記事の概要

楽天市場・Amazonなどネットショップ運営代行をはじめ、モール通販を中心にECサポート・ECコンサルティングを行っているサヴァリ株式会社が運営するYouTubeチャンネル『ECの未来』では、ECに関わるさまざまな方をお呼びして、その方たちの得意ジャンルのお話をMCである株式会社柳田織物の柳田敏正さんと対談形式でお届けしています。

今回は、まくら株式会社の代表取締役である河元智行さんに、これからのECの売り方をテーマにお話いただく回をご紹介いたします。

【ゲストスピーカー】
河元 智行さん
まくら株式会社 代表取締役
枕の専門店「枕と眠りのおやすみショップ!

【チャンネルMC】
柳田 敏正さん
株式会社柳田織物 代表取締役
ワイシャツ専門店「ozie(オジエ)

「どこのお店で買う」から「誰から買う」かが重要に

柳田さん:現在楽天市場の楽天NATIONSでリーダーを務める河元さんに、これから10年後(放送日は2020年8月5日)も楽天市場で残っていくために、アフターコロナや人口縮小などの社会的背景も踏まえ、ビジネス全般に通用するお話をしていただきます。

河元さん:楽天NATIONSのリーダーとしてお話ししているのは、楽天市場は良い位置にいて未来有望な可能性があるということです。最近Amazon化していると言われていますが、5万店舗ある楽天市場は今まで店長の個性やコンセプトが取り沙汰される「Shopping is Entertainment!」の場といえました。Amazon化していると言われる背景に、アプリなどで商品が比較されやすくなったため、今まで店長業務をしていた人が商品供給業者になってしまい、個性を出せないモールになってきてしまっています。

しかし、本来は楽天市場というのは5万店舗、つまり5万人の個性の集まった集合体であって、お店で働く人達はもっと個性を出した売り方をしなければいけないと思っています。「どこのお店で買う」から今後は「誰から買う」かが重視されるようになるでしょう。

例えば私がスーツを買うとなったとき、そのへんを歩いている方からは買いたいと思いません。どんな人かプロフィールがわからない方からは怖くて買えないですよね。しかし、柳田さんがスーツを勧めてくれたら買ってしまうでしょう。要するに誰から買うのかがとても重要で、柳田さんみたいにその道のプロフェッショナルな方が楽天市場にはあと5万人にて、そんな人たちが勧めるモノを買う世界が来るのかなと。

柳田さん:私はこれまで、「どこで買うか」と「誰から買うか」はセットで考えてきました。「このお店にいる店長さんから買う」というのは、河元さんが話された「どこのお店で買う」から、「誰から買う」と通ずるところがあるのではないでしょうか。

中小企業のほうが大企業より”個”を打ち出しやすい

柳田さん:コロナ禍に暇だからという理由で、多くのモノを思い切って断捨離した方が多いようです。そこで捨てたモノの類似品を繰り返し買うことはないはずで、次に何を買おうかと考えるとき、まさに専門家の言葉や、この人の勧めなら買っても良いかと、信頼が大切になるように思います。そこでスポットライトが当たるのは中小企業ではないでしょうか。

河元さん:中小企業のほうが勝ち目はありますね。何か特定の領域に特化して、旗や色を立てることが重要です。最近ではお店からのメルマガよりも個人によるSNSの発信のほうが信憑性は高くなっています。例えばファッションであれば、ショップの店員さんが自分のお店の洋服をコーディネートして、お客さんに提案。コーディネートをまとめて買うと〇〇円ですという打ち出し方です。そのショップの店員さんが自分のSNSアカウントで配信するほうが響きます。

お客さんはその店員さんが属するお店ではなく、店員さんについているのです。仮にその店員さんが別のお店に移動してもお客さんはその人から買い物を続けるでしょう。美容室のいつも担当している方が違うお店に移ることを想像するとわかりやすいのではないでしょうか。そういうお客さんの心をつかむ人がもっとフォーカスされ、その領域が細分化されてくると、中小企業のほうがむしろECとの相性良く、勝ち目があるのです。

柳田さん:中小企業のほうが個は集まりやすいですからね。大企業はどこかで個を出してはいけない部分もあるじゃないですか。中小企業では、個を出しても問題ないところが多く、経営者としては売上につながるのであれば、ぜひやってほしいと思っていますし、スタッフもステップアップに繋がりますからね。

ただ最近は大手企業であっても、もともと店頭に立っているお客さんのいる店員さんがネットでアピールを始めています。本来、大企業では個をあまり発信しちゃいけないところがありましたが、積極的に発信を増やして社内の商品を紹介し始めているところも出てきました。だからこそ、中小企業は大企業がやり始める前に、個を打ち出さないといけません。

動画やライブなど、5Gが個の打ち出しを後押し

河元さん:時代の流れとして5Gの世界が広がるほど中小企業は有利になると思うんです。個性や個人を表現する方法は今まではブログとかがメインでしたが、テキストと写真だけで表現しきることは難しいでしょう。そのときに動画やライブがあれば、例えばテキストでは表現ができない柳田さんのダンディな格好良さを表現できるんです。

柳田さん:テキストや写真だけでは感情を載せられないですし、抑揚がなくなってしまいますもんね。

河元さん:5Gが広がると動画が広がって個性や個人を表現できるようになるんです。お花の専門店ゲキハナさん(※)がわかりやすい例で、店長のゲキさんというキャラクターをYouTubeで前面に出して個を表現しています。

※過去回を参照
【ECの未来】YouTubeの活用でECの売上を伸ばす方法とは?

