
株式会社Paykeは、同社が提供するバーコードスキャンアプリ「Payke」を通じて収集した2026年8月の訪日外国人ユーザーによる商品スキャンデータの分析結果を発表しました。
この分析により、特定の商品において前月と比較して商品視聴率の上昇が見られたことが明らかになりました。前月に注目された5つの商品はすべて美容関連製品でしたが、今回の調査では洗濯洗剤、衛生用品、食品といった「日本の暮らしの消耗品」も注目商品として挙げられています。この記事では、商品カテゴリの変化と、台湾籍ユーザーにおいて最も大きな上昇幅を記録した頭皮ケア商品について紹介します。

「Payke」は、訪日外国人ユーザーが商品パッケージに記載されたバーコードをスマートフォンでスキャンすることで、商品の特徴や使用方法などの情報を母国語で確認できるアプリケーションです。ユーザーは店頭で商品を手に取り、詳細情報を確認する際にスキャンを行うため、このスキャン行動は商品への接触と関心の高さを示す指標として位置づけられています(ただし、購入や購入意向を直接示すものではありません)。本分析における「商品視聴率」は、日本国内で位置情報を送信して商品をスキャンした各国籍のユーザーのうち、対象月にその商品をスキャンした人の割合を指しています。前月比は、この割合の前月値と当月値の比較値です。
美容品から日用消耗品へと広がる関心
今回のデータ分析から浮かび上がったのは、店頭で情報を確認する対象商品が化粧品だけでなく、洗濯、衛生、食品といった日常生活で使用する消耗品にまで拡大していることです。加えて、上昇幅が最も顕著だったのは台湾籍ユーザーによる頭皮ケア商品で、同一シリーズの別商品も同じ月に上昇傾向を示していました。
具体的には、次のような商品において関心の高まりが観測されました。
- 台湾籍ユーザーで最も大きな上昇幅を記録した、植物由来成分を配合した薬用頭皮エッセンス
- 小売企業のプライベートブランドとして販売されている、にんにく風味のふりかけ
- 計量不要なスティック型の洗濯洗剤
- 金木犀(キンモクセイ)の香りが特徴的な、コンパクトサイズの生理用ナプキン
- 紫外線対策とテカリ対策を同時に行えるフェイスパウダー
2026年8月商品視聴率急上昇ランキング
2026年8月に商品視聴率の上昇が確認された商品のうち、Paykeが注目した5つの商品は以下の通りです。
| 国籍 | メーカー・販売元 | 商品名 | 前月比 |
| 台湾 | 株式会社良品計画 | 無印良品 植物発酵液 薬用エイジングケアエッセンス 150mL | 約2.4倍 |
| 韓国 | ドン・キホーテ/プライベートブランド「情熱価格」) | ごまにんにく 100g | 約1.6倍 |
| 韓国 | 花王株式会社 | アタックZERO パーフェクトスティック 部屋干し 55本入り | 約1.6倍 |
| 韓国 | ユニ・チャーム株式会社 | センターインコンパクト1/2 キンモクセイの香り 22枚 | 約1.5倍 |
| 韓国 | 株式会社クラブコスメチックス | クラブ すっぴんパウダーUV 26g | 約1.4倍 |
※本ランキングは、Paykeにおける訪日外国人ユーザーの「商品視聴率」が前月比で上昇した商品のうち、Paykeが注目した5商品を前月比の大きい順に掲載したものです。売上や販売数の順位を示すものではありません。
※前月比は、比較基準となる前月の水準が小さいほど大きくなる傾向があります。前月比が同水準の商品の掲載順に優劣の意味はありません。
台湾ユーザーの間でシリーズ全体に広がる頭皮ケアへの関心
台湾籍ユーザーの商品視聴率が前月比約2.4倍に上昇し、今回の5商品の中で最も大きな上昇幅を記録したのは、無印良品の植物発酵液 薬用エイジングケアエッセンス 150mLです。
要因分析
この商品は、株式会社良品計画の医薬部外品に分類される頭皮用エッセンスです。同社は2025年1月の発表において、植物発酵液を配合したヘアケアシリーズを同年4月下旬から順次発売すると案内していました。同社はこの商品について「頭皮環境を整え、健やかな髪の発毛を促進する薬用エッセンス」と説明しています。植物発酵液シリーズは頭皮と髪のケアを目的とした複数の製品で構成されています。
Paykeのデータによると、同じ植物発酵液シリーズの「薬用スカルプローション 150mL」についても、同じ2026年8月に台湾籍ユーザーの商品視聴率の上昇が確認されました。
分析結果
同一シリーズの複数商品で割合が上昇していることから、シリーズ全体に対して関心が広がった可能性が考えられます。訪日中の店頭において、シリーズの複数商品が比較検討の対象となっていた可能性があります。頭皮や髪の悩みに関連する商品は、成分や使用方法の説明をしっかり読んでから選びたいという商品カテゴリであり、母語で情報を確認できることが手に取る行動につながりやすい領域と言えます。医薬部外品は効能の表示が定められているため、店頭の表示だけでは自国語で理解しにくい場合があることも、情報確認の需要につながっている可能性があります。
