
楽天市場やAmazon、Yahoo!ショッピングなど、国内ECモールが群雄割拠する状態の中で、独自路線を歩み、着実に流通を伸ばしているのが「au PAY マーケット」です。新しい販路を増やすことで売上を伸ばしたい一方で、既に他のモールに出店をしているため、これ以上運用の稼働を抑えるのが難しいと考えている事業者様も少なくはないかと思います。そこで今回は、au PAY マーケットに出店するに至った背景や運営体制、どういった商品が売れやすいのかなど、よなよなエールで有名な株式会社ヤッホーブルーイングの通販ユニットでユニットディレクターをしている植野さんに話を伺いました。
この記事の目次
まだ見ぬお客様との出会いを求めて新規店舗を立ち上げる
―― まずは「au PAY マーケット」に出店するに至った背景について教えていただけますか?
植野さん(ヤッホーブルーイング):当社はクラフトビールを製造・販売している会社です。最近ではコンビニに置かせていただくことも増え、少しずつ認知が広がりつつも、まだまだ世の中的にはニッチで知られていない製品だと思っています。社内における通販、とりわけECモールの位置づけとしては、より多くのお客様にブランドや商品を認知してもらい、プロモーションを通してヤッホーブルーイングのことをもっと好きになっていただくことです。一人でも多くのお客様に知っていただき、商品をお届けして、美味しさを感じていただくことを大事にしています。
au PAY マーケットに出店するまでは、自社サイト以外に楽天市場、Yahoo!ショッピング、Amazon(ベンダー経由)で販売をしていました。当時、au PAY マーケットからお声がけいただいていたこともあり、モールとして好調に推移しているというお話を受け、ブランドの認知をさらに拡大するために出店する運びになりました。
au PAY マーケットの立ち上げは1名で始めましたが、その1名は他の店舗の運営を兼務しながらやっていました。店舗が無事立ち上がり、売上が徐々に伸びてきた頃には、店舗ごと1名ずつ担当を付けるスタイルでやっています。
個性を活かしながらもお客様に目を向けた運営ルール
―― 店舗ごとに担当がいるとのことですが、運営に関してどのように管理されているのでしょうか? また運営方針などがあれば教えて下さい。
植野さん:新規顧客をどうやって増やすのか、各モールの大型イベントの結果がどうだったかなど、日々の業務の気付きであったり、どの店舗でも共通して進める施策であったり、チームとして情報を共有できる時間をつくっています。毎朝30分の朝礼と、17時頃にも30分ほど終礼を行い、小さな気付きや相談事でもなるべく早く共有したり相談ができるようにしてスピード感のある運営を心がけています。それ以外にも進捗報告ミーティングを定例で実施したり、必要に応じて都度ミーティングを開催したりして話し合いをしています。
共通して話し合わないといけない点については活発にコミュニケーションを取る一方で、各モールの担当者が出す個性は尊重しています。なぜなら、キャンペーンの開催日や内容、広告、売れ筋の商品、お客様の回遊導線などは、そのモールごとに特徴が大きく異なります。だからこそ、普段からそのモールのお客様と向き合っており、モールの特徴を経験として持っている担当者にある程度、裁量を持って動いてもらうことがスピード感のある店舗運営、そしてお客様により楽しんでいただける店舗運営につながると考えます。
ただし、その裁量の中でも守らないといけないルールが1つあります。それは、常に「お客様」を主語にして考えることです。具体的には、メルマガの件名やバナーの作り方など、ファンの方々が見たときにワクワクできるのか? 楽しんでもらえるのか? という点は気をつけなければなりません。

植野さん:売上を伸ばしたいと思ってばかりいると、メルマガの原稿を考えるにしてもイベント情報やポイントのキャンペーンを前に打ち出すような、販促をする内容になりがちです。そういった内容に偏ってしまうと、ファンの方々には楽しんでいただけず、結果として徐々に開封率が下がっていくため、ファンの方々が知りたい情報ってなんだろう? とルールを思い出して考えるようにしています。例えば、「ビアスタイルって知っていますか?」といったビールについて更に知っていただくような内容は開封率が高い傾向にあり、ファンの方々が店舗からの情報発信に求めているのはこういう情報なのでは? と感じます。
店舗によって異なる購買戦略でお客様の心を掴む
―― お客様の特徴について、多店舗展開をしているからこそわかることはありますか?
植野さん:自社サイトとモールに来てくれるお客様は大きく異なります。自社サイトは当社の製品名など指名キーワードで検索して流入する傾向が強いので、既に飲んでいただいた方のアクセスが多いです。なので、コンテンツマーケティングやイベントの宣伝、モールでは販売してない定期販売専用の商品など、更にヤッホーブルーイングを好きになってもらえるような工夫をしています。

