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はじめに:競争で優位に立つカスタマーレビュー
参入障壁が低く、他社との競争になりやすいEC・D2C事業において、カスタマーレビューを集めることは、競争で優位に立つ上で重要です。しかしながら、どのようにレビューを集めることが効果的か、男女差はどれくらいあるのかなど、不明な点が多く具体策に取り組めていないのが現状ではないでしょうか。
本記事は、ECユーザーを対象として実施したレビューに関するアンケート結果を集計、考察したものです。自社ECだけでなく、ECモールの運営にも応用できる調査結果です。ECサイト改善に取り組む上で、参考データとしてぜひご活用ください。
調査方法
株式会社TOKYO GATEでは、2023年7月27日から2023年8月6日にかけて、クラウドソーシングサービスを利用する18-70歳の男女682人を対象に、オンラインショッピングにおけるカスタマーレビューに関するアンケートを実施しました。
調査方法:Google Formsを使用したインターネット調査
調査期間:2023年7月27日から2023年8月6日
調査対象:18〜70歳以上の男女
サンプル数:682名
サマリー
- オンラインショップユーザーの約96%が、購入の際にカスタマーレビューを確認し、約68%のユーザーはカスタマーレビューを読んで購入を決定した経験が「何度もある(5回以上)」と回答
- ポジティブなレビューとネガティブなレビューの両方を重視すると回答したユーザーは全体の54%
- カスタマーレビューにおいて最も重要視されている要素は「レビュー投稿数の多さ」
- カスタマーレビューの中でも参考になると感じる要素では「商品の使用感」「商品のネガティブな情報」が上位
- レビューの投稿頻度について、男女ともに約1%のユーザーはカスタマーレビューを必ず投稿し、女性ユーザーの約30%、男性ユーザーの約39%はレビューを全く投稿しない
- 年代別レビューの投稿頻度については、概ね年代が上がるごとに投稿率は上昇する傾向にある
- カスタマーレビューを投稿する理由では、「割引や特典を受けられるから」が上位で、特典があるとレビューする意欲が高まると回答したユーザーは全体の約73%
商品購入の際にカスタマーレビューを確認する度合い

オンラインショップで商品を購入する際に、カスタマーレビューを確認するかどうかを質問したところ、回答者の96.2%が「確認する」と答えました。購入の意思決定には、必ずと言って良いほどカスタマーレビューの確認というステップがあることが伺えます。
カスタマーレビューを読んで購入を決定した経験

カスタマーレビューを読んで購入を決定した経験を質問したところ、「何度もある(5回以上)」が67.8%、「何回かある(5回未満)」が28.9%、「一度もない」が3.2%でした。オンラインショップで購入する際にレビューを確認することは、今やユーザーにとって常識となっていることが伺えます。

カスタマーレビューを読んで購入を決定した経験について男女別に集計すると、男女間で割合の違いはほとんどありませんでした。しかし、わずかに女性のほうが男性に比べ、レビューを確認して購入を決定した経験が多く、一度も経験のない人が少ない結果になりました。
カスタマーレビューの信用度合い

カスタマーレビューの信用度合いを質問したところ、「とても信用できる」が3.2%、「まあまあ信用できる」「半分くらい信用できる」が合計90.6%、「あまり信用できない」「全く信用できない」が合計6.2%でした。
ほぼ全てのオンラインショッピングユーザーが、レビューに対して少なからず懐疑的な目を持っており、レビューの数を多く集めることや、ポジティブなレビューだけでなくネガティブなレビューも表示するなど、より信用度の高いレビューにするための工夫が必要だと考えられます。

カスタマーレビューの信用度合いについて男女差を集計したところ、男女ともに約90%の方が「とても信用できる」「まあまあ信用できる」「半分くらい信用できる」のいずれかを選びました。男女でわずかに差が出たのは「あまり信用できない」「全く信用できない」の割合が男性で9.6%、女性で3.4%でした。女性に比べ、男性のほうがレビューに対して懐疑的な目を持っている方が多いかもしれません。
重要視するカスタマーレビュー

ポジティブなレビューとネガティブなレビュー、どちらを重要視するかを質問したところ、「ポジティブなレビュー」が7.7%、「ネガティブなレビュー」が37.3%、「どちらも重要視する」が54%でした。
この結果から、ネガティブなレビューは、ポジティブなレビューに比べ、より多く見られている可能性が高いことが伺えます。「カスタマーレビューの信用度合い」のアンケート結果も踏まえると、ポジティブとネガティブ、どちらのレビューも表示されていることが望ましいと考えられます。

男女差の集計を行ったところ、男性のほうが、女性に比べわずかに否定的なレビューを重要視するユーザーが多いことがわかります。カスタマーレビューの信用度合いの調査も踏まえると、男性は女性に比べ、買い物の際に懐疑的な視点を持つユーザーが多い可能性があります。
カスタマーレビューで重要視している要素

カスタマーレビューで重要視している要素を質問したところ、レビュー投稿数の多さが416件で最多、レビューの星の数が335件、レビューの文章の⻑さが273件、レビューの新しさが269件、レビューの画像や動画が229件、その他が58件となりました。
レビュー数の多さが最多ということから、購入の決定には「みんなが買っているから安心」というバンドワゴン効果が強く働いていることが伺えます。2番目のレビューの星の数以下は、いずれもレビューの質に関わる要素であり、レビューは質よりも量が重視されることを示唆しています。少数の顧客に内容の多いレビューを書いてもらう施策よりも、一般的にはレビュー数を伸ばす施策を優先すべきであると考えられます。

