50代以上女性の「推し活」実態調査、推しがいる割合は47.5%で推し活支出は年間約11万円に

株式会社ハルメク・エイジマーケティングのハルメク 生きかた上手研究所は、50歳以上の女性を対象とした「『推し』に関する意識・実態調査」を実施しました。同研究所は、販売部数No.1(※1)を誇る雑誌「ハルメク」のマーケティングやリサーチコンサルティングを通じて、50代以上の女性のインサイトを日々探求しています。今回の調査はWEBアンケート形式で実施されました。

(※1)日本ABC協会発行社レポート(2025年7月~12月)

調査結果の主なポイント

今回の調査で明らかになった主要なポイントは以下の通りです。

「推し」がある(いる)と回答したのは47.5%で、この4年間ほぼ横ばいで推移しています。推し活を一緒に楽しむ相手については、前年1位だった「推し活を始める前からの知人」に代わって、「配偶者・パートナー」が最多となりました。

「推し」にお金をかけている人の割合は前年比で12ポイント増加し81.8%に達しました。一方で、一人当たりが年間に使う金額は110,348円とやや減少しています。費用が増加した項目は「応援グッズ」「本・雑誌・関連書籍など」といった物販関連で、減少したのは「遠征費」「チケット代」「映像・音楽の購入費」などでした。

推しのパターンについては「異才惚れ推し」「一目惚れ推し」が5年間上位をキープしています。今回の調査では「外見推し」が4ポイント増加しました。「推す」対象はアイドルやアーティストが主流ですが、70代では「スポーツ選手推し」が最も多いという特徴が見られました。

調査実施の背景

ハルメク 生きかた上手研究所では、50代以上女性のインサイトに関する調査・分析を継続的に実施しています。「推し活」に関しては5年前から研究を継続しており、若者と比較した特徴やこの世代特有のキーワードを発表してきました。本年の調査では、長引く物価高に加えて大物アーティストの復活や解散などの環境変化がある中で、50代以上女性の推し活実態や意識がどのように変化しているのかを探ることを目的としています。

調査の概要

調査はWEBアンケート形式で実施され、対象者は50~88歳の全国のハルトモ(ハルメクのモニター組織)の女性533名となっています。調査実施期間は2026年5月14日(木)~5月18日(月)で、調査主体は株式会社ハルメク・エイジマーケティング ハルメク 生きかた上手研究所です。

※調査結果のパーセンテージは、小数第2位を四捨五入したため、総数と内訳の合計が一致しないことがあります。

※2022年調査:6月、50~84歳559名 / 2023年調査:6月、50~81歳461名 / 2024年調査:6月、50~89歳571名 / 2025年調査:6月、50~88歳529名

いずれも全国のハルトモ(ハルメクのモニター組織)の女性対象

「推し」の保有率と推し活を楽しむ相手の変化

「推し」がある(いる)と回答した割合は47.5%で、この4年間ほぼ変わらない水準で推移しています。

「推し」がある(いる)割合について、2022年から2023年にかけては10ポイント以上増加しましたが、それ以降はほぼ横ばいとなっています。2026年度の年代別データを見ると、「推し」がある(いる)割合は50代と60代でほぼ同水準ですが、70代は全体より5ポイント程度少ない結果となっています。

現在「推し」がない(いない)人のうち、「以前はあった(いた)」と回答した割合は、前年から約2.2ポイント増加しており、2024年以降増加傾向が続いています。

「推し」がある(いる)人に対して、「推し」を自分1人で推しているか、誰かと一緒に推しているかを質問したところ、「自分1人」が57.7%を占めました。

一緒に推す人の1位は「配偶者・パートナー」で33.6%でした。前年1位だった「推し活を始める前からの知人」の27.1%を上回る結果となりました。

推しの有無に関する調査結果
推し活を楽しむ相手に関する調査結果

推し活への支出状況と内訳の変化

「推し」がある(いる)人のうち、「推し」に関してお金をかけている人は81.8%と前年より12ポイント増加しました。一方で、1人当たり年間費用の平均は110,348円とやや減少しています。ただし、5年間で見ると前年に次いで2番目に金額が多い水準となっています。

