
皆さん、こんにちは。
ライブコマ―スのインフラ化を目指す株式会社Cellestの代表取締役CEO 佐々木です。
今回は、弊社のユーザーを対象に行った「ライブコマース利用実態調査」の結果から考察した、ライブコマースをECへ活用する方法をお伝えしたいと思います。
本記事で通常のECにはないライブコマ―スならではのメリットとユーザーの意識を掴んでいただき、EC事業に新たにライブコマースを取り入れることや、既に取り組んでいるライブコマース事業を改善するきっかけにしていただければ嬉しいです!
佐々木 宏志
株式会社Cellest
代表取締役CEO
高校卒業後、2年間勤めていた会社を退職し、同志社大学へ進学。在学中の2017年にライブコマースを始め、卒業後の2019年に株式会社Cellestを設立。当社のコンセプト「細胞(cell)を最大化(-est)」のもと、事業の枠組みを超えた繋がりによる相乗効果で企業価値の最大化を目指す。
株式会社Cellest
https://cellest.co.jp/
この記事の目次
調査概要
調査方法:自社調査(Webアンケート)
調査対象:「ぞうねこちゃんねる」・「アヒルのライブマーケット」ライブ配信視聴者(有効回答数:961名)
調査時期:2024年8月28日~2024年9月4日
アンケート回答者:女性945名・男性4名・無回答12名
※グラフ内の各割合は全体に占める回答者の実数に基づき算出し、四捨五入で表記しています。そのため各割合の合計は必ずしも100%とならない場合があります。
本調査は1年前の同時期にも実施しており、比較する形でライブコマースに対する意識や利用方法がどう変容したのかを測ることを目的に実施しました。
ライブコマースの実情から見える利用方法や改善策
現在、ライブコマースは消費者に新たな購買体験を提供する手法として世界各地で成長を続けています。最も勢いのある中国の市場規模は40兆円を超えるといわれており、日本でもライブコマースの利用(購入する側も配信する側も)が今後急増していくような兆しを、ここ1,2年で感じています。
私は2017年からライブコマースに取り組んできましたが、増加する利用者の状況や意識は刻々と変化していることを感じており、そのトレンドをタイムリーに把握することが重要だと考えています。調査結果の中から、いくつかの象徴的なトピックスをご紹介します。
ライブコマース利用者=EC利用者!?どっちも利用している人が大半!
「ライブコマース以外に普段利用するもの」という質問に「ECモールを利用する」と答えた人が86.9%に達しました。
これはEC利用者にライブコマースのメリットが伝わり、利用するトレンドが生まれつつあることを示していると考えられます。

そもそもECとライブコマ―スではショッピングスタイルに大きな違いが存在します。
ECは目的に合った商品を選ぶ「ToDo型ショッピング」であり、ライブコマースは配信者とのやり取りを楽しみながら店舗での買い物に近い感覚を味わえる「エンタメ型ショッピング」です。
「ToDo型ショッピング」では明確にどんな商品が欲しいのか、イメージ通りなのかを把握したうえで購入しなければならず、この「商品選択の難易度の高さ」が課題になりがちです。
その点、ライブコマ―スでは、商品の使い方の説明やデモンストレーション、視聴者の質問にリアルタイムで答えることで、「商品選択の難易度の高さ」や「イメージのずれ」を解消し、満足度の高い購買体験を提供することが可能です。
また、ライブ配信者とのやり取りを楽しめるエンタメ性は、新規層へのアプローチにつながり、顧客拡大に繋げることもできます。
EC事業者にとって、いまやライブコマースは導入を検討すべき手段の一つになりつつあります。ライブコマースを積極的に取り込み、ECのチャンス拡大を狙ってみてはいかがでしょうか。
35歳以上の利用者が79.4%!年齢層は実は幅広い!
チャンネルの扱う商品によって年齢層にばらつきは出ますが、決してライブコマースはZ世代などの若い世代だけが楽しむものではありません!

