広告に“閉じない”SNS公式アカウントの役割と露出の増やし方:オプト式SNSマーケティングの公式【第1回】
この記事の執筆者

野嶋 友博
株式会社オプト

2015年新卒でオプトへ入社。SNSを中心とした広告運用に携わり、幅広い業種のクライアントを担当した後、2021年よりEC・教育・人材業界を専門とするアカウントプランニング組織に異動し、十社十色のマーケティング施策創出に向け日々邁進中。LINEマーケティングサービスの認定講師「LINE Frontliner」資格を保持。

株式会社オプト
https://www.opt.ne.jp/

オプトがSNS公式アカウントに注目する理由

SNSメディアの進化と変化

Web広告プロモーションを長年支援し続けてきたオプトは、配信メディアの進化や移り変わりに常に注目し続けています。

なかでも社名変更をし、Threadsをローンチで話題のMeta、縦型動画の盛り上がりをけん引してきたTikTok、ヤフー社との経営統合で機能面のアップデートが進むLINEといったSNSメディアの進化は目が離せません。

こうした進化に伴い、広告プラットフォームのアップデートも続きますが、SNSを単に広告機能として理解・活用をするだけでは、これからのデジタルマーケティングにおいて不足が生じると考えられます。

情報収集モデルのアップデート

これまでのマーケティングにおけるファネルの考え方は、「認知→比較検討→購入」といった「知って・考えて・行動する」上から下へ一方通行の流れが一般的でした。

情報収集モデルのアップデート

しかし、サービスを知ってから実際に購入をするまでの検討期間が数年間あったり、一度忘れたサービスを、再検討したりするということは、実際に多くの方にとって、身に覚えのある行動でしょう。

このようなマーケティングファネルの上から下以外の検討行動は、各業界で類似サービスが多数存在し、情報の接点もオンライン・オフライン問わず多くあることが引き起こしています。

こうした状況を踏まえて登場したのが、Google社が提唱する「バタフライ・サーキットモデル」です。

バタフライ・サーキットモデルとは、ユーザーが選択肢を広げる「さぐる」検討行動と、複数の選択肢から絞り込む「かためる」検討行動を交互に繰り返す検討モデルです。

このモデルのポイントは、「交互に繰り返す」点です。

「調べた結果、やはり違うものにしよう」と、再度幅広く検討することを加味している点が、上から下へ一方通行である従来のファネルの考え方との一番の違いです。

Google社が提唱する「バタフライ・サーキットモデル」

バタフライ・サーキットで持つべきSNSのタッチポイント

このバタフライ・サーキットモデルにおいては、「さぐる」「かためる」の循環のなかで、突発的なきっかけを起点として、瞬間的に購買行動が発生します。

このような購買行動を、「パルス型消費行動」と呼びます。

「1万円のレザージャケットと3万円のダウンジャケットどちらを買うか悩んでいたが、自分へのご褒美で3万円のダウンジャケットを奮発しよう!」

こうした突発的なきっかけは、ユーザー一人ひとりに個別のシーンで発生し、コントロールが難しいです。

だからこそ、いつそのきっかけが訪れ、パルス型消費行動が起きても良いように、「さぐる」「かためる」それぞれにおいてのタッチポイントをつくっておき、ユーザーへの情報提供に貢献することが、現代のマーケティングにおいて重要となります。

また、検索広告をはじめとしたWeb広告の多くは、情報提供よりも「今買うべき理由」を訴求する「かためる」の文脈が強いため、広告プロモーションに閉じたタッチポイントを網羅しても、バタフライ・サーキットの「さぐる」文脈との両輪を回すことができません。

バタフライ・サーキットで持つべきSNSのタッチポイント

そのため、広告ではないSNS公式アカウントの運用によって「さぐる」行動にもフィットする情報提供を行い、「さぐる」「かためる」双方のタッチポイントを押さえることで、パルス型消費行動に対して想起集合に入ることが可能となります。

タッチポイントとして押さえたいSNS

本記事では、複数のSNSが存在する中、広告プロモーションとして配信費用のシェアが大きくなることの多いInstagram、LINE公式アカウントに注目し、SNS公式アカウントとして露出を高める運用手法と、適切な接点の創出方法についてまとめていきます。

また、複数のInstagramからLINE公式アカウント、TikTokからLINE公式アカウントなど、お客様との接点構築の理由からLINE公式アカウントに他メディアから誘因を促す導線設計が主流となりつつあります。

この点を踏まえ本連載では、Instagramで露出を高め、LINE公式アカウントで接点を強固なものにしていく手法を紹介します。第1回となる本記事では、Instagramで露出を高めるポイントについて説明します。

Instagramで露出を高めるポイント

Instagramプレースメントごとの特徴

Instagramにはフィード、リール、ストーリーズなど複数のプレースメント(広告が表示される場所)が存在します。

上述のバタフライ・サーキットの考え方にのっとり、タッチポイントを網羅していくためには、アカウントをフォローしてもらうことはもちろん、フォローをしていないユーザーに対しても、新規接点を持つ運用手法が重要となります。

