ECサイトのユーザーニーズを知る「行動解析」の基本

商売をする以上、ユーザーが何を求めているかという「ニーズ」を知ることは何よりも重要です。ECサイトでは、サイトに訪れるユーザーの「行動解析」によってニーズを把握することができます。今回は、ユーザーの行動解析の種類、解析結果に基づく改善内容、施策の事例やポイントについてご紹介します。

ユーザーのニーズを知る重要性

もしユーザーのニーズがわからなければ、何を根拠にどう提案すれば良いでしょうか?あいまいな根拠や経験則でコストをかけて実施した施策が、蓋を開けてみればほとんど効果を上げられず、非効率に終わってしまっている可能性もあります。反対に、あまり期待していなかった施策が、意外と効果を上げていたということもあるのではないでしょうか。ニーズがわからない状態で施策をおこなうことは、地図を持たずに目的地を目指すようなものです。

ユーザーのニーズを知る重要性

目的地とはもちろん、ユーザーに気持ちよく商品を購入いただくことです。ユーザーのニーズは、目的地までの道筋を示してくれるのです。

代表的な解析の種類

ユーザーのニーズを理解するための基本となる、6つの解析をご紹介します。解析はひとつの軸だけではなく、ユーザーの状況(新規かリピーターかなど)やデバイス、状態(買い物かごへの投入状況など)、会員ランクや過去の購入状況など様々な観点を掛け合わせて解析することが重要です。

代表的な解析の種類

① 流入元の解析

ユーザーが何を経由してサイトに来訪したかを解析します。広告経由や自然検索、既存ユーザーならばメールマガジンやアプリ、LINEなど、様々なチャネルがあります。

② 新規/既存ユーザー解析

ユーザーが新規の訪問であるか、何度か購入したことがあるユーザーかを区別します。商材や状況によって新規か既存のどちらに注力するかは変わります。例えば戦略上、新規獲得に注力する場合は新規ユーザーにフォーカスした分析を行います。

③ 利用デバイス解析

ユーザーがどのデバイスを利用しているかを解析します。サイトによってはスマホが9割を超える場合もあります。どこにリソースを割くべきかを判断する材料となります。

④ かご落ち解析

ユーザーが商品をかごに入れているかどうか、また、入れてそのままの状態になっていないかを解析します。かご落ちはコンバージョンに最も近い状態ですので、改善することで売上向上に大きく寄与します。

⑤ リピート解析

ユーザーをこれまでの購入回数ごとに区分します。初回購入から2回目購入、2回目購入を3回目以上へ引き上げる際の目安になります。

⑥ RFM解析(ユーザーのカテゴライズ)

ユーザーをグループにカテゴライズする解析です。区別する軸は3軸あり、R(Recency:最新性)・F(Frequency:購入頻度)・M(Monetary:購入金額)によってグルーピングします。たとえば、購入金額が多く高頻度で購入している「優良顧客」や、過去に高頻度で購入していたが最近は購入してくれていない「離反顧客」などに区分できます。重点的にフォローすべきユーザーグループを把握する際に活用する手法です。

自社の状況や課題に応じて必要な解析軸は異なるため、ひとつの解析に留まらず大きな観点からボトルネックを追い込み特定していくのが良いでしょう。

解析する際のユーザー行動の考え方は、実店舗を参考にすると分かりやすいと思います。
「どこから来ましたか?」「初めてですか?」など実際の接客の現場で利用される言葉や、来店から購入までのプロセスを観察して得られる洞察をデジタルに反映しましょう。

ご紹介した解析はいずれも基本的なものですが、それぞれの解析軸をかけ合わせることでより細かくユーザーの行動を理解できます。

解析を行った後改善する内容

いくら行動を解析してユーザーを理解しても、それだけで終わってしまっては意味がありません。解析結果から改善につなげるためのアクションをあわせて設計することで、成果につなげることができます。

例えば、解析によって課題を抽出することで、導線のボトルネック解消やWeb接客による訴求の強化、レコメンドによる商品提案、メール配信による集客強化など様々なアプローチを検討できます。

