
福田 達也
Micoworks株式会社
カスタマーエグゼクティブ統括本部
カスタマーエグゼクティブ1部 マネージャー
LINEマーケティングプラットフォーム「MicoCloud(ミコクラウド)」で複数社のLINE公式アカウントの運用支援を担当。EC業界のお客様を中心にLINEマーケティングの戦略、施策策定、実装、振り返りと対策を行い、売上・利益創出に努めている。個人では住宅系SEOメディア・SNS運用・Instagramのコンサルティングも行い、ブランドと顧客のコミュニケーション最適化に取り組む。
MicoCloud(ミコクラウド)サイト:https://www.mico-cloud.jp/
この記事の目次
生成AIをアイデア作成に活用できているのはわずか32%
集客やリピート獲得のためにLINE活用に取り組むEC事業者さまは、下記のようなお悩みを抱えたことが一度はあるのではないでしょうか?
「次の配信を考えるので精一杯」
「本当は画像を作り込みたいけれど時間がなくてできない」
「施策の振り返りや仮説検証にまで手が回らない」
集客のためにSNSやLINEをがんばりたいけど、ECサイトの商品ページの作成や、お客さま対応など日々やることはたくさんある......。そんなEC事業者さまにおすすめしたいのが生成AIの活用です。
生成AIはEC業界でも一大トレンドですが、お客さまへのアウトプットやアイデアに実際に活用できているという人の割合はまだ多くありません。Adobeの調査によると、生成AIをコンテンツのためのアイデア作成に活用するマーケターはわずか32%とかなり低い水準に止まっています。(※)
※出典:「マーケター/消費者の生成AI活用実態調査」(アドビ株式会社)
LINEマーケや集客のアイデア出しに生成AIをうまく活用すれば、業務効率化はもちろん、施策アイデアのブラッシュアップや仮説検証サイクルのスピードアップを図ることができます。
今回はLINEマーケで生成AIを活用する際の考え方、テクニックをお伝えしながら、すぐにお試しいただけるプロンプトをご紹介いたします。
生成AIを”即戦力”にするには活用目的を定めよう
生成AIを集客やLINE運用で活用する際に、まずはAIの活用目的を自分なりに決めておくとよいでしょう。EC支援をおこなう当事者である私自身は、AIの活用目的は大きく2点においています。
1つは動き出しの補助アイテムとしての活用(例:〇〇を課題に感じているんだけど、どんなふうに問題を構造化すると良いですか?)、もう1つは、課題への対策を網羅する補助アイテムとしての活用です(例:〇〇の課題に対してこのあたりで考えているけれど、もっと網羅的にできない?)。
AIはアイデア創出のスピード、観点の網羅性が非常に高いです。一方で顧客理解を踏まえたアウトプットになっているのか、最終的にエンドユーザーの目に触れて問題ないクオリティであるかの判断には、必ず人間によるチェックが必要です。
AIに必要な観点を網羅させて、エンドユーザーにきちんと刺さるものになっているのか社内でアイデアを出して削ぎ落としていくという活用方法がおすすめです。
【お悩み別】LINE活用で使える生成AIプロンプト集
ここからはLINE運用でありがちなお悩みに対して、生成AIの使いどころとなるポイントをおさえながら、プロンプトの参考アイデアをご紹介します。
時短でコミュニケーション改善!LINE配信のA/Bテストを生成
お悩み:「本当は複数配信パターンを試したいけど時間がなくてできない...」
ABテストは鉄板施策ですが、忙しいEC事業者さんは複数パターンの配信を考えて配信するのも一苦労です。一方で実行すれば伸び代が出やすいポイントです。生成AIを活用して時間短縮しながらABテストで検証する運用サイクルに転換していきましょう。
プロンプト例:
以下の商品に関するLINE配信のABテストパターンを2つ提案してください。それぞれのパターンで、異なる【テキストメッセージ】とそれに合う【クリエイティブのアイデア】を考案してください。
配信目的は【〇〇(例:新規顧客の獲得、既存顧客のリピート促進、特定商品の購入促進)】です。
