メルカリ、2026年6月期第1四半期決算:安心・安全施策が国内フリマを押し上げ、USも増収

メルカリが発表した2026年6月期第1四半期決算(2025年7〜9月)では、国内マーケットプレイス(メルカリ/メルカリShops)、フィンテック(メルペイ/メルカード)、米国マーケットプレイス(メルカリUS)の3事業がそろって伸長しました。

国内では取引の安心感向上施策が機能し、米国でもユーザー体験改善が功を奏して成長軌道への転換が進んでいます。さらにフィンテックでは与信残高の拡大が続き、収益基盤が強化されています。本記事では、3事業の状況と今後の注力ポイントを整理します。

全社業績サマリー:3事業がそろって増収・コア利益も大きく伸長

メルカリの2026年6月期第1四半期(2025年7〜9月)は、増収・増益となりました。

  • 売上収益:494億円(前年同期比10%増)
  • コア営業利益:93億円(前年同期比約128%増)

国内マーケットプレイスの取引高拡大に加え、フィンテック事業のクレジットサービスの伸長、米国マーケットプレイスの取引高の改善が収益を押し上げています。

あわせて、メルカリは2027年6月期を見据えた中期方針として掲げている「売上収益の年平均成長率2桁成長」「コア営業利益の年平均成長率25%以上」という目標を維持しつつ、今後もプロダクトのコア体験強化と成長投資を進める方針です。

国内マーケットプレイス:安心・安全施策と配送施策でGMVが着実に拡大

国内マーケットプレイス事業(メルカリ/メルカリShopsなど)の取引総額(GMV)は、2,703億円(前年同期比約5%増)と、引き続き拡大しました。成長の主な要因は次のとおりです。

  1. 安心・安全に関する取り組みの強化
  • AIを活用した不正利用者の検知・スコアリング
  • 高価格帯商品の本人確認(eKYC)の必須化
  • 自社運営の「メルカリ鑑定センター」の設立
  1. 「全額補償サポートプログラム」による購入・出品双方の安心感向上
    商品不備などのトラブル時に、購入代金や販売利益を全額補償する仕組みを導入したことで、高価格帯を含む購入意欲の向上と、出品時の不安軽減につながっています。
  1. 小型便の配送料キャンペーン
    2025年8〜9月にかけて実施した小型便向けのキャンペーンが好調で、取引数の増加に寄与しました。
  1. エンタメ・ホビー領域の伸長
    特定カテゴリーの伸びが、GMV全体の押し上げ要因となっています。

収益面では、売上収益の増加に加え、「メルカリ ハロ(2025年12月18日にサービス終了)」の投資縮小も寄与し、国内マーケットプレイスのコア営業利益は84億円と、高い収益性を維持しています。

フィンテック:メルカード拡大で与信残高が伸長、回収率は高水準を維持

フィンテック事業(メルペイ/メルカード)は、クレジット領域の成長が続き、売上収益は増加しました。とくに「定額払い」「分割払い」が順調に拡大し、債権残高は2,691億円へと伸びています。一方で、回収率は99.3%と高い水準を維持しており、成長とリスク管理の両立が進んでいる状況です。

また、メルカードでは新たに「メルカードゴールド」をリリースし、高ロイヤルティ顧客の獲得も進めています。カード利用を起点にした「使う→支払う→また使う」という循環が強まり、メルカリ経済圏内でのアクティビティ増加につながっています。

今後も、

  • メルカード会員の拡大
  • メルペイ利用者の増加
  • 収益性向上に寄与する与信領域の拡大

など、トップライン成長に向けた投資を継続する方針です。

米国マーケットプレイス:プロダクト改善が奏功し、取引高がプラス成長へ転換

米国マーケットプレイス事業(メルカリUS)は、プロダクト体験の改善やカテゴリー別マーケティングの強化が進み、回復基調が鮮明になってきています。

主な施策としては、

  1. タイムセール機能の導入
  2. Googleワンクリックサインアップ対応
  3. 配送料の平均6%値下げ
  4. AI活用による新規登録時の不正対策強化

などを実施。

これらが功を奏し、取引高は前年同期比でプラス成長へと転換。特にエンタメ・ホビー、ファッションが伸びています。

収益面では、マーケティング投資を継続しつつも、3四半期連続で黒字維持(コア営業利益6億円)と、収益改善が着実に進んでいます。

引き続き、

  • 利便性向上
  • カテゴリー戦略による差別化
  • 顧客獲得・定着施策

を強化し、持続的な成長を目指す方針です。

まとめ:主要3事業が揃って成長、次なる注力は「越境×フィンテック×米国」

メルカリの2026年6月期第1四半期は、国内マーケットプレイス・フィンテック・米国マーケットプレイスの3事業がそろって増収となり、安定した成長路線を示しました。

国内マーケットプレイス事業は、安心・安全施策や配送改善が奏功し、取引環境の質が向上。フィンテック事業は、メルペイがあと払いニーズの拡大により与信残高が堅調に伸び、収益基盤の強さが際立ち始めています。また、米国マーケットプレイス事業でも体験改善により取引高がプラスに転換し、収益面での黒字維持が続きます。

今後は、

  • 越境取引の強化(グローバルアプリ提供地域の拡大)
  • 金融サービスの拡張と審査精度向上
  • 米国での機能改善と利用者定着

といった、グループシナジーを意識した投資配分にアクセルをかけていく方針です。

中期で掲げる「トップライン成長と収益性の両立」は維持。国内CtoCの盤石な基盤に、越境・フィンテック・米国の成長ドライバーが加わることで、さらなる企業価値向上を目指す四半期となりました。

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