多くのECサイトよく実施されている施策が「クーポン配布」による購入促進です。今回は、この「クーポン配布」施策を例に、ここまででご紹介した解析軸を利用して具体的な改善についてご紹介します。

施策の例:クーポンを効率的に配信する

クーポンの配布は購入を促進し、売上を伸ばすための強力な施策です。しかし、配信の設計を誤ってしまうと定価を壊しかねない、いわゆる安売りやブランド価値の毀損に繋がる可能性がある諸刃の施策でもあります。


例えば、集客用に全顧客に期間限定で配布している場合、配布数を増やすと利益を圧迫してしまいます。また特定のユーザーにだけ購入促進のために配布する場合でも、クーポンの効果が薄いユーザーに提示してしまうと、そもそも購入促進に至らず非効率となってしまいます。

クーポンを配布して効果が出やすいユーザー、つまり、あとひと押しあれば購入する可能性が高いユーザーをどう特定して、アプローチをするかを考える必要があるのです。

では、クーポンを配布するユーザーを特定するにはどう解析すればよいのでしょうか。必勝パターンはありませんが、先述した流入元や新規/既存、購入回数またはかごに商品が入っているかなどを解析して、クーポンを配布すべきユーザーを特定することができます。

施策の例:クーポンを効率的に配信する

クーポンを配布すべきユーザーの例

「過去にサイト訪問履歴がある」が「購入履歴がない」、しかし「かごに商品を入れている」ユーザー。かご落ちを未然に防ぐために、クーポンを配布して購入を促進しましょう。

クーポンを配布しないユーザーの例

流入元は「メルマガ」で、すでに会員登録をしていて「過去に数回購入履歴があり」「購入頻度の高い優良顧客」に該当するユーザー。クーポンを配布しなくても自ら購入する可能性が高いので、配布により利益率を下げる必要はありません。

どうすれば一番利益を確保しつつ購入促進につなげられるかを高確度で判断するために、様々な切り口でユーザーの行動やニーズを把握するようにしましょう。

自社の課題にあった解析を

解析にセオリーはありません。例えば一般的にコンバージョンが高い媒体経由でも、自社に照らし合わせ解析すると低い場合もあります。また、自社でこれまで通用していたセオリーのユーザーでも、時間が経てばユーザーの状況や自社サイトの状況が変わっている可能性もあるでしょう。常に「自社の抱えるユーザーと自社のサイトはどうなっているか?」を把握してできるだけリアルタイムに解析することが重要です。

解析に関して注意したいポイント

以下は解析に関するよく耳にする誤解です。

  • データを広く取得するほど高精度な解析ができる?

いいえ。広く集めすぎるとかえってノイズになる可能性があります。そのデータは本当に必要で、見たかったものでしょうか?

  • 過去からずっと取得し続けたデータのほうがよい?

いいえ。過去も重要ですが、何よりもユーザーの今を知ることが大事です。
今のデータをリアルタイムで処理することで、効果的な施策が可能です。

  • 後で何かに使うつもりでとりあえずデータを取得している?

いいえ。今取得して解析しようとしているデータは正確に取得でき、信頼できるものでしょうか?同じ値でも取得の方法が違うだけで、大きな問題になってしまいます。何にどう使うか、どのためにどこまでの精度が必要か?を設計する必要があります。

冒頭でお伝えしたとおり、正確にユーザーニーズを解析できれば「目的地を示す地図」ができます。目的地までの道には非常に複雑な工程がありますが、確実に前に進むための重要な施策です。

ECサイトユーザーの行動解析はFanplayr

Fanplayr(ファンプレイヤー)はユーザーの行動を分析しアクションによって成果改善を強みとしています。前述のとおり、事業課題やフェーズに応じて、テコ入れする課題は様々で、同じものはありません。Fanplayrのユーザー行動解析サービス「解析スクラム」では、クライアント企業の目指すゴールに対してオーダーメイドで最短距離の解析と改善のためのアクションを行うメニューがあります。ぜひご相談ください。

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