商品カテゴリ:【商品カテゴリを入力】
商品の特徴:【商品の具体的な特徴やメリット、ターゲット層、過去のデータなどを箇条書きで入力】
希望するクリエイティブの種類:(例:静止画、動画、GIFアニメーション)
LINE友だち追加後、3日間のシナリオ設計たたき台作成
お悩み:「次の配信を考えるので精一杯。シナリオ設計の改善ができない」
シナリオ配信とは友だち登録者に対して、事前に設定した条件(例:登録日、属性、特定のアクション)に基づいて、ステップ形式でメッセージを自動的に配信することです。初期設計に頭を悩ませることも多いポイントです。
生成AIでアイデア出しをしながらまずは簡単なつくりで良いので、シナリオを設計・改善していきましょう。
プロンプト例:
新規友だち追加後の【3日間、3ステップ】のステップ配信シナリオの骨子を作成してください。
ターゲット層:
- 20代~30代の男女
- 忙しく、時間に余裕がない
- 手軽に楽しめるリフレッシュ方法を探している
- 面倒な準備や片付けは避けたい
- 当社の手作りキャンドルキットが簡単に始められる点に魅力を感じる可能性がある
具体的なフックや興味を引く要素:
- 「たった〇分で完成!」のような、手軽さを強調するコピー
- キットの中身や作り方をわかりやすく紹介する動画や画像
- 完成したキャンドルをすぐに楽しめるメリットを伝える
各ステップの目的と配信内容の概要を含めてください。
LINE運用報告レポートを生成
お悩み:「LINE運用施策の振り返りや仮説検証に手が回らない、毎月の報告レポート作成が大変」
新たな施策アイデアを考えることはもちろんのこと、施策を実施した結果の振り返りや社内向けの報告レポートの作成に時間がかかるとお悩みの方も多いのではないでしょうか。実は、レポート作成にも生成AIを活用することで、大幅な時間短縮と効率化が可能ですので、参考にしてみてください。
プロンプト例:
【期間】のLINE運用報告レポートを以下の構成で作成してください。
1. 概要(目的、期間など)
2. 主要指標の推移(グラフや表を含む)
3. 施策ごとの成果分析
4. 成功要因と課題
5. 今後のアクションプラン
【期間】のLINE運用施策の反省点を踏まえ、次回の施策に向けて改善すべき点を3つ提案してください。それぞれの提案について、具体的な実行方法と期待される効果も記述してください。
生成AI活用を前提にした運用体制・計画を
生成AIを活用することで、LINEマーケの生産性を一気に高めることが可能です。しかしその一方で、人が担うべき業務や、組織として事前に考慮しておくべき点がありますので、最後にお伝えいたします。
実装のリソースを確保する
生成AIを活用すれば、クリエイティブ、配信シナリオ、テキスト案など、いろんなパターンを出すことができます。一方で、それを実装する作業は現時点では人の手が必要になることも多いです。
たとえばプッシュ通知・クリエイティブがAI活用で何パターンもできるようになったとしても、ABテストの配信設定、検証は通常の2倍の工数がかかります。複数シナリオが簡単に考えられるようになったとしても、それを同時に走らせるには実装の手間がかかります。
実装まで見越したリソース計画を立てる、もしくは、生成AIがアイデア出し、実装まで可能なMAツールを活用するなど、現実的かつ持続可能な座組を考えておきましょう。
公開前に必ず人の目を通す
文章やビジュアルがいくらきれいに整っていても、配信内容がエンドユーザーに刺さらないものになっている、違和感を覚える訴求になっているのでは意味がありません。繰り返しになりますが、必ずユーザー目線をもった人のチェックを通してから配信をおこなうようにしましょう。
忙しいEC事業者さんに生成AIの活用は大きな武器となります。AIをフル活用することで、LINEマーケによる集客効果を高め、売上向上につなげていきましょう。
MicoCloud(ミコクラウド)サイト:https://www.mico-cloud.jp/
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