株式会社帝国データバンクが、2026年7月以降の飲食料品における価格改定の動向と今後の見通しに関する調査分析を実施しました。
調査結果の概要
2026年7月における飲食料品の価格改定は、合計で2566品目に達したことが明らかになりました。
2026年1月から11月までの通年累計では、価格改定の対象となった品目総数が1万4902品目となっています。調査開始年である2022年から数えて5年連続で年間1万品目を上回る結果となっており、さらに2022年以降で最も少なかった2024年の実績である1万2520品目を超過しました。
中東地域における情勢不安を要因として、飲食料品の分野では今年の夏以降も価格改定の波が継続すると予測されています。
[調査に関する注記]
品目の集計および価格改定については、各企業の公式発表に基づいて算出されています。同一年内に複数回の価格改定が実施された品目については、それぞれを個別の品目として計上されました
改定率については発表時点での最大値を採用しています。なお、価格は据え置きで内容量を減少させる「実質的な価格改定」も分析対象に含まれています
2026年の価格改定、年間2万品目ペースで推移 中東情勢関連が25%を占める
主要食品製造メーカー195社を対象に、家庭向け製品を中心とした7月の飲食料品価格改定状況を調査したところ、対象品目は2566品目となり、1回あたりの平均改定率は月平均で11%となりました。月間の改定品目数が2千品目を上回ったのは、2026年4月の2838品目以来、3カ月ぶりのことです。7月単月の品目数は、2023年の3595品目に次いで高い水準を記録しました。中東地域の情勢悪化に伴う原油・ナフサ価格の高騰により、トレーやフィルムといった包装資材の価格上昇や原材料費の増加などの影響が顕在化し、改定対象品目数を大幅に増加させる要因となりました。
2026年7月の価格改定を食品の分野別に分類したところ、最大の割合を占めたのは即席めん製品や缶詰製品を主とする「加工食品」カテゴリーで1084品目でした。次いで「パン」カテゴリーが1078品目となり、食パンや菓子パン、総菜パンなどの製品で大手製造メーカーを中心に一斉の価格改定が実施されました。
2026年の通年における飲食料品価格改定品目数の累計値(1月から11月までの判明分)は1万4902品目に達しました。調査開始年の2022年以降、5年連続で年間1万品目を突破しており、また2022年以降で最も少なかった2024年の1万2520品目を上回る結果となりました。7月以降の見通しとしては、8月が1898品目で単月2千品目に迫るほか、9月は3029品目となり2026年内で最多を記録し、2025年10月の3161品目以来11カ月ぶりに単月で3千品目を超える見込みとなっており、今後さらなる増加の可能性があります。

食品分野別の集計結果では、最も多いカテゴリーは冷凍食品やパック米飯などの「加工食品」で5780品目となり、前年の通年実績である4791品目を超過しました。「調味料」は3467品目で、だし製品やたれ製品、醤油製品などが対象となっています。「酒類・飲料」は2913品目となり、第三のビールや発泡酒、輸入ワイン、焼酎・日本酒など広範囲にわたる価格改定が実施された一方、酒税法の改正影響によりビール製品では減税分の価格引き下げも発生しました。「原材料」カテゴリーは606品目で、小麦粉製品のほか精製糖などが改定対象となりました。
価格改定の要因を分析すると、ホルムズ海峡の混乱など国際情勢の悪化が国内産業にも波及し、石油由来の樹脂素材をはじめとする各種コスト要因として表面化しています。「原材料高」の影響を受けた価格改定が92.5%を占め、全要因の中で最も高い割合となっていますが、3月以降は低下傾向で推移しています。「物流費」は71.9%で、中東情勢の悪化による原油価格高騰などの影響を受けています。「包装・資材」は69.8%となり、トレーや容器などナフサ由来の資材価格高騰の影響を受け、前年同月と比較して10.5ポイント上昇しました。また、中東情勢による影響が要因となった価格改定(「中東情勢」関連)は24.7%を占める結果となりました。

2026年の見通し 中東発の価格改定ラッシュ、今夏に本格化し年内継続の見込み
米国とイスラエルによるイランへの攻撃によって急激に高まった中東地域における地政学的リスクと、ホルムズ海峡の混乱を発端とした国内における石油製品の供給不安による影響が、食料品分野でも顕在化してきています。インクや食品フィルム、トレー類などで大幅な価格上昇や品薄状態による包装資材のコスト増加に加えて、電気料金などのエネルギーコスト、物流費の上昇なども製品価格へ転嫁する動きが進んでいます。現状では、中東情勢の悪化によるコスト増加などを理由とした価格改定は、年内1.5万品目のうち6月末時点で2割を超えており、今後はさらに比率が高まる可能性が高いと見られています。為替相場では1米ドル160円を超える局面も見られ、円安による輸入コストの上昇が逆風となっているほか、異常気象による小麦など穀類の不作や生鮮食品の恒常的なインフレ圧力も今後懸念される状況です。アイス商品をめぐる価格カルテル事案なども発生していますが、総じて食料品分野でもコスト増加への対応が困難であり、価格引き上げで対応せざるを得ない局面が当面継続するものと予測されています。
こうした情勢を背景として、飲食料品では今年の夏以降、広範囲にわたる価格改定の波が継続すると見られています。年間の価格改定品目数累計は5年連続で1万品目を突破する中、年間では前年並みとなる2万品目台で着地することが想定されています。
出典元:株式会社帝国データバンク














