
スリランカ産のセイロン紅茶専門店「MITSUTEA」は、楽天市場で2020年の3月18日から始まった「送料無料ライン」などを理由に撤退を決め、Wixで制作した自社ECサイトにシフトしました。そのような状況の中で、新型コロナウイルスの影響により対面で行っていた紅茶レッスンの実施ができなくなります。ECモールと比べて集客が難しいといわれる自社ECサイトを活用し、コロナ禍の逆境をどのように乗り越えたのか、代表の中永美津代さんに伺いました。
この記事の目次
楽天市場を退店し、自社ECサイトへと一本化
14年続けた店舗を退店した理由とは?
――まず、楽天市場から撤退しようと思った理由を教えていただけますか?
中永さん:楽天市場で統一のルールとなった「送料無料ライン」が導入されることが最も大きな理由です。費用の大きな割合を占める送料を無料にすることは厳しく、これ以上は続けることが難しいと思い、撤退を決めました。
2006年に出店し、撤退まで約14年間楽天市場にはお世話になりました。楽天市場は集客力のある場所であり、お買い物をする意欲がある人は非常に多くいらっしゃいます。しかし、自社の商品を知ってもらうためには広告を利用する必要があり、価格やポイントなど商品力以外のところで競争力を付けなければ新規のお客様の手に取っていただく機会は少なく、日々運用する中で次第に疲弊していることに気づきました。
ECモールから自社ECサイトへ運営が変わる不安
――長い間、楽天市場に店舗を構えていましたが、自社ECサイトに一本化することへの不安はありませんでしたか?
中永さん:始める頃はもちろん不安はありました。なので、撤退する前の2018年頃から自社ECサイトを立ち上げて準備を始めます。カートシステムはデザイン性の高さと操作性の良さからWixに決めました。Wixは素材やテンプレートが豊富で、「素人でこんなに良いサイトが作れるの?」と驚いてしまうほどサイトを簡単に立ち上げられるのです。
とはいえ、テンプレートのままでは私が表現したいMITSUTEAの世界観は実現できなかったため、Wix パートナーと呼ばれるWixの制作に長けたプロのデザイナーをご紹介いただき、細かいところまでブランディングを意識したデザインのサイトを作っていただきました。その際、今後の運用も考え、更新が誰でも簡単に行えるように設計してもらっています。
サイトの立ち上げ以外に不安な点があったとすると、集客についてです。弊社で扱っている商品は他社で取り扱っているものではなく、自分たちで良いと思ったものを産地から直接入荷して販売していたので競合するお店はありません。楽天市場に出店していた頃は担当のコンサルタントがびっくりするくらいリピート率が高いと言われていたため、自社ECサイト一本になることでお客様は付いてきてくることを期待していました。
楽天市場にお店があるうちはお客様が自社サイトに流れることはありませんでしたが、撤退してからは予想以上に多くのお客様が買いに来てくれたのです。また、楽天市場に出店していた頃はイベントに合わせて毎週毎週お得なセットを組んで販売していました。今は自社サイトでは、お客様がお好みのお茶を選んで組み合わせるセットや初めての人向けのセットを販売し、以前よりお客様が自分の好みに合わせてお買い物ができるようなっています。

Wixによって表れた思わぬ集客効果
――モールのイベントを考慮する必要がなくなったため、お客様が自分で好みのセットを選べる商品を提供できるようになったのですね。実際、自社ECサイトに一本化されてからの状況はいかがですか?
中永さん:集客に関して、初めはWixに何かを期待しているということはありませんでした。しかし、運用をする中で、調べてみると新規のお客様が不思議と多いことがわかったのです。サイトを作る際にSEOの基本設定がWixにあるのですが、それをやることで検索流入が増えていました。
最近ではInstagram、Facebook、TwitterといったSNSやブログなど、コンテンツ発信を随時行っているため、検索流入とSNS経由のアクセスの2軸で安定して集客できている状況です。
コロナでできなくなった対面レッスンをオンラインへ
――もともと対面で行っていたレッスンは緊急事態宣言でできなくなりましたが、売上への影響は大きかったのではないでしょうか?
中永さん:狭いお部屋の中でレッスンを行っていたため、コロナ禍では実施できないと思い、対面でのレッスンは辞めてオンラインに切り替えます。その際、自社ECサイトとは別にオンラインレッスンの予約サイトをWixで作成しました。こちらは私が自分で作成したのですが、特に苦労なく立ち上げられましたね。
対面のレッスンでは講師が入れたお茶を参加する方々に飲んでいただく形式でしたが、受講生には講師が使っている茶葉と同じ茶葉を事前に郵送し、手元に用意した状態でレッスンを行っています。お客様が外に出られない分、自宅でできる方法に切り替えたため、売上は落ちることなく伸びていきました。また、レッスンをオンラインにしたことで、受講生の方々がご自身で紅茶を淹れるようになったため、質問が増えてレッスンそのものが活発になっています。

