【ベトナムeコマース最前線】越境ECを始める前に知っておきたいベトナムのネット通販事情

ベトナムのECプラットフォーム

ベトナムではFacebookがECプラットフォーム化している

まずベトナムでは2021年現在でもFacebookのアクティブユーザ数が7,000万人近くもいると言われており、世界でも7番目のFacebook利用国であります。その他のSNSとしてはベトナム国産アプリのZalo(ザロ)があり、こちらは日本のLINEや中国のWeChatのように使われています。

日本ではFacebookはビジネスSNSのような使われ方がされていますが、ベトナムでは少し使い方が異なり、友達や家族同士の写真の見せ合いに活用されています。例えば、田舎を出た娘が上京先で何をしているのか両親が知るためにFacebookやZaloのスマホアプリをインストールするのです。家族の繋がりを友人や同僚以上に重視するベトナムらしい使い方をしています。

私がベトナムに移住してきた2011年はiPhone4が出たばかりの時代でまだスマホは広く普及していませんでした。しかし、スマホを買い換える労働世代が古い機種を兄弟や両親にプレゼントするようになり、一気にスマホおよびFacebookが普及したのです。

その頃になると、自身のタイムライン投稿に農産物(例えばカシューナッツや乾燥フルーツ)を値段付きでアップロードして、友人に販売する人がチラホラと現れました。するとその潮流は瞬く間にベトナム全土に広がり、なんとFacebookだけで年間13億円も健康食品を販売して脱税で捕まった業者が現れるほどでした。

ここまで広がったのにはもう一つ理由があり、まだまだ産業の少ない国なので日本では当たり前の会社勤めになることが難しいのです。そのため簡単に商売を始められるFacebook販売が人気となったのです。

最近のベトナムでは、Lazada、Shopeeなどのモールが人気

前項で述べましたように、2018年頃まではFacebookを使ったeコマース販売が全盛でした。しかし販売業者の多くは個人商店や完全な個人であったため、販売業者に対する信頼度は薄く、商品が届かない事も多かったため、手元に商品が届いて、箱を開けて中身を見るまでは代金を支払わない、という習慣が根付いていきました。

この状況に目をつけた国内および外資系ECプラットフォームが続々とベトナムに参入してきました。これらのプラットフォームはWEBモール機能と決済機能に加え、集荷と消費者への配送機能を提供しました。これにより消費者への配送の追跡ができるようになり、ベトナム人も安心してeコマースを利用できるように数年で変化していきました。

その中でもLazada(アリババのグループ会社)は商品が正真正銘の本物であることに注力していて、特に輸入品の出品に関しては販売事業者に対して海外との契約書や通関資料の提出を求めるなど、厳格なプロセスが設けられています。このプロセスを通過した商品はLazMallと呼ばれるLazadaの中でも高級品かつ品質の保証されたスペースへの掲載が許されるのです。

シンガポール資本のShopeeや、日本資本も入ったTiki.vnもLazadaに追従する流れですが2021年時点では高級品・高品質領域はLazadaが頭一つ抜けており、人気を博しています。逆に洗剤やシャンプーなどの日用品、低価格帯の商品ラインナップではShopeeが充実しているという消費者も多く、ECプラットフォームの使い分けという現象が起きています。

ベトナムのショップのホームページ

ここ数年、Facebook広告やECモールでは特に化粧品や健康食品に対して効果効能を謳うことが非常に難しくなってきました。そこであらためて注目されているのがショップのホームページやブランドのホームページです。意外にもベトナム人はLazadaなどのモール内検索だけではなくGoogle検索もするため、正規サイトが存在しているということが重要なのです。

幸いベトナムは10年以上前からIT人材育成に力を入れており、プログラマやHTMLコーダーが多くかつ作業単価が世界一レベルに安いのです。デザインにかける工数を除けば20万円程度でそこそこのWEBサイトを構築することができます。

ショップのホームページには、販売ページを配置することができますので、Lazadaなどのモールで初回購入してくれたお客様に割引コードを発行して、次回以降はショップのホームページから購入いただくという流れも作れます。

ちなみにECモールの販売手数料は商品上代の13%程徴収されますので、長い目で見たら自社ホームページに誘導することで利益が上がるようなってきます。とはいえFacebookやECモールには集客力がありますので、双方を同時に運用する必要があるでしょう。