なお、前月(2026年7月)の上昇商品5件はすべて韓国籍ユーザーによるものでした。今回、台湾籍ユーザーの商品が上昇幅の最上位に入ったことは、関心の広がりが国籍を超えて発生していることを示す動きとして捉えられています。
小売企業のプライベートブランド商品への関心の高まり
韓国籍ユーザーの商品視聴率が前月比約1.6倍に上昇したのは、ドン・キホーテのプライベートブランド「情熱価格」として販売されているふりかけ「ごまにんにく 100g」です。
要因分析
この商品は、株式会社パン・パシフィック・インターナショナルホールディングスが、ドン・キホーテのプライベートブランド「情熱価格」として販売しているふりかけです。内容量は100gで、同社は「ごまの香ばしさとニンニクの香りが食欲をそそります」と案内しています。ボトル型の容器で、常温で持ち運べる形状となっています。
この商品について、2026年8月に限定した販売施策やリニューアルの公表は確認できませんでした。当月固有の要因は特定できていません。
分析結果
訪日客向けの商品情報確認が、メーカーのナショナルブランドだけでなく、小売企業のプライベートブランドにも向けられていることを示す動きです。自国で流通していない商品は店頭で初めて手に取ることになりやすく、成分や味の説明を確認する必要が生じやすいと考えられます。プライベートブランドの海外での流通状況は確認できていません。またふりかけは常温で軽量なため、持ち帰りの負担が小さい食品カテゴリでもあります。
計量不要のスティック型洗濯洗剤への関心
韓国籍ユーザーの商品視聴率が前月比約1.6倍に上昇したのは、花王株式会社のアタックZERO パーフェクトスティック 部屋干し 55本入りです。
要因分析
この商品は、花王株式会社のスティック型の洗濯用合成洗剤です。同社は「部屋干し」タイプを2024年3月9日に発売しており、「洗たく機にそのままポンと入れるだけで使えるスティック形状の衣料用洗剤」と案内しています。2026年夏には本シリーズのパッケージが刷新されました。
「部屋干し」タイプの発売から2年以上が経過しており、新発売による上昇では説明できません。なお本商品の「部屋干し」は洗剤の機能を示す名称であり、訪日客が滞在中の洗濯に使うとは限らないため、日本国内の天候を上昇の理由としては扱っていません。当月に固有の要因は特定できていません。
分析結果
スティック形状の洗濯洗剤は、そのまま洗濯機に入れて使用する形状のため、液体洗剤に比べて旅行者が持ち帰りやすいと考えられます。計量が不要な使用方法はパッケージの日本語表示だけでは伝わりにくいため、母語で使用方法を確認したいという需要が生じやすい商品と考えられます。パッケージの刷新の時期は上昇の時期と近接していますが、これが訪日客の目に触れたかどうかは確認できていません。
香りのバリエーションへの関心の高まり
韓国籍ユーザーの商品視聴率が前月比約1.5倍に上昇したのは、ユニ・チャーム株式会社のセンターインコンパクト1/2 キンモクセイの香り 22枚です。
要因分析
この商品は、ユニ・チャーム株式会社のブランド「ソフィ センターイン」の製品で、金木犀の香りをつけたコンパクトサイズの生理用ナプキンです。同社は本シリーズについて「普通のスリムナプキンの1/2のコンパクトサイズ」「ミニバッグに入れても、生理用品ぽくないデザイン」と案内しています。
香りについては、韓国でも大手化粧品会社が2026年7月3日に、金木犀の香りのボディウォッシュを発売したと発表しています。ただし同社は発表の中で、金木犀は世界のフレグランス市場では継続的に好まれている一方、韓国のボディケア市場ではまだ珍しい香りであると説明しており、韓国で金木犀の香りが広く定着していることを示す公表データは確認できていません。
なおPaykeのデータでは、前月(2026年7月)の上昇商品の1位も金木犀の香りのフェイスパウダーでした。
分析結果
香りを軸にした関心が、化粧品から衛生用品へとカテゴリをまたいで継続している可能性が考えられます。生理用品は、サイズ、吸収量、肌へのあたりといった仕様を確認して選ぶ商品です。ユニ・チャームが2026年6月に公表した調査は、韓国・ソウルの18〜30歳の女性に、暑い時期に生理用品で最も重視する点を尋ねたものです。全体の56.3%が「デリケートゾーンケア」を意識して生理用品を選び、「つけ心地」と「素材」を合わせた36.1%が肌へのやさしさを重視していました。仕様への関心が高いカテゴリでは、母語での情報確認が店頭での比較を助けていると考えられます。香りのバリエーションは、こうした比較のなかで手に取る理由のひとつになっている可能性があります。
