いよいよアメリカで本格始動!購買に最も近いであろうショート動画サービス「Amazon Inspire」を予習しておこう

皆さんこんにちは。コマースにまつわるあれこれを紹介するPodcast「コマースわいわいワイド」を配信している井谷です。本コラムでは、これまでの配信で好評だったテーマをダイジェストでご紹介していきます。

今回は、USにて2023年5月6日に正式リリースされた、Amazonアプリ内で使えるショート動画「Amazon Inspire」の概要と、それに付随して2023年の各プラットフォームのショート動画を取り巻く動向を紹介したいと思います。

2022年以降、ショート動画がメインストリームに

EC事業者の方もマーケティング手段の一つとして無視できない存在となってきているショート動画。ショート動画とは、短尺で縦長、スワイプして視聴する形式の動画で、スマートフォンとの親和性の高さが特徴です。

これまでショート動画と言えばTikTokが主流でしたが、昨今Instagram Reels(Meta)、YouTube ショート(Google)、Amazon Inspire(Amazon)など、各社ショート動画サービスを展開してきており、YouTubeでは2022年の第三四半期時点で300億回/日以上の視聴回数をたたき出すなど、動画の形式として主流となってきています。

そんなさなか、2022年12月にAmazonがモバイルアプリ内で閲覧する”ショッピングフィード”としてのショート動画「Amazon Inspire」の提供を、米国の一部ユーザーを対象に開始し、2023年5月6日に正式に全USユーザーが利用できるようになりました。

Amazon Inspireって?

「Amazon Inspire」は、これまでの各プラットフォームが提供してきたショート動画に比べるとより獲得に近い形式だと考えられます。

まずアプリに入ると、下のナビゲーションバーに「電球」マークがついており、そこがInspire枠です。流れてくるフィードは、「メイクアップ、スキンケア、ゲーム」など20種類以上ある中から、ユーザーが選択した興味トピックスによりパーソナライズされるようです。

画面右側にはいいね!のようなエンゲージメントボタンがあり、それをクリックすることでユーザー最適化がより精度を増す仕組みは他のSNSなどのショート動画と変わりなさそうです。

画像出典:Amazon

他SNSと大きく異なるのは、動画で気に入った商品をAmazon内で購入できる点でしょう。

動画には、動画内でインフルエンサーなどが紹介している商品(Amazonで購入できるもの)が右下に羅列され、ユーザーが気に入った場合は製品ページに遷移して、すぐに購入したりリストに追加したりすることができます。

動画を閲覧して気になったら数タップで購入まで完結させられるイージーさ。これが、他のショート動画よりも獲得に近いと考えるゆえんです。

画像出典:Amazon

またAmazonの場合、他のSNSとは違い、ユーザーが購買を目的に来訪している場合がほとんどです。そのため当然、CVRは高くなることが予想されます。

Inspireに自社商品を表示させるには?

現状、Inspire用のコンテンツを作成するための方法は3パターンあります。

  1. ユーザーが製品レビューを行う
  2. Amazonインフルエンサープログラムに登録しているインフルエンサ―が写真やビデオをストアフロントに投稿する
  3. アクティブなブランドストアを持つベンダーや販売者が、ブランド投稿に投稿する条件を満たす動画・写真を投稿する

前述したようにAmazonの場合、インフルエンサー(クリエイター)ではなく商品にスポットが当たる動画構成になることが予想されるため、顔出ししたくないインフルエンサーの参入も増えそうです。

2023年はショート動画飛躍の年

ここまでAmazonに焦点を絞って紹介してきましたが、その他のプラットフォームも年々ショート動画への注力比重を増しています。

ただ、ユーザーの視聴傾向がショート動画に寄る一方で、プラットフォーム側はマネタイズの面において、この流れを少し複雑な心境で受け止めているのではないかと考えられます。

プラットフォームは基本的に広告でマネタイズしていますが、これまで広告はSNSならばタイムラインに広告投稿が挟まれていたり固定の広告枠が存在したり、YouTubeのような動画サービスではインストリーム広告、アウトストリーム広告、レコメンド枠、マストヘッド広告であったり、動画視聴に対してCMのような形で広告が挟まる形式が主でした。

ショート動画の場合、バナーやレコメンド枠がなく、短尺なのでインストリーム広告も使いづらく、これまでと同様の広告形式では視聴体験を損ねることになります。

「メディアとしてトップシェアを維持するにはショート動画への対応は必須だが、ショート動画の表示シェアが増えればマネタイズの方針転換をせざるを得ない…」というジレンマがあるのが現状で、以下のように各社試行錯誤しているのが伺えます。

  • YouTubeショートを本格的にマネタイズし始めるYouTube(Google)
  • リールへの継続投資により活路を見出したいInstagram(Meta)
  • 政治リスクを抱えながらも常に台風の目であり続けるTikTok
  • イーロンマスク氏の介入でダークホース的な展開もありうるTwitter
  • コマースフィードでSNSに奪われたエンゲージメントをInspireで取り戻すAmazon

上記のような動きがある中で、2023年は群雄割拠のショート動画界隈が飛躍する年になりそうです。

Amazon Inspireの日本での展開はまだもう少しかかりそうですが、購買に直結しやすいショート動画は他社と一線を画す展開として注目に値しそうです。Amazonにも出店している事業者の方々はぜひチェックしてみてください!

より詳細な内容はブログ「コマースわいわいワイド」にて記事やPodcastで語っているので、ぜひ読んでみてくださいね。

【コマースわいわいワイド】
https://note.com/commerce_waiwai/

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