4年で10万商品を展開!女性向け雑貨の「GAACAL」がなぜ急成長しているか
インタビューの概要

株式会社rainbowwは女性向け雑貨ブランド「GAACAL(ガーカル)」を2019年7月に立ち上げました。現在では取扱商品数が10万点を超え、毎週60点以上の新商品を発売しています。創業から4年の年平均成長率が200%と躍進し続ける「GAACAL」の生産体制や商品企画の方法など運用の秘訣について、代表の朱静儀(シュ・セイギ)さんに伺いました。

4年で取扱商品数10万点以上!その理由とは?

中国ならではの工場の対応

――2019年7月のECサイト開設から4年で取扱商品数が10万点を超えているとのことですが、この短期間にこれだけの商品数を販売できるようになった理由を教えていただけますか。

朱さん:メーカーが企画した商品を国内で生産する場合、一定の量を発注する必要があるため、在庫を抱えて販売するのが一般的な流れとなっています。この常に在庫を抱える流れでは、ビジネスモデル上、取扱商品数を増やすに連れて事業者のリスクが大きくなってしまいます。

一方、弊社とお取引関係にある中国の工場は小ロットの発注にも対応しているため、メーカー側で在庫を抱える必要がありません。10点、100点ほどのサンプルを作った段階で販売を開始できるため、さまざまなパターンの商品を販売しながら初動を見て、動きの良い商品の生産量を増やすことが可能なのです。

――そんなに少ないロットで工場は仕事を受けてくれるのでしょうか?

朱さん:すべてのオーダーが小ロットではもちろん工場の経営は立ち行かなくなってしまうでしょう。中国の工場ではスピーディに大量にサンプルを作ることで、メーカーはトレンドに遅れることなく市場により多くの商品を投下できるため、ヒット商品を生み出す確率を上げられます。結果として、売れる商品を生み出せれば10万件を超える発注ができるようになるのです。商品ごとに数千個ずつ生産していると工場は安定した経営を行えるかもしれませんが、大口の発注を受ける機会は減ってしまいます。このような理由で、中国の工場では小ロットでも仕事を受けてくれるところが多いのです。ただし、こういった取引をするには信頼関係が欠かせません。

株式会社rainboww代表の朱さん
代表の朱さん

低価格かつ高品質の実現に重要な対面コミュニケーション

――中国の工場との取組により「GAACAL」の商品数を短期間で大量にできたことがわかりましたが、大体どれくらいの数の工場と取引関係にあるのでしょうか?

朱さん:現在、1,500社以上の工場と提携しています。弊社の前身となる会社でレンタルファッション事業をしていた頃の付き合いで、アパレルの工場と取引がありました。今のビジネスを始めてから、足を使ってお取引ができる工場を増やしていきましたが、実績がない中で取引関係を持てる工場があったことが今に繋がっているように思います。

――それだけたくさんの工場と取引関係にあるとコミュニケーションの負荷は大きいのではないでしょうか?

朱さん:工場と適切なコミュニケーションを取れていないと、製造の優先度や検品の質など、さまざまなことに影響します。そのため、対面でコミュニケーションを取ることが非常に重要です。普段は工場とのやり取りをWeChatでしていますが、製造中にトラブルがあるとその都度、工場に足を運んでいます。商品の高いクオリティを保つため、工場に定期的に顔を出せるように中国に拠点を構えているのです。

自社開発システムで大量な情報の管理を可能に

――10万以上ある商品の受注・在庫・発注を管理するのは簡単なことではないかと思います。1,500以上の工場と連携しながら、日々の業務をどのようにコントロールしているのか教えていただけますか。

朱さん:受注・在庫・発注情報などの管理は非常に難易度が高く、弊社で独自に開発したシステムを活用しています。毎週60点の新商品を発売しながら10万以上のSKUを取り扱っていると、動きのない商品も出てきます。そういった商品はシステムで掲載を落とす仕組みを取っています。また、システムにAIを導入し、常に2週間分の在庫を持てるように、各工場に発注できる仕組みも整えています。このシステムはECサイトのみの管理ではなく、複数の小売店に向けた卸をしているため、その点も考慮に入れた作りになっていることが必要です。

小売店によっては独自の商品パッケージを求められることもあり、そんな管理が求められるとは思ってもいなかったので、当時のシステムでは対応できませんでした。メインの上海にある倉庫と千葉にある倉庫のデータを連携し、在庫が足りなくなると上海から千葉に輸送するオペレーションを組んでいました。しかし、当時のシステムでは上海に商品在庫があっても、小売店が求める付属品やパッケージが足りていないとシステム上では検知できず、欠品状態になっていることに気づけない仕様だったのです。

