Amazon DSP広告のAI化が変えるこれからの広告運用

「広告の管理画面を開くたびに気が重くなる」「AIに任せて、本当に成果が出るんだろうか」。そう感じている運用担当者は少なくないはずです。Amazonは2026年7月22日、広告のAI機能を10項目にわたって拡張しました。これまで70ステップかかっていた設定が、わずか4クリックで済みます。Amazon広告運用が私たちの手を離れるなかで、どこを自分で判断すべきか解説します。

この記事の執筆者

山本 達巳
つきみ株式会社

静岡市出身、関西学院大学卒。地元医療系の企業で修行後、父親の経営する医療介護系企業に入社。経営とバックオフィス業務を学ぶ傍ら、留学がきっかけで以前から関心が高かった輸入品雑貨のネット販売事業を開始。令和元年に独立し、複数の海外メーカー取引きの経験を経て、自社アウトドアブランドを展開。

その後、自社ブランドを伸ばしていきたい事業者を応援したいという思いから、令和6年につきみ株式会社を設立。商品ページ作りや広告運用、SNSなどECに関係する領域を幅広く対応しつつ、商品ブランディング支援を行っている。

つきみ株式会社
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Amazon広告のAIが10機能拡張。設定70ステップが4クリックになる自動化の中身

ターゲティングも入札もAIへ。運用者の作業はここまで減る

(出典:Amazon Ads)

Amazonが今回発表したのは、「Brand+」と「Performance+」という2つの広告メニューの新機能10個です。どちらもAmazon DSPという、Amazonのサイト内だけでなく外部のサイトやアプリにも広告を配信できる仕組みの上で動いています。

注目したいのは削減幅です。Amazonの公式ページには、一般的に70ステップかかるキャンペーン作成プロセスが自動化によって簡素化されると明記されています。セットアップは4クリックで完了とのことです。

これまでは配信する顧客層を決め、入札額を調整し、配信先の枠を選び、クリエイティブを割り当てる工程を人の手で積み上げていました。今回指定するのは「目標」と「対象の商品」だけです。残りはAIが引き受けます。

設定に半日かけていた担当者は、時間を商品開発や顧客対応に回せます。派手さはあまりないかもしれませんが、現場に大きな変化を与えています。

(出典:Brand+およびPerformance+で、AIの活用を拡大しながら広告主様による制御の維持を実現|Amazon Ads
(出典:Amazon DSPパフォーマンス+: AI主導の広告|Amazon Ads

獲得単価51%改善。Performance+のAIは何を見て判断しているのか

(出典:Amazon Ad)

「作業は楽になっても、成果が落ちては意味がない」。当然の懸念です。

Amazonの公式ページによれば、Performance+を使う広告主は、従来のAmazon DSPキャンペーンと比べて獲得コストを51%改善できているとされています。比較の相手は従来のDSPキャンペーンで、代理店運用との比較ではない点は押さえておきましょう。

韓国のある美容ブランドは、Performance+の活用によりCPA(顧客の獲得単価)を55%削減したと報告されています。

ではAIは何を見ているのでしょうか。従来のターゲティングは「30代女性」「過去に購入した人」といった固定条件でグループを作る方式でした。今回のAIは買い物や視聴の行動データをその都度読み取り、購入しそうな人を予測して配信先を決めます。しかもAmazonは、その判断過程が見えるよう設計したと説明しています。AIに任せると中身がわからないという不安は、以前ほど当てはまりません。

(出典:Amazon DSPパフォーマンス+: AI主導の広告|Amazon Ads
(出典:韓国の美容ブランドがオーディエンスに再度はたらきかけることによりCPAを55%削減|Amazon Ads

AIでAmazon広告運用を効率化。EC事業者が今から準備できる3つのこと

手元の顧客データをAIに渡せる。しかも追加費用はゼロ

(出典:Amazon Ad)

今回の10機能でもっとも見逃せないのが「オーディエンスシグナル」です。

これは、私たちが手元に持っている顧客データを、AIの判断材料として渡せるようにする機能です。繰り返し購入してくれている層、高額な商品を選んでくれた層。そうしたデータをAIに読み込ませると、AIがそれに近い性質を持つ新しい見込み客を探しにいってくれます。

これまで、こうした顧客層の設計は運用者の経験と勘に頼る領域でした。「うちの優良顧客はこういう人だから、この条件で配信しよう」と、一つひとつ手で組み立てていたわけです。その部分をAIが自動で広げてくれます。

そして重要なのが費用面です。Amazonの発表には、Performance+では追加費用なしと明記されています。データを渡す側にコストが乗らないため、試すハードルはかなり低いといえるでしょう。

(出典:Brand+およびPerformance+で、AIの活用を拡大しながら広告主様による制御の維持を実現|Amazon Ads

運用者が今のうちに整えておきたい3つの準備

海外発の新機能は日本入りが遅いです。そう感じてきた事業者は多いはずです。ところが今回、地域を米国のみに限定すると明記された機能は10個のうち1つだけでした。土台となるBrand+も2026年1月から世界中で利用できます。私たち日本の事業者も、ほぼ同じ土俵に立てるということです。

今から整えておきたい準備を3つ挙げます。

1つ目は顧客データの整理です。購入履歴やリピートの状況が社内に散らばっているなら、今のうちにまとめましょう。AIに渡せる形になっていること自体が資産になります。

2つ目は目標数値を持つことです。獲得単価や広告費用対効果(ROAS)を指定します。ここが曖昧では、優秀なAIでも進む方向を見失います。

3つ目は小さく試せる予算枠の確保です。Amazonが運用を代行するマネージドサービスには最低5万米ドルの条件がありますが、自分たちで運用するなら小規模から始められます。

早く始めた事業者ほど、AIに渡せる実績データが厚くなります。この差は後から埋めるのが難しいものです。

(出典:Brand+およびPerformance+で、AIの活用を拡大しながら広告主様による制御の維持を実現|Amazon Ads
(出典:Amazon AdsのBrand+が世界中で利用可能に|Amazon Ads
(出典:Amazon DSP: DSP広告を利用したキャンペーンの作成|Amazon Ads

Amazon DSP広告の変化まとめ

広告運用の作業がAIに移っていくと、私たちの仕事はどう変わるのでしょうか。設定画面と向き合う時間は確実に減ります。その代わりに残るのは、誰にこの商品を届けたいのかを決める仕事です。手を動かす作業から、進む方向を決める仕事へ。今回の10機能は、その転換点を示しているのではないでしょうか。まずは手元の顧客データを見直すところから始めてみてください。

つきみ株式会社 https://tsukimi.ne.jp/

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