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ボイスコマースとは?
ボイスコマース(Vコマース)とは、音声を活用して手軽に注文できるネットショッピングのことをいいます。現状では、スマートスピーカーを活用したボイスコマースが実現しており、Amazonが開発するAlexaを搭載したアマゾンエコーシリーズが対応しています。ボイスコマースが普及すれば、パソコンやスマートフォンすら使わない、より手軽なショッピングが実現するとあり、新しい売り方として注目を集めています。
ボイスコマースの仕組み
ボイスコマースは声紋認証技術を活用して決済を行います。海外のスマートスピーカーでボイスコマースが実現したのを機に広がり始めています。
現在、日本で利用できるスマートスピーカーはAmazon Echo(アマゾンエコー)のみで、予め登録したAmazon Payを活用して決済を行います。Alexaに「音声プロフィール」を登録することで、登録した声の主のみが注文できるようになりますが、デフォルトの設定では、子どもや来訪者など誰でも注文可能になっています。
また、Amazon EchoではAmazonで取り扱う商品を注文できる他、スキルを追加することでAmazon以外の事業者の商品も注文することができるようになります。
日本では、海外と比べるとスマートスピーカーの利用者が少ないため、ボイスコマースはあまり浸透していません。しかし、最近では新たに電話を活用したボイスコマースもスタートしています。高齢者などスマートスピーカーやECに触れる機会が少ないユーザー層をターゲットとしている場合には、導入を検討する価値があるでしょう。
Amazon Echoでボイスコマースを取り入れている事業者
すでにボイスコマースを取り入れている事業者をご紹介します。
リンベル
リンベルはAlexa搭載デバイスにおいて、自社オリジナルギフトブランド「日本の極み」「山形の極み」の商品を声で注文できるサービスを展開しています。モニター画面搭載のスマートスピーカーであれば、動画や商品情報の閲覧も可能です。
京橋ワイン
ワインキュレーション株式会社が運営する「京橋ワイン」では、Alexa搭載デバイスにおいて、ワインを購入できます。シーズンごとのおすすめのワインや、セット内容の詳細確認などができる他、モニター画面搭載のスマートスピーカーであれば、商品画像を見ることも可能です。
メガネスーパー
メガネスーパーでは、公式通販サイトでAmazon Payを利用して購入した顧客を対象に、次回の再注文をAlexa搭載デバイスとの音声対話で完了できるサービスを展開しています。朝の身支度をしながらなど、コンタクトレンズがなくなりそうなときに「ながらショッピング」ができます。コンタクトレンズはリピート性が高い商品であり、ボイスコマースと親和性が高い取り組みといえるでしょう。
JTB
JTBではモニター画面搭載のスマートスピーカーにおいてレジャー施設検索サービス(JTBおでかけチケット)を提供しています。音声と画面表示、タッチ操作などを組み合わせて情報収集ができる他、会話をしながら電子チケットの購入も可能です。
ボイスコマースへの参入方法
Amazon Echoを活用する場合

Alexaスキルを作成することでボイスコマースに参入することができます。その際、Amazon Payへの登録も必要です。
<Alexaスキルの作成手順>
- Amazon Payに登録
- Alexaスキルを作成
- AlexaスキルにAmazon Payを登録
電話を活用する場合

電話を活用したボイスコマースとしては、テレAIというシステムを利用することで実現できます。指定の電話番号に「電話をかける」だけで「会員登録」と「購入」ができるシステムです。
ボイスコマースを導入するメリット
リピート率・LTV向上につながる
過去に購入した商品であれば、その購入履歴を元に注文を進められるため、簡単に注文が完了します。日用品やコンタクトレンズ、化粧品など同じものを繰り返し消費し、購入する商品では、リピート率の向上、LTVの向上が期待できます。
簡潔化される消費行動への対応
店頭での対面による購入から、インターネット上での非対面での購入へと消費行動は簡素化が進んでいます。更なる簡素化として注目されるボイスコマースに対応することで将来的な顧客の拡大を期待できるでしょう。
電話対応業務の効率化
これまで電話での注文を受け付けていた事業者であれば、ボイスコマースに置き換えることで電話対応業務を減らし業務の効率化を図ることが可能です。また、人手不足による電話問い合わせの待ち時間も解消でき、顧客満足度の向上が期待できます。
高齢者も注文しやすい
操作方法がわからない、細かい文字が読みづらいなどの理由でインターネット上での注文を避ける高齢者は少なくありません。ボイスコマースでは一度設定してしまえば、音声のみで注文できるため、操作がわかりやすく、スマホでの操作が苦手な方であっても手軽に注文できます。
ボイスコマース導入にあたっての課題
音声認識の精度
スマートスピーカーの音声認識の精度は高まってきていますが、すべてを正確に聞き取れるとは限りません。音声認識が正確に行われないことによる注文ミスが発生したり、利用者にストレスがかかってしまったりする可能性もあります。各事業者で対応できる問題ではなく、対応端末の開発状況次第という課題でありますが、理解しておく必要があるでしょう。
定期的なメンテナンスが必要
ボイスコマースに対応して開発したスキルは、状況に応じて機能の追加やバグの修正などが必要になります。リリースした後も継続してメンテナンスが必要になることを頭に入れておきましょう。
最後に
音声のみで注文可能なボイスコマースについてご紹介しました。現状対応しているのはAlexaのみですが、対応OSの拡大やスマートスピーカーの普及によって、今後より生活に馴染んだものになっていくことでしょう。リピート性の高い商材や、ながらショッピングの需要が高い商材を扱っている事業者は積極的に導入を検討してみてはいかがでしょうか。
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