オンラインショッピングの購入意欲に関する調査結果レポート
この記事の執筆者

株式会社TOKYO GATE

株式会社TOKYOGATEは多くの過去実績を保有するECのプロフェッショナルが集うECマーケティングの専門家集団です。マーケティング戦略の立案から施策の実行、PDCAまでを総合的に支援します。

成功事例に基づいた確実性の高いコンサルティングが特徴で、提案した施策を速やかに実行できる体制を整えています。EC・D2Cに関してお悩みの方はお気軽にご連絡ください。

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はじめに

オンラインショッピングにおいて、消費者の購入意欲を高める要素は多岐にわたります。特に、商品ページ上の情報は購買決定に大きな影響を与えるため、どの要素が消費者の意思決定を左右するのかを理解することは、EC事業者にとって極めて重要です。

効果的な商品ページを設計するには、消費者がどんな情報を信頼し、どの要素によって購入を決定するのかを正確に把握する必要があります。

しかし、「利用者の声」「ランキング」「ブランドや会社名」「インフルエンサーの推奨」など、さまざまな情報が購買行動に影響を与える中で、どの要素が最も影響力を持つのかを明確にすることは容易ではありません。

本調査では、商品ページ閲覧時に消費者が購入意欲を高める要素に焦点を当て、男女別の購買行動の違いや、ランキング・レビューの影響度について考察しています。

ECサイト運営者やマーケティング担当者が、より効果的な商品ページを設計し、購入率を向上させるための参考データとなっています。

本調査の結果が、貴社のEC事業の成長に少しでもお役立ていただければ幸いです。

調査方法

株式会社TOKYO GATEでは、2024年12月15日から2024年12月25日にかけて、オンラインショップで購入経験のある18-70歳の男女601人を対象に、オンラインショップにおける購入意欲に関するアンケートを実施しました。

調査方法 インターネットによるアンケート調査
調査期間 2024年12月15日から2024年12月25日
調査対象 18〜70歳以上の男女
サンプル数 601名

サマリー

  1. 「利用者の声」は購入意欲を大きく左右する要素であり、全体の約70%の消費者が購入意欲を高めた要素として挙げました。
  1. 「ランキング」は、男女ともに約40%の消費者が購入意欲を高める要素として挙げています。
  1. オンラインショップのユーザーは、平均して3つの要素をもとに購入を判断しています。
  1. 「利用者の声」「ランキング」「ブランド名・会社名」が購入決定の決め手になったユーザーは、全体の約80%を占めます。
  1. 女性ユーザーの2人に1人が、「ファッション」「化粧品」の購入に際し、商品ページで購入意欲が高まったと回答しています。
  1. 男性ユーザーの約40%が「家電・カメラ・AV機器」の購入時に商品ページの影響を受けることがわかっています。
  1. 「購入者のSNS投稿」が購入決定に最も影響を与えたと回答したユーザーはわずか3% にとどまりました。
  1. 「利用者の声」は、男女を問わず、オンラインショップでの購入決定に最も影響を与える要素であると言えます。

各設問の回答と考察

1.  商品ページで購入意欲が高まった要素

商品ページ閲覧時に購入意欲が高まる要素について調査した結果、約75%のユーザーが「利用者の声」を挙げました。利用者の声は、自分と似たユーザーの体験を参考にできるため、企業の発信情報よりも信用度が高く、重要な購入決定の材料となっています。一方で、企業からの情報は販促目的であるという前提があるため、消費者からは「良い部分だけを強調している」と受け取られる可能性があります。

また、「ランキング」は約40%の消費者が購入意欲を高める要素として挙げており、人気が視覚的に伝わることで、「みんなが選んでいる」という安心感や、品質の証明として機能していると考えられます。

回答者数601人に対し、選択数の合計は1,697件にのぼり、平均すると消費者1人が約3つの要素をもとに購入を判断していることになります。これは、消費者の購入決定が単一の要素ではなく、複合的な要素を考慮していることを示唆しています。

2.  商品ページで購入意欲が高まった要素(女性)

