実店鋪売上10%増!地方の老舗和菓子店「木村屋」が語るGoogleビジネスプロフィール施策【セミナー体験レポート】
イベントの概要

約1,700社のウェブマーケティングを支援中の株式会社Faber Company(ファベルカンパニー)は、2022年3月16日(水)にセミナー「実店鋪売上10%増!17店舗を展開する地方の老舗和菓子店のGoogleビジネスプロフィール施策を振り返る」を開催しました。

コロナ禍で打撃を受けた老舗和菓子店の有限会社木村屋では、ECやウェブ集客の重要性を痛感したそうです。同社の取締役である吉野薫さんは、知識ゼロの状態からローカルSEO施策で、ECの売上と実店舗への来店を見事に増やされました。

今回のセミナーでは、Googleビジネスプロフィール施策を中心にお話しいただきました。

【登壇者】
吉野 薫さん
有限会社木村屋
取締役

牛丸 晋太郎一さん
株式会社Faber Company
ローカルミエルカカスタマーサクセス

木村屋がローカルSEOに取り組んだ背景

牛丸さん(Faber Company):木村屋さんについて、知らない方もいらっしゃると思いますので、簡単にご説明いただけないでしょうか。

吉野さん(木村屋):当社は山形県鶴岡市で和洋菓子、パンの製造販売を行っています。東京の銀座木村屋の暖簾分けとして1887年に創業しました。現在は山形県を中心に17店舗展開しています。鶴岡伝統のお菓子を作り続けて135年、地元のお客様には普段使いから、お土産、ご贈答用など様々なシーンでご利用いただいております。

牛丸さん:木村屋さんは、コロナ禍により人流が抑制された影響を受け、来店客が減少し売上が下がったと聞きます。その中で、Googleビジネスプロフィールの施策などを中心に、ローカルSEOに取り組まれて1年弱で、目に見える形で結果が出ています。店舗周辺のGoogleマップの検索順位は2桁台から1桁前半にまで改善され、店舗への電話数や実店舗の売上が増えました。

ウェブ集客には様々な施策がありますが、なぜローカルSEOを取り組むことになったのか、Googleビジネスプロフィールに注目されたのでしょうか。

吉野さん(木村屋):コロナ禍で広告の出稿を見直すことになりました。広告の出稿量を抑えて露出を減らす方針になった一方で、コロナ以降に人流が回復することを見据えてウェブ集客の強化を行うようになります。そのとき、実店舗を持つ中小企業の効果的な手段として、費用を抑えて取り組めるローカルSEOが挙がりました。私や当社の代表が出張先でGoogleマップを利用して買い物をしたり、お店を探したりすることがきっかけにもなっています。こういった理由から、Faber Companyさんに支援いただきながら、ローカルSEOに取り組みました。

牛丸さん:ローカルSEOであれば費用を小さく始めることも可能です。また、Googleマップで検索しているユーザーは来店を検討していることが多いため、小さく始めて効果を少しずつ伸ばしていく点で適していると思います。

Googleビジネスプロフィールの4つの施策

Googleビジネスプロフィールの4つの施策

牛丸さん:これまで様々な施策に取り組んできましたが、特に4つの施策を掘り下げて吉野さんと一緒にお話しできればと思います。

まずは基本情報の整備から

牛丸さん:本格的な施策を行う前に、まずは基本情報の整備を行っていただきました。登録を行うだけではありますが、チェーン店様になると店舗によって登録が漏れてしまうこともあるため、更新を徹底していただいています。

更新が必要な基本情報

  • ビジネス名
  • カテゴリ
  • 住所
  • 営業時間
  • 特別営業時間
  • ビジネス情報
  • 属性
  • etc.

牛丸さん:特にコロナ禍においては、実店舗のコロナ対策がされているか、スタッフがマスクを着用しているかなどの属性の登録がお客様からの細かい信頼を得るために必要です。また、祝日の営業時間が表示される特別営業時間の設定もできていない場合があります。この欄を記入していないとGoogleマップ上に“時間が異なる場合があります”と表示されるため、検索ユーザーは「本当に店舗が開いているかわからない」「時間通りに運営しているかわからない」と不安になり、来店に迷いを与えてしまう可能性があります。

コロナ対策の属性欄
コロナ対策の属性欄
特別営業時間の設定をしていないと、時間が異なる場合がありますと表示されてしまう場合がある
特別営業時間の設定をしていないと、時間が異なる場合がありますと表示されてしまう場合がある

牛丸さん:このような細かい店舗情報を整理することが検索ユーザーにとって、ためになる情報になるので情報更新の徹底を進めていきました。

最新情報をしっかり投稿しよう

最新情報の投稿バリエーション
最新情報の投稿バリエーション

牛丸さん:「最新情報」を投稿いただく上で、多くのバリエーションを用意していただきました。投稿の際はどういったことに気を使っていましたか?

