
事業の成長に伴い、既存のECカートシステムではやりたいことが実現できずに頭を抱えている事業者の話を聞きます。便利で画期的なサービスやシステムが次々と出てくる中、なぜこのような問題が起きてしまうのでしょうか? その理由と解決方法について、株式会社久(以下、久)の代表取締役である工藤暢久さんに伺いました。
この記事の目次
サービス・システムの導入がECでは一筋縄ではいかない
――久は自社ECサイト専門のコンサルティングをはじめ、制作から運用まで総合支援をされているとお聞きしております。その中で、事業者からどういったご要望をいただくのでしょうか?
工藤さん:事業者様の成長フェーズに伴って、さらなる売上拡大や業務効率化を狙って新しいサービスやシステムを積極的に導入・連携したいという要望があります。ほとんどのECカートシステムには、売上を伸ばすためのフロントエンドの機能と、運営・管理に必要なバックエンドの機能が搭載されています。
●フロントエンド:集客・販促・分析など
●バックエンド:商品管理・受注管理・顧客管理・決済・配送など
しかし、事業が成長するにつれて、ECカートシステムに搭載されている機能だけでは物足りなくなってしまうため、外部のサービスやシステムと連携する必要が出てくるのです。
ECカートシステムと外部のサービスを連携する例をフロントエンドで挙げるとすれば、サイト内検索エンジンがイメージしやすいでしょう。自社ECサイトを運営するとサイト内検索の機能を高性能化して、お客様が商品を探しやすくするための仕掛けを増やしたいと考える事業者様は少なくないかと思います。しかし、ECカートシステムの中には、サイト内検索の改修や外部のサイト内検索エンジンサービスとの連携が難しいものもあるのです。仕方なく、ECカートシステムの提供する制限的なサイト内検索エンジンサービスを継続して利用するのですが、それだとやはり制約があって、実現したいことができなくなってしまいます。
バックエンドに関しては、基幹システム・在庫システムの連携を求められることが多いです。例えば、基幹システムに弥生販売ソフトを使われている場合、ECサイトにおける受注データをエクスポートして、弥生販売ソフトのCSVファイルに体裁を直してインポートしなければなりません。また、サイトの商品登録においても、ECカートシステムのデータ形式に合わせて、エクセルの商品マスタデータを修正する作業が必要になります。このデータ変換の作業が工数となってしまい、様々な業務や施策に支障を与えているのです。
データカラムが統一策定されないまま成長したEC業界における弊害
――事業者としては、売上拡大や業務効率化に繋がるサービスやシステムであれば、ぜひ導入・連携したいですよね。なぜ、それが一筋縄ではいかないのでしょうか?
工藤さん:一番の理由としては、サービスやシステムの連携元と連携先でデータの形式が異なるからです。EC業界は、統一したデータカラムが策定されないまま、成長してきました。そのため、各サービス・システムを提供している企業様が、個別にデータカラムやデータ設計をしているので、データの形式や項目がサービスやシステムによって異なるのです。
この問題は、APIを活用して連携することで解決できるように思われます。しかし、社内で開発ができる環境が整っていればいいのですが、ほとんどの事業者様が外部に委託されているのではないでしょうか。
普段お付き合いのある制作会社様に相談される事業者様が多いですが、フロントエンドではなく、バックエンドの開発になるため、対応できないこともあります。また、バックエンドの専門であるシステム開発会社に依頼したとしても、ECの業務フローをしっかり把握していないと、うまく連携することができません。そのため、委託先を選定することが難しいという声をいただきます。
サービスやシステム連携を支援させていただく中で、それに伴う作業工数が毎回大きく、様々なハードルが存在しており、弊社として苦労が耐えませんでした。そこで、この課題を解決するためのシステムを開発したのです。その後、このシステムを多くの事業者様、支援事業者様に活用していただきたいと思い、クラウドサービス「ECコネクターⓇ」としてリリースしました。
ECコネクターは、今まで自社で開発を行わなければならなかった異なるサービス・システム間のデータ変換・連携を簡単にできるサービスです。現在、対応しているECカートシステムとしては、MakeShop・futureshop・サブスクストア・Shopify・Bカートなどがありますが、基本的にはどんなECカートシステムであっても対応可能です。

