
ECの一元管理システム導入のポイントにつきまして、4つの項目でお伝えいたします。
- ネットショップ運営全体像とECの一元管理システムが担う役割
- なぜECの一元管理システムを導入するべきなのか?
- システムの種類と選び方
- 導入時の注意点
この記事の目次
ネットショップ運営全体像とECの一元管理システムが担う役割

こちらの図表はECの全体像です。今回のテーマの主役となるEC一元管理システムは、商品管理・在庫管理・受注管理の3つのシステムを内包しています。
EC一元管理システムは自社サイトやモールといった売り場機能と連携し、商品と在庫の登録、受注の対応を売り場ごとではなく1つのシステム上で行うことが可能です。そうすることで、複数の売場における運用をまとめて行うことが可能になり、自社の販路を広げ、ビジネスチャンスを容易に拡大することができます。
EC運営の全体像とECの一元管理システムが担う役割と範囲

バックヤード業務はEC運営全体の中で最も時間が掛かります。バックヤード業務の全体最適及び部分最適を担うシステムが、ECの一元管理システムなのです。
なぜECの一元管理システムを導入するべきなのか?
それではECの一元管理システムを導入すべき理由についてお伝えします。
受注対応業務の一般的な流れ(概要)

上の図は受注対応業務の一般的な流れです。①の受注を受けてから⑥の出荷通知を出すまでは、作業に対応するための時間と人手が必要となります。しかし、受注管理システムを導入することで運営が効率化でき、時間を削減することで費用を抑えられるようになります。また、自動化できる箇所が増えるため、ミスを減らし、お客様対応にかかる時間を削減する効果が期待できます。
受注管理・在庫管理・商品管理業務のシステム未導入時の業務イメージ
自社サイトや複数のモールの運営を行う場合、システムを導入しないと、店舗ごとに作業・管理を行う必要があります。そのため、それぞれの店舗ごとに人員体制を用意する必要が発生してしまい、結果として費用が高くなってしまうのです。
また、複数の店舗の商品登録や在庫補充も店舗ごとに行うため、ミスやクレームも発生しやすく、時間や売上のロスにつながってしまうかもしれません。その結果、作業をする時間が増えていき、利益を残しにくい状況になる危険性があります。

複数の店舗を一括で管理、運用できるシステムの導入を行うことにより、業務が自動化され複数店舗の対応や管理をシステムに全てお任せすることが可能となります。例えば在庫管理システムを活用すると、システムの画面1つを更新するだけで全店舗に在庫情報が自動で反映されるのです。
また、一元管理システムだけで管理を行うため、1店舗のバックオフィス運営体制で複数の店舗を管理できるようになります。これにより機会損失も少なくなり、売上の増加も見込め、余った時間で他の仕事を行うことが可能になるのです。他のモールに更に出店するなど、更に販路を拡大することも容易となり、人員を増やさずに利益が残りやすい効率的な運営体制を実現できるでしょう。
このようにECサイト運営において、特に複数店舗を運営する際は、商品管理・在庫管理・受注管理システムの導入は不可欠であるということを、覚えておいていただきたいと思います。
システムの種類と選び方
ここからはECの一元管理システムの種類と選び方について説明致します。
ECの一元管理システムの種類