人間性を磨くことが個を打ち出すのに重要

柳田さん:楽天NATIONSで話す際、個を出すにあたって、参加店舗の皆さんにはどのようにアドバイスされているのでしょうか。

河元さん:「まずは自分の強みや、自分の個を自分で導き出し、引き出して、自分がどんな方向に行くか設定をしましょう」と話しています。誰から買おうかとなったときに選ばれる人にならなくてはいけません。GoogleのSEOも同じような流れになっています。要は買い物をする方に選ばれる人にならないといけないんです。なので、「人間性を磨くことの重要性」について伝えています。

柳田さん:もしかしたらそれがGoogleに寄り添っていくということなのかもしれないですね。

河元さん: Googleは結局人間性を見ていると思うんです。例えば「明日は晴れます」と、お天気キャスターの森田さん、柳田さん、私の3人が発信したとします。その中で一番信憑性があるのは森田さんですよね。Googleは発信者の情報までは取りにいかないと言っていますが、同じテキストのページが3つあった場合、最終的には誰が発信しているか、つまり人の評価を比較していることになります。だからこそ、森田さんのような位置づけになれば、お天気グッズは何でも売れるかもしれませんよね。

私がリーダーを務めたのは千葉エリアでしたが、「お天気キャスターの森田さんのような位置にならなきゃいけないですし、皆には個性はいっぱいある」と伝えました。実際、個性豊か過ぎるくらい変な人ばかりで、変態みたいなところをあえてどんどん押し出せばそこがもしかしたら売りになって、まだまだ輝けるんじゃないかと思っています。

柳田さん:情報を発信することって実は参入障壁が高いんですよね。私たちはこうやって普通に話していますが、カメラやオーディエンスの前でペラペラ話せる人のほうが少ないですよね。

河元さん:そこが参入障壁かもしれないですね。

柳田さん:私が動画コンテンツを作るときはSEO的にテキストもあるほうが良いので文字起こしもするようにしているんですが、両方やっていて思うのはテキストのほうが大変ということです。動画は話しているのを撮り、多少の加工でYouTubeにアップしちゃえばいいだけなので、投稿までが速いです。

河元さん: 速さはたしかにありますよね。また、動画では個人の話し方や個性、うんちくが面白さになって、ファンが付いていきます。そこは他の人が真似できない動画ならではの魅力かもしれません。

柳田さん:個をアピールして、選んでもらうことの重要性には本当に同感です。楽天市場で売上を上げるにあたって、楽天にも頑張ってもらわないといけない部分はありますが、外に目を向けるとやり方はいっぱいあるでしょう。

個を打ち出す際に、目の前のことばかり考えて、「売れないから」「在庫がいっぱいあるから」と値引きするのは仕方ない部分もあるかもしれないですが、中期的、長期的に見たら、結果的に自分を安売りすることになってしまいます。そのため、なるべく安売りするよりも情報を発信していくのが良いのかなと思います。

河元さん:情報発信は数値化できないですが、見えないところにスコアリングされていて、そのスコアをどんどん高めないといけないんですよね。でも絶対にどこかで比較をされる時代が来るはずです。

おわりに:3年の時を経て個の発信力が注目される時代に

2020年8月に公開された本動画を記事にしましたがまさに予見している未来が到来していると感じています。個人が発信力を持ち、その人を信頼して買い物をする時代です。そこで、必要なのは数十万人のフォロワーではなく、専門領域の知見や個性に魅力を感じる購買意欲を持ったファンなのです。

「商品を選ぶために重要なポイントは?」「どんな特徴がある商品なのか?」と発信された情報をもとに買い物をした方が良い買い物ができたと思えれば、きっとまたお店に戻ってきてくれるはずです。磨かれた専門性をお客様目線で発信することに、今後も価値が付き続けるのではないでしょうか。

EC市場の真の発展に貢献をという想いで、「ECの未来」を運営しているサヴァリ株式会社は楽天市場・Amazonなどネットショップ運営代行をはじめ、モール通販を中心にECサポート・ECコンサルティングを行っています。EC運営に不安を抱えている事業者様は問い合わせてみてはいかがでしょうか。

■サヴァリ株式会社へのお問い合わせはこちら
https://savari.jp/contact/

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