それ以外にもシステム上課題になっていた点がいくつかあったため、業務を回しながら基盤をゼロから作り直しています。移行期間は既存のシステムを並行して利用しながら、問題がないか確認しつつ切り替えていきました。こういった対応は開発ベンダーに依頼することなく私を含めた3名のエンジニアで対応しています。

活きた声や市場のトレンドを取り入れた商品企画

――一般に自社でシステムを構築すると開発や運用にかかる費用、セキュリティやアップデートの対応などさまざまなハードルがあるためSaaSを導入している企業が多いですが、独自のシステム開発により他社には真似できない運用を実現できていることがわかります。コンスタントに毎週60点もの新商品を発売し続けるには、商品企画にもかなり力を入れているのではないでしょうか。

朱さん:「GAACAL」はブランド立ち上げたときから、お客様と距離を近くしようと意識しています。設立当初は、頻繁にライブ配信を実施することで、商品の使い方や改善点、サンプル案への意見など、お客様からコメントを頂いて商品企画に活かしていました。積極的に意見をくださる方も多く、今では「GAACAL maker」というお客様のアイディアを商品化できるサービスも提供しています。

ライブ配信からお客様の声を取り入れることに加え、バラエティショップなど小売店に足を運んで店頭に並んでいる商品から着想を得ることも多いです。「よりときめく商品にするには?」「もっとコストを抑えて販売できないか?」といったことを実際に手に取りながら考えるわけです。

人流回帰で狙うオフラインの直営店展開

――市場に流通している商品の改善とお客様の声を掛け合わせて高速で市場に商品を送り込み続けているのですね。人流がオフラインに回帰し、ブランド立ち上げからコロナ期間が長かった「GAACAL」にとっても風向きが変わる印象ですが、今後の販売戦略について教えていただけますか。

朱さん:日本の小売市場は9割が実店舗です。「GAACAL」はコロナ禍に入る直前に始めたこともあり、EC市場の急速な成長とともに伸びていきました。継続的にEC市場が伸びていくなら、実店舗に展開する必要はないと考えていましたが、友人がもうネットで買い物をしていないと話していたことや、確実にオフラインに人流が回帰している現状を見る限り、お客様との接点をオフラインに持つことの重要性が増しているように感じたのです。

そのようなタイミングで、大手の家電量販店から卸のお話を頂きました。市場の9割を捨てるのはもったいないとかねてから思っていたため、卸を始めてみると”働く女性のため”というブランドコンセプトが今の世の中に刺さったようで反響が良かったです。この予想以上の結果を受けて、卸だけでなく直営店も始めようと考えています。

定期的に開催している「GAACAL」のポップアップストア
定期的に開催しているポップアップストア

朱さん:また、SHEINなど中国の商品を販売しているショッピングアプリの台頭も「GAACAL」のオフライン進出を後押ししています。「GAACAL」では日本のお客様に向けた商品の企画・開発をしていますが、同じ工場で生産している商品も多くあり、写真だけで細部まで違いを確認いただくのは難しいことだと思っています。

品質に自信を持っていますが、それを伝え切るにはやはり手に取って商品の良さを感じていただける実店舗の存在が大きいのです。直営店があることで中間業者を挟まずに販売できるため、高品質かつ豊富な品ぞろえの商品を手頃な価格でお届けできるようになるでしょう。

――直営店の展開により、「GAACAL」がどのように成長していくのか期待が高まります。最後に、今後の直営店の展開への意気込みを頂けますと幸いです。

朱さん:EC発のブランドがオフラインに直営店を構えると、どこも苦労すると聞いています。しかし、オンラインとオフラインの融合で面白いことができる良い時代になるのではないかと思うのです。卸やポップアップストアなどオフラインでの販売経験を活かして、オフラインの小売市場で存在感を発揮できるよう頑張ります。

弊社では幅広いジャンルの商品をいち早く豊富に供給できる強みを持っています。弊社のことを知っていただいて、面白い取り組みをできそうだと感じた方がいらっしゃいましたが、ぜひお気軽にご連絡ください。

インタビューを通して:デジタルとアナログ、オンラインとオフラインの融合

朱さんのお話を聞いて、「GAACAL 」はシステム開発やSNSの活用などデジタルを駆使しながら、店頭の市場調査や工場との対面コミュニケーションなど地道なアナログの活動をおろそかにせずに、着実にブランドの成長につながる土台を固めている印象を受けました。

今後、新たに直営店を展開するにあたって、現在運営しているECサイトと実店舗でどのようなシナジーが発揮されるのか期待が高まります。運営元のrainbowwではさまざまな角度から協業できるパートナーを募集しています。本記事をご覧になって、興味を持っていただいた方はぜひ連絡をしてみてはいかがでしょうか。

大人かわいい雑貨ショップ「GAACAL」
https://gaacal.com/

株式会社rainboww公式ページ
https://rainboww.co.jp/

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