プレースメントごとの特徴を整理したものが、以下です。

  • フィード:フォロワー以外にもリーチしやすい
  • リール:フォロワー以外にもリーチしやすい
  • ストーリーズ:フォロワーにリーチしやすい
Instagramプレースメントごとの特徴

そのため、フィードとリールで新規ユーザーにリーチし、ストーリーズでフォロワーにリーチするという考え方で運用を行うことが一般的です。

つまり、新規ユーザーと多くの接点を持つためには、フィードとリールの投稿が重要になるということです。

発見欄表示による新規ユーザーとの接点構築

フィードとリールの投稿を起点に、フォロワー以外のユーザーにリーチするには、どのようなポイントに気をつければよいのでしょうか。答えは、「発見欄」にあります。

新しいユーザーへリーチするためには、発見欄への露出が重要です。発見欄とは、ハッシュタグ検索をはじめ、ユーザー一人ひとりの興味関心に沿って最適化されたコンテンツが表示されるタブです。

例えば、私はスニーカーが好きで、そのなかでもニューバランスのシリーズに目がないのですが、私の発見欄はスニーカー一色の状態です。

こうした特徴を持つ発見欄は、フォローをしていないアカウントや投稿と出会う場所といえます。だからこそ、発見欄にオススメとして表示されるほど、新しいユーザーへの露出機会を増やすことができます。

発見欄に表示されるアルゴリズム

それでは、発見欄に表示されるためには何が必要なのでしょうか。

これには、Instagramの思想を理解することが大事になります。

いいね、動画視聴、シェア、保存、コメントなど、あらゆるアクションがあるInstagramですが、最も重要視されるシグナルが実は「滞在時間」です。

Instagramの収益の多くは広告収入であるため、Instagramアプリを使う時間を可能な限り長くすることで、より多くの広告主との接点を生み出し、広告主の事業成功につなげ、結果としてInstagramの収益も向上するというビジネスモデルになっています。

そのため、滞在時間を長くできる投稿コンテンツがInstagramにとって有益とみなされ、より多くのユーザーに表示させたいとアルゴリズムが判断します。

この流れを前提としつつ、新しい投稿はまずはフォロワーに表示されます。フォロワーからの反応が良く、滞在時間が長い投稿はフォロワー以外にも表示され、発見欄に表示されるようになります。

このことから、まずはフォロワーにしっかり見てもらい、反応を得られるコンテンツを投稿することが大切です。

発見欄に表示されるアルゴリズム

反応される投稿を作るための基本スタンス

反応を得られる投稿には、投稿フォーマット、投稿時間、ハッシュタグ、プロフィールの構成など、さまざまな要素が関わっています。

これらすべてを理想状態に近づけるには時間がかかるため、今回は特に重要な要素である「フォーマット」に着目し、フィード投稿のポイントについて解説します。

反応される投稿を作るための基本スタンス

フィード投稿を考えるうえで、多くの方が勘違いしているInstagramの実態について触れておきます。

それは、Instagramが「おしゃれな投稿が求められる場所ではない」という点です。

日本への参入初期のInstagramは、「インスタ映え」という言葉がバズワード化したように、綺麗な写真を中心としたおしゃれな投稿が中心となる世界観でした。

しかし、2024年現在では、Instagramのユーザーが増加し、数多くのコンテンツが日々投稿されるなかで、見栄えよりも価値提供ができる投稿が求められています。

ここでいう「価値提供」とは、お役立ち情報やまとめ系の投稿など、記事サイトを読むほど堅苦しくなく、気軽に情報収集できるようなコンテンツを指します。これを「文字投稿」と呼び、前述の滞在時間を高めるための重要な要素です。

文字投稿で反応を集めるポイント

文字投稿の基本要素は以下2つです。

  1. 10枚の画像または動画で構成する投稿
  2. ぱっと見で内容がわかりやすい投稿

まずは価値ある情報を提供することで、投稿に長く滞在してもらうために、10枚構成で投稿することが大切です。

10枚の構成は、「タイトルページ→悩みの言語化→コンテンツ→まとめ→背表紙画像」という流れが基本となります。

文字投稿で反応を集めるポイント

また、Instagramアプリを利用するユーザーの態度を考えると、堅苦しく、じっくりと読み込まなければ伝わらない投稿は好まれません。そのため、すべての画像がパッと見て直感的に内容が伝わることが大切です。

特に複数枚投稿のうち、最初の1枚目の画像が最も重要です。タイトル文は15文字以内に抑え、画像に枠を付ける、数字を用いたコピーなど、複数ある投稿のなかでも目立ち、わかりやすい画像作成を心がけましょう。

まとめ

いかがでしたでしょうか。バタフライ・サーキットモデルに基づき、同じSNSでも広告とオーガニック投稿それぞれで接点を構築することが重要な考え方です。

Instagramで露出の最大化を目指す考え方も、過去から変化しています。ユーザーに役に立つ投稿を作ることで、Instagramにとっても価値のあるコンテンツを生み出し、マーケティング効果を高めていきましょう。

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