中永さん:対面のときはレッスン以外に、実際の茶畑や紅茶のスポットを巡るスリランカに行くツアーを組むこともありました。コロナ禍ですと日本から海外には行けませんが、海外でも同じようにコロナが蔓延したため、現地の方が同じようにオンラインを活用できるようになっていたのです。そこで、ツアー参加者の方へ事前に茶葉を送付し、オンラインで現地とつながりながら、スリランカをツアーすることを提供し始めています。
また、同じスリランカの紅茶でも、ロシアやブータンなど国ごとに違った飲み方がされています。旅行会社とのコラボによって、スリランカの紅茶を通して世界の紅茶を巡るオンラインツアーを行ったことがあり、参加者には大変好評でした。
年齢問わずストレスフリーで操作できるWixで顧客との関係構築
――オンラインに切り替えたことでレッスンやツアーのできる幅が非常に広がっていますね。自社ECサイトとオンラインレッスンの予約サイトの両方をWixで運営していますが、どういった機能をよく利用していますか?
中永さん:ネットショップ機能「Wix ストア」やサービス予約機能「Wix ブッキング」のような、Wixに標準搭載されている機能で日々の運営を行っています。どちらのサイトでも重宝しているのはメルマガの機能です。弊社の茶葉にはリピーターが多いので名前を拝見したらどなたかわかるのですが、1件ずつ手作業で管理するわけにはいきません。
Wixは過去に購入した商品や購入回数など自動で配信セグメントが作成してくれますし、手動でラベルを付けてお客様を識別することも可能です。そのため、お客様に合わせてメルマガの内容を変えることでき、助かっています。
メルマガは紅茶の紹介だけでなく、例えば今の時期でしたらスリランカの現状やアイスティーのアレンジ方法など読み物としてお楽しみいただけるように毎週配信しています。商品の宣伝ばかりではなく、息抜きに読んで楽しんでいただければいいなという想いです。
また、ページの修正や変更など、ちょっとした更新作業は私より年上のスタッフもいますが社内みんなで対応できています。これはWixがウェブの素人でも使いやすい仕組みとしてノーコードで編集できることが大きいかと思います。

MITSUTEAの今後の挑戦
――最後に、今後Wixを活用する中で挑戦してみたいこととMITSUTEAとして新たに取り組みたいことを教えていただけますか?
中永さん:Wixには「マイアプリ by Wix」というモバイルアプリを作成できるサービスがあります。コミュニティ機能があるため、スリランカに関する情報を発信しながらお客様とコミュニケーションを取れたら嬉しいなと思っています。 MITSUTEAとしてはスリランカの茶畑の様子を生中継する取り組みをしていきたいと考えています。
少し前までは紅茶の差別化が少なく、同じような茶葉が多くありました。それが、コロナが流行したあたりから「他にはない紅茶を作ろう」という動きが活発になっています。そんな現地の変わりゆく様子を生中継でお届けしたいです。ゆくゆくはお客様を現地にお連れすることを視野に入れながら、まずはオンラインスクールを通して発信していければと思っています。
インタビューを通して:逆境をチャンスに変えて新たな挑戦の弾みに
長年出店していた楽天市場を退店し、自社ECサイト一本でやっていくことは大きな不安があったかと思います。しかし、現在進行形で多くのお客様から愛されているのは確かな商品力とお客様とのコミュニケーションにあるように感じられました。
自社ECサイトとオンラインレッスンの予約サイトのどちらもWixで構築されていますが、日々の更新や運用など、ウェブに慣れていないスタッフでも問題なく利用できているとのことです。サイトの更新や修正に手間を取られてしまっている方やECサイトの立ち上げに時間をかけたくない方など、Wixであれば簡単にデザイン性の高いサイトを作成できます。ぜひ、まずはアカウント作成からしてみてはいかがでしょうか。
▼「MITSUTEA」オンラインショップ
https://www.mitsutea.com/
▼「MITSUTEA」オンラインレッスンの予約サイト
https://www.ceylonteaschool.com/
▼Wixでサイトを作成する方はこちら
https://ja.wix.com/html5ja/websitebuilder
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