項目別に見ると、「応援グッズ」「本・雑誌・関連書籍など」が増加しています。一方で「遠征費」「チケット代」「映像・音楽の購入費」は減少しました。

推し活への支出状況
推し活支出の項目別内訳
推し活支出の経年変化

推しのパターンと対象の特徴

「推し」がある(いる)人に対して、自身の推しのパターンを選んでもらったところ、「異才惚れ推し」が26.5%、「一目惚れ推し」が18.2%で多数を占めました。この2つのパターンは多数派を維持していますが、「一目惚れ推し」は5年前と比べて10ポイント以上減少しています。

今回増加したのは見た目のカッコ良さで推す「外見推し」です。前年の3.3%から7.5%へと、プラス4.2ポイントとなりました。

「推す」対象については、50代では「日本の男性アイドル」、70代では「スポーツ選手」が最も多くなっています。全年代で多いのは「バンド・アーティスト(国内)」でした。

「推し活」の悩みで多いのはチケット確保に関するものです。価格高騰に加え、チケット情報入手のためにアンテナを張り続ける大変さなどが挙げられました。

推しのパターン分析
推しの対象分析
推し活の悩みに関する調査結果

自由回答から見える推し活の実態

「推し」を始めたきっかけ・推している理由

バンド・アーティスト(国内)については、「世間で言うところの推し活とはちょっと違うかもしれませんが、ずっと応援していますしライブに行ったりもします。そういう予定を少し先に入れることで生きる活力みたいなものが湧いてきます。そこまでは病気できないぞ!とか足を鍛えておかねば!など。ライブの間は妻やお母さんである自分を忘れられて、一個人に戻れる感覚があります」(57歳)という声がありました。

日本の男性アイドルについては、「娘が先にはまり、一緒に見ていたら自分もはまってしまった。推しを見ていて元気になり幸せな気持ちになるので」(53歳)や、「Netflixのタイプロ(timelesz project)を見たことがきっかけ。これまでジャニーズ系にまったくハマったことはなかったのに夢中になった。新メンバーの成長、どんどんあか抜けていくのを見るのが喜び。年末にドーム公演を実際に見て、ますます旧メンバーも含めて好きになった」(62歳)というコメントが寄せられました。

スポーツ選手については、「何年か前に一人暮らしになってからいつでも自分の都合だけで応援に行けるのでのめり込むようになりました。今は癒しであり頑張る意味になっています」(61歳)、「ドジャースの大谷選手がきっかけ。応援してるうちに、いつの間にかドジャースの選手たちのファンに」(77歳)といった回答がありました。

その他、韓国アイドル(K-POP)では「アイドルだしなぁと少し引いた目で見ていたが、ダンスと歌のあまりのうまさに完敗だと思って応援を決めた」(59歳)、インフルエンサー・YouTuberでは「物事をまた違う角度で考えるきっかけになった」(71歳)という声が聞かれました。

「推し活」を始めたことによる変化・新たに始めたこと

推し活を始めたことで、さまざまな変化や新しい取り組みが生まれています。「推しに会うためダイエットした」(53歳)、「SNSを始めて、推しを通じて友達ができた」(56歳)、「デジタルチケットが増えてきて、いつもは配偶者に任せきりだが、当選確率を上げるため自分でもスマホでチケットの申し込みをしたこと」(57歳)などの声がありました。

また、「若いファンが多いので、コンサートに行くときなど自身も若作り?しようという気になる」(56歳)、「KPOPダンスを習い始めた」(61歳)、「スタンディングできるように、筋力UPに励むこと」(62歳)といった健康や美容への意識の高まりも見られます。

デジタルスキルの向上についても、「昔は情報を仕入れる手段が限られていたがSNSのプラットフォームが増え、XだけでなくインスタやTikTok、YouTubeまで観なければならず、結果スマホスキルがあがる。画像だけでなく、動画編集もせねばならないと思っている。簡単なHTMLや画像加工もできるようになった」(65歳)という回答がありました。

その他、「コンサート用に服や靴、バッグの購入」(65歳)、「九州までコンサートを見に行ったのをきっかけに、飛行機で一人旅をするようになりました。今年は海外にも1人で行きました。来年も1人海外に行きたいです」(68歳)、「DuolingoだけでなくNHKの基礎英語も聞き始めた」(72歳)、「美容室へ行く回数が増えたこと。マニキュアやまつ毛のエクステンションを始めた」(74歳)など、多様な変化が報告されています。

