
窓・サッシ・網戸の施工に強みを持つリフォーム会社の株式会社高山ガラス店(以下、高山ガラス店)は、もともと住宅販売会社のような法人向けに商品を販売していました。競争が激しくなるにつれ、新たな販路としてネットで販売を始めたところ、個人のお客様から注文が入るようになったといいます。BtoBを中心に事業を展開していた高山ガラス店が、BtoCを始めるにあたって意識したこと、工夫したことについて同社の代表取締役である高山健市さんにお話を伺いました。
この記事の目次
法人向け商品を個人向けに販売し始める
――リフォームに関する商品となるとあまりBtoCで購入できるイメージがないかと思います。高山ガラス店として、どのようにして商品を販売しているのか教えていただけますか?
高山さん:ECに参入する以前から行っているのは、法人や施工現場を回って営業をするBtoB向けの販売です。しかし、徐々に競争が激しくなり、2010年頃から楽天市場に出店し、オンラインで販売を始めます。
今は法人よりも個人からの問い合わせが多くなっています。当社の強みである窓・サッシ・網戸のような施工を必要とする商品は、メーカーから頂くカタログの情報のみを商品ページに掲載しても伝わりづらい内容になっています。専門的な情報や用語があったり、メーカー側がアピールしたいポイントがメインで記載されたりと、個人のお客様が欲しい情報・理解しやすい情報からズレてしまうのです。
そうならないように、当社ではメーカーとお客様の間に立って、お客様が求めている情報やお客様にとってイメージしやすい表現に置き換えて商品ページを作成しています。それによって、個人からの引き合いが大きくなったと言えるでしょう。

個人向けに販売するために注力したポイント
――専門性により法人向けの販売がメインだった商品が一般のお客様にとってわかりやすい表現をしたことで、個人からの問い合わせが増えているというのは他の業種にも応用できそうなお話かと思います。高山ガラス店の強みである窓・サッシ・網戸は施工を必要とする場合がある商品かと思いますが、お客様が安心して購入するためにどういった取り組みをしているのでしょうか?
高山さん:施工を必要とする商品は単価が数万円以上するため、いきなり決済いただくのはお客様にとってハードルが高いと考え、まず「仮注文」という形を取ってご注文いただいています。仮注文を受けることで、お客様が抱える「気になっている商品が自宅で使えるのか」「イメージ通りなのか」といった悩みをできるだけ解決するために、いつでもキャンセルいただけるコミュニケーションの手段として用意しています。

高山さん:仮注文以降、お客様としっかりとコミュニケーションを取り、ご納得いただけたら本商品を決済いただいています。当社では商品を提供するだけではなく、関東1都6県を対象(一部出張費用がかかるエリアがあります。)に施工を伴う工事の技術を提供しています。
そのため、お客様が考えている施工後のイメージと我々の考えを一致させることが大事になります。面と向かってお話すれば、わかり合えることでもメールでのやり取りが多くなるとお互いの認識にズレが出てしまうこともあります。写真や図面を用いて、可能な限り認識のズレを減らすことが欠かせません。
情報発信によりお客様との接点と安心を作る
――商品を販売するだけではなく、施工も行うということはお客様にとって、住宅の一部を新しくする一大イベントになると思います。仮注文によってコミュニケーションを取れる環境づくりはお客様視点の不安を軽減できる良い取り組みだと思いました。お客様とコミュニケーションを取る前段階となる集客面では、どのような施策をしていますか?
高山さん:TwitterやFacebookなど情報発信する手段は様々ありますが、情報を取りまとめやすく、使いやすいのはブログだと思っています。施工事例の写真やYouTubeにアップした動画を掲載したり、メーカーのカタログ情報を記事内で紹介したりと、お客様のニーズに近いコンテンツの作成を心がけています。記事のアップが完了したらTwitterで情報を展開する流れです。
ビフォー・アフターの写真はECを始める前から撮影しています。個人向けの施工作業になれた頃から動画の撮影を始め、YouTubeに載せていますが、お客様に情報をお伝えしやすくなった実感はありますね。
高山さん:楽天市場では目的を持って商品を探している方に向けてRPP広告(検索結果に表示される広告)を利用しています。季節やイベントなど、お客様の需要に合わせて広告のキーワードを調整しながら、効果を維持できるように努めています。
増えゆく問い合わせに応えるための体制づくり
――施工を必要とする箇所を新しくする経験を持っているお客様は少ないでしょうし、事例を動画で確認できるのはお客様にとって嬉しいに違いありません。ECで高山ガラス店のように注文を受けている企業はそこまで多くないかと思うのですが、実際のところはいかがですか?
高山さん:おっしゃるとおりでプレイヤーは少ないです。世の中の流れから在宅で仕事をする方が増えたこともあり、以前にも増して問い合わせが増えています。専門職である当社がお客様にわかる形で情報をお届けできる強みが活かせているのだと思います。
しかし、問い合わせが増える中で、お客様をお待たせすることが出てきています。そういった時間を減らせるよう、人員や体制の強化を鋭意行っているところです。外部企業やお客様からのお問い合わせや、楽天市場からの受発注など、抜け漏れが出てはいけない業務内容は1つのメールアドレスに情報が集約される仕組みを作っています。それによって、社員全員が社内で起きている案件の状況を把握できるので、抜け漏れが出ず、支え合える体制になっています。
また、お客様対応の質を上げることも重要です。個人個人のレベルに依存し過ぎないように、不明点の社内マニュアル化やQ&Aを用意することは今後整えていきたいポイントです。
高山ガラス店が目指す今後
――ECにおいて前例が少ない業種である中で、着実に業務の質を上げるための取り組みを行っていると感じられました。最後に、高山ガラス店としての今後の展望についてお聞かせいただけますか?
高山さん:今は戸建てに向けた住宅サービスがご注文いただく割合として最も大きいです。窓やドアなど、防犯・防災対策や冷暖房効率を上げる目的で使われる商品ですね。こちらは新築だけでなく、既に建っている住宅のリフォームとして活用されることも多いです。
今後は、ご紹介した商品以外にも住宅に関するお悩みを一挙ご相談いただけるようになっていきたいと思っています。この業界での長年の経験があるため、仮に自社だけで解決できない場合であっても、腕の良い協力会社と共にお悩みを解決してきます。
インタビューを通して:対話を重ねてお客様の不安を解消する仕組み
施工事例の撮影や、メーカーが出している情報を伝わりやすいように表現し直すなど、高山ガラス店はお客様視点で情報の発信をしています。リフォーム業界ではいち早くオンライン化を進めた高山ガラス店ですが、2021年10月にコーポレートサイトをリニューアルし、益々情報発信に力を入れるようです。
自社の商品はネット通販では売りづらいと思っている方も少なくはないかと思います。しかし、まだ取り組んでいる企業が少ないからこそ、生み出せる市場があることは確かです。今、足踏みしている方はぜひ一歩踏み出してみてはいかがでしょうか?
▼株式会社高山ガラス店
・コーポレートサイト
https://takayama-glass.co.jp/
・楽天市場店
https://www.rakuten.co.jp/gk-taka/
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