「検索ロジックの評価軸から考える楽天SEOと集客戦略」についてコマースメディアの平田さんと鈴木さんにお聞きしました
インタビューの概要

「検索ロジックの評価軸および楽天市場における検索SEOの考え方の情報公開に関するご案内」が24年10月に公開されました。なんで今になって?新しい情報はあるの?SEOだけやっていればいいの?などなど、疑問がたくさん浮かんできますので株式会社コマースメディアの平田さん、鈴木さんのお二人にお聞きしました。

お二人の業務内容

森野
楽天SEOについての新しい情報公開があったということで、その背景や実際の影響について、コマースメディアの平田さんと鈴木さんにお話を伺いたいと思います。まず平田さん、普段どのようなお仕事をされているのでしょうか?
平田さん
はい、私は主にコンサルタントとしてお客様のEC支援を担当しています。楽天市場やYahoo!ショッピング、Amazon、そしてShopifyのような自社ECまで、さまざまなプラットフォームにおいて販売支援や運営代行を行い、お客様の売上を伸ばすお手伝いをしています。
森野
すごく幅広いですね!それぞれのモールに合わせた戦略を考えるのは、かなり大変そうです。
平田さん
モールによってルールも違えばユーザー層も異なりますからね。各プラットフォームに最適な施策を立てたり、商品ページの作り方やコンテンツを変えたり、場合によっては広告の出し方まで工夫をします。
森野
大変だ…。鈴木さんはどのような業務をされているのでしょうか?
鈴木さん
私も基本的には同じで、クライアントの売上や運営支援を行っているのですが、お客様によってはもっと細かいところまで関わっています。物流管理やカスタマーサポートもしますし、原価を元に価格設定のアドバイスまで、売上のために必要なことは何でもやります。
森野
価格設定までですか!本当に細かいところまでサポートされているんですね。楽天や他のモールも見ながら、SEOや広告も考えてとなると、いろいろな知識が必要ですね。
鈴木さん
そうですね。GA4などのデータも使いながら、各モールのSEOの癖も把握して改善提案しています。

楽天SEOの重要性と集客の要素

森野
楽天では集客方法が増えているのですが、楽天SEOは今でも重要度は高いのでしょうか?
平田さん
はい、楽天のSEOは依然として重要です。楽天市場での購入時の流入経路は検索(楽天サーチ)が1位です。多くのお客様がまず検索で商品を探します。楽天の中で「検索する」という行動が、スタート地点として定着しているので、検索結果で上位に表示されると、流入数が全然違います。
森野
なるほど、確かに「楽天内検索」で、商品を見つけることが多いかもしれません。そもそも楽天の広告だけだとやはりクリック数が少ないですしね。
鈴木さん
そうですね、ランキングや広告枠などの露出もあるのですが、自然検索での流入はかなり大きいですね。実際、楽天では検索結果で上位にある商品ほど目につきやすいですし、購入につながる可能性がぐっと上がります。
森野
品番の検索でほしい商品を検索するときもありますが、ざっくり検索して、目についたものをクリックすることも多いですもんね。
平田さん
その通りです。楽天でSEOが重要なのは、検索が購入動線としてすごく強力だからなんですよね。なので、SEOの改善がそのまま売上の増加につながります。楽天では売れる商品が検索上位に表示されやすいため、SEOの効果が出て検索上位に表示されるとアクセスが増えてまた売れるという良いループが起こります。逆に、売れないと順位が上がりにくいことが難しさでもあります。これは楽天に限らず、モール系のSEO全般に言えることです。

