EC業界でも広がる「ノーコードツール」とは

実は身近なノーコードツール

ノーコードツールとは、プログラミングをしなくても(ソースコードをいっさい書かずに)、WEBサイトやアプリケーションなどをつくれるサービスの総称です。

「誰でもかんたんに〇〇が作成できる」と書かれているサービスは、大抵の場合ノーコードツールです。まだ「ノーコード」という言葉が一般的ではないため、CMなどではあまり使われていませんが、実はすでに私たちの周りはノーコードツールで溢れています。

たとえばWEBサイトでは、ランディングページがすぐに作れるペライチや、デザインができればクオリティの高いサイトをつくれるSTUDIOなどが有名です。また、BASEやSTORES、Shopifyなどがノーコードツールといえます。

WEBサイトだけではなく、スマートフォンアプリをつくれるヤプリやチャットボットのSYNALIO、業務アプリ構築のkintone(キントーン)などもノーコードツールです。

「業務効率化」で注目されつつあるノーコード

そしていま日本で、特に業務の効率化においてノーコードツールが注目されています。

事業者が日常的に利用するクラウドサービス(SaaS)は平均7個(※1)と言われており、導入数は増加傾向にあります。しかし、利用するサービスの数が増えていくと、各サービスやシステム間でのデータの散在など、さまざまな管理上の問題が発生します。

実際に、1社あたりのクラウドサービス導入数が平均100個(※2)を超えているアメリカではこれらの課題が顕在化しており、ノーコードでサービスを連携させるワークフローをつくることで業務を効率化している例が増えているのです。

たとえば、3,000以上のサービス・システムと接続できるZapier(ザピアー)や、Microsoftが提供しているPower Automate(旧Microsoft Flow)などを活用することで、ちょっとしたルーティンワークを自動化することはもちろん、複雑なシステム間の連携もノーコードで実現できます。

ZapierやPower Automateでつくれるワークフローの例

  • 重要なメールが届いたら、Chatworkに通知してGoogle スプレッドシートに記載する
  • Twitter上で特定のキーワードを含むツイートがあったらメールで送信する
  • Amazonで新しい注文があったらSalesforceに新しいレコードをつくる

これまでは、これらのような業務を自動化しようと思った場合、自動化できるサービスをなんとかして探しだし、さらに手間をかけてシステムを切り替えたり、場合によっては多額の費用をかけてシステム開発をしたりしなければなりませんでした。

ノーコードツールの価値は、自分たちの業務をもっともよく理解している「現場の担当者」が、こういった自動化ツールをつくれるようになるというところにあります。

※1 株式会社HENNGE「事業のSaaS利用に関する調査結果」より
※2 Blissfully, Inc.(現Vendr, Inc.) 「2020 SaaS Trends Report」より

EC業界でノーコードツールが広がる背景

ご存知のとおり、EC事業を行うためにはモール・カートのシステムはもちろん、その他さまざまなサービスの利用は避けて通れません。そのため、EC業界ではすでにシステム間でのデータの散在が大きな課題となっています。

EC業界の特徴として、出店モールや商材、物流の状況によって業務フローがバラバラなため、利用すべきサービスが事業者によって全く異なります。

そのため「これを導入すれば万事解決」というサービスがなく、たくさんのサービスの中から自社に適したサービスの組み合わせを見つける必要があり、サービスの調査・検証の負担が重くのしかかっています。

さらに、ECは商材の変化やキャンペーンなどによって、業務フローがすぐに変わります。その結果、多くの方は自動化をあきらめて手作業でなんとかしているのが実情です。

しかし、ECには付き物となってしまっている手作業についても、先述したZapierやPower Automateだけではなく、よりEC関連の業務に特化しているAlloyや、Shopifyマーチャントにはお馴染みのShopify Flow、また私たちが提供しているTēPs(テープス)などを利用することで、自動化できる幅が大きく増えてきています。

Alloy、Shopify Flowでつくれるワークフローの例

  • Shopifyで$500を超える注文が入ったら社内に通知
  • BigCommerceで新しい顧客が増えたらメール配信ツールに顧客を追加
  • AmazonやShopifyの売上をGoogle スプレッドシートで毎日自動集計
  • Shopifyの「お気に入り登録商品」の在庫少、値下げ、再入荷通知をLINEで送信

TēPsでつくれるワークフローの例

  • 楽天市場、Amazonなどの売上や在庫数をGoogle スプレッドシートに毎日書き出し
  • 顧客へのフォローメールを○日後に自動送信
  • ネクストエンジンの受注伝票を任意の条件で自動更新
  • 楽天スーパーSALEの開始タイミングに合わせて、商品情報を自動で更新

社会的にも広がるノーコードツール

ノーコードツールは、今後数年で日本国内で大きく広がると言われています。

2020年初頭には「一般社団法人NoCoders Japan協会」が発足。また、2022年8月には、kintoneで有名なサイボウズ株式会社やアステリア株式会社を中心に「ノーコード推進協会」が発足し、2023年2月時点で約100社が加盟しています。

社会的には生産性の向上を目的としたDXの必要性が叫ばれつつも、エンジニア不足は慢性化しており、解消の兆しは見えない状況です。このような状況下で重要なのは、プログラミングの知識がなくても、ノーコードツールなどを利用して、身の回りのさまざまな業務課題を解決できる方々(シチズン・デベロッパー)だと言われています。

この記事で紹介したノーコードツールは、いずれも無料で使えるプランや期間があります(記事公開時点)。また、ワークフローの例として挙げたものは、それぞれのツールでできることのほんの一部でしかありません。ぜひ一度お試しいただき、ノーコードツールを使えるようになることで広がる可能性を感じてみてください。

■TēPs(テープス)
URL:https://teps.io/

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