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OEM・ODMとは
OEM・ODMとは委託製造会社にオリジナル商品を作ってもらう際の生産方法を言います。
OEM(Original Equipment Manufacturing):企画・設計は発注元が行い、生産だけを委託
ODM(Original Design Manufacturing):製造だけでなく企画・設計も含めて委託
オリジナル商品を作るためには、工場や設備が必要になります。また製造技術がないといけません。そのため、委託製造会社に依頼する企業が多いです。
最近はOEMでも委託製造会社が製品の企画・設計まで担当するなど、区分が曖昧になってきています。委託製造会社に依頼する際は、どこまでを依頼するか明確に伝えることが大事です。
そもそも、なぜ自社のオリジナル商品を作る必要があるのでしょうか。
仕入れた商品は価格競争に巻き込まれやすい
自社商品がない場合、商品を仕入れて販売することになります。通常であればメーカーや問屋から仕入れを行うことが多いですが、購入するロットが大きく、取引条件が細かく設定されていることもあり、立ち上げ間もない会社であれば取引ができないこともしばしばあるでしょう。取引のハードルが低い仕入先としては下記のようなサイトがあります。
【国内】
●NETSEA(ネッシー)
●SUPER DELIVERY(スーパーデリバリー)
【海外(中国)】
●阿里巴巴(アリババ)
●AliExpress(アリエクスプレス)
自社商品はあるものの、商品のラインナップを増やしたい場合に、上記のサイトなどから仕入れをする店舗も少なくないです。
しかし、仕入れサイトから商品は誰でも購入することができるため、競合が多く、価格競争に陥りやすいというデメリットがあります。
特にAmazonでは仕入れた商品は価格競争に巻き込まれやすいです。その理由は、楽天市場やYahoo!ショッピングのような出店型と違い、Amazonは出品型だからです。
出店型の場合、店舗ごとにページが作られるのですが、出品型の場合だと商品ごとにページが作られます。1商品=1ページになるので、同じ商品を販売する場合、同じページに出品することになります。これを相乗り出品といいます。
相乗り出品の場合、商品ページは既に作成されたものを使うので、商品のタイトル、画像、説明文などを作る必要がありません。またその商品ページの評価やランキングが反映されます。出品する商品の評価が良く、ランキングが高ければ出品するだけで自然と売れてしまいます。

オリジナル商品で価格競争から脱却を
まだ誰も販売していない商品を仕入れて販売し、ようやく売れるようになったとしても、相乗り出品をされてしまったら、価格競争に巻き込まれ利益率が下がってしまいます。Amazonだけでなく、楽天市場やYahoo!ショッピングも同様のことが言えます。そのため、仕入れた商品は販売できる期間が短くなってしまうのです。
上記の理由から、仕入れた商品で売上が立つようになったら、オリジナル商品を販売しようとする店舗が多いです。
まずは簡易OEMからはじめよう
受託製造会社に依頼する場合、1個から依頼は難しいです。ある程度まとまった数でないと、引き受けてくれません。そのため、せっかくオリジナル商品を作ったのに売れなかったとなると大変です。
まずは簡易なOEMから始めると良いでしょう。ノーブランド商品を紙タグ、布タグ、ロゴをプリントしたり、パッケージをデザインしたりして、自社ブランドとして販売する方法になります。この方法であれば、コストをかけずにOEM販売を始めることができます。
そして、OEM商品を販売する前に、ノーブランド商品を仕入れて販売し、どんな商品が売れるか、どんな商品が売れないかなどの傾向を掴むことが大事になります。
売れているノーブランド商品を自社ブランドとして販売することで、どれくらい売れるか予測がつきので、失敗する可能性が低くなります。
次点としては、カラーバリエーションを増やしたり、サイズを変更したり、レビューやクチコミなどに記載されいている改善要望を反映するのもいいでしょう。
売上ランキング上位の商品をもとにOEM生産するのも手です。その際、商品だけでなくそのお店の販売戦略も調べるようにしましょう。商品を真似しても、販売戦略が異なってしまうと売れないからです。
また、ツールなどで売れている商品を調べるのも手です。楽天市場に出店しているなら、ECCにどんな商品がどれくらい売れているか聞くのもいいでしょう。
簡易的なOEMを徐々にブラッシュアップさせて、完全オリジナル商品を作る。これが大きく失敗しない方法です。
海外企業(中国)から商品仕入れや、OEM・ODMを行う際に注意すべきこと
商品の仕入れ、OEM・ODMを日本国内で行うよりも、海外、特に中国などで行った方が安くなります。ただし、次の2つの点に注意する必要があります。
●商品の品質面
●法律面
特に直接中国側とやり取りする場合はコストを抑えることができますが、「低い品質」、「日本の法律を犯してしまう」商品を仕入れてしまったり、作ってしまったりする場合があります。
工場から直接商品を手配してもらう場合、慣れている人は検品工場までセットで考えますが、初心者の方は検品工場の手配までは難しいケースが多いです。
例えば、家電系商品の場合、コンセントに繋いで使用する商品の場合は「PSEマーク」を取得していないと日本では販売できません。
※https://www.jqa.jp/service_list/safety/service/mandatory/pse/
※USBで電源供給可能な商品は「PSEマーク」は必要ありません。
また、bluetoothの電波を使って使用するようなスマートウォッチを販売する場合、「技適マーク」を取得する必要があります。
※https://www.tele.soumu.go.jp/j/adm/monitoring/summary/qa/giteki_mark/
※技適マークを取っていないスマートウォッチは、技適マークを取得しているスマートウォッチよりも格段に安く仕入れ可能です。
とにかく安く仕入れる、安く作ることだけ考えてしまうと、このようなルールを相手側が理解していないケースもあるため、後で逆に大きな損を被ってしまうケースもあります。
そのため輸入に慣れていない人は、安心して任せられる輸入代行業者、委託製造会社を使った方が、コストは高くついても、「品質面」「法律面」などの心配がなく、商品を手に入れることができます。
輸入代行業者や委託製造会社を選ぶにあたって、大事なことはその会社がどんな商品を得意としているかを知ることです。化粧品なのか、家電なのか、アパレルなのかいろいろあります。
日本の工場でOEMの依頼も可能
日本国内の工場にOEMで商品の製造を依頼することも可能です。最近ではホームページを構えている工場が増えているため、「OEM 〇〇(商品ジャンル)」で検索すると対応可能な企業が確認できます。自社で製造したい商品のイメージを伝えながら、条件や金額など対応可能かどうかをすり合わせましょう。
コマースピックではアパレルとアクセサリーのOEMに対応している日本の工場に取材を行いました。
プレタポルテの縫製工場「辻洋装店」
辻洋装店では高級既製服であるプレタポルテの縫製を行っています。最近では有名なコレクション以外に、インフルエンサーやD2Cブランドの縫製にも対応しているようです。海外生産が増えるアパレル業界において、都内で縫製工場を営む価値について伺っているので、ぜひご覧ください。
山梨のジュエリー工場「BRUSH」
山梨県はジュエリーの生産量が日本1位です。その山梨県に工場を構える「BRUSH」ではOEMで依頼を受けながら、自社ブランドの製造を並行して行っています。ブランドの指示通りつくるOEMと自社で考えた商品を形にするブランドづくりを同時に行うことが、どちらにとっても良い効果を生み出しているようです。
大量生産ではなく、1点1点こだわりを持って作られたアクセサリーの製造を依頼したい企業は相談してみてはいかがでしょうか。
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