楽天の検索アルゴリズムが公開された理由

森野
今回の検索アルゴリズムの公開について、今になって楽天が情報を開示する必要があったのかな?と思ったんですが、何か背景があるのでしょうか?
平田さん
確かに「今さら?」って思いますよね(笑)。これまでは楽天SEOの隙間を突くようなテクニックが通用していた部分もあったのですが、楽天はAIを活用した最適化に力を入れていってハックされにくくなりましたので、情報公開がしやすくなったのかなと思います。最強配送に対応した商品の検索優遇の話も出ており、店舗側から「何が検索順位に影響するのか?」と、問い合わせも増えていたのではないでしょうか。
森野
「隙間を突く」テクニックって、どんな感じのものですか?楽天特有の技とかあったのでしょうか?
平田さん
以前は「やたらめったらキーワードを入れておけばOK」みたいな時代もありました(笑)。でも、最近はAIで精度が上がって、商品内容と関連がないキーワードを入れても逆効果になる可能性があります。
鈴木さん
精度が高くなった分、最近はAIで評価もかなり厳しくなっている印象ですね。だから、広くユーザーにアプローチしたいからといって、商品内容に合わないキーワードを入れたりするのはもう通用しにくくなっています。
森野
テクニックだけのSEOではないということを楽天がユーザーに伝えたくなったのかもしれないですね。
平田さん
そうかもしれませんね。これまでも、公式ヘルプの「店舗運営Navi」や「楽天大学」に検索キーワードの対象項目などは公開されていましたが、配送スピードなどの新しい影響要素はマニュアルに反映されず、不明瞭な部分がありました。公式情報以外にも、店舗運営者の間では「このあたりが大事らしい」と非公式のハックが共有されていましたが、正式に方針が示されることで、SEOの施策がよりやりやすくなった面もあるかもしれませんね。

楽天SEOの評価項目とその比重

森野
公開された資料を見ると、評価基準が「商品情報の品質」「ショップの実績」「カスタム指標」「規約ガイドライン」に分かれていますけど、それぞれの項目は同じ重みなのでしょうか?
楽天が公開した検索ロジックの評価軸
楽天が公開した検索ロジックの評価軸
平田さん
実際のところ、比重は公開されていません。これまでの基準も時期によって「何が重要か」が変わってきているので、今回も状況によって変わる可能性があると思います。
森野
そうなんですね。公開されていないなら「均等」って考えて良いのか、もしくは目安があるのでしょうか?
平田さん
なんとも言えないのですが、ハック的に比重を考えるよりは「ユーザーを満足させるには?」と考えるほうが結果的にSEOにつながると思います。

SEOの基準を決めるのは楽天なので、楽天が継続的に儲かるように項目や比重は設定されますよね。楽天は店舗からの出店料+売上に対する手数料+広告費で儲けています。ユーザーの欲しいものが楽天で見つかり、継続的に買い続けてくれて店舗が儲かると楽天も儲かります。全員がハッピーな状態ですね。ユーザーのほしいものが検索で見つかる=ユーザーのニーズにマッチする商品=「売れると想定される商品」が上位に表示されます。「売れると想定される商品」の要素を分解すると4つの項目になるという流れです。

4つの項目の図で「土台」に「規約・ガイドライン」があるのは「一番大事」と示しているわけじゃなく、あくまで基礎で「守らなければアウト」ということだと思います。逆に、商品情報や実績のほうは、きちんとした情報と評価が求められるポイントといえますね。
森野
違反を避けるのは店舗として当然のことですよね。実績はどのあたりが評価されるのでしょうか?
鈴木さん
そうですね。販売実績であったり、購入者の評価やレビューが高いと、商品の実績が良いと判断されます。さらに「カスタム指標」という、楽天の戦略に応じて変わる指標もあるので、モールの施策に沿って力を入れている店舗は自然と評価も高くなるとされています。

