れずにどんどんチャレンジして、新たな選択肢を提供していきたいです。
今回のリニューアルもそのひとつです。チャレンジのひとつに、たとえば2年ほど前から、「パーソナルスカルプD」という、一人ひとりにパーソナライズするシャンプーを提供しています。これは、髪や頭皮のお悩みがそこまで深くない方向けの商品です。男性ヘアケアでもこういう選択肢があるということを、つねに提供するブランドでありたいです。
現状を変えたければ自分が変わるしかない、変えるもの変えないものの選択
毎年決まったタイミングで絶対にリニューアルをする必要はないと思いますが、進化をするには自分たちから変わっていかないといけません。それは、どの業界においても共通する前提だと思います。
人間関係でもそうですが、自分は変わらないのに周りが変わってくれて自分にとって良い方向に行くという、うまい話は少ないとさまざまな方が仰っています。より良い方向に行くには、自分が何か変わらないといけない。ときには自分を壊してまで挑戦していかないといけない。そういう感覚が前提としてあります。
技術は日々進化しており、新しい発見がたくさんあります。それを提供していくために、プロダクトのアップデートを考え続けることは、事業者にとって大切なことです。やるかやらないかを考えたとき、できるのになぜ提供しないのかと、シンプルに考えています。
そのなかで、変えても良いものと変えないものも決めることがポイントだと思います。弊社は昔から、頭皮を洗うというコンセプトを世の中に打ち出しており、それをアイデンティティとしています。
変えないものを大事にした上で、「ここだったら変えても良いんじゃないか?」「変化を起こせるんじゃないか?」というところを探っています。変わることによって、「それはスカルプDじゃなくても良くない?」となる変化は避けるべきでしょう。そうではなく、変わることで「それだったらスカルプDを使いたい」と思ってもらえる変化を続けていきたいです。
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