図2をご覧いただくとおわかりいただけるように、世間のライブコマースのイメージに反して、想像以上に35歳以上の利用者が多く、幅広い年齢層の利用者がいらっしゃいます。
特に2024年のデータでは2023年と比較したときに45歳以上の利用者が増えています。これはシニア層にスマホ普及が進んでいることが背景の一つであると考えられます。
しかし、その一方で前述したように「商品選択の難易度の高さ」はシニア層にとっても変わらず課題として存在します。もしかすると、他の世代以上に大きな課題だと感じている層かもしれません。そんな中であっても、ライブコマースはシニア層を取り込んでいます。テレビショッピングに近いショッピングスタイルとして馴染みやすいのかもしれないですね。
(「図1:ライブコマース以外に普段利用するもの」のテレビショッピング利用者層が伸びていることからも推察できます)
EC=Z世代のようなイメージがあるかもしれませんが、ライブコマースがターゲットにできる年齢層はかなり幅広いため、さまざまな場面で活用することができます。
例えば……
- 若年層をターゲットにしたカジュアルな商品ラインナップだけでなく、健康器具や高品質な食品など、年齢層のニーズに応じた商品選定が可能になる。
- シニア層が使いやすいインターフェースやサポート体制を充実させることで利用を促進できる。
- シニア層をターゲットにしている企業様でもライブコマースを使ってみる価値はある。
など、イメージではなく実情として、戦略に組み込んでみてはいかがでしょうか。
ECでもモノ消費からコト消費へ?ユーザーが欲しいのは商品と知識!
ライブコマ―スの視聴理由を調べると「商品の情報を得たい」が73.6%と高い水準を示し、「知識やスキルを得たい」が2023年の13.2%から23.3%に上昇しています。このことから通常のお買い物よりも、知的体験を欲するお客様が多いことがわかります。

先にも書きましたが、ECは「ToDo型ショッピング」であり、ライブコマースは「エンタメ型ショッピング」です。ECでの買い物は単なる消費行動でしかありませんが、ライブコマースでの買い物は「お買い物体験」になりえます。
ライブコマ―スを通して商品の知識を得る知的体験、コマーサーや他の視聴者とコミュニケーションすることで感じられる楽しみやエンタメ性といったポジティブな体験が、ただのお買い物を「お買い物体験」に引き上げ、また今度もここで買い物したいと思っていただけるきっかけになるということをアンケートでは示しています。
例えば、料理教室形式で調理器具を紹介したり、美容に関する豆知識を交えながら化粧品を販売したりするなど、ユーザーが楽しみながら学べるコンテンツを提供できると、ユーザーとのエンゲージメントを深めながら、消費モチベーションを高められるかもしれません。
ライブコマ―スの課題。見えているものは改善を!
ライブコマースにも課題はあります。
「ライブコマ―スについての不満」を聞いたところ、「商品の写真や映像が不十分」が36.6%、「配送に関する問題」が24.6%、「コメントに対する回答がない、または遅い」が20.4%と高い数値を示しています。

ライブコマ―スはお買い物の手法です。購買フローをしっかりと確立し、ユーザビリティの高いサービスの提供を忘れてはいけません。
またそれと同時に、映像コンテンツ・ライブコンテンツでもあります。配信インフラや視聴者とのコミュニケーションについて常に意識をして、面白く、見やすい配信づくりを心掛けなければいけません。
アンケートではお買い物・映像コンテンツ双方からの不満が寄せられています。つまりどちらもおろそかにはできず、どちらかが欠ければ売上の最大化は図れないことを示しています。
どちらも成立させるためには、経験値やノウハウ、積み上げてきた知見が重要です。ライブコマースの導入を検討されているEC事業者の方や、すでにライブコマースに取り組んでいる事業者の方には、このコラムでも使用している「ライブコマース利用実態調査」の調査レポートをダウンロードしてお役に立てていただければと思います。
また、ライブコマース導入・改善について疑問があれば、弊社へお気軽にお問い合わせください。
まとめ:ライブコマースが新たな購買体験を築く可能性
ライブコマースと既存のECの違い、ライブコマースの特徴やメリットをしっかりと把握したうえで、EC・ライブコマース事業の課題を振り返ってみてください。
2025年はライブコマ―ス元年になるとも言われています。この機会に、ライブコマースが築く新たな購買体験の可能性を探ってみてください!
今回ご紹介したデータは「ライブコマース利用実態調査結果レポート2024」として、株式会社CellestのHPよりダウンロード可能です。本記事のデータ以外にもさまざまなデータを収録しておりますので、ご希望の方はHPをご覧ください。
ライブコマース利用実態調査結果レポート2024
https://cellest.co.jp/2024/11/05/671/
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