商品情報の品質とキーワード詰め込みのリスク

森野
次に、「商品情報の品質」について伺いたいのですが、以前はキーワードをとにかく多く入れるのが効果的だと先ほどお聞きしました。今もその戦略って有効なのでしょうか?
鈴木さん
いえ、最近はキーワードをやたらと詰め込むと、逆効果になるケースが増えていますね。楽天から公開されたガイドラインでも「関係のないキーワードの多用は逆効果」とされていて、クリック率が低い、購入につながらない商品ページは順位が下がりやすくなります。商品に関係があるキーワードを自然に入れることが求められる時代ですね。
森野
なるほど。そうすると、クリックされても購入に至らないと評価が下がる…クリック率とか購入率も意識しないといけないんですね。難しいなぁ…。
鈴木さん
そうですね。楽天も「ユーザーが求めている商品をすぐ見つけられるように」という方向でシステムを改善しているので、キーワードが多いだけでなく、適切に配置されているかも見られています。なので、せっかくSEO対策をしてページに呼び込む道筋を作っても、ユーザーが「これじゃない」と思って離脱してしまうと、その商品ページの評価が落ちてしまいます。。
森野
ユーザー目線だと「キーワードを詰め込んだだけのページ」って見にくいですよね。見たとしても買う気にならないかもしれませんし。
平田さん
まさにその通りです。今は購入につながる流れがしっかりしていないと意味がなくなってきています。リアルの接客で、ユーザーが欲しくないものを提案しているような状態ですね。
鈴木さん
SEOが全てではなく、商品そのものの魅力やページの情報量も大事です。楽天SEOも、Googleの検索アルゴリズムと似てきた印象ですね。

クリック率と転換率を上げる工夫

森野
クリック率や転換率を上げるにはどうすればいいんでしょうか?楽天の商品ページだと、価格順や画像も似たようなものが並んでいるので、目立たせるのが難しいですよね…。
鈴木さん
そうですね、楽天の商品ページでは視認性がとても重要です。ガイドラインを守りつつも、できる限り目立つように工夫する必要があります。例えば食品の場合は、商品の魅力が伝わりやすい「シズル写真」を使ったり、湯気が立っている画像などで「美味しさ」を演出する方法があります。また、それ以外の商品でも実際にユーザーの手元で使用するときのイメージがわかりやすく伝わるような画像すると良いですね。
森野
シズル感や使用イメージで興味を持たせるわけですね。なるほど。ただ、全商品でそれをやるのはコストもかかるし、大変ですよね。どれから始めればいいのでしょうか?
平田さん
やはり、注力商品を決めてそこから始めるのが良いですね。お店の看板商品や売れ筋の商品にまず力を入れて、そこに顧客を引き込む形で。他の商品は後から対応していけば良いですし、まずは「この商品を見れば店の特徴がわかる」というアイコン的な商品を整えるのが現実的です。
森野
確かに、全商品にコストをかけて改良するのは非現実的ですが、注力商品が目立つと、そこから他の商品も興味を持ってもらいやすいですね。
鈴木さん
そうですね。楽天では、店舗に訪れたユーザーが別の商品にも目を向けるような仕組みがあるので、まずは看板商品から。結果的にその商品の評価が上がれば、店舗全体の印象も良くなりますから、楽天の店舗内での巡回性を活かした戦略が効果的です。
森野
なるほど、注力商品をきっかけにして、店舗の他の商品を巡回してもらう形なんですね。

カスタム指標の不透明さと楽天側の戦略

森野
今回の基準の中に「カスタム指標」が加わっていますけど、これはどういう意味なんでしょうか?悪い言い方をすると、楽天側が「自由に操作するための基準」という感じがするのですが。
鈴木さん
このカスタム指標に関しては、詳細が公開されていなくて曖昧なところが多いですね。「ビジネス戦略に応じて条件を満たした商品が優遇される」とは書かれていますが、その条件自体がブラックボックス化されています。つまり、「楽天が今、推したい条件」を満たした商品が優遇されるということかもしれません。
森野
つまり楽天が何らかの戦略を打ち出したときに、それに合った商品が上位に来やすいようにするための指標、という感じでしょうか?
平田さん
そうとらえておくのが妥当だと思います。最近、楽天は「最強配送」サービスを推しているので、配送スピードが早い商品が優遇されている可能性はあります。あくまで推測ですが、今後も楽天の重点施策に合わせて変わる可能性があります。
森野
楽天の戦略次第で評価が変わるとなると、店舗側も対応が大変ですよね。戦略が変わったら急に商品の順位が下がることもあるわけですから。
鈴木さん
過去にも「39(サンキュー)ショップ」など、楽天が独自に打ち出した施策に乗った店舗が一時的に検索上位に上がることがありました。なので、楽天が特に推している施策には、可能であれば合わせておくのが安全かもしれません。
森野
それが「カスタム指標」というわけですね。でも店舗側からすると「合わせろ」と言われても急に全部変えられないし、困りますよね。
平田さん
特に物流や配送の部分は一朝一夕で対応できるものではありませんからね。ただ、事前に情報は出てきますので、楽天側の新しい施策が出てきそうなときには、すぐに対応できるように準備を進めておくのが良いと思います。

