
アジア最大のECモールといわれる「Shopee」に関する問い合わせがここ最近増えているとスターフィールド株式会社(以下、スターフィールド)の綛谷さんは話します。越境ECでは販売先の国の商習慣や文化をよく知っていなければ成功をつかむことは難しく、同時に成果が上がるまで数年を要する覚悟が必要です。スターフィールドは、創業から10年以上、越境ECに携わった経験から、特にアジア圏を中心に事業者の海外展開を熟知しています。今後アジア圏への進出を検討している事業者向けに「Shopee」について、そしてスターフィールドでどのような支援を行っているのか同社の綛谷さんに伺いました。
この記事の目次
「Shopee」の特徴と日本のECモールとの違い
――越境EC・海外進出をするにあたって、ECモールを活用する方法があると思います。アジアでいうと「Shopee」が有名ですが、どのような特徴があるのか教えていただきたいです。日本の楽天市場やYahoo!ショッピングのイメージに近いでしょうか?
綛谷さん:楽天市場やYahoo!ショッピングに近いイメージはありますが、Shopeeは元々CtoC(個人間取引)から始まっているプラットフォームに、法人のセラーが増えて混在しています。なので、楽天市場にメルカリの要素を足したプラットフォームだとイメージいただくのが日本にあるサービスで例えるとより近いでしょう。
毎月セールなどのイベントが開催されて、そのタイミングでトラフィックが大きく伸びるのは日本のECモールと変わらない点だと思います。日本と異なる点としては、Shopeeは消費者保護の観点が強いモールという点です。返品ルールが徹底されていたり、店舗への問い合わせは12時間以内に返答することが義務付けられていたりと、消費者が安心して買い物をできる環境が整っています。そのため、アジア圏に住む方は使ったことのない商品をオンラインで購入する場合でも、安心してShopeeで買い物ができるのです。
アジアにおける越境ECにおすすめの進出国とその理由
――消費者が安心して買い物できるのはとても重要ですね。一方で事業者側の視点で見ると、海外に販売するとなると、出店やお客様対応、出荷の手続きなど慣れない業務が多いため抵抗感を覚える方も少なくないかと思います。実際のところはいかがでしょうか。
綛谷さん:まず、出店の手続きはShopee Japanのホームページから簡単にできます。1週間ほどでアカウントができあがるので、店舗情報やバナーの掲載、商品情報を翻訳して登録するだけです。このあたりの手続きは楽天市場やYahoo!ショッピングの出店経験があれば困りません。
現在、日本からは台湾、シンガポール、マレーシア、タイ、フィリピンへ販売可能ですが、気になる言語については、台湾が中国語、それ以外の国は英語で対応可能です。最近は翻訳ツールの精度が高くなっているので対応のハードルはそこまで高くないでしょう。
今お伝えした開始するまでのハードル自体は高くありませんが、実際に運用を開始するとなると現地の商習慣に合わせたコンセプト設計や日々の運用、マーケティング施策の計画・実施を負担に感じる事業者様は少なくありません。弊社でもよくご相談いただくポイントですので、少しでも課題に感じている方はお気軽にご連絡いただきたいです。
――市場選びは海外展開において重要かと思いますが、スターフィールドとしておすすめの国はありますか?
綛谷さん:シンガポールと台湾がおすすめです。この2つの国は日本で販売されている商品をお買い求めいただきやすい所得水準であることが理由として挙げられます。シンガポールの現地の方は海外の商品を買い物することに慣れているため、受け入れられやすい傾向にあるのです。台湾も同様ですが、加えて日本を身近に感じていただいているため、日頃から日本製のものを購入する習慣があります。
越境ECのプロが選ぶ最適な販路の選択で海外へ
――もっと海外展開に向けたお話について詳しく伺いたいところですが、今まで越境EC向けに自社ECサイトを構築するカートシステム「LaunchCart」を提供しているスターフィールドが、新たにShopeeの出店・運営支援のサービスを展開する理由についても伺いたいと思います。
綛谷さん:LaunchCart(ランチカート)を活用した自社ECサイトの制作やシステム開発を得意としてサービス展開をしている中で、スターフィールドのビジョンである「世界をもっと身近に」を創業から10年以上経った今、改めて考えました。
中小企業がもっと海外で売上を伸ばしたり、現地の企業とつながりを持ったり、国際競争力を高めるためには自社ECサイトの、特にサイト制作やシステム開発の領域だけではビジョンの達成に足りていないことに至ったのがきっかけです。
これまでも展開先の国での展開方法や運営についての相談をいただくことは多々ありました。その時々でアドバイスをすることはありつつ、継続的な支援を提供することはありませんでした。そこで、新しく越境ECの自社サイト運営代行サービスやShopee出店・運営支援など、まずはアジア圏を中心に海外展開を考えている事業者様のためのサービスを開始したのです。

