インバウンドの「訪日率」で見える各国の常連客化進捗 香港34%、台湾29%、韓国18%、中国0.64%

どのようなビジネスにおいても、「新規顧客」と「リピーター(常連客)」のバランスは経営を左右する重要な指標となっています。新規顧客の獲得ばかりに注力するビジネスは、集客にかかるコストが増大し続ける一方で、売上の安定性に欠けるという課題を抱えているとのことです。反対に、リピーターが多いビジネスでは、特別な施策を講じなくても継続的に売上が積み上がっていくとされています。

この考え方は、実はインバウンド市場にもそのまま適用できるとのことです。独自に追跡されている「訪日率」という指標――年間訪日者数をその国の総人口で割った数値――を用いることで、国ごとの「常連客化」がどの程度進んでいるのかが、非常に明確に把握できるということです。

2025年時点の訪日率 香港34%、台湾29%、韓国18%、中国0.64%

2025年のデータを基に各国の訪日率を算出すると、以下のような結果となったとのことです。

香港は人口737万人に対して訪日数が251万人で、訪日率は34.1%となっています。

台湾は人口2,301万人に対して訪日数が676万人で、訪日率は29.4%です。

韓国は人口5,160万人に対して訪日数が946万人で、訪日率は18.3%となっています。

中国は人口14億1,291万人に対して訪日数が910万人で、訪日率はわずか0.64%にとどまっています。

中国からの訪日者数は絶対数では非常に多いものの、人口比率で見ると香港の50分の1、台湾の45分の1、韓国の28分の1という水準です。ここまで大きな差があると、単なる「規模の違い」では説明しきれない、本質的な性質の違いが浮き彫りになるとされています。

2015年からの推移を見るとさらに興味深い結果に

訪日率については、2015年から毎年継続的に追跡されているとのことです。これらのデータを時系列で並べてみると、香港・台湾・韓国では右肩上がりで「常連客化」が着実に進行しており、中国もまた異なる意味で注目すべき動きを見せていることがわかるということです。

香港

台湾

韓国

中国

2015

20.70%

16.00%

7.80%

0.35%

2016

24.90%

18.10%

9.90%

0.45%

2017

30.20%

19.80%

13.80%

0.52%

2018

29.90%

20.70%

14.60%

0.59%

2019

31.10%

21.30%

10.80%

0.68%

2023

28.70%

18.30%

13.50%

0.17%

2024

36.40%

26.30%

17.10%

0.49%

2025

34.10%

29.40%

18.30%

0.64%

※2020~2022年は国境管理の影響により実態を正確に反映していないため省略されています。

中国も成長している、しかし絶対水準が桁違いに低い

データを詳細に分析すると、実は中国の訪日率も2015年の0.35%から2019年の0.68%へとほぼ2倍に増加しているとのことです。成長の「傾向」だけを見れば、香港・台湾・韓国と同様に右肩上がりの推移を示しているということです。

ただし、絶対的な水準が全く異なっているとされています。香港・台湾・韓国は、2025年時点で人口の2割から3割以上がすでに訪日経験を持つという水準に達しています。これはつまり、多くの人々が2回目、3回目、あるいはそれ以上の複数回にわたる訪日を実現していなければ到達できない数字であるということです。統計的に見て、香港・台湾・韓国からの訪日客の中には、かなりの割合でリピーターが含まれていると考えるのが妥当とされています。

一方、中国は2025年でもわずか0.64%にとどまっています。言い換えれば、中国の人口の99.36%は一度も日本を訪れたことがないという計算になります。この水準では、ある年に訪日した人のほとんどが「初めての訪日」である確率が、統計的に圧倒的に高いとのことです。つまり中国は、成長傾向にあるものの、その内訳は依然として「新規顧客の獲得」がほぼ全体を占めているということになるとされています。

実際に香港からの顧客は「毎月」来日している

この分析結果は、実際の現場での感覚とも一致しているとのことです。

実際に、昨日も香港からの顧客が来店されたそうですが、前回の来日は6月だったということです。

つまり毎月のように来日されているということになります。

リピーターとは、まさにこのようなお客様のことを指すとされています。年に1回どころか、月に1回のペースで訪れてくれる顧客です。香港・台湾・韓国の高い訪日率は、こうした「常連客」が積み重なった結果だと考えれば納得できるということです。

ビジネスとしてどのように向き合うべきか

香港・台湾・韓国は、すでに「深く掘り下げるべき既存顧客」のステージに入っているとされています。新規顧客の獲得よりも、リピート来日のたびに新しい体験価値や上位の商品・サービスを提供できるかどうかが勝負のポイントとなるということです。

一方で中国は、まだ「新規開拓」のステージにあるとのことです。リピーター向けの施策を急ぐよりも、まずは認知度の向上と初回体験の質を高めることが優先されるべきとされています。裏を返せば、ここには他の国にはない大きな成長の余地がまだ丸ごと残されているということでもあるとのことです。

「中国からの訪日者数が減少した」というニュースの見方も、「まだ99%以上が訪日したことのない巨大な新規市場が存在する」という見方も、同じデータから導き出すことができるとされています。どちらの視点で分析するかによって、取るべき戦略は全く異なってくるということです。

新規顧客かリピーターか。訪日率という指標は、その国の「本質的な特性」まで明らかにしてくれるとのことです。

出典元:プレスリリース

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