紫外線とテカリの同時対策への関心
韓国籍ユーザーの商品視聴率が前月比約1.4倍に上昇したのは、株式会社クラブコスメチックスのクラブ すっぴんパウダーUV 26gです。
要因分析
この商品は、株式会社クラブコスメチックスが2025年3月3日に数量限定で発売したフェイスパウダーです。同社は2025年12月の発表で、本商品を「2026年2月23日より定番化し発売いたします」と案内しています。同社は「シリーズ初!待望のUV対策ができるすっぴんパウダー。素肌を紫外線から守りながら、テカリを抑えさらさら肌に仕上げます」と案内しています。
分析結果
Paykeのデータでは、前月(2026年7月)の上昇商品の1位も同じ「すっぴんパウダー」シリーズの製品でした。数量限定で発売した香りや機能が定番化していく展開は、限定品で需要の広がりを確かめてから通年の製品に組み込む流れとして捉えられます。訪日客の関心という観点では、限定・定番のどちらの段階でも店頭で情報が確認されており、シリーズとしての認知が継続していることがうかがえます。
夏の訪日旅行は屋外での移動が長くなりやすく、紫外線対策とテカリ対策を1つの商品で兼ねる小型の商品は、旅行中に持ち歩く前提で選ばれやすいと考えられます。ただしこれは商品の用途と携帯性からの推測であり、当月に固有の要因は特定できていません。
まとめと今後の展望
2026年8月のデータで最も特徴的だったのは、今回取り上げた5商品の内訳です。前月(2026年7月)は5商品すべてが美容関連でしたが、今回は洗濯洗剤、衛生用品、食品が含まれました。店頭で情報を確認する対象が、美容関連から日常の消耗品へ広がっていることを示す動きと考えられています。
もう1つの特徴は国籍です。前月は5商品すべてが韓国籍ユーザーによる上昇でしたが、今回は上昇幅の最上位が台湾籍ユーザーの頭皮ケア商品となり、同じシリーズの別商品も同月に上昇していました。
そのうえで、カテゴリを越えて継続しているパターンも観測されました。1つめは、金木犀の香りのように、香りを軸にした関心が化粧品から衛生用品へ広がる動きです。2つめは、数量限定で発売された商品が定番化したあとも情報が確認され続ける動きです。3つめは、小売企業のプライベートブランドにも情報確認が向かう動きです。
なお、2026年8月の訪日外客数は本記事の作成時点では未発表です。商品視聴率は国籍ごとの月間スキャン人数で割った割合のため、訪日者数そのものの増減の影響は受けにくい指標となっています。
メーカーや小売企業にとっては、①化粧品以外の日用品・食品についても訪日客向けの情報提供を用意すること、②限定品で確かめた需要を定番品につなげたあとも情報接触を維持すること、③プライベートブランドを含め、自国で流通していない商品ほど母語での説明が手に取る理由になり得ること、が訪日客の関心を購買につなげる手がかりになると考えられます。
一方で、Paykeのデータだけでは説明しきれない部分があります。スキャンは店頭で商品を手に取る場面で発生するため、その商品が売場のどこに置かれていたか、店頭でどのような販促が行われていたかの影響を受けているはずですが、Paykeのデータには陳列位置や配荷の情報が含まれていません。本記事で複数の商品について「当月に固有の要因は特定できていない」と記載しているのは、この観測できない部分によるところが大きいと考えられています。
メーカーや小売企業が保有する施策の実施時期や売場の情報と、Paykeのスキャンデータを突き合わせることができれば、その施策が訪日客にどこまで届いたのかを確かめられる可能性があります。こうした検証に関心のある企業とは、一緒に形を考えていきたいとしています。
今後もPaykeでは、スキャンデータを通じてインバウンド消費の変化を継続的に分析していくとのことです。
調査概要
- 集計対象期間:2026年8月1日〜8月31日
- 指標の定義:本記事の「商品視聴率」は、日本国内で位置情報を送信して商品のバーコードをスキャンした各国籍のPaykeユーザーのうち、対象月にその商品をスキャンした人の割合です。分子・分母はいずれも人数で、同一の方が複数回スキャンした場合も1人として数えます。前月比はこの割合の前月値と当月値の比です。
- 対象:位置情報の送信に同意したPaykeユーザーのスキャンに限定した集計です。
- 調査主体:株式会社Payke
※本記事はPaykeが保有するアプリ利用データに基づく独自分析であり、記載各社の公式見解や販売実績を示すものではありません。商品の効能・特徴に関する記述は各社の公式情報に基づきます。
出典元:株式会社Payke プレスリリース

