楽天ガイドラインの重要性と店舗の対応方法

森野
「規約ガイドライン」については、どの店舗も基本的には守っていると思うのですが、うっかり引っかかってしまうケースもあるのでしょうか?
平田さん
はい、ありますね。意図せず違反してしまうこともあります。楽天は、違反に対して「違反点数」を加算するシステムを採用していて、点数が溜まっていくとペナルティが発生する仕組みです。すぐにペナルティを受けるわけではなく、楽天から「違反しています」という通知が来て、一定期間内に対応すれば基本的には問題ないです。
森野
それは安心ですけど、通知が多すぎて重要な連絡を見逃しちゃうこともありますよね…。
平田さん
確かに、楽天からの通知メールはかなり多いんですよね。販促情報やサービスの営業案内まで混ざってくるので、大事な通知を見落としがちになります。通知メールをラベル分けするなどして、重要な情報は確実に目に入るようにしておいたほうがいいですね。週刊サポートニュースも、前述の「カスタム指標」に関わる情報や重要な機能のアップデートが通知されるので必ず目を通すことをおすすめします。
森野
店舗運営側も見落とさない工夫が必要ですね。楽天側のガイドラインってどれくらい厳しいのでしょうか?また、どのような違反が多いのでしょうか?
鈴木さん
基本的には「不正なレビュー依頼」とか「誤解を招くような商品情報」がよく見られますね。悪意がなくてもガイドライン違反になるケースもあって、例えば値引き情報を誇張してしまったりすると違反扱いされることがあります。
森野
うっかり違反になる可能性があるから、やっぱり注意が必要ですね。例えば「少しでも多く商品を見てもらいたい」と思ってやった施策が、実はガイドライン違反だったりすることもあるんですね。
平田さん
そうですね。ガイドラインの遵守が順位に影響しますから、しっかり確認しておくことが大事です。

検索順位が上がらない場合のチェックポイント

森野
SEOを頑張ってもなかなか検索順位が上がらないこともありますよね。そういうとき、まずどこからチェックして改善を試みればいいのでしょうか?
鈴木さん
SEOに商品とショップの販売実績が影響するため、売れないと順位が上がりにくく、新商品などは苦労するケースが多いです。

まずは実際に自店舗にどういったキーワードで流入しているかを確認することが大事です。楽天の公式ツールでは店舗全体・商品ごとの流入キーワードが確認できるので、注力商品であれば、その検索ワードでどれだけのユーザーが入ってきているかを見てみます。狙っているキーワードでの流入が少なければ、その原因を探る必要がありますね。
森野
自分が狙ったキーワードで全然検索に出てこない場合はどうしたらよいですか?広告を使うとか?
鈴木さん
そうですね。例えばRPP(検索連動型広告)を使ってみるのもひとつの方法です。RPPで指定したキーワードで出稿して、実際にアクセスを集められるか試してみるんです。こうすることで、SEOだけでなく、広告を通じて意図的に検索結果に表示させることも可能になります。
平田さん
RPPで反応が良かったキーワードを元に、商品ページの改善をしてみるのも手ですね。通常、楽天の管理画面で商品ごとの流入キーワードを見る場合、検索経由のアクセス上位30商品のみ・各商品の5個までのキーワードの実績しか確認できません。指名検索が上位を占めて、自分が分析したいキーワードが確認できません。RPPを使うと、出稿したキーワードで実績が確認できるため、自然検索での流入を増やす手がかりになります。費用対効果が把握しやすいので、自然検索と併用しながら最適化を進めていくと良いです。
森野
RPPを使ってどんなキーワードで反応が良いか見て、SEOにもその結果を反映させていくという流れですね。それでも自然検索からの流入が増えない場合は、どうすればいいんでしょうか?
鈴木さん
次のステップとしては、商品ページ自体を見直してみることが必要です。先ほども触れましたが、SEOには商品とショップの販売実績が影響するため、実績を積まなければ検索順位は上がりにくく、流入も増えにくいからです。たとえば、クリックされた後に購入まで至っていない場合は、商品ページのコンテンツや見せ方に問題があるのかもしれません。商品の画像や説明文がユーザーにとって魅力的に映るか、わかりやすくなっているか、こうした点を検証することで、転換率の改善を図るのが有効です。
森野
いくらSEOを頑張っても、商品ページそのものがユーザーに響かなければ購入されないですもんね。具体的にどんな改善が効果的ですか?
鈴木さん
商品の写真を高画質でわかりやすいものに変えたり、商品の特徴が伝わるような説明を充実させたりすると良いですね。特に商品説明はユーザーが購入する際の判断材料になるので、シンプルでわかりやすく、かつ商品の魅力が伝わる内容を意識してみてください。
森野
最終的には商品ページの内容や魅力も含めてトータルで見直すことが必要なんですね。

