
はじめに
「日本市場が飽和状態のため海外進出を!」
「台湾は親日国家だから受け入れられやすいのでは」
こういったお話をよく耳にすることが多いです。
確かに親日国家として知られる台湾では街の至る所に平仮名やカタカナなど日本語を発見することができます。また日系企業の進出も多く「日本」というものが比較的受け入れられている市場であることは間違いありません。一方プレイヤーの増加や媒体規制など進出の難易度自体は過去より遥かに高くなっていることも事実です。
今回は私が生業としております台湾のデジタル市場に焦点をあて変遷とともに今台湾で行っていることなどご紹介できればと思います。
台湾のデジタル市場
台湾の人口は約2,300万人と日本の6分の1の割合ですが、ネット利用率が高いためデジタルの市場規模としては日本に対して4分の1と人口比では大きい市場となっていることが特徴です。また消費者のメディアの活用方法も、YouTubeで動画を視聴、Instagramで友達の生活をチェック、連絡手段はLINEと、日本と似ております。
敢えて異なる点を挙げるとするとTwitterがあまり利用されておらず、口コミなどの情報は現地メディアのDcardやPTTと呼ばれる2ちゃんねるのような掲示板を利用するユーザーが多いです。検索時にはYahoo!の割合が低く、Googleが90%利用されるという点です。デジタル中心で海外に進出する場合、GoogleやFacebookを中心とした日本のデジタルのマーケティングプランを模倣でき、かつ日本の商材は比較的受け入れられやすいことを考えると第一歩に台湾を選択することは合理的といえるでしょう。
Facebook広告中心時期
私の知る限りではありますが、2017年から2019年にかけてはデジタルでの獲得が伸長し、特にFacebook広告経由での獲得は安定しており、数多くの事業主がマーケティングの主軸にしておりました。しかし、プレイヤーが増えたことで、当時と今のFacebook広告のCPM(インプレッション単価)は1.5倍から2倍になったりとFacebook広告での獲得は次第に不安定になっていきます。
YouTube広告台頭時期
前述に倣って2020年から2021年あたりに「Facebookに変わるもう一つの軸を探せ」ということで台頭したのがLINEとYouTubeです。LINEはターゲティングのためのデータがLINE台湾を利用している国内ユーザーに限られるため、セグメントの精度はFacebookより劣ってしまい、安定はしませんでした。
一方でYouTubeを活用した広告は動画クリエイティブの量産ができればFacebookに取って代わる効果性を出しており、弊社でも当時出稿のほとんどをFacebookが占めていた配信割合が一気に1:1になるほどに成長します。ただ、審査基準が大きく変わったことで次第に配信できるクリエイティブの表現の幅に規制が入り、次第にFacebook広告中心への配信へと戻っていったのです。
日本企業の台湾進出トレンド
Facebook広告、Google広告と獲得の中心を担う媒体の単価高騰や審査基準変更などで以前ほど安定した配信ができなくなっているのが現状です。ただ、その他の媒体で補完できるかというと難しく、前述のとおりYahoo!やTwitterなどの配信方法が豊富にあるわけではなく、現状もFacebook、Google、LINEの順番で安定させることが台湾のデジタルマーケティング拡大の大事なカギとなります。
この運用型広告が不安定になるという流れから越境×運用型広告を基軸にしたモデルでの新規進出は難易度が相対的に上がり、進出企業の絶対数も以前と比べると減ってしまいました。
では、台湾市場への新規進出はもうできないのか?というと、そうではなく「越境×運用型広告」のモデルから「現地進出×マルチチャネル」が主流となり始めています。
具体的には自社サイトを持ちながら、momoやPChomeなどの台湾現地のオンラインモールへの出店、WatsonやCosmedなどのドラッグストアによるオフライン展開を行い全体での効果性を調整していく販売戦略です。
さらに、越境ECの場合は利用できる決済方法がクレジットカードのみに限られてしまいますが、台湾では電子決済のうちLINE Payが最も使用されております。実際、越境ECから海外進出に変更しLINE Pay決済を導入した企業で購入率が1.2倍ほど上がった事例もあるほど決済方法の充実さは売上を作り上げる重要なポイントとなっているのです。発送方法に関しても現地発送の場合、コンビニ受取など台湾では一般的な配達方法の選択も取ることができます。
市場の動きに伴い、獲得の中心であるFacebook広告のインプレッション単価とクリック単価が高くなってきていることから、決済、発送方法、マルチチャネルを駆使して購入率(CVR)を上げるという方法が主流となり、その手段を取るために台湾へ実際に進出することが成功の可能性を上げる鍵となっております。
最後に
これまで運用型広告媒体の変遷を中心にご紹介させていただきましたが、デジタルマーケティング市場は生き物のように常に変異していきます。台湾進出にご興味がある際は一度ご相談いただければと思います。
マイクロアド台湾:https://microad.tw/
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