商品ページ閲覧時に購入意欲が高まる要素について、女性のデータを集計した結果、「利用者の声」によって購入意欲が高まったと回答した女性は80%を超え、男性よりも高い割合を示しました。一方で、「販売実績」によって購入意欲が高まった女性の割合は約17%にとどまりました。ECに慣れている消費者ほど、ランキングや販売実績が恣意的に操作されている可能性を警戒し、より「利用者の声」を信用する傾向があると考えられます。

また、「購入者のSNS投稿」よりも「専門家による推奨」のほうが購入意欲を高める傾向が見られました。専門家の推奨は、消費者にとって思考のショートカットとなり、詳細を調べなくても安心して購入できる要因となっていると考えられます。

さらに、女性は男性と比較して、実店舗の存在が購入意欲を高めることが示唆されました。特に比較検討の段階では、実店舗で現物を確認できることが、購入決定の要因となるケースが多いと考えられます。

3.  商品ページで購入意欲が高まった要素(男性)

商品ページ閲覧時に購入意欲が高まる要素について、男性のデータを集計した結果、「利用者の声」「ランキング」「ブランド」などの要素は、男女ともに重視されていることがわかりました。

一方で、「購入者のSNS投稿」は、女性よりも男性の購入意欲を高める要素として機能している可能性があります。男性のSNS投稿は、女性の投稿に比べて加工が少なく、より現実的である傾向があり、それが一定の信頼を獲得している要因かもしれません。

また、「ビフォーアフターの写真や動画」「受賞歴」「認証マーク」などの影響度は同程度であり、特定の要素が突出しているわけではありません。これらの要素は、単独で購入の決定打となるのではなく、購入を後押しする補助的な役割を果たしていると考えられます。

4.  商品ページで購入意欲が高まったジャンル

商品ページ閲覧時に購入意欲が高まったジャンルについて集計した結果、「ファッション」が圧倒的に上位となりました。レビューや購入者のSNS投稿を通じてWeb上で情報を収集しやすく、比較が容易であることが要因の一つと考えられます。またブランドやデザイン、サイズなど比較すべき要素が多いため、消費者はより広範な情報を収集する傾向があるのかもしれません。

また、「家電・カメラ・AV機器」も購入意欲が高まりやすいジャンルとして挙げられました。このカテゴリーは他の商品ジャンルに比べて単価が高く、多くのユーザーが慎重に購入を検討するため、商品ページの内容に影響を受けやすいと考えられます。さらに、食品やファッションに比べて購入頻度が低く、購入の際に専門的な知識が求められることも、より慎重に情報収集を行う要因の一つといえます。

5.  商品ページで購入意欲が高まったジャンル(女性)

商品ページ閲覧時に購入意欲が高まった商品ジャンルについて、女性のデータを集計した結果、「ファッション」と「化粧品」が同率で上位となりました。ファッションや化粧品は、目的やトレンド、季節によって購入する商品が変わりやすいため、他のジャンルに比べて最新のレビューやランキングを参考にする傾向が強いと考えられます。一方「日用品」以下のカテゴリーでは、購入意欲が高まった女性の割合は約23%以下にとどまりました。このことから、特定の商品ジャンルでは商品ページの影響を受けやすい一方で、大多数のユーザーが影響を受けにくいジャンルも存在することが明らかになりました。

「パソコン・携帯・スマホ」に関しては、商品ページの情報による購入意欲の高まりがあまり見られませんでした。これは、すでに多くのユーザーがこれらのデバイスを保有しており、買い替え需要が中心であるため、現在使用しているブランドの後継機種を選ぶケースが多いことが要因かもしれません。

6.  商品ページで購入意欲が高まったジャンル(男性)

商品ページ閲覧時に購入意欲が高まった商品ジャンルについて、男性のデータを集計した結果、「家電・カメラ・AV機器」が上位にランクインし、約40%の男性が商品ページの影響を受けていることが明らかになりました。このジャンルは、男性にとってファッションよりも関心が高い可能性があり、性能や価格を客観的に比較しやすいため、購入検討が容易であると考えられます。