楽天SEOにおけるツールの活用方法

森野
検索順位を確認したりキーワードの効果を測定したりするとき、公式ツールだけだとわかりにくい部分もありますよね。例えば、外部の非公式ツールを使うことはどうですか?
鈴木さん
非公式ツールをうまく活用するのも手ですね。楽天の公式ツールでは、店舗や商品ごとの流入キーワードはわかりますが、細かい分析が難しいこともあります。ツールを使えば、自店舗の商品の表示順位や、対策すべきキーワードがわかります。楽天のサジェストキーワードを確認するとユーザーがよく検索する言葉が把握しやすくなります。
森野
なるほど、サジェストキーワードがわかると、今ユーザーがどんな言葉で商品を探しているかがより具体的にわかるんですね。使いやすいですか?
平田さん
無料・有料含めて実用的なツールがありターゲットがよく使うキーワードが見えてきます。これがわかると、SEO対策として商品名や説明文に取り入れるべきキーワードの候補がはっきりします。
森野
他のツールと併用することで、よりリアルな検索意図に沿ったSEO対策ができるわけですね。楽天ではこういった外部ツールの使用はOKなのでしょうか?
鈴木さん
楽天は一応、公式の「RMSサービススクエア」などで公式推奨ツールを紹介していますが、サジェストキーワードなど非公式ツールの利用については特に推奨も禁止もしていませんね。自分たちで確認して活用する分には問題ないと思います。
森野
なるほど、自己責任でやる感じですね。でもやっぱり、楽天のSEO対策には公式ツールと非公式ツールを使い分けていくのが、結果的には一番効率的ということなんですね。

楽天SEO以外の集客方法とその活用法

森野
楽天SEO以外にも、集客にはいろいろな方法があると思いますが、基本はRPPやメルマガなどがメインなのでしょうか?
平田さん
基本的にはまずRPPで商品を露出させ、そこから集客の手助けをするのが一般的ですね。メルマガもありますし、最近だとSNSやインフルエンサーを活用する店舗も増えています。特にRPPは楽天内のユーザー向けなので、アクセスを増やすために手軽に使える広告ツールですね。
森野
なるほど、RPPだと特にターゲットが楽天のユーザーだから、効果が出やすいということですね。
鈴木さん
RPPは設定が比較的簡単ですし、Google広告ほど複雑なターゲティングやキーワード設定も必要ないので、誰でも始めやすいです。また、RPPでは特定のキーワードに出稿することで、広告のパフォーマンスも確認しやすく、費用対効果も把握しやすいので、特にSEOと組み合わせて使うと効果的です。
森野
じゃあ、SEOで狙っているキーワードがRPPでも活用できれば、自然検索での流入も増やせるし、広告効果も高まるわけですね。
平田さん
そうです。RPPで反応が良かったキーワードを元にSEOを強化して、最終的に自然検索で上位を狙えるようにしていく流れですね。もちろんメルマガやSNSも活用できますが、即効性のあるRPPをまずはうまく使って、SEOと並行して動かしていくのが一番手軽かつ効果的だと思います。キーワードの分析だけでなく、RPPを活用して売れれば検索順位も上がやすくなります。
森野
SEOだけに頼らず、広告やSNSなども絡めて、全体的に楽天内での露出や実績を増やす工夫が必要ですね。

