ECサイトの基礎基本、売上方程式で売上を上げる方法 - 後編

「アクセス数 x 転換率 x 客単価」は意味がない?

ECサイトの運営で、運営状況の確認と共有はみなさまも実施されていると思います。

下記はとあるECサイト運営会社のミーティングのやりとりです。

売上方程式で売上は増えない?

リーダー
ところで先週出した新商品の回転率は上がってる?
担当者
上がってます!
リーダー
OK!
リーダー
アクセス数は増えてる?
担当者
増えてます!
リーダー
OK!
担当者
ただ売上が増えていないようです。
リーダー
え?!売上方程式だとアクセス数が増えれば売上も増えるんじゃないの?
担当者
でも売上はほとんど増えてないです。

売上方程式が役に立たない理由

上記の事例では方程式の1要素であるアクセス数が増えたのですが、実際の売上には変化がなかったという結果でした。

ECサイトを運営している方でしたら、「アクセス数 x 転換率 x 客単価」という式は多くの方がご存知だと思います。

中には「アクセス数 x 転換率 x 客単価」なんてまったく役に立たない!と言う方もいます。

売上方程式:アクセス数 x 転換率 x 客単価

  • 競合の〇〇と転換率が同じなのに売上が少ない
  • 日々のアクセス数や転換率をチェックしても、何をすればよいかわからない
  • 転換率が上がっても売上が上がっていない
  • 3つを掛け算して売上数字を出しても、何が良いかわからない

など、役に立たないという理由は多くあります。

実績値は目標値(KPI)とセットで確認

実績の数値のみを共有しても、目標値との比較や、前年、前月と比較して評価をしなければ判断ができません。

実績値は常に目標値との比較が必要です。

アクセス数も転換率も客単価も、目標値を設定し、そこを狙って施策を立案する必要があります。

ECサイトで売上方程式を使うと、何がうれしいのか

ECサイトの健康状態のチェック

ここでも以前の記事で紹介した「何がうれしいのか」というフレーズを使えば、ECサイトの売上方程式をもちいることでECサイトの健康状態のチェックができるということです。

例えば、

  • アクセス数は増加している
  • 売上が上がっていない

この場合は、他の2要素「転換率」と「客単価」が下がっていて、ECサイトが「不健康な状態」を表しています。

仮に転換率が下がっている場合は、

  • アクセス数の増加分はターゲットの顧客ではない可能性が高い
  • 増加したアクセスはミスマッチなコンテンツ、またはミスマッチな広告

などと推測することができます。

不健康の原因を確認せずにいると、売上を上げるためにさらにアクセス数を伸ばそうとしてしまい、ミスマッチなアクセス数の増加に気づくことなくさらに無駄なコストが発生する、という可能性が高くなります。

毎日のチェック、および週や月での集計値をチェックし健康状態の確認を行うことで、運営の不備に気づくことができます。

成果を出すために必要な施策を明確にするため

ECサイトの運営は、いかに施策を立てて実行し、検証、そして改善して成果につなげるかが重要です。

成果を出すために必要な施策を明確にするためのPDCAサイクル

ECサイトは実店舗もなく、運営している人も見えない中で、ユーザーからの信頼を得て利用してもらうためには、サイトからユーザーに対しさまざまな角度でアプローチを行う必要があります。

だからこそ打ち立てる施策は、常に実施前と実施後で各種数値の確認をすることが必要です。

数字の裏付けがないと、前編の記事にもあるような「闇雲な運営」になってしまいます。

ここでまた別の事例のご紹介です。イベント企画に関わるサイトの構築でアドバイザーとして参加した際の例です。

チョピ山
サイトへの集客はどのように考えてますか?
担当者
サイトを立ち上げただけではダメなので、広告などを打つ必要があります。
チョピ山
広告出稿する際の指標は何になりますか?
担当者
サイトのPVです。
チョピ山
PVですか?問い合わせ件数などではなく。
担当者
アクセスした後のことは私たちではどうにもならないので・・。
チョピ山
このサイトの成果は何だと考えますか?
担当者
・・アクセス数が増えることですね。