吉野さん(木村屋):まずは投稿を継続することです。季節のお菓子を計画的に週2~3回のペースで投稿することにしました。投稿を継続することでお店が“アクティブ”である印象を、検索ユーザーに与えられると考えています。

最新情報の投稿数に比例してビュー数も増加
最新情報の投稿数に比例してビュー数も増加

牛丸さん:確かに、木村屋さんは2021年4月から毎月200件ほど最新情報を投稿しています。投稿数に相関して合計のビュー数(=GBPの店舗情報の閲覧数)が伸びており、12月はビュー数が12,000に迫っています。1投稿あたり300ほど見られていることがわかるのではないでしょうか。

継続的に投稿をすることで、GBPで重要な指標である「関連性」が強化され、ビュー数が伸びたのではないでしょうか。

季節の商品の投稿は効果的

牛丸さん:季節に関する投稿はいかがでしたか?

吉野さん(木村屋):季節商品の投稿も計画的に行っていました。直近であれば、ひな祭りやクリスマスシーズンが挙げられます。季節商品を投稿すると、他の投稿に比べて表示回数、クリック回数ともに非常に多くなる傾向があります。

検索ユーザーが季節商品を検索するタイミングでGoogleに認識してもらうために、検索される1ヶ月前頃から投稿を行います。その後、ユーザーが実際に検索するタイミングで、再度同様の投稿をしています。

牛丸さん:通常の投稿は高くてもクリック率が1%後半から2%弱ですが、季節商品では5%を超えるクリック率もあり、反応の良さが感じられます。最新情報を数多く投稿し始めて2~3ヶ月経った頃から、検索結果に引用されることが増えました。

投稿内容の引用事例
投稿内容の引用事例

牛丸さん:木村屋さんのGBPの(スライドの赤枠内で)「!マーク」で表示されている箇所は投稿の内容が引用されています。このような引用が多くの検索クエリ(キーワード)で表示されるようになりました。引用が増えることで、検索ユーザーの検索意図と表示されている情報が合致しやすくなり、見られる回数やクリック率が増える流れが作れるようになります。多くの投稿をしていますが、ネタ出しは困りませんか?

吉野さん(木村屋):最初は苦労しました。いまは注力の商品紹介、季節商品の紹介、Go Toキャンペーンのクーポン利用に関する投稿などを掲載しています。それ以外には、各店舗に寄せられたお客様の声やご質問を参考に情報を発信しています。

牛丸さん:各店舗に寄せられた声や質問は、どういったものがありましたか?

吉野さん(木村屋):一番多いお問い合わせは季節限定商品の販売開始時期についてです。ひな祭りの雛菓子や、クリスマスケーキなど、「販売開始はいつ?」「予約はできるの?」といった声が多く寄せられています。

牛丸さん:お客様の声を活かして投稿していったのですね。投稿を続ける中で、実際に効果を感じられる瞬間はありましたか?

吉野さん(木村屋):最新情報の投稿で効果を感じた出来事が3つあります。

1つがGoogleビジネスプロフィール専用クーポンを発行したことです。実は、最新の投稿が実際に見られているのか疑問に思っていた時期がありました。検証するために、クーポンを発行してみたのです。GBPの最新情報の閲覧者限定でお菓子をプレゼントするクーポンを発行したところ、全店舗で20名弱の方に利用いただけました。見ている方がいると実際に感じられて意識が変わっていきました。

2つ目は、クリスマスケーキの投稿です。投稿の閲覧数だけではなく、当店のホームページへの流入が増えて、効果を感じられています。

最後の3つ目は、Go To トラベルの商品券利用に関する投稿です。その投稿は閲覧が非常に多く、実際に商品券利用のために店舗に足を運ばれた方も増えていました。

牛丸さん:かなりの数を投稿いただいた中で、継続的な投稿や投稿内容の工夫など細かな部分が一つ一つの結果に結びついていると思います。

商品の登録はイベントや季節に合わせて

直接検索された際の検索結果
直接検索された際の検索結果

牛丸さん:実際に木村屋さんのGBPでは「商品」が見やすく登録されていることがわかります。ホワイトデーなどのイベントに関する季節商品は前もって登録していたのでしょうか?

吉野さん(木村屋):イベントごと、季節商品ごとに登録することを心掛けています。また、閲覧者の傾向としてスマートフォンを利用している方が多いので、見え方についてはスマートフォンを意識しています。お客様目線になって、細かいユーザビリティを意識して登録することが欠かせません。

写真の登録は忘れずに行おう

牛丸さん:「写真」は木村屋さんが取り扱っている商品すべてを登録しています。他店と比較検討しているユーザーに、商品情報を伝え漏らさないように登録いただいている背景があります。新しい商品が出たら必ず登録するのでしょうか?