楽天の配送スピードと検索順位の関係

森野
楽天で「最強配送」が導入されましたよね。これは検索順位に影響しているのでしょうか?やっぱり配送が早い方と順位が上がりやすいのでしょうか?
平田さん
今の段階では「最強配送」が絶対的な条件にはなっていない印象です。例えばYahoo!ショッピングだと「優良配送」が検索順位に大きく影響し、対応していない商品はほとんど上位に出ないですが、楽天ではそこまでになっていないですね。最強配送に対応していなくても、元々売れている商品なら順位が維持されている場合もあります。
森野
最強配送にしなくても、今のところはそこまで影響しないと。とはいえ、先ほどのカスタム指標の話がありますので、今後はどうなるかわからない感じでしょうか?
鈴木さん
はい。実際に楽天は優遇すると発表していますし、今後、「配送スピードが早い商品でないと上位表示されない」というロジックに変わる可能性もありますね。そうなった場合に備えてできるだけ早めに対応できるよう準備を進めておくことが理想です。
森野
大型商品とか特殊な商品だと最強配送に対応するのは難しいですよね?
平田さん
そうですね。大きな商品や生鮮品なんかは配送に制約が多いので、全商品で対応するのは難しい場合もあります。対応できる商品だけでも最強配送にすることで、検索順位の上昇や他の商品への誘導が期待できます。
森野
配送に関する制約は難しいですが、やれる商品だけでも最強配送対応にしておくことで、楽天SEOへの影響を抑えられるんですね。楽天の方針が変わっても焦らず対応できそうです。

セマンティックサーチの導入とその対策

森野
「セマンティックサーチ」も楽天でも導入されましたよね。普通の検索でもニュアンスで結果が出るようになるというものなのですが、こちらは何か特別な対策が必要なのでしょうか?
平田さん
セマンティックサーチに関しては特別な対策をするというより、これまでのSEOと商品ページの作り込みがそのまま活かされる形だと思います。商品に関連したキーワードを自然に盛り込むことが大切で、過剰に詰め込むのではなく、しっかりと商品の内容に即したキーワードを入れていくことが、セマンティックサーチにも有効ですね。
森野
今までの話の通りで、関連性が高いキーワードを使うほうがいいんですね。
鈴木さん
セマンティックサーチが導入されたことで、ユーザーがより自然な言葉で検索しても、適切な商品が表示されやすくなりました。ただ、商品内容に合わないキーワードが多いと、結果的に無駄なクリックが増えたり、購入に至らなかったりしてページの評価が下がる可能性があります。
森野
「とにかく詰め込む」時代から「関連性を重視する」という流れはここにも出ているんですね。セマンティックサーチによって、やはりGoogleのSEOに似てきた感じがします。
平田さん
そうですね。楽天SEOも、Googleのように、より精度高くユーザーの意図を汲み取る方向にシフトしています。商品ページの充実や関連キーワードの自然な配置を意識して、ユーザーに正しく届くページ作りが重要になっていますね。