男女別の集計結果では、各項目に大きな差は見られないものの、女性は男性に比べより多くの情報をレビューから得ている可能性が高いことがわかります。
男性は平均して回答者1人当たり2.1個を選択しましたが、女性は平均2.4個を選択しました。この結果は、女性のほうが男性に比べ、買い物をする際にチェックする項目が多いことを示唆しています。
カスタマーレビューで参考になると感じる要素

カスタマーレビューの中で参考になると感じる要素を質問したところ、商品の使用感、および商品のネガティブな情報に対して80%を超えるユーザーが参考になると回答し最多でした。一方商品のポジティブな情報、写真付きの情報、価格に対する満足度については、参考になると答えたユーザーは半数以下に留まりました。
商品の使用感が参考になるというのは、商品の感想を投稿するカスタマーレビューにおいて至極自然なことだと考えられますが、注目すべきはネガティブな要素とポジティブな要素に大きな差があるということです。人は損失を避ける傾向が強いため、ネガティブレビューを購入の参考にすることは自然な行動だと言えます。また、ネガティブレビューを非表示にすることは、かえって信用を損なうため、しっかりと表示することが望ましいと考えられます。

男女差を調査した結果からは、概ね差はないことがわかります。唯一回答数の差が出た箇所は、商品の使用感と、商品に対するネガティブな情報です。
男性では、商品の使用感よりもネガティブな情報が、わずかに回答数が多くなりました。一方、女性では反対に、商品の使用感が最多となりました。
カスタマーレビューの投稿頻度

カスタマーレビューの投稿頻度について質問したところ、10回のうち8から10回投稿するユーザーは全体の5%程度、10回のうち1から3回程度投稿するユーザーは30%程度で、65%のユーザーはレビューを10回に1回、もしくは全く投稿しません。
レビュー投稿率の測定や、目標KPIとして設定する場合、過半数のユーザーがほとんどレビューを投稿しないことを前提とすることが望ましいと考えられます。

男女別カスタマーレビューの投稿頻度に関する質問からは、レビューをよく投稿する人は男性に比べ女性に多いことがわかります。
レビューを獲得する施策を行う際は、男性に比べ女性をターゲットとするほうが、多くのレビューを獲得できる可能性が高いと考えられます。
カスタマーレビューの投稿理由

カスタマーレビューの投稿理由を質問したところ、割引や特典を受けられるという理由が最多でした。その次に多い理由としては、ショップから依頼されたから、という理由です。期待を上回ったから、誰かの役に立ちたいからなどの自発的なレビューの回答数は100件程度に留まりました。
この結果から、割引や特典を付与することで一定数のレビューを集められることがわかりますが、モールなどの規約で制限されている場合があるので、注意して実施しましょう。また、依頼されたらレビューを投稿するユーザーが一定数いる点も注目すべき点です。

カスタマーレビューの投稿理由について男女差を集計したところ、「誰かの役に立ちたいから」という理由は男性が女性に比べ多く、回答者の18%が選択しました。レビューの投稿が誰かの役に立つという点が、男性へのレビュー依頼に有効な訴求かもしれません。
インセンティブによるレビュー投稿の意欲度合い

特典とレビュー投稿に対する意欲を調査した結果では、73.4%のユーザーが特典があるとレビューする意欲が高まると回答し、26.6%のユーザーが特典があってもレビューする意欲に影響しないと回答しました。
この結果は、カスタマーレビューの投稿理由に「割引や特典が受けられるから」という理由が最多である点や、3割から4割のユーザーはレビューを全く投稿しない傾向と一致します。これらの結果から、全購入者の4人に3人は、特典によってレビューを投稿してもらえる可能性があると言えます。

特典とレビュー投稿に対する意欲について男女差を調査した結果では、男性に比べ女性のほうが、特典があるほうがレビューをする確率が高まると回答した数が多い結果となりました。女性のほうが割引やクーポン、おまけなどの情報に敏感であるという一般的な傾向に準ずる結果であると言えます。
レビュー投稿の意欲に影響するインセンティブ

レビュー投稿の意欲に影響する特典(インセンティブ)が何かを質問した結果、「ポイント還元や割引が受けられる」が最も多く、次に「有料商品がもらえる」「非売品がもらえる」「延⻑保証などのサービスが受けられる」が続きました。しかし回答に大きな差異は見られず、最もイメージのしやすいポイント還元や割引に多くの回答が集まった結果であると考えられます。

レビュー投稿の意欲に影響する特典(インセンティブ)の種類について男女差を調査した結果では、差は認められませんでした。この結果から、特典の種類を検討するにあたって男女差を考慮する必要性は大きくないと考えられます。
おわりに:私たちについて
昨今のECにおいては、ほぼ全てのユーザーが、購入の決定にカスタマーレビューを参考にしており、中でも、商品の使用感とネガティブなレビューがより参考にされています。
カスタマーレビューは数が多いほど有効で、ユーザーはレビューの質よりも数を気にする傾向があります。
本資料を御社のレビュー施策にお役立ていただけますと幸いです。最後までお読みいただき、ありがとうございました。
株式会社TOKYO GATEは多くの過去実績を保有するECのプロフェッショナルが集うECマーケティングの専門家集団です。マーケティング戦略の立案から施策の実行、PDCAまでを総合的に支援します。
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