植野さん:一方でモールでは一般名詞での検索流入が多いです。「ビール」「クラフトビール」「父の日ギフト」のような、元々の選択肢に当社の商品がない方やそもそもヤッホーブルーイングをご存じない方が検索してくれています。モールの良いところは、こういったアクセスを獲得していくことでお客様との接点を生み出し、ブランドの認知を拡大できるところにあると思います。
「au PAY マーケット」ならではの顧客属性やモールの特徴
―― 特に、今伸びている「au PAY マーケット」にはどういった特徴を感じていますか?
植野さん:他のモールとは異なる点が多いです。まず、au経済圏を起点とした顧客基盤が強い印象です。au回線の利用やじぶん銀行、au PAYやau PAY カード(クレジットカード)などの経済圏のサービスを利用すると、自然とポイントが貯まる状態が作られています。また、auスマートパスプレミアム会員さま向けの取り組みやPontaポイントをau PAY マーケット限定のPontaポイントを交換すると1.5倍になる「お得なポイント交換所」など、KDDI全体で集客をしており、本気でECを強化している様子が見えます。私もau PAY カードを作ってみましたが、みるみるポイントが溜まって何を買おうかなーっと楽しめています(笑)
他の特徴として、モール内の検索順位を上げるためのSEO対策や検索に表示する広告のプラチナマッチ広告など他モールとアルゴリズムが異なるところもありますので、最適な運用を常に模索中です。
機能面でも違いが多いです。特にアプリのタイムライン機能やライブTV(ライブコマース)は特徴的だと思います。タイムライン機能ではメルマガ以外にお客様とコミュニケーションを取れますし、ライブTVは他の店舗にはない新しい購買体験をお客様に提供できる場だと感じています。
購入のハードルを下げることで、はじめてのお客様も買いやすい商品設計
―― 最後に出店から2年で売上が伸びた要因について聞かせていただけますか?
植野さん:先程お話したauスマートパスプレミアム会員向けの取り組みやPontaポイントを1.5倍にできる「お得なポイント交換所」など、au経済圏のお客様は2,000~3,000円ほどのポイント原資やクーポンを持った状態からお買い物を始めている印象があります。我々は入り口商品である「5種飲み比べ(入門書付き)」のセットを1,479円で販売しているため、お客様との親和性が高く、購入しやすいのではないかと思います。実際、この商品は他のモールや自社サイトでも販売しているのですが、特にau PAY マーケットでの反響が良く、数ある店舗の中でも最も売れている状態です。
またau経済圏の特徴も相まって、他のモールよりも低価格の商品が売れやすい傾向があります。例えば弊社の場合、ビールのまとめ買いだと「12缶」と「24缶」の2パターンがありますが、au PAYマーケットの場合は他のモールよりも「12缶」の割合が高いです。

植野さん:露出の機会としても色々な角度からお客様との接点を持つようにしています。三太郎の日や還元祭、プラチナマッチ広告(検索連動型運用広告)、特にライブコマースなど、ブランド認知を高めるためにau PAY マーケットのアドバイザー(担当営業)から提案いただいた施策が当たっていったことも売上が伸びた大きな要因と言えます。私自身、出店当初はau PAY マーケットを全く使ったことがなかったため、お客様やモールの特性、売り方について、アドバイザーにフォローしてもらったことが今に活きていますね。
インタビューを通して:独自の経済圏を築く盤石な顧客基盤を獲得するチャンス
記事中に植野さんからもお話があったように、au PAY マーケットではau経済圏の顧客から急速に拡大しています。au PAYやPontaポイントなどリアルな購買によって獲得されたポイントをモールの流通を伸ばしていくために、使いやすい導線設計がされている印象です。
EC市場の成長が著しい中、強豪ひしめき合うECモールで消耗戦を行うよりも、まだまだ競合が少なく手を動かしている店舗の方が着実に数字を伸ばしているau PAY マーケットに挑戦をしてみてはいかがでしょうか?
▼au PAY マーケット出店ページ
https://wowma.shop/
▼au PAY マーケット Salon
https://wowma.shop/salon-info/
※au PAY マーケット出店者限定の売上アップノウハウを公開しているサロンです。
▼よなよなの里 エールビール醸造所<au PAYマーケット店>
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