こちらの図表はECの一元管理システムの種類を整理した一覧になります。主にはインストール型とASP型、開発型の3種類となりますが、最近ではインストール型とASP型のハイブリット型、ASP型と開発型のハイブリット型のサービスもあり、5種類のタイプの中から、皆様の状況に合わせてシステムの選定を行いましょう。それでは図表の見方を踏まえ選定の方法について説明を致します。
縦軸にはサービス提供タイプの機能拡張性、追加開発対応、システム連携個別開発への対応度合い、横軸には利用料金の金額感を踏まえて整理している図表です。
一元管理システムを導入する上で、基幹システムやCRMシステムなど、企業によっては他の外部システムとの連携が必要になります。その観点も視野に入れてシステム選定の際は価格面だけの比較ではなく、自社のシステムとの互換性や機能的な拡張性を考慮すると良いでしょう。
一元管理システムは、ECの運用を支援する中核のシステムであるため、その特性上、導入後にシステムを切り替えるとなると、新しいシステムに合わせた運用フロー策定のやり直しなどが発生しやすいです。そのため、相当の準備期間と費用が掛かってしまう傾向が高い業務領域でもあります。選定の際は、初期費用を抑えて運用できることや、事業の成長に伴ってシステムを入れ替えることなく追加開発や機能の拡充ができることなど、運用に柔軟に合わせられるシステムを導入することをおすすめします。
特徴とメリット・デメリット
一元管理システムの各タイプ(型)の特徴とメリット、デメリットについて説明いたします。
インストール型
パソコン等へインストールして商品や在庫、受注のデータを管理するタイプです。サービスによっては別のソフトが必要になるケースがあります。
パソコン等でデータを管理するので定額で利用できる点や自社で必要な機能を比較的安価にカスタマイズできる点がメリットとなります。
注意点として、下記の3点が挙げられます。
- パソコン等を買い替える際はソフトの再インストールやデータの移設を行う必要がある点
- 複数のパソコンで利用する際は社内LANを経由してパソコン同士を連携させる必要がある点
- パソコン内でお客様の注文情報を管理するため、データ漏洩等のセキュリティー対策を別途、行う必要がある点
インストール型とASP型のハイブリット型
操作自体はパソコン等へインストールしたソフトで行い、商品や在庫、受注のデータはクラウドサーバー上で行うタイプです。インストール型のメリットはそのままに、パソコン買い替えの際はソフトの再インストールは必要ですが、データの移設などは行う必要はありません。また、複数のパソコンで利用する際も社内LANを経由してパソコン同士を連携させる必要がなく利用可能です。
ASP型
WEBブラウザを介して利用できるサービスです。パソコンへソフトをインストールする必要もなく、パソコン同士を社内LANで連携させる必要もなく利用できます。商品、在庫、受注データについてもサービスを提供する企業が既にセキュリティー対策を行っているWebサーバー上で管理されているので、WEBブラウザがあればインターネット経由でアクセスしてどこでも業務を行うことが可能です。
ただし、サーバーでデータを管理するタイプとなりますので利用料金はデータ量や処理件数に応じた従量課金となることが多いです。その際は販売計画と照らし合わせて展開する商品の数や処理件数を踏まえて、想定費用の試算を行っておくことをお勧めいたします。
ASP型と開発型のハイブリット型
ASPでありながら個別の機能開発(カスタマイズ)に対応可能なサービスです。一般的に個別の機能開発を行った場合、本体機能の更新が発生すると、その都度、利用者が個別開発機能も追加の開発費をかけてシステムを更新させる必要があります。ASP型と開発型のハイブリット型の場合は、一定の保守費用のみを支払うことにより、利用者が開発する費用や期間をかけずとも常に最新の状態でサービスを利用することが可能です。
特に各ECモールは機能の変更や改修が頻繁に発生しますので、標準機能に追加して個別機能を追加で開発(カスタマイズ)する場合は開発型と比較して初期開発とランニング費用を抑制して利用できる点がメリットとなります。
個別開発については自社の基幹システムや他の外部システムとのシステム連携も可能です。事業の成長にあわせて多くの機能を持つ他のシステムへの入れ替えや大掛かりな運用変更を行わなくても、自社の運用を更に進化させて継続して利用できます。ECの事業規模が小規模の段階はASPの基本機能で運用を行い、事業規模が大規模となった際は機能を拡張する開発も可能です。
開発型
開発型は自社の運用で行いたいことを踏まえて、フルスクラッチで個別に開発することが可能です。その開発を行う上で自社内の運用をどのような流れで行うのか抜け漏れなく詳細に設計しておく必要があります。また、数千万単位の開発費用と構築に長い期間がかかる点、モール側の仕様変更等が発生した場合は個別開発機能の追加開発期間と費用が掛かります。それらも考慮して導入を行うことをお勧めいたします。
以上が5つのタイプの特徴とメリット、デメリットとなりますが、選定を行うには、自社の運用や事業の計画、状態を踏まえて、目的を明確にして選定を行う必要がある点を覚えていただけたらと思います。
導入時の注意点について
最後に導入時の注意点についてご説明をしたく思います。
導入時の主な注意点は次の4点です。
- 自社の運用の流れを整理して、現状、困っている事を洗い出しておきましょう。
- 出店したいモールや利用したいECシステム(ECカート)や業務で利用する関連のシステム(倉庫管理システムや伝票発行システム等)と一元管理システムが連携しているか?連携していない場合はその予定があるのかについて確認を行う。
- 将来、事業が成長した場合に外部のシステム(基幹システム等)との連携が比較的容易に行えるのかなど、拡張のしやすさや費用感(初期開発費用や保守運用費用)を確認する。
- システムを提供する企業のサポート体制について、しっかり確認するようにしましょう。特に、問い合わせのレスポンスの速さ、使い方や設定の方法、自社の業務の流れにあった使い方の提案をしてくれるかなど、安定した運用を行うためには欠かせないポイントです。
一元管理システムで行う業務はECで売上を作っていくうえで中核業務です。この4点を、抜けもれなく準備、確認しておく事が導入をスムースにし、早期の運用安定化につながるため、しっかり対応できるようにしましょう
まとめ
記事内に掲載されている図や表はホワイトペーパーとしてDLいただけます。ECの一元管理システムを選定/導入する際は料金や機能の多さだけでなく、当資料のP11~13「システムの種類と選び方」とP14~15「導入時の注意点について」を活用して、候補企業のサービスを少なくとも次の3つの観点に照らし合わせて、検討/選定することを心がけるようにしましょう。
- 自社の運用を自動化/効率化できる業務範囲の広さや多さ
- 事業の成長に合わせてシステムを入れ替えることなく拡張が行いやすいか
- 出店したいモールや利用したいECシステム(ECカート)がシステム連携可能か
上記の3つを踏まえ、初期費用や月額費用、追加開発費用等の視点でのメリットや導入時のサポート内容(親切さ)に注視すると良いでしょう。
最後になりましたが、弊社サービスの「TEMPOSTAR/テンポスター」はASP型と開発型のハイブリット型の一元管理システムとなっております。体験版は無料でご利用いただけますので、ツール選定やご検討の一つとして加えていただけますと幸いです。
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