【ゲストスピーカー】
河元 智行さん
まくら株式会社 代表取締役
枕の専門店「枕と眠りのおやすみショップ!」
【チャンネルMC】
柳田 敏正さん
株式会社柳田織物 代表取締役
ワイシャツ専門店「ozie(オジエ)」
この記事の目次
外部(Googleなど)検索の強化が楽天市場の検索順位を上げる
柳田さん:楽天市場だけで月商1億円とのことですが、具体的に取り組んでいることを聞かせていただきたいです。
河元さん:枕は1年を通して一定の需要があります。誰もが睡眠を取ることから、普及率100%の商品が枕です。基本的に季節変動はありませんが、弊社の場合はギフト需要が売上に貢献しています。枕は誰かにプレゼントしたいという需要が多く、1年で最も売上が高いのは6月、2番目が5月、3番目が12月となっています。
柳田さん:12月はお歳暮ですか?
河元さん:というよりはクリスマスですね。6月は父の日、そして5月の母の日は父の日より少し売上が劣ります。母の日はお花を贈る人が多く、お花以外の市場シェアはまだ小さいです。父の日はお花以外の市場が大きいため、その中に枕のシェアがあります。ギフト需要を取るためにさまざまな戦略を考えていますが、弊社が得意としているのはSEOです。
ギフト商戦では今まで楽天市場に広告を出稿していましたが、負担がだんだん大きくなってきました。そこで、どうしたらコストを抑えて集客できるのか考えたところ、人が集まるWebメディアを作ろうとなり、まずは父の日に枕を売るために父の日専門のサイトを作ったのです。
Yahoo!やGoogleで検索したら1ページ目に表示されるようにSEO対策に取り組んだ結果、今では父の日の興味がある人が集まり、弊社の商品だけでなく他社の商品にもアクセスを流しながらも売上を立てられるようになっています。
母の日はほとんど広告費を掛けていませんが、母の日専門のサイトに1日何万人ものお客様が集まるため、そこから自社サイトに誘導して販売しています。
柳田さん:複数ECサイトを構えていますがメインはどこですか。
河元さん:売上が一番あるのは楽天市場の店舗です。
柳田さん:楽天市場がメインの事業者さんだと楽天市場内検索のSEO対策は皆さん考えていますが、Googleなどの外部検索のことはあまり考えていないイメージがあります。
河元さん:楽天市場の検索の仕様としては売れれば売れるほど検索順位が上がります。さらにランキングに入れば、そこからの流入も加わり、好循環になるでしょう。もう一つ、外部サイトから商品ページにアクセスがあると検索順位にプラスの評価がされます。そのため、GoogleなどのSEO対策を行うことは、結果的に楽天市場内検索のSEO対策にもなるのです。
SEO対策の3ポイント
1.テーマに沿ったドメイン名の取得
柳田さん:SEO対策のコツを教えていただけないでしょうか。
河元さん:ポイントは3つあります。1つ目はドメイン名です。〇〇.comや〇〇.jpといったドメイン名は、検索順位に影響します。ユーザーが検索したいキーワードの文字列が、ドメイン名に英語でもローマ字表記の日本語でも入っているかがポイントになるでしょう。Googleが文字列から「父の日」と認識できるからです。
柳田さん:ちなみに父の日のサイトのドメイン名は何ですか?
河元さん:chichinohi.jp(父の日.jp)です。
柳田さん:よく取れましたね。
河元さん:こういったドメインを70種類くらい持っています。新しい言葉が出てきたタイミングなど、今も継続的にドメインを取得しています。「chichinohi(父の日)」のような日本語をローマ字で表記したドメイン名は比較的空いていますね。
2.隠しキーワードを意識したコンテンツ作成
柳田さん:2つ目のポイントは何でしょうか?