ECカートシステムの拡張性・カスタマイズ性を高めるECコネクター
――ECコネクターにより、様々なサービスやシステムが連携できることで、利用しているECカートシステムの拡張性が高まりそうですね。他にECコネクターを活用するメリットはありますでしょうか?
工藤さん:ECコネクターは、ただ連携するだけでなく、特定のルールに従い、受注データを修正・加工することができます。これにより、ECカートシステムをカスタマイズすることなく、様々な施策を行えるようになるのです。
例えば、ECカートシステムによっては、注文情報に条件を付けてノベルティをプレゼントするかどうか判定する機能がないものもあります。受注データをECコネクターにインポートした後に、設定した金額や商品を購入された顧客に対し、ノベルティ明細を自動で付与することができます。そのデータを受注管理や一元管理システムに取り込めば、購入金額・購入商品に応じたノベルティのプレゼント企画を実施することが可能になるのです。
他にもECカートシステムのカスタマイズをせずに、店舗受取の機能を導入することができます。受注データから店舗受取を選択した購入者を自動判別し、商品引換バーコードを発行するように、ECコネクターで設定します。その引換バーコードを購入者にメールで送信するのです。あとは、店舗にて顧客が提示した引換バーコードを読み込んで、ECコネクター上の受注データが一致するかを確認し、商品の受け渡しを行うだけです。タブレット端末と数千円の汎用バーコードリーダーがあれば実現できるため非常に低コストで店舗受取機能が実装可能です。
事業が大きくなってくると、やりたいことが増え、より柔軟にカスタマイズができるECカートシステムに乗り換えたいという相談を受けることがあります。カスタマイズの柔軟性が高いほど、費用は上がっていきますし、システムのリプレイスにも、多額な費用とリソースがかかってくるでしょう。しかし、コストをかけてリプレイスをしても、投資コスト分を回収できるだけ売上が伸びるかはわかりません。そのため、追加したい機能を拡充できないままリプレイスをせずに、既存のECカートシステムを利用し続ける事業者様も少なくないのです。
ECコネクターを活用することで、今利用されているECカートシステムで実現できなかったことができるようになると思います。

――ECコネクターは、ECカートシステムの拡張性だけでなく、カスタマイズ性も向上させるのですね。最後に、今後の展望についてお話いただけないでしょうか。
工藤さん:データの連携に課題は尽きません。弊社があらゆる視点からその課題を解決していきたいです。ECにおけるデータの変換・連携に関して何でも相談して欲しいです。複雑な連携の相談をもらうことが増えていますが、できる限り満足していただける結果をご提供できればと考えています。
また、物販全般に関するサービス・システムを提供している支援事業者様と多く連携していきたいと思っています。最近ではクラウドPOSレジの「スマレジ」様やLINE様が提供する「CLOVA OCR」などと連携をすすめて業務のデジタライゼーション化を推進しています。ぜひ、お声がけいただけますと幸いです。

取材を通して:ECシステムの連携に課題を抱えている方はECコネクターを
様々なECカートシステムがありますが、どれも一長一短ではないでしょうか。海外のECカートシステムの中には、比較的安価で拡張性が高いものもあります。しかし、サポート面やセキュリティ面がネックで導入できず、別のECカートシステムを選んだという話も聞きます。また、色々な理由で既存のECカートシステムからのリプレイスができない事業者もいるでしょう。特に最初の方にECに参入した事業者はなおさらだと思います。
ECコネクターを活用すれば、今利用しているECカートシステムで実現できなかったサービスやシステムの連携や、カスタマイズが可能になります。ECカートシステムの拡張性・カスタマイズ性が物足りないと考えている方は、ぜひECコネクターを提供している久に話を聞いてみるといいでしょう。
▼ECコネクターのサービスはこちら
https://www.ec-connector.com/
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