吉野さん(木村屋):新しい商品は自分たちで撮影を行って、必ずGBPに登録する流れができています。撮影した写真はすぐに掲載できるような流れを仕組み化しました。また、チラシ用に撮影した画像をウェブに流用することもあります。

今では当社の代表がこの業務に興味を持って、自らフォトショップで画像を加工しているくらいです。

施策の成果が見える形に

牛丸さん:このようなローカルSEO施策やSEO施策を通して、店舗への電話数が約2.5倍、実店舗の売上が約1.1倍という成果出たそうですね。なぜ成果につなげられたのでしょうか?

吉野さん(木村屋):ローカルSEOを含む様々な要因によって出た成果ではないでしょうか。特にローカルSEOによる成果として、「雛菓子」のお話をさせてください。

山形県鶴岡市では3月に食べるお菓子として、あんこで果物や野菜をかたどった色鮮やかな「雛菓子」が好まれています。コロナ前より、お問い合わせや各種メディアから取材を受けていた商品です。しかし、商品をネットで買っていただくことはおろか、発売日など商品をお買い求めいただく上で必要な情報を告知できていませんでした。そのため、露出はしているが売上にはつながらない、という課題があったのです。

木村屋の雛菓子
木村屋の雛菓子

吉野さん(木村屋):今回のローカルSEO・SEOの取り組みを通して、ウェブからの購入や事前の予約を受けられるようにホームページを改善しました。また、発売日や現金以外の決済方法などのよくお問い合わせいただく情報をホームページやGoogleビジネスプロフィールに公開しています。結果として、今年度は雛菓子単品でコロナ前の1.5倍近い売上になりました。

セミナー参加者からの質問に対する回答

セミナー後半では参加者からでた質問にこたえる時間もあり、活発に質問についてのやりとりが行われました。いくつか抜粋します。

Googleビジネスプロフィールの施策を進めた体制は?

吉野さん(木村屋):運用体制は3名です。私と社長によるディレクション、普段は電話を中心にお客様対応をしているメンバーに手を動かしてもらっています。そのメンバーは週に2時間ほど使って投稿や情報の整備を行っています。

月8時間ほどの稼働になりますが、相応の効果が上がっていると感じています。店舗への負担はありません。今後はGoogleビジネスプロフィールへの口コミ投稿を促進する動きなど、店舗の協力を仰いでいこうと思っています。

牛丸さん:他の企業様でも上手くいっている体制として、ディレクションと手を動かすサポートの方で役割分担をしていることが多いです。

ウェブ施策に対して社内の評判や姿勢に変わったことは?

吉野さん(木村屋):ウェブ上での見え方が格段に良くなりました。社員の中でも話に上がることがあるようで、モチベーションアップにもつながっています。当社の代表も先陣を切ってウェブ施策に取り組む姿勢です。次の施策としてSNSも挑戦しようと思っていますが、代表が先陣を切って動いています。

既存顧客だけでなく新規顧客が来店している実感は?

吉野さん(木村屋):Go To トラベルが行われていた時期は、特に県外からのお客様が多く来店しているように感じました。また、山形県ではプレミアム商品券が発行されており、当店が対象店舗であることをGoogleビジネスプロフィールで発信しています。利用者の地域を見ると想定以上の新規顧客に購入いただいたことが実感できました。

Go To トラベルが再開することがあれば、新規のお客様が再度来店いただけると思います。ウェブ上の対策は継続して進めていきたいです。

商品力+届ける手段が鍵になる

吉野さん(木村屋):年々売上が増える商品がある一方で、需要に応えられる新商品を作ることも忘れてはいけません。しかし、作るだけではなく、その情報を関心があるお客様にいかに届けるかが大切であると感じました。

今回のGoogleビジネスプロフィールやローカルSEOの施策を「店舗情報や商品情報をストックする第二のホームページ」だと捉えています。また、お客様が求める情報を調査し、事前に整備することが大事だと強く感じています。

私自身が試行錯誤しているところですが、情報発信の手段として新たなウェブサービスも活用していきたいと思います。

セミナーに参加して:経営陣が率先して動くことで現場にも温度感が伝わる

企業として新しい取り組みをする際、それがどれくらい重要であるかは現場の方々には伝わりづらいことが多いと思います。既存の仕事に加えて新しいことをするとなると、どうしても後回しやついでになってしまうこともあるでしょう。

木村屋の代表をはじめ経営陣が率先して動くことで、ローカルSEO施策の重要性が現場の方にも伝わります。また、新しいことに取り組む姿勢に心を動かされるのではないでしょうか。

▼木村屋 オンラインショップ
https://www.kimuraya-shop.jp/

▼複数店舗のGoogleビジネスプロフィールを一括管理「ローカルミエルカ」
https://local-mieruca.com/

合わせて読みたい

コマースピックLINE公式アカウント

コマースピックメルマガ