季節イベントの活用とタイミングの重要性

森野
季節やイベントによってもキーワードを変えたりする必要があるのでしょうか?たとえば、母の日やハロウィンとか。
平田さん
イベントや季節に応じてキーワードを調整するのは非常に重要です。母の日やハロウィンといったイベント時期には、特定のキーワードでの検索が増えるので、そのタイミングに合わせて商品名やサムネイル・説明文を調整すると、より多くのユーザーに見てもらえます。
森野
母の日のギフト商品などは、季節キーワードがないと全然目立たないですよね。キーワード変更はいつ頃からやるのが良いのでしょうか?
鈴木さん
イベントの2か月前くらいから準備しておくのが理想です。母の日の場合、4月に入ってから対策しても、すでに競合が多数上位を取っているので、なかなか順位が上がりにくくなります。早めに対策を始めることで、自然検索の結果もイベント直前までに安定します。早割施策を絡めて、本番までに販売実績を積んでおくのも有効です。
森野
なるほど、2か月前から準備することで、イベントに合わせてSEO対策も自然と整うわけですね。でも結構早い段階から準備が必要ですね。
平田さん
楽天のようなモールは特にイベントの波が大きいので、事前にカレンダーを見て計画的に対応するのが大事です。例えば、母の日の直前にはRPPで関連キーワードのCPCが高騰するので、それを避けるために早めに実績を積んでおくと、SEOも広告も安定しやすくなりますね。また、キーワードに合わせてサムネイル画像に季節感を出すのもおすすめです。実際に母の日に合わせたクリエイティブを用意したことで、母の日関連のキーワードでクリック率と転換率が倍以上になった事例があります。
森野
早めの準備が結果的にコスト削減にもつながって、イベントキーワードの対策はイベントの数か月前から行うのが理想ということですね。

楽天SEOと競合分析の必要性

森野
ある程度SEO対策を進めて、注力商品に力を入れて、季節イベントにも対応しても、やっぱり競合も強くて順位が上がらない場合、競合分析が必要になってきますよね?
平田さん
競合分析は非常に重要なポイントです。同じカテゴリでランキング上位を獲得している商品がどのようなキーワードを使っているか、どういった表現で魅力を伝えているかを確認することで、新たな気づきが得られることも多いです。また、レビューやお客様からの問い合わせにもヒントがあります。
森野
レビューからですか?例えばどんな情報が手がかりになるのでしょうか?
鈴木さん
レビューには意外と具体的な使い方や、商品に対する期待が表れていることが多いんです。ある商品のレビューで「キャンプ用に使いやすかった」とあれば、それをヒントに「キャンプ用品」や「アウトドア」というキーワードを追加することで、新しいターゲット層にリーチできることもあります。
森野
競合分析といっても、他店舗のページだけでなく、ユーザーのリアルな声も参考にして、そこからキーワードを拾い上げるという感じですね。
平田さん
楽天では「関連商品」や「おすすめ商品」といった仕組みで他の商品に誘導する機会も多いので、レビューをもとにした追加のキーワードが関連商品の流入にも役立つことがあります。競合の分析をしつつ、商品比較されても選んでもらえるような自店舗独自のポイントを押し出していくのが重要です。
森野
分析をしていく中で、見落としがちなレビューを意識して、自分たちの商品の説明にも反映させると良さそうですね。実際に売れている競合の人気ポイントをしっかり把握するのがコツですね。

楽天SEOにおける全体戦略と流れ

森野
いろいろと施策について伺いましたが、楽天SEOの全体的な流れを一言で言うと「売れる商品ページを作ることが目標」でいいのでしょうか?
平田さん
まさにその通りです。SEOの目的は検索上位に表示させることですが、ユーザーの満足度を高めることができる「売れる商品」でないと上位には表示されません。先ほどもお話ししたように、売れる商品ページを作り、ユーザーにとってわかりやすく、欲しいと思ってもらえるように整えることが基本です。その上で、RPPや自然検索で流入を増やすという流れですね。私たちもその動きに合わせて、売れる商品ページの作り込みに力を入れていきたいと考えています。
鈴木さん
楽天SEOは単なるキーワードの詰め込みやランキング対策ではなく、ユーザーが求める商品やサービスを提供するという意味で、より高いレベルでの対策が求められるようになると思います。「売れること」を軸にして、SEO以外の部分も意識しながら運営するのが鍵だと感じています。
森野
SEOを含めた総合的なアプローチが、楽天のような競争の激しいモールで成功する鍵なんですね。

インタビューを通して森野が思ったこと

Googleも楽天もSEOがユーザーのために進化していることを考えると、楽天などのECモールでは欲しい商品に素早く到達できることがユーザーのためになりますよね。検索キーワードにあったサムネイルや商品画像が必要になりますし、商品説明文も欲しい人向けの内容になってないといけません。

ここがうまくいって売れてくれば加速させる施策はいくらでもありますので、焦らずに売れる商品や商品ページを作ることに取り組んでいただければと思います。

あわせて読みたい

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