このサイトの最終目標は応募者を増やして売上を上げることで、アクセス数はその手段です。しかし広告成果の指標をPVとしてしまうと、とにかくアクセス数を増やすことが正しい運用になってしまいます。

施策に対する指標を誤ってしまうのは、個々の施策が最終目標(KGI)にどうつながっているか、という視点がないからです。

売上方程式は最終目標である売上をあげるための問題点を確認し施策を考えるツールです。

売上方程式をもちいてKPIを設定

KPIスプレッドシート

実績値と目標値の比較がわかりやすいように、KPI表とKPIツリーを記したスプレッドシート「EC売上方程式&KPIツリー」を用意いたしました。

■「EC売上方程式&KPIツリー」スプレッドシート
https://docs.google.com/spreadsheets/d/1CDQGqP7X2JdpdL51u51lYjTHpEs9lNRkM1pwJ9x3ocw/edit#gid=1040671456
※上記リンクからファイルをダウンロードしてお使いください。

左の表の達成率と右のKPIツリーは連携しており、達成率が100%未満の場合はツリーのノードが赤くなります。

このKPIスプレッドシートをもちいて、目標値と実績を確認します。

まずC列の「KGI/KPI」列の

  • 月間売上
  • 転換率
  • 客単価

に、目標値を入力します。

次に「実績値」列に、下記の実績値をそれぞれ入力します。

  • 月間売上
  • 月間アクセス数
  • 購入件数

上記それぞれの入力で、表最右列の達成率を確認します。

例えば下記のKPIと実績値を考えます。

「KGI/KPI」

  • 月間売上:¥1,000,000
  • 転換率:2%
  • 客単価:¥8,000

「実績値」

  • 月間売上:¥650,000
  • 月間アクセス数:3,500
  • 購入件数:80

上記をスプレッドシートに入力すると、転換率は目標値を超え2.29%で達成率が114.29%、客単価が達成率101.56%、最も達成率が低いアクセス数が56%になっています。

EC売上方程式&KPIツリー

これにより最終目標の売上を達成するためには、まずはアクセス数を増やすことが必要とわかります。具体的に売上につながるアクセス数を増やすために、KPIツリーを確認します。不足しているアクセス数を増やすために、個別具体的な施策をKPIツリーから検討します。

ECサイトの売上方程式を使って、何をどう改善するか?

数字から問題点を明確にする

ただ売上方程式に数値を当てはめるだけでは役に立ちません。
3つの指標が相互に影響しあって売上を形成しているので、アクセス数、転換率、客単価がすべて増加するということは通常はありません。またアクセス数、転換率、客単価がすべて目標達成しながら売上目標が未達、ということもありません。

売上方程式で算出した目標値と実績値をもちいて利用することで、今、何が問題なのかを明確にすることが可能です。

問題点から施策に落とし込む

目標値と実績値を比較し、算出された達成率から問題点を洗い出します。

例えば目標値と実績値を比較し、他の指標よりもアクセス数の達成率が低いことがわかった際は、下記のような対応が考えられます。

  • 今までの流入経路で、アクセス数が低下しているチャネルは何か
  • 新たなアクセス数を増やす方法は何か

もし以前と比較してアクセス数に変化がない場合は、売上目標に対しアクセス数が足りない状況です。検索や広告、SNSなどそれぞれで目標値に対してどうやってアクセス数を増やすかを検証しましょう。

PDCAで売上の好循環を作る

ECの売上方程式をもとに、下記のようにPDCAに当てはめます。

P:目標値と実績値を設定し、KPIツリーから施策を立案
D:施策の実行
C:施策実行後に実績値を確認
A:再度目標値と実績値の比較から改善施策を立案

目標値と実績値の比較で、何が問題かがわかります。問題点を明確にすることで、打ち手がより明確になるでしょう。ECサイトの運営で何をすれば良いかわからない、どのデータを確認すればよいかわからないといった悩みを抱えている方は、こちらの方法をおすすめしています。

問題点の把握と適切な対応を行い、ECの売上を上げていきましょう!

株式会社チョッピーデイズ:https://choppydays.com

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