楽天グループ、2024年度第3四半期決算発表:「Rakuten最強配送」による物流強化で国内EC事業の拡大を目指す

2024年11月13日に、楽天グループ株式会社(以下、楽天グループ)は2024年度第3四半期決算を発表しました。本記事では全社連結業績と各セグメントの業績概要を解説し、国内EC事業の取り組みについても紹介します。

全社連結業績

全社連結業績

全体の売上収益は前年同期比9.3%増の5,667億円に達し、営業利益はNon-GAAPベースで123億円、IFRSベースでも5億円の黒字を達成しました。これは、2019年第3四半期以来のNon-GAAP営業利益の四半期黒字化、また2020年第2四半期以来のIFRS営業利益の黒字化という、いずれも久々の回復を示す結果です。

・Non-GAAP営業利益
通常の事業活動を評価するため、特別な費用を除外して計算された利益指標

・IFRS営業利益
国際基準に基づいて算出され、企業全体の収益状況を包括的に示す指標

セグメント別業績概要

インターネットサービス

インターネットサービス

売上収益は前年同期比4.4%増の3,146億円、Non-GAAP営業利益は54.2%増の212億円を達成しました。国内EC流通総額については、前年同期に発生した「楽天トラベル」の全国旅行支援の終了や「ふるさと納税」ルール変更前の駆け込み需要の影響で前年比6.9%減となりましたが、こうした一過性の要因を除くと約5%の成長を見せ、安定した基盤を保っています。

フィンテック

フィンテック

売上収益は前年同期比12.8%増の2,082億円、Non-GAAP営業利益は57.2%増の400億円に到達しました。「楽天カード」や「楽天銀行」、「楽天証券」などのサービスが引き続き成長を牽引し、「楽天カード」は会員基盤の拡大により四半期のショッピング取扱高が6兆円を突破しました。みずほフィナンシャルグループとの戦略的提携も今後の成長を支える要素とされています。

モバイル

モバイルセグメント

売上収益は前年同期比19.5%増の1,060億円、Non-GAAP営業損失は487億円(前同期比265億円の改善)となりました。「楽天モバイル」単体では、契約回線数(812万)の増加やデータARPU向上が貢献し、収益性が向上しています。また8月には楽天モバイルの資産を活用した1,700億円の資金調達を実施し、グループ全体の財務体質強化に貢献しました。

国内EC事業の拡大に向けた物流の強化

国内EC事業の拡大に向けた物流の強化

楽天グループは、国内EC事業のさらなる成長と営業利益の拡大を目指し、流通総額10兆円の達成を中長期的な目標としています。新型コロナウイルス感染拡大の影響で進んだネットショッピング利用増加は、経済の正常化後も定着傾向にあり、インフレ圧力下でも堅調な推移が見られます。

こうした中で、2024年7月に導入された「Rakuten最強配送」は、ユーザーの利便性向上を狙った施策です。この施策では、受取日の指定や最短翌日配送、一定額以上の購入で送料無料といった機能を提供し、配送と受け取りの選択肢を広げることで再配達の削減も目指しています。「最強配送」ラベルを取得した商品の売上成長率はプラス16.6ポイント、楽天スーパーロジスティクス(RSL)を利用する店舗の流通総額成長率はプラス10.1ポイントとなり、物流強化が順調に進んでいる状況です。

今後の展望

楽天グループは、各セグメントでの成長を連携しながら効率的なオペレーションの実現に取り組む方針です。2024年中の楽天モバイル単月EBITDA黒字化を目指し、さらに、AIを活用した効率化プロジェクト「トリプル20」を進めることでコスト削減と収益向上を図る考えです。また、みずほフィナンシャルグループとの提携を通じてフィンテックエコシステムが強化され、楽天モバイル契約者によるグループ全体のサービス利用促進を通じて顧客基盤の拡大が図られるでしょう。

あわせて読みたい

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