ベトナムのEC市場規模は1.3兆円

まずベトナムのGDPは2020年時点で27兆円程度ですが(日本は500兆円)そのうち3%がEC市場で回っているということになります。これは少ないように感じますが、このEC化率には実は裏があるのです。前述した13億円のFacebook販売のように、計算に入っていない(=課税されていない)個人取引が相当あることを鑑みると、2倍〜3倍の規模があってもおかしくありません。そうなるとECはなかなか無視することのできない販売チャネルとなります。

特に新型コロナウイルスの流行以降、外出して物を買う人は明らかに減りました。引き続き高級品はリアル店舗で買う傾向にありますが、重たいだけで付加価値の少ない洗剤やトイレットペーパーなどの日用品はオンラインで買う人が確実に増えました。

Facebook、Instagram、モール(高級系/日用品系)、ホームページ、各プラットフォームで売れやすいものが異なります。

  • Facebook:ちょっと面白い便利商品(ねずみとり、カビ落とし、組み立て家具)
  • Instagram:アパレル、アクセサリー
  • モール(高級系):家電、PC、化粧品、車関連用品
  • モール(日用品系):生活雑貨、ベビー用品、ペット用品、食品、飲料
  • ホームページ:家電、医薬品、健康食品、アパレル

どのプラットフォームにどの程度の市場規模が割り振られているかの情報はありませんが、肌感覚としてはECモールが50%を超え、残りをFacebookなどのSNSとホームページで分け合っているようなイメージです。

今ベトナムではどんな商品が売れるのか

ベトナムでは2021年7月から9月までホーチミン市を中心として大規模な新型コロナウイルスの蔓延が発生しました。(ベトナムでいうところの第4波)これにより、大規模な外出禁止や工場の操業停止命令が発令され、多くの人が減給または失業することになりました。

そのため、生活必需品以外のEC販売は非常に落ち込んでいます。例えば、化粧品やアパレル、旅行関連商品などはあまり売れていません。一方で伸びを見せているのはまずはコロナ関連商品です。マスクはコモディティ化していますが、コロナ検査キットや、除菌系の製品はよく売れています。変わった所では、なかなか頻繁に美容院へ行けない人が白髪に悩んでいるようで、白髪染めがよく売れています。

健康食品・サプリメントは安定して売れています。免疫強化で人気のビタミンや亜鉛の入ったサプリメントは非常に売れています。一番売れる価格帯は2,000円前後ですが、高くても外国製を買いたいという消費者はいて、8,000円を超えるフコイダン入りサプリを大量購入されたお客様もいらっしゃいました。当面は衛生・健康系商品を売るのが間違いないです。

ベトナムで商品販売を伸ばすコツ

ベトナムでは家族の絆を重視すると前述しましたが、今も昔もここに商品販売の秘密が隠れていると思います。例えば、見たこともない新商品をショップの店員が勧めてもなかなか購入してくれませんが、叔母が「これは効くわよ」と勧めてきたら何の疑いもなく買うのです。

マイクロインフルエンサー・コンテンツクリエイターと呼ばれる、特にSNSフォロワーも多くないけど少しだけ商品に詳しい、という一般人が家族(ベトナムでは叔父叔母従兄弟と一族で住むことが多く、両親や兄弟以上に仲が良いことが多い)に商品を勧めることで広まっていきます。

私も以前、同じスキンケア商品を何本もまとめ買いするお客様がいたので、どのように使っているのか聞きました。すると親戚や職場の人と共同購入して割引価格で買っていたのです。「周辺顧客」というマーケティング用語がありますが、ベトナムにおいては圧倒的に家族です。家族の中で愛されるような商品を開発したり、マーケティングとしてイメージづけしたりしていくことが非常に重要となります。

さいごに

ベトナムの経済は今急成長中です。弊社は、ベトナムの輸出販売・越境ECの支援を一気通関で対応しています。日本の製品をベトナム全土に届けるための販路を構築し続けてきました。その経験をもとに、ベトナムの経済やビジネス情報などを一冊の本「ベトナムで起業した男: ビジネスも人生も幸せにする生き方」にまとめました。

この本を通じて、ベトナムについて理解を深め、ベトナムの輸出販売・越境ECを考えている皆様の背中を押すことができればと思っています。

▼ ベトナムで起業した男: ビジネスも人生も幸せにする生き方
https://www.amazon.co.jp/dp/B08L6BRRHF

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