また、「パソコン・携帯・スマホ」「本・電子書籍・ゲーム」においても、商品ページ閲覧後に購入意欲が高まる傾向が見られます。特に、本やゲームについてはレビューや購入者の感想の影響が強く、商品ページの評価が購入判断に直結すると考えられます。

7.  商品ページで最も購入に影響した要素

商品ページで最も購入に影響を与えた要素を集計した結果、購入決定に強く影響をする要素と、補助的に機能する要素がはっきりと分かれる結果となりました。

最も回答が集まった「利用者の声・購入者の感想」は、企業発信の情報では得にくい商品の欠点やデメリットも確認できるため、幅広い意見を参考にできると考えられます。また、ランキングやブランド名などの要素も確認した上で、最終的な決め手として利用者の声が購入を後押ししている可能性があります。さらに、「利用者の声」「ランキング」「ブランド名・会社名」の上位3つの要素で全体の80%を占めており、これらの情報を掲載しない場合、オンラインショップにおける購入率の大幅な低下につながる可能性が高いと考えられます。

一方で、「インフルエンサーによる推奨」や「テレビでの紹介」が単独で購入の決め手となるケースは少なく、補助的な要素として機能していることが示唆されます。これらの要素は、直接的な購買行動よりも、商品ページへの集客や認知度向上に貢献していると考えられます。

8.  商品ページで最も購入に影響した要素(女性)

商品ページで最も購入に影響を与えた要素について、女性のデータを集計した結果、男性との間に大きな差は見られませんでした。

「利用者の声」が購入意欲を最も高める要素として挙げられた割合は70%に達しました。一方で、30%のユーザーはレビューを重視していない可能性も示唆されます。 その背景には、商品ページに掲載されたレビューへの不信感や、評価が二極化していることで判断が難しくなるといった要因が考えられます。そのため、一部のユーザーはレビューを参考にしない傾向があるのかもしれません。

また、「購入者のSNS投稿」は「利用者の声」と似た要素であると考えられますが、影響を受けたと回答したユーザーは3%にとどまりました。 SNS投稿は、興味や購買検討のきっかけとして機能する一方で、最終的な購入の決め手としては、より具体的で信頼性の高い購入者のレビューや高い評価が優先される可能性があります。

9.  商品ページで最も購入に影響した要素(男性)

商品ページで最も購入に影響を与えた要素について、男性のデータを集計した結果、女性に比べて割合は約10%低いものの、「利用者の声」が最大の決め手となりました。 また、「ブランド名・会社名」や「ランキング」を選択した割合は、女性よりもやや高い結果となりました。

一方で、女性に比べて「利用者の声」が決め手とならないユーザーが多く、一部の男性においては、レビューや評価の高さよりも、ブランド名や会社名が購入意欲を高める可能性があります。 これは、周囲の評価に合わせるのではなく、自身の好みや趣向に合うブランドや会社の商品を選択する傾向や、ブランドのステータスを重視する消費傾向が影響していると考えられます。また、「研究結果の掲載」や「実店舗の存在」は信頼の証にはなるものの、商品自体の比較が難しく、直接的なメリットや価値を感じにくいことから、購入の決め手にはなりにくい可能性があります。

おわりに

本調査を通じて、消費者が商品ページ閲覧時に購入意欲を高める要素や、性別による購買行動の違いが明らかになりました。

特に、「利用者の声」が最も購入意欲を高める要素であり、「ランキング」「ブランド名・会社名」とあわせた3つの要素を基に購入を決定する消費者は、全体の約80%にのぼります。

また、消費者は平均して3つ以上の要素をもとに購入判断を行っており、購入決定の直接的な要因となる要素と、補助的な要素に大別されることも明らかになりました。

これらの調査結果を踏まえると、販売している商品ジャンルごとに、消費者がどの情報を重視し、何を決め手に購入するのかを見極めた上で、適切な商品ページを構築することが重要であるといえます。

本調査の結果が、貴社のEC運営やマーケティング施策の改善に少しでもお役立ていただければ幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。

株式会社TOKYO GATEは多くの過去実績を保有するECのプロフェッショナルが集うECマーケティングの専門家集団です。マーケティング戦略の立案から施策の実行、PDCAまでを総合的に支援します。

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