綛谷さん:「LaunchCart」の提供をしている傍ら、海外のECモールで販売支援をするのは、自社ECサイトを販路にすることが最善ではない事業者様がいらっしゃるからです。また、まずShopeeから支援を開始するのは今アジア圏のECモールで最も盛り上がっていることが挙げられます。スターフィールドとして、自社ECサイトに限らず、支援できるプラットフォームの幅を広くしていることが事業者様の課題を解決することにつながると考えているのです。
越境ECの成功には現地をよく知る人材が必須
――日本を盛り上げるため、ビジョンに立ち返って新しく海外販売を支援するサービスが始まったのですね。スターフィールドが海外販売の運営支援をする上で強みになるポイントをお聞かせいただけないでしょうか。
綛谷さん:スターフィールドは広告代理店ではなく、売り場を提供することから始まった会社です。そのため、広告販促を起点として一気にアクセルを踏むサポートというよりは、目標に寄り添って一歩一歩前進するような支援を心掛けています。
その中で、Shopeeの支援においては長年アジア圏に特化したサービスを提供していることから現地の商習慣や文化、販売にまつわるノウハウを豊富に持っています。アジア圏で売るための知見を惜しみなく事業者様に提供できることは強みといえるでしょう。
加えて、アジア圏各国と日頃から関わりを持っているメンバーが多数在籍しています。現地の視点や生の声を支援に組み込むため、日本から一方通行での視点で施策を行うことがなくなり、自ずと成功する確率が高まるのです。
――ノウハウや知見の蓄積、販売先の国の視点など一朝一夕では積み上がらない強みがスターフィールドにあることがわかりました。例えばShopeeで販売する際に事業者様が気をつけたほうが良いことがあれば参考に教えていただきたいです。
綛谷さん:具体例を挙げると、問い合わせに対する姿勢は大きく違っているでしょう。日本だと毎回仰々しい丁寧な文章を作成して返信を行いますが、Shopeeではとにかくスピード重視です。問い合わせ用のチャットでは絵文字が使えるため、友だち同士のように軽い雰囲気でもお客様が求めている情報をお返しできれば問題ありません。日本風のカスタマーサポートですと、ガチガチな印象を与えるため、郷に入っては郷に従えの気持ちで実践すると良いでしょう。
他の例ですと、梱包資材や同梱物は日本語のまま利用すると喜ばれる傾向にあります。仕様書や取扱説明書は翻訳されているものが望ましいですが、それ以外の部分に関しては「日本から届いた」と喜んでもらえることが多いのです。しかし、Made in Japanが必ずしも海外のお客様にとって購入を決定づける価値ではないことを忘れてはいけません。現地で販売数を伸ばすためにはMade in Japan以上に商品そのものの力が重要です。
日本とは異なる市場に販売するからこそ、現地に合わせて変化に適応する気持ちや日本の売り方に固執せずに現地に合わせた柔軟な販売方法を模索する気持ちが大事になります。

補助金・助成金の活用で越境ECの成功確率を上げる
――最後に海外展開を視野に入れている事業者様に向けてメッセージをいただけますか。
綛谷さん:越境ECは事業者様にとって新規事業と同じ立ち位置になることが多く補助金の対象になりえます。事業を成長させるためには、それなりの投資が必要になるため、弊社が支援に入る際も補助金とセットで提案を差し上げています。
Shopeeや自社ECサイトなど販路を問わず、また、継続的な運営代行においてもカバーできる補助金があります。そのため「海外に出たいけど資金面に不安がある」という事業者様はまずはお気軽にお問い合わせいただきたいです。弊社であれば商品画像や商品詳細の登録など、立ち上げに必要な設定を現地に合わせた内容で設定します。
今後はアジア圏でShopeeと並ぶ規模のECモールであるLazadaの支援を始める予定です。既にShopeeに出店されている事業者様の次の一手としてご検討いただけるかと思いますので、気になった方はお気軽にお問い合わせいただけると嬉しいです。
インタビューを通して:拡大するアジアの市場に向けた一歩をどう踏み出すか
自社のブランドを海外展開するとき、認知が全くない状態から販売を開始することが多いかと思います。仮に、海外で一定の知名度を持つブランドであっても、その知名度をどのように活用するのかわからないことも多いでしょう。また、日本人に喜ばれている商品の価値が現地の消費者には喜ばれないことも考えられます。
ゼロから市場調査や商習慣を学び、一歩ずつ前にすすむ方法もありますが、越境ECは補助金や助成金を活用できる事業であるため、有識者を採用する気持ちで外部のパートナーに相談する選択を採ることがあっても良いかと思います。海外展開を意識している事業者様はまずお気軽にスターフィールドに相談してみてはいかがでしょうか。
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