
株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが運営する若者マーケティング機関「SHIBUYA109 lab.」は、15歳から24歳までの男女574名を対象に、Z世代のアテンション・デトックスに関する調査を実施しました。外部調査パネルによるWEB調査とSHIBUYA109 lab.独自ネットワークによるインタビューを通じて、若者世代のスマホ疲れの実態が明らかになっています。
この記事の目次
Z世代の半数以上が「スマホ疲れ」を感じている現状
SHIBUYA109 lab.では、2025年12月に発表した「SHIBUYA109 lab.トレンド予測2026」の結果から消費ムードを分析したところ、「スマホなし旅行」や「BeRealノート(投稿を印刷してアルバムを制作する)」など、スマホから意識的に距離を置く行動が見られたことから、その実態をより詳しく把握するために今回の調査が行われたということです。

調査の結果、15歳から24歳までの574名のうち、62.2%が「スマホ疲れを感じている」と回答しました。さらに注目すべき点として、「スマホ疲れ」を自認している人の中で、「自身の『スマホ疲れ』の一番の要因はSNSだと思う」と回答した人が79.3%にも達しており、SNSが「スマホ疲れ」に大きく影響していることが判明しています。
また、「SNSの利用時間を減らしたい」と回答した人は67.6%となり、約7割の若者世代がSNSに疲れを感じているだけでなく、SNSに触れる時間そのものを減らしたいと考えていることが分かりました。定性調査では、「自分に悪い影響があると思っているのに、ずっと開いてしまう。そんな自分にイライラしてしまい、イライラすることに疲れる」「布団に入ってからスマホを触る習慣があり、3時間経っていることがあり、やばいと思っている。目が痛く睡眠不足なので、健康になりたい」といった声が聞かれたとのことです。
SHIBUYA109 lab.が2024年1月に実施した「Z世代の承認欲求に関する意識調査」では、「多くの友達と繋がる自分のメインのアカウントは非公開(鍵)アカウントである」という質問に対して「はい」と回答した割合が68.7%でした。また、2025年7月に実施した「Z世代のSNS利用最新動向2025」の調査では、主に投稿する用途で利用されるSNSはInstagramストーリーズやBeReal.など、クローズドかつエフェメラルなSNSが主流となっており、共有範囲が狭く、長時間残らない投稿をすることで、不特定多数からのアテンションを集めることを避ける傾向が高まっているとされています。
スマホ疲れを読み解く3つのアテンション
スマホやSNSをきっかけに生まれている「疲れ」の要因は、「アテンション(注目すること・されること)」であると考えられています。SHIBUYA109 lab.では、アテンションを「自分に対するアテンション(投稿や閲覧など自分の行動が起点で生じるアテンション)」「人に対するアテンション(SNSを起点に生まれる周囲とのコミュニケーションで生じるアテンション)」「情報に対するアテンション(ニュースや炎上投稿など自身が求めていなくても自動的に入ってくる情報に生じるアテンション)」の3つに分類しました。

「スマホ疲れ」の要因を聴取したところ、最も多かった回答は「気づいたらSNSで時間が消えている(43.1%)」で、次いで「寝る前にだらだら見ちゃうせいで寝不足になる(36.4%)」、「スクロールすると新しい情報が次々に更新される(26.3%)」という結果となりました。ストレスを感じている項目として各分類内の一項目当たりの選択人数の平均が最も多かったアテンションは、「自分に対するアテンション」という結果になったとのことです。

定性調査でそれぞれのアテンションにおける具体的な疲れを聞いてみたところ、各アテンションごとに異なる疲れの要因があることが明らかになりました。

また、「スマホ疲れ」の背景になる感情を聴取したところ、全体では「面倒くさい(25.8%)」「不安(25.2%)」「自己肯定感が下がる(24.4%)」という回答が多くなっています。

インタビューでは「友人とのメッセージのやりとりが多くなると、反応や返信し続けることが段々面倒になる」「フェイクニュースや信ぴょう性に欠ける内容も流れて来るので、不安に思うこともある」「投稿に対する周りからの反応が少なかったりすると自己肯定感が下がる」という声があり、何気なく動画や投稿を見ていても様々な感情が生まれているようです。
さらに、各アテンション別で見ていくと、「自分に対するアテンション」については「不安(32.1%)」「虚無感(30.4%)」「劣等感(25.7%)」、「人に対するアテンション」については「不安(37.8%)」「自己肯定感が下がる(37.2%)」「孤独感(32.7%)」、「情報に対するアテンション」においては「不安(33.2%)」「面倒くさい(31.9%)」「自己肯定感が下がる(31.4%)」といった回答が全体の数値よりも高いことが分かりました。
SHIBUYA109 lab.所長によると、SNSに投稿するのは、素敵な場所に行った時の写真など、「自分のキラキラしているところ」です。他者からの反応が嬉しい反面、他者の投稿と比較してしまい、自己肯定感が下がるなど、SNS上で能動的に行動することで、自信を無くすことに繋がっていることが分かりました。若者とSNSにおいて、承認欲求を満たす場として語られることはありますが、実際は他者との繋がりを感じられる「場」としての要素が強く、この「ゆるく繋がり続ける状態」も、彼らの疲れの要因になっているとされています。過去に実施した「Z世代の承認欲求に関する調査」でも、「SNSを通じて承認欲求が満たされていると感じる」と回答した人は39.8%にとどまり、ほとんどが「当てはまらない」と回答しているとのことです。
アテンション・デトックス消費が活発化、すでに7割が行動を開始
SHIBUYA109 lab.では、昨年末に行った「SHIBUYA109 lab.トレンド予測2026」の結果から、今後の若者たちの消費ムードを表すキーワードとして、「アテンション・デトックス」を挙げていました。「アテンション・デトックス」とは、SNSの喧騒から一時的に完全に離れることで、他人からのアテンションを回避し、リフレッシュする行動を指します。すでに述べてきたように、若者世代は「アテンション疲れ」を起こしており、アテンションから逃れる活動を求めているとされています。
今回の調査でも、「SNSやスマホから離れた時間を持ちたい」と思っているZ世代は、スマホから離れた時間でやりたいこととして、「リラックス(43.6%)」「リフレッシュ(41.1%)」「一つのことに集中する時間を持つ(37.2%)」を挙げています。

