博報堂「好きかつ応援したいブランド」は推奨意向が5倍以上に上昇、重要な4因子「真・善・美・場」を調査結果で明らかに

株式会社博報堂の生活者発想技術研究所は、東京都立大学経済経営学部の水越康介教授との共同研究により、日本全国に住む15歳から74歳までの男女5,000名を対象とした「生活者から応援されるブランドと社会的価値に関する意識調査」を実施しました。

現代の企業経営においては、経済的価値の追求のみならず、社会的価値との両立が強く要請されています。多くの企業が持続可能な成長に寄与するブランド構築の方法について、さまざまな課題に直面している状況です。同研究所では、ブランディング実務の現場が抱える課題を解決し、生活者と企業双方にとって望ましいブランドの共創を支援する実践的なツールの開発を視野に入れ、本調査を行ったとのことです。

今回の調査結果により、企業やブランドにおいては、単なる「好意」にとどまらず「応援される」状態を目標とすることで、業績成長に貢献する生活者との結びつきが強化されることが判明しました。また、生活者に愛され応援される企業やブランドになるためには、「真・善・美・場」という4つの因子が重要な鍵となることも明らかになりました。

調査結果のポイント

本調査から得られた主要な知見は以下の通りです。

まず、ブランドへの好意と応援意向について、生活者の46.3%が「好き」または「応援」したいブランドがあると回答しています。そのうち「好き」と「応援」の両方が重なる人は27.5%を占めており、年代が若いほどその割合が増加する傾向が見られました。特に10代では41.0%に達しています。

次に、好意と応援意向が推奨意向に与える影響について、ブランドへの「好き」と「応援したい」が重なった場合、推奨意向スコア(NPS®)が5倍以上に上昇することが確認されました。

さらに、「好き」かつ「応援したい」ブランドに共通する要素として、「真・善・美・場」の4因子を抽出することができました。

加えて、これら4因子と推奨意向の関係性について、「場」と「真」、続いて「善」がブランドの推奨意向を高める効果があることが分かりました。その一方で「美」については、ブランドを自分だけの秘密にしたくなる傾向を生み出すことが明らかになりました。

調査結果グラフ1

調査から見えた示唆と今後の展望

近年、企業経営において経済的価値と社会的価値の両立が強く求められる中で、パーパス・ブランディングは重要な潮流となっています。しかしながら、社会課題やサステナビリティといった社会的価値は抽象度が高く、自社の文脈に落とし込むことが容易ではありません。その結果、優れた理念を策定できても実践に移せないケースや、継続的な実現が困難になるケースなどが課題となっているのが現状です。また、自社独自の社会的価値の特定と実現にどのように取り組むべきか分からないという声も聞かれます。

本調査では、社会的価値を提供する企業やブランドに対して生活者が抱く感情として「応援」に焦点を当てています。そして、生活者に好まれ応援されるブランドに共通する要素として、「真・善・美・場」の4因子を抽出できることを明らかにしています。これにより、企業は4因子の中から自社事業と関連付けやすい要素を入り口として、パーパス・ブランディングに取り組みやすくなることが期待されます。研究開発チームは現在、その実践を支援するためのツールの開発を進めているとのことです。

調査結果グラフ2

詳細な調査結果について

15歳から74歳までの男女の46.3%が、「好き」または「応援」したいブランドがあると回答しました。「好き」と「応援」が重なる人は27.5%で、年代が若いほどその割合が増加し、10代では41.0%に達しています。

身の回りの商品やサービス、店舗、それらを提供する企業のブランドについて、「好き」なブランドもしくは「応援」したいブランドがある人の割合と、両者の重複度合いが調査されました。いずれかがある人は全体の46.3%で、そのうち両方が重なっている人が最も多く全体の27.5%を占めています。そして年代が若いほどその割合が増加することが分かりました。

推奨意向スコアについて、「好き」なブランドだけがある人の、そのブランドに対するNPS®はマイナス1.5、「応援したい」ブランドだけがある人の、そのブランドに対するNPS®は3.8であるのに対し、あるブランドを「好き」だし「応援したい」と考えている人のNPS®は20.6まで跳ね上がることが確認されました。

4因子の説明図

4因子の詳細内容

これからの望ましいブランドの具体像を検討するため、経営学をはじめ、社会学、心理学、哲学、倫理学、美学、宗教学など、学際的な研究者や有識者7名に対してインタビューが実施され、33個の尺度項目が作成されました。「最も好きかつ応援したいブランド」がある15歳から74歳までの男女1,374名に、そのブランドが33個の尺度項目それぞれにどの程度当てはまるかを調査した結果を用いて、「最も好きかつ応援したいブランド」に共通する要素を抽出する分析が行われたところ、「真・善・美・場」の4因子が得られました。

ブランドの「真」は、他者の意見や客観性によらず、「私が信じる」と感じられるものがあることを指します。ブランドの「善」は、社会課題に対して行動し、「私のため」と「社会のため」を両立していることを意味します。ブランドの「美」は、感性に響いて個性を引き出し、私の世界をつくりあげている実感を与えてくれることです。そしてブランドの「場」は、立場にとらわれない好きな自分に還り、生きている喜びを感じられる居場所であることを表しています。

「最も好きかつ応援したいブランド」がある15歳から74歳までの男女1,374名が回答したデータのうち、目的とする分析に適した1,195名分を用いて、ブランドの「真・善・美・場」それぞれが、「最も好きかつ応援したいブランド」の推奨意向を動かす影響力を持つかどうかを調べる分析が実施されました。その結果、「場」と「真」、続いて「善」の順の大きさで、それぞれが独立して推奨意向を高める影響力を持つことが判明しました。一方で、「美」については、周囲に広めるのではなく「自分だけの世界として大切にしたい、秘密にしたい」というファン特有の心理を生む傾向があることが分かりました。

分析結果グラフ

調査概要

調査対象は日本全国15歳から74歳までの男女5,000名で、人口構成比に合わせて回収されました。調査方法はインターネット調査で、実施時期は2025年1月22日から24日まで、調査委託先はQO株式会社です。

なお、本調査における「ブランド」とは、身の回りの商品やサービス、店舗、もしくはそれらを提供する企業のブランドを指しています。調査票においては、上記に加えて、「高級品や有名な企業に限らず、固有の名前を持ち、それに対して独自の『らしさ』を感じるもの」という説明が加えられました。

NPS®(Net Promoter Score®)とは、回答者全体における「推奨者」の割合から「批判者」の割合を引いた数値を指します。11段階で推奨意向を調査し、9から10点をつけた回答者を「推奨者」、0から6点をつけた回答者を「批判者」として扱います。NPS®は、ベイン・アンド・カンパニー、フレッド・ライクヘルド、NICE Systems, Inc.の登録商標であり、企業の業績成長と強い相関があることが明らかになっています。

生活者発想技術研究所は今後も、生活者にとっても企業にとっても望ましいブランドづくりに貢献するため、生活者発想で今とこれからの生活者に支持される価値を捉え、それらを現場で実装するための知見とツールの提供に取り組んでいくとしています。

出典元:株式会社博報堂

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