河元さん:2つ目は適切な言い方かはわかりませんが、「隠しキーワード」を意識したコンテンツを作ることです。
例えば「父の日」の場合、「いつ」という言葉が隠しキーワードになります。「父の日」と検索している人が実際に何を知りたいと思っているのか、Googleは考えています。「父の日」や「母の日」は毎年日付が変わるんですよね。だから、検索する人はまず「父の日」が何日かを知りたいはずです。「父の日」で検索しても、本当に関心があるのは「父の日 いつ」なので、「父の日 いつ」に特化したページを作ると、そのページが「父の日」のキーワード単体で上位に表示されるのです。
ただし、Googleは賢いので季節や時期によって検索結果を変えています。「父の日」の検索上位は3~5月が「いつ」に関連する結果ですが、直前期になると「ギフトランキング」や「おすすめ商品」が上位に表示されるようになります。そのため、弊社では日付・時間で変化する検索結果に対応したコンテンツを用意しています。
柳田さん:「父の日」とGoogleで検索すると、「6月◯日」と具体的な日付を教えてくれますもんね。
河元さん:Googleは検索する人に合わせて、興味を持っているだろうというコンテンツを表示するので、それに合わせたコンテンツの用意が重要です。あくまで今のは「父の日」の話として、どんなコンテンツが重要かお話ししましたが、キーワードによって戦い方があるんです。エリアや地域ごとにページを作ったほうが良い場合や、Webメディアより通販サイトのほうが有利な場合もあります。
SEO対策は試行錯誤しながらやってきましたが、一番難しいのはGoogleの気持ちになることです。つまりユーザーが何を求めているのかをきちんと考えられるかどうかが大切で、そこに検索順位の差が出ます。
3.SEOの蓋を閉めるプレスリリース
柳田さん:最後に3つ目を教えていただけますか。
河元さん:3つ目はプレスリリースです。
柳田さん:え!プレスリリースですか?
河元さん:はい、SEOの最後の蓋を閉めるのはプレスリリースです。良いサイトから被リンクをもらう方法はなかなか少ないです。実はプレスリリースを発行すると、いろんなメディアに取り上げてもらえます。読売新聞オンラインや朝日新聞デジタルなどに掲載されてリンクが貼られると、リンク元のサイトのドメインパワーが強くなります。
そういった大手メディアに取り上げられるように、プレスリリースをどんどん発行することが重要です。弊社はプレスリリース配信サービス「PR TIMES」の定額制プランを利用しています。6月だけで20本のプレスリリースを配信しています。
柳田さん:それだけたくさん配信すれば、たしかに目に触れる方も多いでしょうし、被リンクもすごい数になりそうですね。
河元さん:父の日でよく発行するプレスリリースは統計(アンケート)情報です。「父の日で渡したいプレゼントはいくらくらい?」など、そういった統計を取って、プレスリリースを配信すると、そのデータを使わせて欲しいといろいろなメディアから依頼が来ます。
弊社では1年分のプレスリリースの配信予定を決めています。プレスリリースを出す日程が決まっているため、スタッフがそれまでに必要な準備をしてくれるのです。
柳田さん:具体的な日程まで年間で決めているんですか?そこまで考えてプレスリリースをやっている人は少ないように思います。
河元さん:日付まで決めていますね。プレスリリースを出し続けることで、いろいろな会社から知ってもらえるきっかけになりますし、社内の体制を強化する上でも良いことがあります。何かネタはないかと探し回ることで、ネタになることや、商品にしたほうが良いことなど、良い情報を収集する癖が付くようになり、会社として活性化するのです。
柳田さん:まさに継続は力なりですね。長きに渡って継続する企業作りの根幹に触れたような気がします。
河元さん:プレスリリースは10本打つと2本くらい良い反応がありますが、8本は反響がなく失敗するんです。それでも続けているうちに、テレビやラジオへの出演、雑誌への掲載の機会を何度も頂いています。
柳田さん:プレスリリースをたくさん出していると、対外的に安心感を抱かれやすそうですよね。
河元さん:そうですね。PR TIMESを利用すれば、個別に連絡する必要なく、さまざまなメディアに配信してくれるのでお手軽です。過去にさまざまな施策やってきた中でやめたものも多いですが、プレスリリースは続けていますし、今後も続けていこうと思っています。
柳田さん:世の中に自分たちのやっていることをわかってもらうにはプレスリリースが最適でしょう。プレスリリースは自分たちで仕切って、自分たちのことをアピールできますもんね。
河元さん:アピールがブランディングにもなります。これから先はブランド力がないと、ECで生き残れないと思います。自分たちで発信力を持って、Webメディアを持ってSEOを高めて、受け皿である買い物かご(ECサイト)にどうアクセスを流し込めるかが大事になってくるでしょう。いつまでも広告に頼っているとECの未来は暗いと思います。
おわりに:SEO対策は本質を捉えたうえで試行錯誤を
SEOの仕様やルールは日々変わっています。それに伴いさまざまなノウハウやテクニックが公開されていますが、単純なものではなく、複数の要素から順位が決まります。しかし、何よりも検索するユーザーのことを忘れてはいけません。
狙ったキーワードを上位に表示するには、検索するユーザーが何を求めているかを考え、そのうえでいろいろと試行錯誤を繰り返していく必要があるでしょう。河元さんが話されたSEO対策を参考にしながら、自社に合ったやり方を見つけていくと良いと思います。
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