
ECサイトの集客においてSNS活用は欠かせません。そして、自社サイトの成長フェーズにあった施策を選ぶことが重要です。自社製品か仕入れ品か、はたまた大企業と個人事業のようにサービスの規模が違えば、効果的な打ち手も異なります。闇雲に取り組むのではなく、投資対効果が見合うものや、成果が出しやすい施策から行っていきたいですよね。
遅ればせながら、自己紹介です。ホットリンクのムロヤ(Twitter:@rmuroya)と申します。ホットリンクは、東証グロース上場企業で SNS マーケティング支援事業を展開しています。Twitter、Instagram、TikTokといった主要 SNS を活用した企業の広告宣伝、ビジネスのご支援をしております。
本稿では、このメディアの読者さんにも多いであろうスモールビジネスを中心に 、SNS 活用のポイントをお話ししたいと思います。
結論から言ってしまえば、「スモールECビジネスなら、中の人発信よりも UGC活用をおすすめします」ということです。
SNS といえば中の人?
中の人運用(ECにおいてはブランドの公式アカウント運用を指す)、これは10年前の考えです。改めましょう。ゆるいツイート自体がもてはやされた時代はもう終わったと思っていただいて構いません。あれは大企業だからこそのギャップや、Webサイト中心の時代では難しかった双方向のコミュニケーションが珍しかったために関心を集めたのです。
そもそもビジネスの目的は何ですか? お客様に商品を選んでいただき、買っていただいて喜んでいただくこと、その対価として売り上げや利益をいただくことだと思います。本質に立ち返りましょう。
中の人運用だけで、そこにつながるSNS活用だと言えるでしょうか?
どうやったら自社の商品やECの存在を知ってくれるだろうか?
欲しくなかった人に、欲しいと思っていただけるだろうか?
何回も買っていただけるだろうか?
これらの問いへの答えは、中の人運用だけで見つかるでしょうか。
中の人運用を否定しているわけではありません。「親近感を持たせるようなゆるいツイートをするだけで、自身が抱えているビジネスの課題を解決できるのか」という観点でお伝えしています。
SNS 活用がうまくいくための2つのポイント
2つのポイントをお話しします。
1つは ECのブランドアカウント以外にも、「個人のアカウント」を活用することです。
ここで言う個人とは生産者のことです。ブランドを運営する代表者さん、お店のオーナーや店長も該当するかもしれません。
よくある通販サイトの公式SNSとしての発信よりも、生産者としての発信のほうが、共感を呼びやすくシェアされやすい側面があります。お客様の立場になってみると、ブランドのSNS運用の中の人よりも、生産者と直接お話ししたい・聞きたい気持ちがあるでしょう。属人性はデメリットだけではありません。メリットもあります。ECのスモールビジネスであれば尚更でしょう。
また、現在は、モノだけで差別化できる時代でもありません。これだけOEMやECプラットフォームのサービスが普及すれば、同じような製品で溢れています。
お客様にとっては、モノだけでは、欲しい理由にならないかもしれません。あなたのビジネスの成長ストーリーに加わりたい、登場人物として参加したい。そのような動機で商品を買うことだってあるのです。応援消費とも呼ばれています。
このような体験は、個人のアカウント発信で響くと思いませんか? 「誰が言うか」の観点が重視されるのです。ブランド公式アカウントも用意しつつ、個人のアカウントでの発信も重ねましょう。
2つ目は「UGC(クチコミ)を増やすことを意識する」です。
自分がバズればいい。その発想は捨ててください。Twitterであれば4,500万人、Instagramは3,300万人が使ってます。マスメディアに匹敵する数千万人から、いかに良いクチコミが生まれるか、いかにクチコミが拡散されるか。その観点でも SNS 活用を模索してみましょう。
なお、バズについても、否定しているわけではありません。自分がバズる以外にも、いかにUGCが生まれるか、いかにUGCがバズるかにも目を光らせましょう。
事例をまじえて解説
ECサイトも運営している【飲める脂の豚肉】山西牧場さんをご紹介します。茨城県坂東市で約7,000頭の豚を飼育する、山西牧場さん。質の高い脂や臭みのなさ、アクが出にくいという高品質の豚肉は、「飲める脂」と評され多くの支持を集めています。2018年には、食肉の品評会である東京食肉市場豚枝肉共励会の優良賞を受賞しました。
アカウントはこちら。
■山西牧場公式(@ymnsfarm)
■代表取締役の倉持さん(@yamanishifarm)
豚肉という差別化が難しい商品を、どのようにして人々から愛されるブランドへ育てたのか。以前ホットリンクが取材した際に、低予算のなかでスタートした倉持さんの挑戦を伺いました。
UGCを生み出した「食べられる名刺」。山西牧場・倉持信宏氏 #きょうのUGC
https://www.hottolink.co.jp/column/20220519_111467/
要点をかいつまんでご紹介しますと、
- EC成長に向けて、大きな市場である東京を狙った
- はじめのうちは、都内のさまざまなイベントに顔を出してカレーを配るなど、会って話すことで認知をいただけた
- そうしてコンスタントに出るようになったUGCには、いいねして、リツイートして拡散したり、引用リツイートでお礼を伝えた
- 「SNS投稿してください」とはこちらから言わないように心掛けている
- 美味しそうに見えるように写真の撮り方もトレーニングした
- なによりも「山西牧場さんの豚は特別」と思っていただき、愛してもらえるよう心を込めて商品を作っていくことを大切にしている
です。
読者の皆様も参考にできるポイントは多いと思います。
ぜひSNSアカウントやUGC、お客様との交流も見てみてください。
まずはやってみましょう
すぐに取り入れられそうな実践的な方法をご紹介します。
- ブランドやECサイトのアカウントとは別に、個人のSNSアカウントも開設しましょう
- ブランド名でエゴサーチしましょう
- エゴサーチで良いUGCが見つかったら、個人アカウントからいいね&リツイートをしましょう
- 可能ならリプライで「ありがとうございます」と、感謝のコメントも直接お伝えしましょう
- クチコミを出してくれた方をフォローしましょう。きっとフォロー返ししてくれるはずです。そこから関係性を繋げていきましょう
(初回購入後のメルマガやLINE登録も有効ですが、SNSでのフォロー・フォロワー関係は心の距離が近くなりますよね)
#山西牧場 のハッシュタグ検索結果も参考になると思います。
まずは自身の投稿でハッシュタグをつけていくと良いです。
このように小さなアクションを積み重ねて、濃い繋がりを作っていきましょう。そこからじわじわと広がっていきますから。早速やってみてください。
SNSは気軽に実験できるメディアです。どんどん試して成功パターンを見つけていきましょう。
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