DNP「CATRINA」がAIエージェントのデジタルアイデンティティ管理機能を2026年7月提供開始

大日本印刷株式会社(DNP)は、個人の本人確認情報や同意・権限の安全な管理と、オンライン上での信頼できる取引を実現するDNP分散型ID管理プラットフォーム「CATRINA®(カトリーナ)」を2024年より提供しています。同社は今回、同プラットフォームの対象領域を人からAIエージェントへと拡張し、AIエージェントがオンラインショッピングなどにおいて代理購入を実施する際のデジタルアイデンティティ管理機能を2026年7月24日より提供開始することを発表しました。

この新機能により、利用者から認可を受けたAIエージェントのみが、利用者の意思と権限に則って取引できる環境が構築されます。同プラットフォームの機能拡充に向けて、DNPとQueue-it ApS(キューイット、本社:コペンハーゲン)は共同で実証実験を実施しました。商品・サービスにアクセスが集中する状況を想定した検証環境において、正規のAIエージェントを識別し、認可されていないAIエージェントによる代理購入を防止することで、安全な代理購入を実現できることを検証しています。

CATRINAの機能拡張に至った背景

生成AIの技術進展により、AIエージェントが利用者の代わりに商品を検索・比較・購入するという新たな購買体験「Agentic Commerce」の実現が期待を集めています。その一方で、経済産業省によって策定された「AI事業者ガイドライン」などにおいても、AIの自律的な活動が社会インフラとして広く普及する過程において、不正利用を防止し、安全かつ信頼できる取引環境をどのように確保していくかが喫緊の課題として位置づけられています。

AIエージェントが「誰の代理として」「どのような権限で」行動しているのかを確認・検証し、正当な代理購入を実現することが新たな課題となっています。DNPは、AIエージェントの活用が期待されるユースケースの一つとして、アクセスが集中するECサイトでの購入手続きや順番待ちを含む購買体験に注目し、CATRINAのサービス拡張を実施しました。今回、アクセスが集中する際に公平な順番待ちを実現する「オンライン待合室」の技術を提供するQueue-itと協力し、アクセス集中が発生する状況を想定した環境下で、AIエージェントによる代理購入フローを検証しました。

CATRINAで蓄積してきた本人確認・権限管理技術をAIエージェントへと拡張することにより、人とAIエージェントが協働する時代に必要とされる、安全性・透明性・公平性を兼ね備えたオンライン取引を支援する基盤を提供していくとしています。

新機能の主なポイント

AIエージェントの認証・権限管理

「CATRINA」は、改ざんへの耐性が高いデジタル証明書技術「Verifiable Credentials」の技術を活用したデジタルアイデンティティ管理基盤です。今回の機能拡張によってAIエージェントにも対応し、人と同様の厳密性をもって行動権限の管理を実施できるようになりました。利用者の意思と権限をAIエージェントに設定することにより、「誰の代理として」「どこまでの範囲で許可されているか」を一元的に管理することが可能となります。

AIエージェント向け決済仕様への対応

Googleなどが提唱・検討を推進しているAIエージェント向け決済仕様「Agent Payments Protocol(AP2)」の考え方を取り入れ、AIエージェントによる代理購入に対応します。

Queue-itとの共同実証で代理購入フローを検証

「CATRINA」とQueue-itの「オンライン待合室」技術を組み合わせることで、アクセスが集中する状況下のEC環境を想定した代理購入フローを構築しました。共同実証では、「CATRINA」によってデジタルアイデンティティ管理された正規のAIエージェントのみが、利用者から付与された権限に基づいて代理購入を実行できることを確認しました。さらに、認可されていないAIエージェントによる代理購入を抑制しながら、公平なアクセスを実現できることを検証し、その有効性を確認しています。

AIエージェントによるオンライン商品購入の流れ
AIエージェントによるオンライン商品購入の流れ

今後の展開について

DNPは、「CATRINA」のAIエージェント対応機能を、EC事業者や金融機関などへ展開していき、2027年度までに累計10社への導入を目指しています。今後は、ECに加えて、金融・旅行・行政手続きなど、AIエージェントが利用者の代理として活用されるさまざまなサービスへの展開を視野に入れ、人とAIエージェントの双方に対応したデジタルアイデンティティ基盤へと「CATRINA」を発展させていくとしています。DNPは、安全性・透明性・公平性を兼ね備えたAIエージェント時代のデジタルサービス基盤の実現を通じて、「より良い未来」の実現に貢献していく考えです。

Verifiable Credentials(VC)は、国際技術標準化団体W3C(World Wide Web Consortium)が提唱している、検証可能なデジタル証明書およびデータモデルです。

出典元:PR TIMES(大日本印刷株式会社)

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