インタビューでは「ずっとスマホやSNSを見ていると頭が疲れてくる。ぼーっとしてくるのでリラックスやリフレッシュする時間が欲しい」「運動や読書などの一つのことに没頭する時間が足りていないので、意識的に時間を作りたい」などの声が聞かれたということです。
さらに、スマホから離れるためにやっていることがあると答えた若者は、すでに7割以上におよび、具体例として「散歩(20.2%)」「読書(20.2%)」「映画館に行く(16.4%)」といったアクティビティが挙げられています。スマホから離れ、「アテンション・デトックス」したいという欲望は、すでに実際の消費行動にも影響をおよぼし始めていることが分かります。

インタビューでは「スマホを置いて外に散歩をしてみたい。リフレッシュができそう」「読書にハマっているときはスマホをいじる回数が減る」「映画を観ている時間は映画に集中していて絶対にスマホをいじらない。だからのめり込めて楽しい」との声が聞かれたとのことです。
SHIBUYA109 lab.所長による分析
SHIBUYA109 lab.所長の長田麻衣氏は、「アテンション・デトックス」について次のように分析しています。Z世代たちはデジタルネイティブであることから、スマホやSNSから完全に離れるのではなく、SNSでの情報収集やコミュニケーションに再び戻るための「エネルギーチャージの機会」として、アテンション・デトックス消費が広がると予測されています。

企業のマーケティングの観点では、若者が安心してスマホから離れることができるオフライン体験を設計・提供することが重要だとされています。そして、陶芸や編み物などのクラフト体験や映画館など、スマホを両手から手放さないとできない体験や場所は、「アテンション・デトックス」の場として再定義することもできそうです。Z世代にとって「安心してスマホの手放せる体験設計のポイント」をおさえる必要が高まってきていると言えるでしょう。
調査概要
WEB調査の概要は以下の通りです。
- 調査期間:2026年2月
- 調査パネル:外部調査会社のアンケートパネルを使用しスクリーニング調査を実施
- 居住地:一都三県
- 性別:男女
- 年齢:15~24歳
- 対象:高校生・大学生・大学院生・短大生・専門学生
- 回答者数:574名
※回答率(%)は小数点第2位を四捨五入し、小数点第1位までを表示しているため、合計数値は必ずしも100%とはならない場合があります。
また、SHIBUYA109 lab.による定性調査として、デプスインタビューを実施しました。対象者条件は、高校生 男性1名・女性2名、大学生 男性2名・女性3名の合計8名です。その他過去定性調査をもとに考察が行われています。
SHIBUYA109 lab.について

SHIBUYA109 lab.は、株式会社SHIBUYA109エンタテイメントが運営する新しい世代に特化した若者マーケティング機関です。SHIBUYA109のターゲットである「around20(15~24歳)」を中心に彼らの実態を調査し、SHIBUYA109独自の視点から分析しています。2018年5月17日に設立され、所長は長田麻衣氏(株式会社SHIBUYA109エンタテイメント所属)が務めています。
長田麻衣氏は、総合マーケティング会社にて、主に化粧品・食品・玩具メーカーの商品開発・ブランディング・ターゲット設定のための調査やPRサポートを経て、2017年に株式会社SHIBUYA109エンタテイメントに入社しました。SHIBUYA109マーケティング担当としてマーケティング部の立ち上げを行い、2018年5月に若者マーケティング機関「SHIBUYA109 lab.」を設立しました。現在は毎月200人の「around20(15~24歳)」と接する毎日を過ごしているとのことです。
株式会社SHIBUYA109エンタテイメントについて

株式会社SHIBUYA109エンタテイメントは、SHIBUYA109渋谷店(東京都・渋谷区)を中心とした3つの施設を展開しています。「Making You SHINE!-新しい世代の"今"を輝かせ、夢や願いを叶える-」の企業理念を掲げ、商業施設運営に留まらないエンタテイメント事業展開を行っています。2017年4月3日に設立され、代表取締役社長は石川あゆみ氏が務めています。
出典元:株式会社SHIBUYA109エンタテイメント