「推し活」の悩み(過去に「推し活」をしていた人含む)

推し活における悩みとしては、「とにかく最近はチケット代が爆上がりで大変。以前は1万円内で行けたはずが1万円を越したと思ったら、ステージにより近いところで観られるプレミアム席というのが出来て、当選すると倍の値段。一度近距離で観てしまうとさらに良さや楽しさが倍になるので、どうしても抽選に賭けてしまいチケット代がとんでもない金額に!またライブに行くと、一緒に行く相棒とともにライブの余韻を楽しむために必ず宿泊する。その宿泊代が重なるのも痛い。でも欠かせない」(57歳)という声がありました。

また、「言葉では上手く言えないが、フッと疲れてしまう時があった」(58歳)、「イベント等遠方になったりするので、費用、体力、日程調整などなどが難しくなった」(65歳)、「猛者の集まりなので、推しに対する知識の深度についていけないことがある。ファン歴の違いによる知識のマウントにならないように配慮するとか、推しに関係ない個人のプライバシーにどこまで入るかとか、距離感が難しい」(68歳)といった悩みも寄せられています。

さらに、「チケットがなかなかとれない。くじ運が悪いのか、抽選ではずれてしまうこと。また、コンサートチケット料金が値上がりしていることが悩み」(68歳)、「とにかくチケットを確保するために人脈を広げたり情報を集めたりなどの手間が大変」(70歳)、「経済的に継続が難しいと感じた」(74歳)などの回答がありました。

専門家の見解

ハルメク 生きかた上手研究所 所長 梅津 順江

ハルメク 生きかた上手研究所 所長の梅津 順江氏は、2016年から現職を務めています。年間約900人のシニアへの取材やワークショップを通じて、誌面づくりや商品開発、広告制作に役立てています。時代や世代も捉えて、半歩先の未来を予測・創造しています。著書に『消費の主役は60代 シニア市場最前線』(同文舘出版)などがあります。

推しは人生を動かす、50代からの新しい原動力

梅津氏は、50代以上女性の「推し」がある割合は47.5%で、この4年間ほぼ変わらないと指摘しています。他方、「以前は推しがいたが現在はいない」という人は増加傾向で、推し活にも「始まり」と「卒業」が生まれつつあることを示しているとしています。

注目したいのは、お金の使い方よりも、推しが生み出す行動変化だと梅津氏は述べています。推しにお金をかける人は8割を超え、前年より10ポイント以上増加しました。とはいえ、年間支出額は微減しています。遠征費やチケット代が減る一方で、応援グッズや関連書籍などへの支出は増加しました。「ライブ代が負担」「チケットが取れない」という自由記述からは、物価高やチケット争奪戦の激化がうかがえます。50代以上の推し活も「会いに行く体験消費」から「身近に応援する物販消費」へと一部シフトし、限られた予算の中で応援方法を工夫している姿が見えてきたとのことです。

一方で、この世代の推し活は消費にとどまらないと梅津氏は指摘します。「推しに会うために痩せた」「ライブ前には美容院に行く」「ライブに備えて体力をつける」など、美容や健康への意欲を引き出していました。さらに、SNS利用、動画視聴、スマホでのチケット購入など、デジタル活用を後押しする効果もあったようです。

一人旅への挑戦、ボイトレや語学学習、ダンスなど新たな趣味につながった例も見られました。推し活は、人生後半の女性たちにとって日々の生活に彩りを与えるだけでなく、自分磨きや社会参加のきっかけにもなっているようだと分析しています。

企業はシニアの推し活市場を巨大産業として捉えがちですが、今回明らかになったのは、決して無制限にお金を使うわけではないという現実です。「チケット料金が高い」「高額なコラボ商品は我慢した」という声もあり、推し活に熱中しながらも消費行動は冷静でした。その一方で、推しの存在は美容や健康、学び、デジタル活用など幅広い行動を後押ししています。健康づくりや学び直しは必要性を伝えるだけでは続きにくいものですが、推し活には「会いたい」「応援したい」という感情が原動力として働きます。企業に求められるのは、推し活そのものを売ることではなく、その背景にある前向きな気持ちや自己成長への欲求を理解し、応援する視点なのかもしれないと梅津氏は述べています。

出典元:株式会社ハルメク・エイジマーケティング

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