
藤原兄弟が運営するアメリカ雑貨専門店の「キャンディタワー」は2001年にオープンしました。単なるネットショップではなく、お客様に楽しんでもらえるようなテーマパークを意識して運営されているとのことです。まるで役者をプロデュースするような気持ちで仕入れた商品は、ネットショップに訪れた人の心を惹き付けます。仕入れ商品を販売していながらも多くのリピーターに愛されている「キャンディタワー」ならではの工夫について、兄の藤原一峰さんにお話を伺いました。
この記事の目次
テーマパークを意識したネットショップ運営
――「キャンディタワー」は商品写真や説明文など、1点ずつこだわりを持って作られているように感じます。どのような想いやコンセプトをお持ちなのでしょうか?

藤原さん:「キャンディタワー」は20年前にアメリカ雑貨専門店としてオープンしました。単なるネットショップでなく、お客様が楽しんでもらえるようなテーマパークを意識して運営しています。例えるならお店は劇場で、商品が役者でしょうか。私はプロデューサーになりますね(笑)
まず、私が輝くと思った商品を選んで(スカウトして)仕入れています。自分がプロデューサーになった気持ちで、商品をプロデュースして、商品ページという舞台でどう輝かせるのか魂を込めて演出していきます。出来上がったページはメルマガで紹介してお披露目をしていくと行った流れが全体感です。
そのため、今では当たり前になっていますが、商品単体の写真を載せるのではなく、世界観や利用シーンが想起されるようなセットを作って撮影したものを載せています。商品の説明文に関してもスペックや状態だけでなく、その商品に対して私が好きなところや思い出、使い方など自分にしか書けない切り口で紹介するようにしました。商品1点1点の魅力を存分に伝えられるように工夫して作成しています。

藤原さん:兄弟でネットショップの運営をしていますが、仕入れから商品ページまでの作成を私が担当しており、弟が受注から発送までの部分を担当しています。お互いの得意分野を活かそうと思い、今の運営方法に落ち着いています。
商品仕入れの鍵は感性と共感
――商品を仕入れる(スカウトする)際の選定基準などはあるのでしょうか?
藤原さん:商品のスカウトは感性で行っています。でも、その感性がとても大事だと思っていて、私の商品説明文を良いと感じてくれる人は近い世代であったり、その時代の背景を好きな人だったりします。
私は昭和48年、1973年生まれで、1980年代の新しいものがどんどん出てくる感動を味わって生きてきた世代です。今は今で技術がどんどん進化しているという感じがしますが、当時はゲームセンターでしていたゲームが家でできるようになったり、スピルバーグ映画が全盛期でインディ・ジョーンズやグーニーズのような宝探し系の話が多かったりと、映像や遊びに魅了され、そのまま夢を追い続けて大きくなり今に至ります。
なので、私が扱っているアメリカ雑貨はリアルなアメリカというよりは空想の世界のアメリカに近い商品を追い求めているのです。そうやって仕入れた商品なので、当時の思いを込めながら、文章を書くことで、当時一緒に生きていた人が共感してくれるようになっています。

藤原さん:商品説明を書き始めた頃は、どうしても商品のスペック的な調べればわかるような内容になりがちでした。私が目指す究極の説明文は、そういったスペックや歴史、他のモデルの話をせずに語られた商品の魅力を解説する文章だと思っています。
50代のお客様から「商品説明を読んで、昔の友達に会ったよう気分になって、当時のことを思い出した」というコメントを貰ったときは嬉しかったですね。
お客様に楽しんでもらえることはもちろん、自分も楽しむことが大事
――お客様が楽しんでもらえるようなテーマパークを意識して運営されているとのことですが、その理由は何でしょうか?
藤原さん:ネット通販はお客様にどれだけリピートしてもらうかが大切です。だからこそ、しっかりと写真を撮って、商品の説明を1つずつやっていかないといけないと思うんです。ヴィレッジヴァンガードのような、ふらっと遊びに行ったら楽しくてずっと居てしまうような体験ができるようなお店づくりを心掛けています。
今は自社サイトの他に楽天市場とYahoo!ショッピングで販売していますが、特にポイント還元をしていないのに自社サイトに来てくれる方がいるんですよね。しかも自社サイトで買い物をしてくれる方は滞在時間が長く、客単価も1万円以上と他の店舗よりも高くなっています。
リピーター向けの取り組みとしては2日に1回メルマガを送っています。自社サイト、楽天市場、Yahoo!ショッピングと3店舗にそれぞれ運用担当者がいるので、各店舗のお客様に向けて担当者がそれぞれメルマガを考えて送っています。写真と商品の説明文は私が作成するので、それを元に作成してもらっています。
「キャンディタワー」では同じ業界にいれば誰でも仕入れられる商品を扱っているんです。ただ、「キャンディタワー」だからこそ買って頂けるのはストーリーとセットで商品を販売しているからだと思います。お客様は私に会いに来てもらう感覚で買い物をしているのではないでしょうか。
大手企業の場合、平均化・均一化されてしまい、スタッフ1人の個性を全面に出していくのって難しいと思うんです。こういったお店を構えて、私の個性に共感してもらいながら商売をできるのは、個人店ならではの面白さで、そこに大手企業が入っては来られない隙間があると感じています。
――最後に、これから物販を始める方に向けて藤原さんからメッセージを頂けますか?
藤原さん:実は今やっている「キャンディタワー」は所ジョージさんに感化された一面があるんです。所さんのお金がないから遊べないんじゃなくて、遊ぼうとしないから遊べないんだと、遊びたいという強い気持ちがあれば、どんなことでも夢中になれるという考え方にすごく共感しています。「メンドクサイことがイヤなら、寝ているのが一番。でも、ずっと寝ているだけじゃ、幸せも、生きてる時間もわかりっこない。メンドクサイことがいっぱいあるから、生きてるんだって実感が持てる」と所さんが言っていて、この考え方はとても大切だと思います。
最近だと、最初は本人も楽しんでやっていたYouTuberが人気になって商売に走ると視聴者としてもわかってしまいますよね。一番初めの楽しい気持ちを忘れないで、自分以上のものを求めるのではなく、自分の持っているものをずっと楽しんで続けられたら幸せだと思います。要するに、「他人の人生を生きるのは今すぐ止める」ってことです。誰かと比べることによって自分らしさを失っていくんじゃなくて、今の自分を披露して、自分らしく生きるのが大事です。等身大の自分を受け入れて、自分が思う好きなこと、楽しいことをやっていくのがいいのではないでしょうか。
取材を終えて:楽しむことがお客様に伝わって、続いていく
仕入れ商品の販売は価格競争に陥りやすいという話はありがちですが、「キャンディタワー」のようにコンセプトがあり、商品の説明を読んでいるうちに楽しい気持ちになってしまうようなショップではその傾向が弱いのではないでしょうか。取材の中で「ホームセンターのように目的を持って来る人ではなく、何も興味なく訪れたお客様が面白いと思って商品を買ってくれるようにしたい」とお話していたように、目的買いの価格競争に陥らない戦い方が今回の記事を通して伝わってきました。
どの商品も藤原さんの魂が伝わってくる説明文となっているので、是非「キャンディタワー」のサイトをご覧になってみて下さい。
キャンディタワー 本店
https://www.candytower.com/
キャンディタワー 楽天支店
https://www.rakuten.ne.jp/gold/candytower/
キャンディタワー Yahoo!ストア店
https://store.shopping.yahoo.co.jp/candytower/
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