楽天グループ、2024年度第2四半期決算発表:国内EC事業とモバイル事業における収益性の改善

楽天グループ(以下、楽天)の2024年第2四半期の決算は、インターネットサービス、フィンテック、モバイルの各セグメントで増収を記録し、当期売上収益は前年同期比8.1%増の5,373億円と過去最高を達成しました。この記事では、楽天の決算内容をeコマースに関連するポイントに焦点を当てて解説します。

国内EC事業の動向と物流事業などの運用改善による利益率向上

国内EC事業の動向と物流事業などの運用改善による利益率向上

楽天のインターネットサービスセグメントは、2024年第2四半期において3,039億円の売上収益を上げ、前年同期比で3.1%増、Non-GAAP営業利益は189億円で前年同期比30.3%増を達成しました。

国内EC事業では、前四半期からの成長が見られ、「楽天市場」の流通総額は順調に回復しています。国内流通総額は1.4兆円と前年同期比は▲4.8%ですが、前年同期と同一条件で比較した場合は+3.1%だそうです。

また、収益性の改善も見られており、完全子会社化した楽天西友ネットスーパーや物流事業の運用改善がその一因とのこと。特に、物流に関しては価格設定の適正化が重要なポイントとなっており、これにより利益率が向上しています。

今後の動向として、第3四半期はふるさと納税のルール変更により昨年9月に大きな駆け込み需要があったため、前年比で見ると厳しい状況が予想されますが、第4四半期にはさらなる成長が期待されています。

AIに関しても触れており、ディープラーニング技術を活用し、顧客が本当に欲しい商品を探しやすくしていくそうです。ディープラーニング技術の活用例として下記3つを挙げていました。

楽天のAI活用

1.セマンティック検索
「顧客が何を検索したか」だけでなく、「何を検索したいか」を理解し、最適な検索結果を提供。セマンティック検索を導入することで、検索結果ゼロを防ぎます。

2.レコメンデーション機能
顧客がより良い意思決定をできるように、新しい選択肢を提案します。

3.広告
購入数、コンバージョン率、顧客満足度を向上させるため、関連性の高い広告を提供します。

フィンテック事業の進展とEC連携

フィンテック事業の進展とEC連携

フィンテックセグメントでは、楽天カードや楽天銀行、楽天証券がそれぞれ成長を遂げています。特に、楽天カードのショッピング取扱高は前年同期比13.9%増の5.9兆円に達し、セグメント全体の増収に寄与しました。楽天カードの取扱高の増加により、EC市場の購買力が強化されることが期待されています。

また、楽天銀行は2024年7月末時点で1,600万口座に到達し、預金残高も堅調に拡大。楽天エコシステムとの連携により、フィンテック事業がECプラットフォームに新たな付加価値を提供しており、消費者の利便性向上とともに、eコマースにおける新たな機会が生まれることが予想されます。

モバイル事業の展開とクロスユース戦略

楽天モバイルの収益性は引き続き改善されており、2024年第2四半期の売上収益は前年同期比18.6%増の950億円となりました。楽天モバイルの契約者は他の楽天サービスも多く利用する傾向があり、これが「楽天市場」や「楽天トラベル」などの利用を促進しています。

このクロスユース戦略は、楽天グループ全体の流通総額を押し上げ、EC事業におけるシナジーを生み出しています。

まとめ

楽天の2024年第2四半期の決算は、ECおよび物販業界において注目すべき内容が多く含まれていました。国内EC事業における流通総額の順調な回復、フィンテックとの連携、そしてモバイル事業の成長が、楽天のエコシステム全体を強化し、今後のeコマースに大きな影響を与えることが期待されます。これらの成長戦略を理解し、活用することで、事業者は今後の市場環境に柔軟に対応し、競争力を維持することが可能となるでしょう。

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